思わず体も動き出す! "Feet of Song” エリカ・ラッセル

 アニメーションにはいろんなタイプの作品があるものですが、エリカ・ラッセルの作品は、ダンス&ミュージックを入り口としたもので、それがアニメーションと見事にマッチしていて、観ていて心楽しい作品になっています。

 今回ご紹介するのは、監督デビュー作の“Feet of Song”ですが、次作“Triangle”で米国アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされたというのもむべなるかなというユニークな作品&才能で、数々のミュージシャンに愛されてミュージック・ビデオを依頼されるというのもよくわかります。




 人間の肉体をシンプルなShapes&Colorsで表わし、それをリズムに合わせて動かして、躍動感ある作品に仕上げた手腕は見事というしかありません。

 笛のみでの導入部は、女性らしき1人のダンサーのシンプルなソロのダンスで、演奏に様々な楽器が加わって賑やかになると同時に、ダンス&アニメーションもより複雑に賑やかで楽しいものになる。ラスト近くでは、アニメーションはより抽象化され、単純化された色片がリズムに合わせて形を変化させ、抽象作品や実験映画に近いレベルにまで到達します。

 生身のダンサーたちを使った実写作品よりもダンサブルなのではないかと思われる一方で、躍動する単純な色と形は、単にそこにあるそれ以上のものとしてイマジネーションを刺激してくれます。

 しゃれたカフェやレストランにディスプレーとして、エンドレスで上映してもよさそうで、ずっと観ていても飽きないというか、心楽しく、気分を盛り上げてくれる作品ですね。

画像

 ◆作品データ
 1998年/英/5分20秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 *この作品は、1989年BFI(British Film Institute)最優秀アニメーション作品に選ばれたほか、ロンドン映画祭でも優秀作品として選出、Odense Film Festivalでもエリカ・ラッセルに賞が贈られた。ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ロンドン・テート・ギャラリーでも上映された。

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 ◆監督について
 エリカ・ラッセル Erica Russell

 ニュージランドに生まれて、ヨハネスブルグで育ち、1970年からはイギリスに住んでいる。

 彫刻とペインティングを学ぶ。

 ペイント&トレーサーとしてアニメーション業界に入る。
 最初は、『ロジャー・ラビット』の制作会社プロデューサーとして知られるリチャード・ウィリアムズ・アニメーションで働き、ディズニーのパイオニア的なアニメーター アート・バビットの特別助手についた。その後、フリーランスとなり、様々な映画やCM、ミュージック・ビデオを手がける。80年代は、『マックス・ヘッドルーム』で知られるRocky Morton and Annabel JankelでTV番組のタイトルや音楽PVのアニメーションなどを担当。
 後に、自身のスタジオEyeworksを立ち上げ、CMやミュージック・ビデオを制作するようになり、ロンドンのヴァージン・メガストアために制作した1分間のスポットは優秀賞を受賞している。

 最初の短編“Feet of Song”は、チャンネル4の製作で、この作品は1989年BFI(British Film Institute)最優秀アニメーション作品に選ばれている。

 1992年には、彼女のパートナーでプロデューサーでもあるアダム・パーカー=ローデス(Adam Parker-Rhodes)と自身のプロダクションGingcoを、彼女が住む北ロンドン、ハイゲイトに設立。数多くのミュージック・ビデオやTVのタイトル・シークエンス、CMを制作している。その1つ、リーバイスの女性用ジーンズのCMはクレオ賞を受賞。彼女が手がけたミュージック・ビデオには、マドンナ、マイルス・デイビス、エルトン・ジョン、トム・ジョーンズなどがある。

 第2作『トライアングル』(1994)は、1995年の米国アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされたほか、英国アニメーション賞最優秀作品(15分以内の作品部門)およびアニメーションの技法(the Craft of Animation)への貢献に対して特別賞が贈られている。

 1997年には、韓国アニメーションフェスティバルの選考委員に選ばれ、1998年のオタワ国際アニメーションフェスティバルでは特別審査員として招かれ、ブラジルのアニメ・ムンディ映画祭(the Anima Mundi festival)ではレクチャーも行なっている。

 第3作“Soma”(2001)も、ダンス3部作の最後を飾る作品で、前2作同様チャンネル4製作で、グラフィティ・アート(いわゆる壁の落書き)からインスパイアされたもの。

 現在、彼女は、トリニダート・トバコの西インド大学(the University of the West Indies)にアニメーション学部とスタジオを設立するプロジェクトに参加している。

 彼女の作品は、物語を語る道具としてアニメーションを使うのではなく、あらゆる知覚体験の基礎であり、芸術活動の中心でもある、身体の動きを視覚芸術として表現することを目的としている。
 彼女は、アフリカやラテン・アメリカのミュージシャンと組むことが多く、彼女の作品は、音楽とアニメーションの見事な融合と評される。
 作曲家で音楽監督でもあるチャーリー・ハート(Charlie Hart)とつきあいが長い。
 彼女は、作品に、手描きやエアブラシ、切り絵などを活用し、CGでは得られないような新鮮で生き生きした表現を生み出すことに成功している。

 短編映画として作品を発表するほか、ダンサーや振付師と組んで、アニメーションをベースとした創作も企画している。

 ・1988年 “Feet of song”
 ・1994年 “Triangle”
 1995年 米国アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート
 ・2001年 “Soma”

 *参考サイト
 ・公式サイト:http://www.ericarussell.com/
 3本の監督作品ほか、6本のCM作品を観ることができます。
 ・Acme Filmworks:http://www.acmefilmworks.com/director/1/32/russell.html

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