でも、食べちゃう! 『卵殺人』 ポール・ドリエセン

 アニメーション関係の映画賞のノミネートや受賞者としてよく名前を見かけていたポール・ドリエセン。
 日本でDVDで観られる作品は2作品(『あやとり』『3人のおとめ』)だけしかなく、ネット上で探してもなかなか直に作品に触れることはできなかったのですが、久々に検索してみたらいくつかの作品がヒットしてきました。

 

 【物語】
 部屋の中で男が食前の祈りを捧げて、ゆで卵を食べようとしている。
 スプーンで卵をたたいて割ろうとしたところ、卵の中から声が聞こえてくる。
 “Hey,who is it?”(誰?)
 “Yeah,just minutes,I’m coming.”(ちょっと待って、今行くから)
 “Hellow,hellow? What is it?”(ハロー、ハロー、何?)
 男は中から聞こえてくる声にはかまわずに、むしろ面白がって卵を割り続ける。
 “Hey,hey! Watch it ! Who is it?”(ヘイ、ちょっと待ってくれよ!誰?)
 “No,stop that ! Hey,no ! No ! Ou,aaaaaa……”(やめろ!やめてくれ!わあ……)
 すっかり卵が割れて、中から声が聞こえなくなったところで、彼のいる部屋にノックがある……。

 【コメント】
 物語の興味は、卵の中がどうなっているのかということですが、それが示されないまま、卵はつぶされてしまいます。すると、部屋をノックする音がして……となって、ははあ~、なるほど、そういうわけかと納得! そこから先は予想通りの展開なので、後は見なくてもいいくらいですね(笑)。

 中から声が聞こえてきてもそれにかまわず卵を割り続けるのは、ちょっと残酷な気もしますが、その前にちゃんとお祈りをしているから大丈夫なのでしょう(笑)。

 この作品を観て、食べる側もいつかは食べられる側にまわることになるとか、食物連鎖の関係とかに思いを馳せるということもできなくはありませんが、まあ、きっと、単純に楽しむだけでよいのでしょう。

 この作品を観て、こんなキャラクターでこんなタッチのCM作品を観たことがあるとも思ったのですが、検索してもわかりませんでした。この作品を観てもわかるように、カトゥーニストには全世界共通の感覚(ユーモアだったり、センスだったり)があるようなので、全く別のアニメーターの作品だったのかもしれません。

画像

 ◆作品データ
 1977年/オランダ/2分49秒
 英語台詞あり/日本語字幕なし
 カトゥーン

 
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 ◆監督について
 ポール・ドリエセン
 1940年 オランダ生まれ。
 ユトレヒト芸術アカデミーでグラフィック・デザインとイラストレーションを学び、60年代はオランダでCMを手がける。
 映画『イエロー・サブマリン』(1968)のためのアニメーターを探していたジョージ・ダニングに見出されて、アニメーションの世界へ。ジョージ・ダニングの協力でカナダに移住し、1972年にNFBのメンバーとなる。以後、オランダとカナダを行き来しつつ、アニメーションを制作。
 たえず揺れ続ける線、ほっそりしたキャラクター、3~6の画面分割を使って物語を展開させること、などが特徴。
 『3人のおとめ』(1998)で米国アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネート。
 オタワ国際アニメーションフェスティバルとザグレブ国際アニメーションフェスティバルの生涯貢献賞をはじめ、50以上の映画賞を受賞。
 1987年にASIFA Hollywoodでエイミー賞受賞。
 1980年代は、ドイツのカッセル芸術大学でアニメーションを教え、教え子から米国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞者『バランス』のクリストフ・ラウエンシュタインらを輩出しています。

 ・1968年 『イエロー・サブマリン』[アニメーター 監督:ジョージ・ダニング]
 ・1970年 “The Story of Little John Bailey” [監督]
 ・1972年 “Le Bleu perdu”[監督]
 ・1972年 『AIR!』“Air!” [監督]
 ・1974年 『あやとり』“Au bout du fil(Cat's Cradle)” [監督]
 ・1974年 “The Happy Prince”[アニメーター 監督:Michael Mills]
 ・1975年 『古ぼけた箱』“An Old Box(Une vieille boîte)” [監督]
 ・1977年 『ダビデ』“David” [監督]
 ・1977年 『卵殺人』“The Killing of an Egg”
 ・1979年 『生存競争』“Elbowing” [監督]
 ・1980年 『陸に海に空に』 “Ter land, ter zee en in de lucht” [監督]
 ・1981年 『レールの我が家』“Het Treinhuisje(Home on the Rails)” [監督]
 ・1981年 『同じような昔話』“Une histoire comme une autre(The Same Old Story)” [監督]
 ・1982年 『オー・ワット・ア・ナイト』“La Belle et la boîte(Oh What a Knight)” [監督]
 ・1984年 『ティップ・トップ』“Tip Top” [監督]
 ・1984年 “Het Scheppen van een koe(Spotting a Cow)” [監督]
 ・1984年 『アニジャム』“Anijam” [アニメーター 監督:Marv Newland]
 ・1985年 “Elephantrio” [監督]
 ・1985年 『目玉焼き』“Spiegel eiland(Sunny Side Up)” [監督]
 ・1986年 “The Train Gang” [監督]
 ・1986年 “Getting There” [監督]
 ・1988年 『作家』 “The Writer(De Schrijver en de Dood)”[監督]
 ・1988年 “Candyjam”[アニメーター 監督:Joan C. Gratz、Joanna Priestley]
 ・1991年 “Pink Komkommer”[アニメーター 監督:Marv Newland]
 ・1992年 『水中都市』“The Water People” [監督]
 ・1995年 『四季 世界の終焉』“The End of the World in Four Seasons(La Fin du monde en quatre saisons)” [監督]
 ・1996年 “Quest”[story consultant 監督:Tyron Montgomery]
 ・1998年 『3人のおとめ』“3 Misses” [監督]
 ・2000年 『氷山を見た少年』 “The Boy Who Saw the Iceberg(Le Garçon qui a vu l'iceberg)” [監督]
 ・2003年 『ドリエッセンの2D』“2D or not 2D” [監督]
 ・2004年 “Oh What a Nico” [監督]

 *参考サイト
 ・Acme Filmworks:http://www.acmefilmworks.com/director/0/18/driessen.html
 ・NFB:http://www.nfb.ca/portraits/fiche.php?id=223&v=h&lg=en
 ・Wikipedia:http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Driessen_%28animator%29

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