『ぼくらと遊ぼう! 出会いの話』 ブジェチスラフ・ポヤル

 黒白のボーダーのシャツを着ているクマと赤白のボーダーのシャツを着ているクマのショート・ストーリーのシリーズ。黒白のクマの方が赤白のクマよりもちょっと大きい。
 黒白のクマがお兄ちゃんタイプでいつも新しい遊びを思いつくキャラで、赤白のクマが弟キャラ、ということになっているようです。どちらのクマにも名前はありません。

 前半


 【物語】
 前半部分では、短い3つのパートに分かれていて、①チョウチョ編、②カップ編、③落書き編、とでも名づけるといいでしょうか。

 ①チョウチョ編 小さなクマがボードのところにいるとチョウチョが飛んでくる。小さなクマはそれを虫取り網でつかまえようとするが、チョウチョたちにからかわれたあげく逃げられてしまう。
 小さなクマが裏側からボードによじ登っていると、ボードの下から足が覗いて、そこに1匹の大きなクマがいるように見える。しかし、それは小さなクマの下に大きなクマが来ただけのことで、大きなクマが動くと、ボードをバックに、1匹のクマの頭と胴がずれているように見える。

 ②カップ編 小さなクマがカップに入ったハチミツ(?)をなめている。そこに大きなクマがやってくる。大きなクマは、カップを使い、それを空気入れのようにみなして、体を膨らませたり、一輪車のようにそれに乗って遊んだりする。

 ③落書き編 小さなクマが持ってきたホテルのチラシ(?)にはクマの敷物が描かれている。大きなクマはそれを見て、いつもいねむりしてばかりの大人のクマを想像する。
 そのクマのイラストを壁に落書きし、別のイラストでそのクマにちょっかいを出す。子犬、それより少し大きな犬、さらにもっと大きな犬を大人のクマにけしかけていくが、大人のクマはそれぞれゼンマイじかけのおもちゃ、蜂の巣、ソーセージであっさりとそれらを追い払ってしまう。
 2匹は次にハンターを差し向けるが、ハンターのライフルは大人のクマにねじまげられてしまう。ねじまげられたライフルから出た銃弾は飛行機を打ち落としてしまい、ハンターはパイロットに追いかけられてしまう。

 さらに車に乗ったハンターを大人のクマに差し向けようとして、大きなクマは物語のオチをどうしょうかと悩んでしまい、小さなクマの注意を再びカップに戻すことにする。

 後半


 【物語】
 小さなクマの方が大きなクマを蹴飛ばして、2人で蹴飛ばし合いをする。
 ひっくりかえった小さなクマのシャツの下からキャンディーが飛び出す。
 大きなクマはキャンディーを食べると、強くなるとでもいうように、お腹をたたいてみせる。小さなクマは最初はそれを見て喜んでいたが、キャンディーが残り少なくなると、残りは取っておこうかと考える。
 それを見た大きなクマはすねて、背中を向ける。
 自分が悪いことをしたと思った小さなクマは、大きなクマにキャンディーをあげる。
 大きなクマはキャンディーの包み紙で紙飛行機を作って飛ばす。
 (そこから何故か)蒸気機関車ごっこが始まる。森のウサギたちも一緒になって、橋になってくれたり、遮断機になってくれたりして、2匹の蒸気機関車ごっこに付き合ってくれる。
 大きなクマはキャンディーをエネルギーに変えて、蒸気機関車ごっこを続けるが、キャンディーがなくなってしまうと元気がなくなって止まる。
 本当は何も食べていない小さなクマの方が疲れてヘトヘトだったのだけれど、大きなクマにベソをかかれると悪いなあと思って、木イチゴを採ってあげる。
 お腹が膨れた大きなクマはそこでお昼寝しそうになるが、小さなクマは目覚まし時計のフリをして大きなクマを起こそうとする。しかし、大きなクマはなかなか起きてくれない。

画像

 【解説】
 「ぼくらと遊ぼう!」(“Pojdte Pane”)は、ブジェチスラフ・ポヤルが監督した、2匹のクマを主人公とするアニメーションで、1965~67年までの第一期に6作品、1970~73年の第2期に5作品が作られています。
 日本では<チェコアニメ映画祭2000>で4作品(「冬眠の話」「ヒョウの話」「ビーバーの話」「カブの話」)が初紹介された後、2002年の特集上映で<パットとマット>などともに残りの7作品が劇場公開されました。DVDとしては、3枚に分かれてリリースされています。

 次々に新しい遊びを思いつく大きなクマと、そんな大きなクマにちょっとズルされてもメゲることなくついていき一緒に遊ぶ小さなクマの物語で、邦題そのままに、2匹のクマが画面狭しと遊びまわるシリーズになっています。

 ちょっとズルしたりもする大きなクマですが、小さなクマが大きなクマに対して感じているように、意外と憎らしいという感情は起きません。

 この2匹のキャラクターの面白さと、現実の子どもと同じように何でも遊びにしてしまうところ、2匹がちょこまかと動き回るところ、2匹が次々といろんなものに体の形を変えていくところ(デフォルメと変身)などが、このシリーズの魅力でしょうか。

 ポヤル自体の情報が少なく、「ぼくらと遊ぼう!」についての情報もほとんどないので、この作品がどういう形でチェコスロバキアで作り続けられていたのかはわからないのですが、1968~69年の間にシリーズが中断しているのは、チェコスロバキアの政治的緊張(=「プラハの春」)とは無縁ではないと考えられます。

 ◆作品データ
 1965年/チェコスロバキア/14分
 チェコ語台詞あり/日本語字幕なし
 レリーフ・アニメーション

 *この作品は、2002年の特集上映で日本初公開されました。

 *この作品は、DVD『ぼくらと遊ぼう! Ⅲ』に収録されています。

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 ◆監督について
 ボジェチスラフ・ポヤル
 人形アニメーションとセル画によるストップ・モーション・アニメーションの両方を手がける。ドキュメンタリー映画や舞台美術、ステージ演出も行なう。
 1923年 チェコスロバキア ボヘミア南部のスシツェ生まれ。
 高校卒業後、AFIT(アトリエ・フィルム・トリク(トリック映画アトリエ))で働き、ナチス侵攻後は、ナチスの技術学校で製図を引く。
 戦後トリック・スタジオ・ブラザーズに入る。
 1946~59年 イジー・トルンカのアニメーターを務める(トルンカ自身は、監督・脚本・人形制作・コスチュームデザイン等はしてもアニメーターの仕事はしなかった)。トルンカともどもアニメーションの作り方を知らない時代で、手探り状態でのスタートだったという。
 1951年に『魔法の森のお菓子の家』で監督デビュー。
 1959年 トルンカの元を離れた後、プラハで2つ目の人形アニメ・スタジオ(スタジオ・ドゥヴェ、または、スタジオ・ヌスレ)を設立。ここで制作した『ライオンと歌』がアヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリを受賞する。
 1960年代半ば以降カナダと行き来しながら、NFBと協力して作品を制作。その初期に制作した『見えるか見えないか(幻想学)』が、ベルリン国際映画祭短編映画部門金熊賞受賞ほか高い評価を受ける。
 1990年 FAMU(チェコ国立芸術アカデミー映画学部)の教授となる。

 ・1951年 『魔法の森のお菓子の家』 “Perníková chaloupka”
 ・1953年 『飲みすぎた一杯』 “O skleničku víc”
 ・1955年 『探偵シュペイブル』 “Spejbl na stopě”
 ・1957年 『小さな傘(おもちゃのサーカス)』 “Paraplíčko”
 ・1959年 『ライオンと歌』 “Lev a písnička” *アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞
 ・1959年 『爆弾マニア』 “Bombománie”
 ・1959年 『アパートに家具を備えるには』 “Jak si zařídit byt”
 ・1959年 『栄光』 “Sláva”
 ・1960年 『真夜中のできごと』 “Půlnoční příhoda”
 ・1960年 『猫の言葉』 “Kočičí slovo”
 ・1960年 『猫のために絵を描いて』 “Malování pro kočku”
 ・1961年 『猫の学校』 “Kočičí škola”
 ・1961年 『八つ当たり』 “Biliár”
 ・1962年 『雄弁家』 “Úvodní slovo pronese”
 ・1963年 『ロマンス』 “Romance”
 ・1964年 『理想』 “Ideál”
 ・1965–73年 『ぼくらと遊ぼう!』 “Pojďte, pane, budeme si hrát! ”
 ・1965年 「ぼくらと遊ぼう! 出会いの話」 "Potkali se u Kolína"
 ・1965年 「ぼくらと遊ぼう! 水辺の話」 "Jak jeli k vodě"
 ・1965年 「ぼくらと遊ぼう! お魚の話」 "K princeznám se nečuchá"
 ・1966年 「ぼくらと遊ぼう! おかゆの話」 "Jak jedli vtipnou kaši"
 ・1966年 「ぼくらと遊ぼう! 帽子の話」 "Držte si klobouk"
 ・1967年 「ぼくらと遊ぼう! 冬眠の話」 "Jak šli spát"
 ・1968年 『小さな道化師』 “Fanfarón, malý klaun”
 ・1969年 『見えるか見えないか(幻想学)』 “Ilusologie | Psychocratie” *カナディアン・フィルム・オブ・ザ・イヤー受賞、ベルリン国際映画祭短編映画部門金熊賞受賞
 ・1969年 『虫が思いもしなかったこと (ミミズが思いもしなかったこと、あるいは、ダーウィンアンチダーウィン) 』“Co žižala netušila”
 ・1970年 「ぼくらと遊ぼう! セイウチの話」 "Co to bouchlo?"
 ・1971年 「ぼくらと遊ぼう! 犬の話」 "Psí kusy"
 ・1971年 「ぼくらと遊ぼう! ヒョウの話」 "O pardálu, který voněl"
 ・1972年 「ぼくらと遊ぼう! ビーバーの話」 "A neříkej mi Vašíku"
 ・1973年 「ぼくらと遊ぼう! カブの話」 "Nazdar kedlubny"
 ・1973年 『バラブロック(丸・四角)』 “Balablok” *カナダ映画祭 最優秀短編映画賞受賞、カンヌ国際映画祭短編映画部門パルムドール受賞
 ・1974年 『りんごの木のお姫さま(りんごの乙女)』 “Jabloňová panna”
 ・1974–77年 『ふしぎな庭(庭)』 “Zahrada”
 ・1974年 「ふしぎな庭 動物愛好家」 "Milovník zvířat"
 ・1975年 「ふしぎな庭 深い霧の話」 "O té velké mlze"
 ・1976年 「ふしぎな庭 虎をどうやって捕まえるか」 "Jak ulovit tygra"
 ・1977年 「ふしぎな庭 銀紙の中のネズミの話」 "O myších ve staniolu"
 ・1977年 「ふしぎな庭 クジラのアビルレフ」 "Velryba Abyrlev"
 ・1977–79年 『ダーシェンカ』 “Dášeňka”
 ・1979年 『犬を飼う理由』 “Proč má člověk psa”
 ・1979年 『ブーム!』 “Bum” *カナダ映画祭 審査員賞受賞、カンヌ国際映画祭短編映画部門審査員賞受賞
 ・1981年 『もしも… 』“Kdyby”
 ・1982年 “E” * ベルリン国際映画祭Forum of New Cinema にてInterfilm Award - Otto Dibelius Film Award受賞、クラクフ映画祭銀賞&国際批評家連盟賞受賞
 ・1986年 『ナイトエンジェル』 “Romance z temnot” *LA映画批評家連盟賞 World Animation Celebration受賞
 ・1988年 『一歩から進歩へ』 “Od kroku k pokroku”
 ・1990年 『蝶のとき(フライング・スニーカー)』 “The Butterflies Time [Motýlí čas] (The Flying Sneaker)”
 ・1993年 『ねずみ学』 “Mouseology”
 ・1994年 『なぜ?』 “Pourquoi?(Why?)”
 ・1996年 『麻酔ブルース』 “Narco Blues”
 ・2003年 連句アニメーション『冬の日』の「ニの尼に近衛の花の盛り聞く 蝶はむぐらにとばかり鼻かむ」を担当
 ・2006年 “Fimfárum 2” (2006) * AniFest (チェコ): Best Feature-Length Film Award受賞

 *1985年 広島国際アニメーションフェスティバルに審査員として来日し、その時に特集上映もされました。

 *劇場公開は<チェコアニメ映画祭2000>の時で、『飲みすぎた一杯』『ライオンと歌』『探偵シュペイブル』『雄弁家』『ロマンス』『ぼくらと遊ぼう!』(「冬眠の話」「ヒョウの話」「ビーバーの話」「カブの話」)『ナイトエンジャル』が上映されました。

 *参考書籍
 ・『夜想35 チェコの魔術芸術』(1999年 ペヨトル工房)
 ・『チェコアニメ新世代』(2002年 エスクァイア マガジン ジャパン)

 *参考サイト:http://homepage1.nifty.com/gon2/cartoon/cartoon14.html

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