アレクサンドル・ペトロフ監督の最新作はこれだっ!

 『春のめざめ』で知られるアレクサンドル・ペトロフの最新作が、カナダの「ニューファンドランド・ラブラドール州」のプロモーション用のアニメーション“Pitcher Plant”です。

 

 【物語】
 海の力強い波。
 帆船。
 氷山とクジラ。
 タンカー。
 海底油田。
 灯台。
 空を飛ぶパフィンの群れ。
 自然豊かな森、入り江。
 Pitcher Plant。

 【解説】
 この作品は、カナダの北東に位置するニューファンドランド・ラブラドール州のプロモーション用のアニメーションで、同州が――
 海に囲まれていて、海上交通の要所であり、昔は帆船、今はタンカーが行き交い、近くには海底油田がある。北極海に隣接し、自然豊かな土地である。
 ということを示しているようです。

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 監督のアレクサンドル・ペトロフは、『老人と海』(1999)をロシア、カナダ、日本の共同製作で作っていますが、カナダとの交流はその頃からでしょうか。
 この作品の製作に当たったのはカナダのPascal Blais Studio(http://www.pascalblais.com/index2.html)というアニメーション・スタジオで、ペトロフはこのスタジオと契約し、いくつかの作品を作っているようです。
 タイトルとなっている“Pitcher Plant”は、作品の最後にも登場しているウツボカズラにも似た食虫植物で、州花でもあって、州のロゴにもデザインされています。

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 ニューファンドランド・ラブラドール州は、「創造性とスタミナに富み、豊かな歴史を有する現代都市で、観光地としても優れ、投資やビジネスにも向き、住み、働き、家族を育てるのにも適した場所である」というコンセプトを元に、CIを行なって、ロゴを変え、それに合わせて、このイメージ・アニメーションも発注した、ということのようです。
 こうしたCIが必要となった背景には、元々寒冷な地であるためあまり農業に適さず、その代わり近隣の豊かな漁場を生かした水産業を中心に発展したのが、近年、タラが激減し、漁業自体も衰退して、州の経済が打撃を受け、産業構造の変化やイメージ・アップが余儀なくされた、ということがあったようです。

 ◆作品データ
 2006年11月?/カナダ/45秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 題材が題材なだけに、かなりフレデリック・バックに作風が似通ってきてしまっていますが、フレデリック・バックがフォークロア風なのに対して、アレクサンドル・ペトロフはより写実的で力強さを感じさせるといった差異があるでしょうか。

 *この作品は、ニューファンドランド・ラブラドール州のHP(http://www.gov.nl.ca/brand/video.htm)でも観ることができます。

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 ◆監督について
 アレクサンドル・ペトロフ
 1957年ヤロスラヴリ州プリスタチャ村生まれ。

 美術専門学校で絵画を学ぶ。卒業後、モスクワのゼンソ映画大学アニメ画学部に入学し、イワン・イワノフ=ワ—ノの講座をとる。3年の時にユーリ・ノルシュテインの『話の話』を観て衝撃を受ける。81年、卒業と同時にウラルのスベルドロク(現エカテリンブルグ)の映画スタジオで、アニメーション美術を担当する。
 その後、改めて映画大学の“アニメーションの監督とシナリオライターのための特別コース”に入学し、ユーリ・ノルシュテインに教わる。

 卒業制作作品『雌牛』で広島国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞。

 ガラス板に油絵の具で絵を描くという手法(ガラス・ペインティング)を得意とし、文芸色の強い作品を発表し続けている。

 日本・カナダ・ロシアで共同製作した『老人と海』でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。
 『マイラブ 初恋』は、広島国際アニメーションフェスティバルで観客賞&国際審査員特別賞を受賞。タイトルを『春のめざめ』と変えて、三鷹の森ジブリ美術館の配給で2007年3月17日より、東京・渋谷シネマアンジェリカにて劇場公開(同時上映『岸辺のふたり』)。「『春のめざめ』原画展」が2007年1月27日より三鷹の森ジブリ美術館ギャラリーで開催。

 アレクサンドル・ペトロフ選出によるベスト・アニメーション(『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと))は―
 『クラック!』『木を植えた男』『話の話』『霧につつまれたハリネズミ』『あおさぎと鶴』『岸辺のふたり』『禿山の一夜』『手』『灰色のめんどり』『草上の朝食』『タンゴ』『ボニファティウスの休暇』『犬が住んでいました』『ストリート』『がちょうと結婚したふくろう』『丘の農家』『ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』『作家』『柔和な女』『ストリート・オブ・クロコダイル』。

 ・1981年 “Khalif-aist”<TV>[脚本]

 ・1984年 “Poteryalsya slon”[プロダクション・デザイナー]

 ・1986年 “Dobro pozhalovat”(Welcome)[アート・ディレクター]

 ・1988年 “Marathon”[アニメーター]

 ・1989年 『雌牛』 “Korova”(Cow)[監督]

 ・1991年 “I vozvrashchaetsya veter...”(And the Wind Returneth)[プロダクション・デザイナー]

 ・1991年 “Tsareubiytsa”[セット・デザイナー]

 ・1992年 『おかしな人間の夢』 “Son smeshnogo cheloveka”(Сон смешного человека、The Dream of a Ridiculous Man)[監督]

 ・1997年 『マーメイド(水の精)』 “ Rusalka”(Mermaid)[監督]

 ・1999年 『老人と海』 “The Old Man and the Sea” [監督]

 ・2003年 『冬の日』の「影法の暁寒く火を焼きて あるじは貧にたえし虚家」(杜国)を担当[アニメーション制作]

 ・2006年 『春のめざめ(マイラブ 初恋)』“My Love” [監督]
 *「見直してみたら、凄かった! 『春のめざめ』」

 ・2006年 ニューファンドランド・ラブラドール州 プロモーション用アニメーション“Pitch Plant”[監督]

 ・2007年? “Pacific Life” [監督]

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