「虹の谷 絵の具工場」 たむらしげる 『ファンタスマゴリア』

 まどろみを旅してみつけた小さな惑星ファンタスマゴリア。これはその星の小さな物語です。




 【物語】
 虹の谷には絵の具工場があって、虹から絵の具を作っている。しかし、このごろはちっとも虹が出なくて、工場も寂れている。
 工場長は、どうすることもできずに、酔いつぶれて朝を迎えるような日々を過ごしていた。そんな時、ある噂を耳にする。シューティングスター・ヒルに落ちた流星はとても高く売れるというのだ。そこで一攫千金を夢見て、シューティングスター・ヒルに行くが、いっこうに流星は落ちない。
 あきらめて虹の谷に戻ると、谷には見事な虹がかかる。
 工場長はぼんやりと思い出す。この虹がとても好きだったことを。

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 【解説】
 「ファンタスマゴリア」は、元々は、1989年のたむらしげるの画集『PHANTASMAGORIA』の巻頭インデックスとして誕生し、どんどん物語が膨んでいって、1995年にCD-ROM『Amusement Planet PHANTASMAGORIA』に発展しました。描かれたエリアは、サンタクロース村、クリスタルシティー、ほんやらベーカリーなど35あり、ランスロット、木人、スノーマン、さすらいのシンガー、フープ博士などが暮らして、それぞれの物語を生きています。DVDに収録されているのは全部で15話、78分。ナレーションはあがた森魚とかの香織、音楽は手使海ユトロが担当しています。

 <全15話タイトル>
 1.オーロラショウ
 2.虹の谷絵の具工場
 3.ガラスの海
 4.南の大陸
 5.電球発光の日
 6.ゴーストタウン
 7.キノコ村
 8.密造酒
 9.サボテンの街
 10.ほんやらベーカリー
 11.アルタイルの酒場
 12.人工の月
 13.デジタルゾーン
 14.流れ星の夜
 15.旅の終わり

 【コメント】
 1998年11月に銀座テアトル西友のレイトショーで<クジラの跳躍>と題して、「ファンタスマゴリア」の4編を含む、たむらしげるの特集上映が行なわれたのですが、私もそれで初めてたむらワールドに触れ、そして魅せられて、『クジラの跳躍』と、『ア・ピース・オブ・ファンタスマゴリア』はDVDも購入してしまいました。短いわりには、どちらも6800円もしたのですが、どうしても手元においておきたかったんですね。
 本当は、『クジラの跳躍』の、スクリーンにおける、あのあまりにも美しいクジラの大跳躍をスクリーンごと自分のものにしてしまいたかったのですが、もちろんそれは叶わぬ夢。仕方がないので、DVDで我慢するしかないのですが。

 「ファンタスマゴリア」は、本当は結構孤独だったり、悲惨だったりするのかもしれない内容を含みつつ、最終的には、どのエピソードも温かくホッとした気分にさせてくれます。CG作品でありながら、こんなに温かみを感じられるのは、やはり作者の人柄なのでしょう。

 
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 ◆作品データ
 1995年/日本/5分10秒
 日本語台詞あり/フランス語とポルトガル語(?)の字幕あり
 CGアニメーション

 * AMDアワード グランプリ郵政大臣賞、マルチメディア グランプリ エンターテインメント賞受賞

 * href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4893933671%3ftag=kattenieigade-22%26link_code=xm2%26camp=2025%26dev-t=D31ZR0ROP0WVXQ" target="_blank">『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で415位。


 ◆監督について
 たむらしげる
 絵本作家、イラストレーター、映像作家。
 自作の絵本や画集の中の世界を“動かす”というところからごく自然に映像作品を手がけるようになり、これまでに3つの作品を発表している。 

 1949年 東京生まれ。
 桑沢デザイン研究所卒業。
 1972年、パッケージ・デザイナーとしてトッパン・アイデアセンターに入社。1976年、絵本『ありとすいか』出版を期に独立。その後、イラストレーターや絵本作家として活躍。代表的な絵本に『よるのさんぽ』『ダーナ』『ネズミのヒコーキ』『ロボットのくにSOS』などがある。「ガロ」に漫画作品を発表したこともある。
 1993年に初の映像作品『銀河の魚』を発表。この作品は、友人のアニメーターやコンピュータ・デザイナーの協力の元に、手作りで作られた“パソコンによるハイビジョン作品”で、毎日映画コンクール 大藤信郎賞、国際エレクトロニック・シネマ・フェスティバル グランプリ、ハイビジョン・アワード 選定委員長賞を受賞するなど、高い評価を受けた。
 1995年には、自身の絵本作品『PHANTASMAGORIA』を映像化した作品『Amusement Planet PHANTASMAGORIA』をCD-ROMで発表(のちに『ア・ピース・オブ・ファンタスマゴリア』としてビデオ、DVDでも発売)。AMDアワード グランプリ郵政大臣賞、マルチメディア グランプリ エンターテインメント賞受賞。
 1998年には『クジラの跳躍』を発表。この作品は平成10年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 大賞を受賞したほか、海外の数多くの映画祭に招待された。

 これら3作の映像作品のうち、『銀河の魚』『クジラの跳躍』と、『ファンタスマゴリア』のうちの「密造酒」「南の大陸」「オーロラショウ」「虹の谷の絵の具工場」は、1998年11月に銀座テアトル西友のレイトショーで劇場公開されました。

 『クジラの跳躍』劇場公開時に、長編アニメの構想もある、と噂されていましたが、具体的な作品となって一般に公開されることもないまま、既に10年。新作が待たれている。

 静かで、穏やかで、どこかノスタルジックなその作品世界は、宮澤賢治や稲垣足穂の作品を髣髴とさせると評されます。

 1998年9月から、TBS系毎週土曜22時からの報道番組「ブロードキャスター」のオープニングとエンディングにたむら作品が使われています。http://www.tbs.co.jp/bc/

 長年にわたり、TV番組情報誌「TV Station」の表紙のイラストを描いています。http://tvstation.jp/

 2007年6月18日~30日に青山ピンポイント・ギャラリーにて、<たむらしげる個展 メルヒェンティック>(http://www.pinpointgallery.com/japaneseindex.html)が開催されました。

 ・たむらしげるworld:http://www.daijobu.co.jp/home/tamu/t_list/t_list.html

 ・たむらしげるスタジオ通信:http://www.tamurashigeru.com/

 ・たむらしげる世界展 ファンタスマゴリア・ミュージアムツアー:http://www5f.biglobe.ne.jp/~age1/tamura/

 *当ブログ関連記事
 ・たむらしげる 『クジラの跳躍』

この記事へのコメント

2007年07月16日 09:32
お早うございます。
>銀座テアトル西友のレイトショーで<クジラの跳躍>と題して、・・・。
アニメ化されたことは、知っていましたが、見たかったですね。と言うのも絵本で見ていましたから。まだ、こちらのブログで取り上げていませんが。確かに、ブロードキャスターのオープニングで、使われていましたから、見慣れていましたしね。何より、美しい。「虹の谷 絵の具工場」も、発想が凄いと思っていたら、たむらしげるさんでしたか。それに、「ガロ」に作品を発表してたことにも驚き。でも、白土三平の「カムイ伝」しか読んでいなかったんですけどね。その中で、水木しげるさんはやはり目立っていましたけど。図書館に行く楽しみができました。他の作品(絵本)、まだ見ていなかったので。
umikrahajimaru
2007年07月16日 20:09
huneさま
いつもありがとうございます。
huneさんのブログ・ネタ探しに貢献できたようで私もうれしく思います(笑)。
たむらしげるさんの作品でネット上で観られるのは、今のところこれだけなので、機会があったらDVD等で他の作品にも当たってみてください。といっても、大きなショップでないとなかなか置いてないんじゃないかとは思いますが。

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