『オフサイド』と言って思い出されるスポーツは? ジョルジュ・シュヴィツゲベル

 ジョルジュ・シュヴィツゲベルの初期の作品の1つ(と言っても、この時点で10年くらいのキャリアがありますが)。




 【物語】
 黄色いユニフォームのチームと赤いユニフォームのチームがサッカーをしている。
 激しいボールの奪い合いの後、黄色いユニフォームの1人がボールを両手で持って、あれっ、この人、ゴールキーパーだったのかと思っていたら、ゲームがサッカーからバスケットボールに変わる。
 審判が笛を吹いて、ボールを床に置いた瞬間に、バスケットボールからまたサッカーに戻る。
 サッカーでプレーヤー同士が激しく重なりあった瞬間に、ゲームはアイスホッケーへとすり替わる。

 アイスホッケーのプレーヤーが倒れこんだ次の瞬間に、またサッカーに戻る。
 最後は、闇の中でプレーヤー同士の肉弾戦(?)になり、ボールだけがころころ転がってくる。

画像

 【コメント】
 いくつかの色と形で、最もシンプルに示されたスポーツ選手が、それでいながら、躍動感にあふれ、リアルに生き生きと動き回るさまが見事で、まるでスポーツ中継を見ているかのような錯覚すら覚えます。

 最近の作品と比べると競技が別の競技にメタモルフォーズしていく様子が単純で物足りないかなぁとも思いますが、この作品の場合は、まだそうしたメタモルフォーズが作品の目的ではなく、動き回る複数の対象のいるフレームの中に、カメラもまた入っていって、カメラが動きつつ、どれだけ対象に回り込んでとらえ続けることができるか、といったようなことがテーマだったのかもしれません。

 ジョルジュ・シュヴィツゲベルが、現在、これまでの技術と経験を生かしてこの作品を撮るなら、それぞれのスポーツを自在にスクランブルさせ、各スポーツのプレーヤーをどんどん入り乱れさせていって、混沌と単純の間を行ったり来たりするような(知らない間に異種格闘技戦になっているような)作品に作り直すんじゃないか、と思ったりもします。

 サッカーのシーンで1人のプレーヤーの時間だけ一瞬止めてしまっている瞬間があること、バスケットボールのシーンで一瞬ボールを空中に固定してしまっている瞬間があること、サッカーのシーンでグランドが途中から芝から土に変わること、には、おやおや?これはどういうことだろう?と思ってしまいますが、作品のアクセントか何か(ジョルジュ・シュヴィツゲベルの遊び心?)なのでしょうか。

 ◆作品データ
 1977年/スイス/5分51秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

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 ◆監督について
 ジョルジュ・シュヴィッツゲベル
 スイスを代表するアニメーション作家&グラフィック・デザイナー。キャリアは30年以上ですが、この10年間で特に評価が高まっているようです。
 1944年 スイスのベルン生まれ。1951年にジュネーブに移る。
 1961年 ジュネーブのArt School and College of Decorative Artsに入学(~1965年)
 1966年 ジュネーブの広告代理店に入社(~1970年)
 1970年 独立して、Claude Luyet 、Daniel Suter とともにGDS Studio を設立し、テレビ番組のタイトルやポスター、広告イラスト、短編アニメーション等を手がける。
 1983-1984年 中国語を学ぶために1年間、上海の復旦大学で学ぶ。
 1986年 スイスのビュルにあるGruyerien美術館で GDS Studioの展覧会開催。
 1987年 Nürenbergで回顧展開催。
 1992年 ジュネーブで舞台“Children's King”のためのセットを手がける。
 ジュネーブの Building-House のためにフレスコ画を手がける。
 1994年 シュツットガルトで展覧会&回顧展開催。
 1995年 東京と大阪とパリで回顧展開催。
 ジュネーブのギャラリーPapiers Grasで展覧会開催。
 1996年 ジュネーブのJardin BotaniqueとギャラリーPapiers Grasで展覧会開催。

 ・1971年“Patchwork ” *カンヌ国際映画祭 短編部門ノミネート
 ・1974年 『イカロスの飛翔』 “Le Vol d'lcare”
 ・1975年 『遠近法』 “Perspectives”
 ・1977年 『オフサイド』 “Hors-jeu”
 ・1982年 『フランケンシュタインの恍惚』 “Le Ravissement de Frank N. Stein” *ベルリン国際映画祭C.I.D.A.L.C. Award名誉賞受賞
 ・1985年 『78回転』 “78 Tours”
 ・1986年 『ナクーニン』 “Nakounine”
 ・1987年“Academy Leader Variations” *カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
 ・1989年 『絵画の主題』 “Le Sujet du tableau”
 ・1992年 『破滅への歩み』(『深遠への旅』) “La Course à l'abîme” *広島国際アニメーションフェスティバル 5分以内の作品部門2位
 ・1995年 『鹿の一年』 L' Année du daim(The Year of the Deer)” *ザグレブ国際アニメーションフェスティバルCategory A - 30 Sec. to 5 Min First Prize受賞
 ・1996年 『ジグザグ』 “Zig Zag”
 ・1998年 『フーガ』 “Fugue” *オタワ国際アニメーションフェスティバルBest Use of Colour Craft Prizes受賞、スイス映画賞最優秀短編賞ノミネート、ザグレブ国際アニメーションフェスティバルSpecial Recognition受賞
 ・2001年 『少女と雲』 “La Jeune fille et les nuages(The Young Girl and the Clouds)” *スイス映画賞短編映画部門受賞、ザグレブ国際アニメーションフェスティバルSpecial Recognition受賞、広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞受賞
 ・ 2004年 『影のない男』 “L' Homme sans ombre(The Man with No Shadow)” *カンヌ国際映画祭 短編部門Prix Regards Jeune受賞、ジニー賞短編アニメーション部門ノミネート、スイス映画賞最優秀短編賞ノミネート、ザグレブ国際アニメーションフェスティバル審査員特別賞&Jury Award of the Partner Festival Krok 受賞、広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員特別賞受賞
 ・2006年 『技』 “Jeu” *スイス映画賞最優秀短編アニメーション賞ノミネート、広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員特別賞受賞

 *1995年にイメージフォーラムの<Magical View!>というプログラムで、イギリスの映像作家トニー・ヒルの6作品とともに、8作品(『イカロスの飛翔』『遠近法』『オフサイド』『フランケンシュタインの恍惚』『78回転』『絵画の主題』『破滅への歩み』『鹿の一年』)が劇場公開されました。

 *第7回ラピュタアニメーションフェスティバル2006で『イカロスの飛翔』『遠近法』『オフサイド』『フランケンシュタインの恍惚』『78回転』『ナクーニン』『絵画の主題』『破滅への歩み』『鹿の一年』『ジグザグ』『フーガ』『少女と雲』『影のない男』『技』という主だった14作品が<ジョルジュ・シュヴィッツゲベル作品集>として上映されました。
 これに先立って、『技』以外の13作品が『ジョルジュ・シュヴィツゲベル作品集』として2005年に日本でもDVDリリースされています。

 *参考サイト:THE GALLARY:http://www.awn.com/gallery/schwizgebel/index.html

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