知られざるルーマニア映画Ⅱ(2001-2005)

 ・“Asta E”(2001/独・ルーマニア) 監督:Tomas Ciulei
 ドキュメンタリー。
 KalamataでGolden Olive賞受賞、アムステルダムで銀賞受賞、フィレンツェで最優秀ドキュメンタリー賞受賞。


 ・“Children Underground”(2001/米) 監督:Edet Belzberg
 1966年にルーマニア政府が避妊と中絶を禁じた結果、ホームレスとなってあふれ出ることになった子供たちの生活を記録したドキュメンタリー映画。
 2001年サンダンス映画祭審査員特別賞受賞、ゴッサム・アワード 最優秀ドキュメンタリー賞受賞、2002年インディペンデント・スピリット・アワードTruer Than Fiction Awardノミネート、米国アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネート。
 参考 日本未公開の映画:http://www.geocities.jp/obobsyco/unreleased/2001-2003/unreleased.htm


 ・“Dupa-amiaza unui tortionar (The Afternoon of a Torturer)”(2001/仏・ルーマニア・ガボン) 監督:ルチアン・ピンティリエ
 共産主義政権下の刑務所の拷問官にジャーナリストがインタビューを試みる。しかし曖昧にぼかされた彼の告白はインタビュアーを悩ませるばかりだった。
 ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作。


 ・“In fiecare zi Dumnezeu ne saruta pe gura(Every day God kisses us on the mouth)”(2001/ルーマニア) 監督:Sinisa Dragin
 主人公は殺人を犯して刑務所に入っていたが、共産党政権の崩壊後、釈放される。しかし、帰途の途中で、カードゲームでのトラブルと、彼の兄(弟?)が彼の妻を孕ませたことを知って、2つの殺人を犯してしまう。彼は自殺しようとするが、彼には別の運命が待ち受けていたのだった。
 ロッテルダム国際映画祭Tiger Award受賞、カイロ国際映画祭 監督賞・審査員特別賞・シルバー・ピラミッド・アワード受賞。


 ・“Marfa si banii(Stuff and Dough)”(2001/ルーマニア) 監督:Cristi Puiu
 Ovidiuは、軽食販売での成功を目指していたが、今はまだ親元で暮らしていた。ビジネスを軌道に乗せるためにはどうしても資金が必要で、彼は地方のギャングの運び屋を引き受けることになる。その道中、彼は車に友人たちを乗せ、警察に注意していたが、彼らを赤い車が追ってきていることには気づかなかった……。
 テッサロニキ映画祭で国際批評家連盟賞・男優賞(Alexandru Papadopol)受賞。ブエノスアイレス国際映画祭Abasto Awardほか受賞歴多数。


 ・“Binecuvantata fii, Inchisoare(Bless You, Prison!)”(2002/ルーマニア) 監督:Nicolae Margineanu
 Nicole Valery-Grossuの自伝的な小説の映画化。Nicoleは、野党で活動していて逮捕されてしまう。獄中の尋問と孤立の中で、Nicoleは神秘主義的な体験をする。
 モントリオール国際映画祭 芸術貢献賞・エキュメニカル審査員賞・審査員特別賞受賞。


 ・“Dulcea sauna a mortii (Alone Versus Myself)”(2002/ルーマニア) 監督:Andrei Blaier


 ・“Filantropica(Philanthropy)”(2002/ルーマニア・仏) 監督:ナエ・カランフィル
 高校教師であるOvidiuは、手っ取り早くお金を儲ける手段を探していた……。
 Mons International Festival of Love Films ヤング・ヨーロッパ審査員賞受賞、パリ映画祭 Public Prize受賞、Wiesbaden goEast審査員特別賞受賞、Würzburg International Filmweekend 観客賞受賞。


 ・“Furia (The Rage)”(2002/ルーマニア) 監督:Radu Muntean
 フェリアとルカがマフィアに多額の借金をする。ルカには金を返す当ては全くなかった。ルカは、困ったあげく、マフィアのボスAdrianの女とみなされていた女性モナに会いに行くが、彼女と恋に落ちてしまう。
 Romanian Union of Filmmakers Award 男優賞受賞(Dragos Bucur)。


 ・“Noro”(2002/ルーマニア) 監督:Radu Gabrea
 体に障害を持つ少年Noroとその両親の物語。

画像

 ・“Occident”(2002/ルーマニア) 監督:Cristian Mungiu
 激動するルーマニア社会に未来を見出せず、西欧で暮らすことを夢見る人々を主人公とした3話のオムニバス。すべてのエピソードはつながっていて、それぞれの主人公が他のエピソードでは脇にまわる。
 [第1話] Luciは、ガールフレンドであるSorinaに家庭を持つ備えがあるということを証明しなければならなくなった。しかし、ルーマニアにやってきたベルギー人ジェロームがライバルとして立ちはだかった。
 [第2話] Luciの同僚であるMihaelaは、結婚式の当日にフィアンセに逃げられてしまう。彼女の両親はなんとか彼女に新しい結婚相手を見つけようとするが……。
 [第3話] Nae Zigfridは、外国暮らしをしていたが、Luciのおばに、彼女の息子が死んだことを伝えるためにブカレストに戻ってきていた。Naeは、Mihaelaの父である大佐の世話をすることになるが、彼はNaeとその友達が国外へ出ようとした時に逮捕した人物であった。
 Cristian Mungiu監督の初長編。トランシルバニア国際映画祭でグランプリ、テッサロニキ映画祭で観客賞、ソフィア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。

画像

 ・“Povestea a doua sate (A Tale of two villages)”(2002/ルーマニア) 監督:Alina-Mungiu Pippidi
 共産主義時代に、集団化と近代化に激しい抵抗を示した村Nucsoaraと、チャウシェスクの出身地で、運動推進のお手本とされた村Scornicestiを例にとって、共産主義とはなんだったのかということを、それぞれの村に与えた影響や後遺症を探りつつ、検証したドキュメンタリー。

 ・“Turnul din Pisa (The Tower of Pisa)”(2002/ルーマニア) 監督:Serban Marinescu
 Ioanaは、有名なdulcimer奏者の娘で、音楽学校の仲間と結婚することになっていた。しかし、彼女は結婚式の夜に襲われて、一味の1人を殺し、刑務所に10年間服役することになる。Ioanaは、獄中で、Gigi、Dorel、Valiという3人のバイオリニストと出会い、刑務所でのサバイバル術を教わる。
 10年後、3人が釈放される2日前に、Stefanという億万長者が獄中の芸術家に関するドキュメンタリーを撮影するためにやってきて、Ioanaは、彼と恋に落ちる。しかし、Dorelは 3人が石油の密輸をしていた頃からStefanを知っていて、彼がIoanaの事件に関係していることに気づいていた。やがてDorelが死に、Ioanaは事件の真相と愛する人を永遠に失ってしまう。

画像

 ・“3 Pazeste(Watch it!)”(2003/ルーマニア) 監督:Ovidiu Georgescu
 Geluは、外国との取引をしているルーマニアの小悪党で、ある時、モルドバからやってきた娘Miraと出会う。GeluはMiraに住まいと仕事を約束するが、MiraはGeluの手下であるDanutとRaulと暮らすうちに妊娠してしまう。MiraはDanutとRaulがお腹の子どもをどうしようかと相談しているのを聞いて逃げ出してしまう。

画像

 ・“Ambasadori, cautam patrie(Ambassadors Seek Country)”(2003/ルーマニア) 監督:Mircea Daneliuc
 チチとマリウスは1989年のルーマニア革命で共に戦った同志だったが、その後の2人の運命は全く異なったものだった……。

 ・“Examen”(2003/ルーマニア) 監督:Titus Muntean
 70年代のルーマニア。ある男性が見に覚えのない罪で投獄される。数年後、彼は釈放されるが、悪夢のような経験を拭い去ることはできない。彼は自分に何が起こったのか解明しようとする。

画像

 ・“Maria”(2003/ルーマニア・独・仏) 監督:Peter Calin Netzer
 マリアは7人の子の母親。ある日、夫が工場の閉鎖により失業し、酒びたりの日々を過ごすようになる。彼は酔ったあげくに警察に逮捕され、それがきっかけで家族を捨てて国を出てしまう。すっかり生活に困ったマリアは、テレビに出演して自分の窮状を話すことにする。
 ロカルノ国際映画祭男優賞(Serban Ionescu)・女優賞(Diana Dumbrava)・審査員特別賞・ヤング審査員特別賞受賞、Romanian Union of Filmmakers Award女優賞(Diana Dumbrava)・音楽賞(Petru Margineanu)受賞。

画像

 ・“Milionari de weekend(Weekend Millionaires)”(2003/ルーマニア) 監督:Catalin Saizescu
 近未来のルーマニア。ロシアがルーマニアに宝を返してくる。彫刻、指輪、ロシアの将軍、アラブの億万長者、ギャング、警察官、TVスター、3人の少年と少女、犬、車のコレクション、カバンいっぱいのお金……。それはみなある夏のウィークエンドに起こったこと……。

画像

 ・“Niki Ardelean, colonel în rezerva(Niki and Folo)”(2003/仏・ルーマニア) 監督:ルチアン・ピンティリエ
 ニキは退役軍人で、彼の息子は事故死していた。彼の娘は、夫(フロの息子)とともにルーマニアを去って、アメリカに移住したいと考えていた。

画像

 ・“Blestemul ariciului(The Curse of the Hedgehog)”(2004/ルーマニア) 監督:Dumitru Budrala
 ロマの一年の生活を記録したドキュメンタリー。山間部から平野部の村への移動や、手作りの品物を売ってお金や食べ物に換える生活、収入もなくただただ過酷な冬の旅など、ロマの暮らしをとらえていく。

画像

 ・“Camera Ascunsa(Never Enough)”(2004/ルーマニア) 監督:Bogdan Dumitrescu

画像

 ・“Un cartus de kent si un pachet de cafea(Cigarettes and Coffee)”(2004/ルーマニア) 監督:Cristi Puiu
 ベルリン国際映画祭で短編部門金熊賞&最優秀ヨーロッパ短編映画賞受賞。

 ・“Fix Alert”(2004/ルーマニア) 監督:Florin Piersic Jr.
 何通りも正解がありそうでありながら、正しいのは1つだけで、残りはすべて致命的な選択となるようなパズルのような映画、だとか。

画像

 ・“Italiencele(The Italian Girls)”(2004/ルーマニア) 監督:Napoleon Helmis
 2人の少女が故郷を出て、働くために外国に向かう。しかし、彼女たちの夢は、何をするにもお金がかかるという冷たい現実の前に砕け散ってしまう。

画像

 ・“Lotus”(2004/ルーマニア) 監督:Ioan Carmazan
 海沿いの静かな村で、レイプ未遂事件が起こる。未遂に終わったのは被害者をある男性が救ったからで、助けた彼と助けられた彼女は恋に落ちる。しかし、助けた彼には誰にも言えない過去があって2人の幸せを脅かしていた。彼が死んだ時、彼女は、何が彼を苦しめていたのか、彼の過去を調べてみることにする。

画像

 ・“Magnatul(Family Album)”(2004/ルーマニア) 監督:Serban Marinescu
 メディア王Mircea Moraruは、自社の赤字を減らすために政界に打って出ようとしていた。選挙が近づくにつれ、彼の友人や仲間は、選挙後に彼を会社から追い出して、会社を自分たちの好きにしようと画策し始めていた。Moraruは選挙とともに、友人や仲間とも戦わなければならなかった。

画像

 ・“Marele Jaf Communist (The Great Communist Bank Robbery)”(2004/ルーマニア・仏) 監督:Alexandru Solomon
 ドキュメンタリー映画。
 1959年にルーマニア政府銀行(Romanian State Bank)を強盗が襲い、労働者に給料として贈られるはずだった何百万というレイが持ち去られるという事件が起こる。警察は、シークレット・エージェントの協力も得て、犯人の逮捕に成功するが、つかまえてみると彼らが政府高官のユダヤ人たちだったことがわかる。被告たちは、減刑を条件に事件の再現映画に出演することになるが、皮肉にも、同じ映画は、起訴のための生きた証拠ともなった。被告は、一人を除いてすべて死刑となり、この映画は一部でトレーニング目的に使われることにもなった。
 40年後、Alexandru Solomon監督が関係者にインタビューして事件の再現を試みると、実際に明らかになっていたことより、遥かに多くのことが隠蔽されていたことがわかってくる。

画像

 ・“Orient Express”(2004) 監督:セルジウ・ニコラエスク
 Andrei Morudzi王子は、自由きままに若い時代を過ごした後、ちょうど第一次世界大戦が終わった頃、自分の城で隠居しようとしていた。彼の行動やマナーは村人には奇異なものと映った。彼はあまり村人とは接触しないようにしていたが、彼がそこにいることで村も影響を受けないわけにはいかなかった。

画像

 ・“Raport despre starea natiunii(Report on the State of the Nation)”(2004/ルーマニア) 監督:Ioan Carmazan

画像

 ・“15”(2005/ルーマニア) 監督:セルジウ・ニコラエスク
 2004年12月。パリの新聞からルーマニア人の記者が派遣されてくる。彼女の目的は、ルーマニア革命が起こった1989年12月から15年でルーマニアがどのように変わったかということについて記事を書くことだったが、彼女にはもう1つの目的、彼女は15年前にギリシャ正教会の聖堂で生まれた子どもの行方を捜すという目的もあった。

画像

 ・“Despre morti numai de bine(Speak Well of the Dead)”(2005/ルーマニア) 監督:Claudiu Romila

画像

 ・“Femeia visurilor”(2005/ルーマニア) 監督:ダン・ピッツァ
 映画監督Thomas Alexandruを主人公とするドラマ。

画像

 ・“Moartea Domnului Lazarescu(The Death of Mr. Lazarescu)”(2005/ルーマニア) 監督:Cristi Puiu
 ある夜、ラザレスク氏は体調が優れなくて、救急車を呼ぶ。しかし、救急車が来ても、いっこうに病院が決まらず、ラザレスク氏はたらいまわしにされる。その間、氏の病状はどんどん悪化していくのだった。
 2005年 カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞、シカゴ国際映画祭シルバー・ヒューゴ賞受賞、ヨーロッパ映画賞監督賞&脚本賞ノミネート、トランシルバニア国際映画祭監督賞・主演男優賞・主演女優賞・観客賞・国際批評家連盟賞・最優秀ルーマニア映画受賞、その他受賞歴多数。

画像

 ・“Ryna”(2005/仏・ルーマニア) 監督:Ruxandra Zenide
 Rynaは16歳の少女だったが、父親が男の子を望んでいたので、男の子のようにして育っていた。そんなRynaは、ある時、母親と自らのアイデンティティーを探す旅に出る……。
 主演:Doroteea Petre。

画像

 ・“Second-Hand”(2005/ルーマニア) 監督:ダン・ピッツァ
 Petreはマフィアで、Andreeaは若きバイオリニスト。2人は出会って恋に落ちるが、Petreが求めた性的関係をAndreeaが拒絶したことから、AndreeaにとってPetreが脅威になってくる。

画像

 ・“Sistemul nervos”(2005/ルーマニア) 監督:Mircea Daneliuc
 マダム・ニカは、田舎に小さな家を持っていて、そこを旅行者に貸して暮らしていた。彼女の楽しみは、自分の犬とケンカすることと、ハンサムな若者が出演しているイブニング・ニュースを見ることだった。ある日、彼女は、彼がライバルの脅威にさらされていることを知り、彼を助けるためにブカレストの娘夫婦の家に向かう。娘夫婦の家で、彼女は娘婿や孫娘に邪魔者扱いされるが、イブニング・ニュースの若者にせっせと手紙を送り、彼との空想をどんどんふくらませていくのだった。

画像

 ・“Tertium non datur”(2005/独・仏・ルーマニア) 監督:ルチアン・ピンティリエ
 第二次世界大戦の末期、ウクライナのステップ地帯で、ドイツとルーマニアの軍隊は、勢いの止まらない赤軍を前に退却を余儀なくされていた。ルーマニア軍の司令部は寂れた学校に置かれ、司令官も敗北を確信していた……。

画像

 ・“The Grandparents”(2005/英・ルーマニア) 監督:Ioana Joca
 BAFTAスコットランド アワード新人監督賞ノミネート作品。ドキュメンタリー。

画像

 ・“Lost and Found”(2005/ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・モンテネグロ、エストニア、独、ハンガリー、ルーマニア) 監督:Cristian Mungiu 他
 東欧を中心とした若手6人の監督によるオムニバス映画。ルーマニアからはCristian Mungiuが“Turkiy Girl”で参加。

画像

 *この記事は、知られざるルーマニア映画Ⅲ(2006-2007)に続きます。

 *当ブログ関連記事
 ・ルーマニアが生んだ映画人 40人!

 ・知られざるルーマニア映画Ⅰ(1943-2000)

 *なかなかよく調べてある!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック