イブと出会うまでにアダムがしていたこと ブルーノ・ボツェット 『アダム』

 ブルーノ・ボツェット版人類創生の物語(笑)。




 【物語】 宇宙から円盤が飛来して、まだ誰も人が住んでいない地球にアダムを置いて行きました。その頃、地球は激しい雨。
 円盤が戻ってきて、困ったことがあったら押すようにと、SOSボタンを置いて去りました。
 ずぶ濡れのアダムがさっそくSOSボタンを押すと、円盤は傘を出してくれます。
 傘を差したとたんに雨は止み、お腹が空いたアダムはまたSOSボタンをプッシュ。
 すると円盤は小さな缶を出してくれます。お腹が空いているのにとアダムが言うとそれは食べ物だと円盤。アダムは、缶ごと、口に放り込みます。
 腹もくちて、退屈してきたアダムは、またまた円盤におねだりしますが、求めるものは犬でもマッチョマンでもありませんでした。続いて円盤が出してきたのはイブ。これには、アダムも興奮してしまい、円盤に頼むとベッドも用意してくれます。
 ところが、子づくりに励みすぎたため、アダムはすっかり子沢山になってしまいました。困ったアダムがSOSボタンを押すと、円盤もそんな彼に愛想がつきたのか、今度はSOSボタンを処分して去って行ってしまいました。
 あとには、アダムとイブと、たくさんの人類の祖先が残されました、とさ。

 画もシンプルなら、物語もゆるく、多少“くすぐり”はあっても、かなり食い足りない感じがしてしまう作品ですが、彼のフィルモグラフィーには、どうやらこういうゆる~い笑いの作品が多く見られるようです。
 オスカーにノミネートされたことのあるアニメーション作家の作品というと、どうしてもアート系の作品を期待してしまいますが、ボツェットは、基本的にはカトゥーニスト(漫画作家)であって、アート・アニメーションの作家などではないということなのかもしれません。ま、全然、別にそれで構わないのですが……。

 本作も、無国籍的な作品で、アメリカの学生が課題で作ったCGアニメだと言っても、わかりません。でも、これがボツェットが64歳の時の作品で、しかも60歳になってから学んだCGを使った作品だと聞かされるとちょっと驚かされます。

画像

 ◆作品データ
 2002年/伊/2分43秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 *この作品は、日本では劇場未公開で、DVD化もされておらず、DVD『ネオ・ファンタジア&ブルーノ・ボツェット作品集』にも収録されていません。

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 ◆監督について
 ブルーノ・ボツェット(ボゼット)
 1938年 ミラノ生まれ。イタリアを代表するアニメーション作家。

 10代の頃から映画を撮り始め、1958年、彼が20歳の時に発表したアニメーション作品“TAPUM! LA STORIA DELLE ARMI(TAPUM! THE HISTORY OF WEAPONS)”が批評家にも一般客にも好評で、新しいアニメーション作家として一躍注目されるようになる。
 1960年には、自らのプロダクション、ブルーノ・ボツェット・フィルムを設立。
 ボツェットの作品の中で、特に有名なのが<ミスター・ロッシ>のシリーズで、数々の短編と3つの長編がある。

 短編アニメーションのみならず、長編アニメーション、短編実写作品、長編実写作品も手がけ、映画、TV、webと発表の媒体を問わず、半世紀にわたり数多くの作品を発表している。
 長編アニメーションとしては、西部劇である“WEST AND SODA”(1965)、スーパーマンものである“VIP, MIO FRATELLO SUPERUOMO(VIP MY BROTHER SUPERMAN )”(1968)、ディズニーの『ファンタジア』にインスピレーションを得て制作された『ネオ・ファンタジア』(1976)などがある。

 1987年の『タイム・スプラッシュ・ガール/楽園から来た裸足の天使』は、クラウディオ・ポトッソ、アマンダ・サンドレッリ、クラウディア・ローレンスら出演の長編実写作品。

 1982年から始まったテレビの “QUARK”は 科学コラム番組で、ボツェットは、アニメーションを使って科学的な概念を一般の人にもわかりやすく伝えている。

 1999年の“EUROPA&ITALIA (EUROPE & ITALY)”からはCGによる2-D作品を手がけ始め、ごく最近ではCGの3-D作品にも挑戦している。

 1990年 『ミスター・タオ』でベルリン国際映画祭短編映画部門金熊賞受賞、1991年 『バッタ』で米国アカデミー賞短編アニメーション賞にもノミネートされるなど、受賞&ノミネート歴多数。

 1982年 アニー賞ウィンザー・マッケイ賞受賞
 1998年 ザグレブ国際アニメーションフェスティバルから生涯貢献賞を贈られる。
 2006年 Guglielmo Marconi FoundationからCalamaio賞が贈られる。
 2007年 ベルガモ大学から名誉博士号を贈られる。

 2004年の年末には、東京都写真美術館ホールでイタリア・アニメーション映画祭(http://event.yomiuri.co.jp/2004/italia_af/frontpage.htm)が開催され、その中で、『ネオ・ファンタジア』と短編27作品が上映されました。

 2005年には、DVD『ネオ・ファンタジア』と『ネオ・ファンタジア&ブルーノ・ボツェット作品集』が発売されました(作品集には上記の映画祭で上映された27の短編+『ストリップ』(下記☆印)を収録)。

 *ボツェットの公式サイト:http://www.bozzetto.com/homepage2.htm

 *参考書籍:『アートアニメーションの素晴らしき世界』(エスクァイア マガジン ジャパン) p120

 ・1953 年 “DONALD DUCK CARTOON”
 ・1954年 “I LADRI CHE MASCALZONI”[実写]
 ・1954年 “FANTASIA INDIANA (INDIAN FANTASY)”
 ・1954年 “IL CERCHIO SI STRINGE” [実写]
 ・1955年 “PICCOLO MONDO AMICO (LITTLE FRIEND WORLD)” [実写]
 ・1957年 “A FILO D'ERBA (BLADE OF GRASS)” [実写]
 ・1957年 “I GATTI CHE FURBACCHIONI (CATS, WHAT SLY ONES)” [実写]
 ・1958年 “TICO TICO”
 ・1958年 “PARTITA A DAMA (DRAUGHTS GAME)”
 ・1958年“TAPUM! LA STORIA DELLE ARMI(TAPUM! THE HISTORY OF WEAPONS)”
 ・1959年 “DUE RAGNI NEL PIATTO (TWO SPIDERS IN A PLATE)” [実写]
 ・1959年 “IL SOLITO DOCUMENTARIO(THE USUAL DOCUMENTARY)”[実写]
 ・1959年 “LA STORIA DELLE INVENZIONI(THE HISTORY OF INVENTIONS)”
 ・1960年 『ミスター・ロッシの受賞』 ”UN OSCAR PER IL SIGNOR ROSSI(AN AWARD FOR MR. ROSSI?)” ☆
 ・1961年 『アルファ・オメガ』 “ALFA OMEGA” ☆
 ・1961年 “COME SI REALIZZA UN CARTONE ANIMATO (HOW TO MAKE AN ANIMATED CARTOON)”[実写+アニメ]
 ・1962年 『二つの城』 “I DUE CASTELLI(TWO CASTLES)” ☆
 ・1963年 『ミスター・ロッシ、スキーへ行く』 “IL SIGNOR ROSSI VA A SCIARE(MR. ROSSI GOES SKIING)” ☆
 ・1964年 『海辺のミスター・ロッシ』 “IL SIGNOR ROSSI AL MARE(MR. ROSSI AT THE SEASIDE)” ☆
 ・1965年 “WEST AND SODA”[長編]
 ・1966年 『ミスター・ロッシの自動車』 “IL SIGNOR ROSSI COMPRAL' AUTOMOBIL (MR. ROSSI BUYS A CAR)” ☆
 ・1967年 『缶入りの人生』 “UNA VITA IN SCATOLA(LIFE IN A TIN)” ☆
 ・1967年 『人と世界』 “L UOMO E IL SUO MONDO(MAN AND HIS WORLD)” ☆
 ・1968年 “VIP, MIO FRATELLO SUPERUOMO(VIP MY BROTHER SUPERMAN )”[長編]
 ・1969年 『エゴ』 “EGO” ☆
 ・1970年 『ミスター・ロッシ、キャンプへ行く』 “IL SIGNOR ROSSI AL CAMPING(MR. ROSSI AT CAMPING)” ☆
 ・1971年 『ピクルス』 “I SOTTACETI(PICKLES)” ☆
 ・1971年 “CAMPAGNA CONTRO IL FUMO(CAMPAIGN AGAINST SMOKING)”[実写]
 ・1972年 “OPPIO PER OPPIO (THE HOUSEHOLD DRUG)” [実写]
 ・1972年 『サファリのミスター・ロッシ』 “IL SIGNOR ROSSI AL SAFARI FOTOGRAFICO(MR. ROSSI AT THE PHOTOSAFARI)” ☆
 ・1972年 “GULP”(TVシリーズ全6作品)
 ・1973年 『オペラ』 “OPERA” ☆
 ・1973年“LA CABINA(THE CABIN)” [実写] *シッチェス・カタロニア国際映画祭Medalla Sitges en Plata de Ley受賞
 ・1974年 『セルフ・サービス』 “SELF SERVICE” *クラクフ映画祭特別賞受賞 ☆
 ・1974年 『ベネチアのミスター・ロッシ』 “IL SIGNOR ROSSI A VENEZIA (MR. ROSSI IN VENICE)” ☆
 ・1975年 “GLI SPORT DEL SIGNOR ROSSI(MR. ROSSI'S SPORTING FEATS)” (TV シリーズ全11作品)
 ・1976年 『プール』 “I SOGNI DEL SIGNOR ROSSI (THE SWIMMINGPOOL)” ☆
 ・1976年 “IL SIGNOR ROSSI CERCA LA FELICIT?(MR. ROSSI LOOKS FOR HAPPINESS)”
 ・1976年 『ネオ・ファンタジア』“ALLEGRO NON TROPPO”[長編] *ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞特別賞受賞
 ・1976年 “I SOGNI DEL SIGNOR ROSSI(MR. ROSSI's DREAMS)”
 ・1976年 “LE VACANZE DEL SIGNOR ROSSI(MR. ROSSI'S HOLIDAYS)”
 ・1977年 『ストリップ』“STRIPTEASE” ☆
 ・1978年 『赤ちゃんの話』 “BABY STORY” ☆
 ・1979 年 “HAPPY BIRTHDAY”
 ・1980 年 “GIALLO AUTOMATICO” [実写]
 ・1980年 “MA COME FANNO A FARLI COSI' BELLI? ” [実写]
 ・1980年 “LILLIPUT‐PUT”(TVシリーズ全13作品)
 ・1980年 “SAM NERO DETECTIVE” [実写]
 ・1980年 “SANDWICH”[実写]
 ・1981 年 “HOMO TECHNOLOGICUS”
 ・1982 年 “TENNIS CLUB”
 ・1982-1988年 “QUARK”(シリーズ全38作品)
 ・1982年 “SPORTING” [実写]
 ・1982年 『テニス・クラブ』☆
 ・1983 年 “LA PILLOLA (THE PILL)”
 ・1983年 “MILANO ZERO” [実写]
 ・1983年 『ジグムント』“SIGMUND” ☆
 ・1983年 “NEL CENTRO DEL MIRINO” [実写]
 ・1984年 『モア・モア』 “MOA MOA” ☆
 ・1984年 “SANDWICH”(TVシリーズ全12作品)
 ・1984年 “IL CORSARO NERO film pilota, primo episodio(THE BLACK PIRATE, pilot, first episode)”
 ・1985年 『エルドラド』 “ELDORADO” ☆
 ・1986 年 “SPIDER” [実写]
 ・1986年 “QUARK ECONOMIA (QUARK ECONOMY)”(シリーズ全13作品)
 ・1987年 『虫』 “BAEUS” ☆
 ・1987年 『タイム・スプラッシュ・ガール/楽園から来た裸足の天使』 “SOTTO IL RISTORANTE CINESE(UNDER THE CHINESE RESTAURANT)” [実写] [長編]
 ・1988年 『ミスター・タオ』“MISTER TAO” *ベルリン国際映画祭短編部門金熊賞受賞 ☆
 ・1988年 “MINI QUARK”(シリーズ全29作品)
 ・1990年 『バッタ』“CAVALLETTE(GRASSHOPPERS)” *米国アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート、オタワ国際アニメーションフェスティバル審査員特別賞受賞 ☆
 ・1990年 『ビッグ・バン』 “BIG BANG” *ベルリン国際映画祭短編部門ノミネート☆
 ・1991年 『ダンシング』 “DANCING” ☆
 ・1991年 “SKI LOVE” [実写]
 ・1992‐1996 年 “WWF”(シリーズ全17作品)
 ・1992年 “TULILEM”
 ・1993 年 “MALEDUCAZIONE IN MONTAGNA” [実写]
 ・1993年 “BENVENUTI A CINEMA 5. VI ASPETTAVAMO”
 ・1993年 『落下』 “DROP” *ベルリン国際映画祭短編部門ノミネート ☆
 ・1995年 “HELP?”
 ・1996年 “LA FAMIGLIA SPAGHETTI, film pilota, primo episodio (SPAGHETTI FAMILY, pilot, first episode)”
 ・1998 年 “POINT OF VIEW”
 ・1999年 『ヨーロッパ人とイタリア人』 “EUROPA&ITALIA (EUROPE & ITALY)” *ザグレブ国際アニメーションフェスティバルSpecial Recognition受賞
 ・1999年 “TONY E MARIA (TONY & MARIA)”
 ・2000年 “THEATRE”
 ・2000年 “TO BIT OR NOT TO BIT”
 ・2000年 “I COSI (THINGS)”
 ・2001年 “MONSTERS ”
 ・2001年 “WAR”
 ・2001年 『ホラー』“HORROR”
 ・2001年 “FAR WEST”
 ・2001年 “YES & NO”
 ・2001年 “STORIA DEL MONDO PER CHI HA FRETTA (HISTORY OF THE WORLD FOR THOSE WHO ARE IN A HURRY)”
 ・2002年 “LA BICICLETTA IN EUROPA E IN ITALIA (THE BYCICLE IN EUROPE AND ITALY)”
 ・2002年 “MAMMUK”
 ・2002年 『アダム』 “ADAM”
 ・2002年 “SPORT O SPORK (SPORT OR SPORK)”
 ・2002年 “10 SPOT NATALIZI PER LA7 (10 CHRISTMAS SPOTS FOR LA7)”
 ・2003年 『オリンピック』 “OLYMPICS”
 ・2003年 “LIFE”
 ・2003年 “BABY SCANNER”
 ・2003年 “FAMIGLIA SPAGHETTI (SPAGHETTI FAMILY)”(TVシリーズ全26話)
 ・2004年 『ノイローゼ』 “NEURO”
 ・2004年 『ルー』 “LOOO” *イタリア映画祭2006にて上映
 ・2004年 “FEMMINILE E MASCHILE(FEMMINILE AND MASCHILE)”
 ・2005年 『フリーダム』“LA LIBERTA(FREEDOM)”
 ・2005年 “LA LEGGE SONO IO (I AM THE LAW)”
 ・2006年 “I COSI(THINGS)” (TVシリーズ全26話)
 ・2006年 “IL BELLO DELLA DIFFERENZA(THE BEAUTY OF DIFFERENCE)”
 ・2006年 “VIAGGIATORI E VIAGGIATORI(TRAVELLERS AND TRAVELLERS)”
 ・2007年 Untitled Bruno Bozzetto Animated Film

 *タイトルや公開年など資料によってデータが異なる場合がありますが、基本的には公式HPに従っています。
 *特記のないものはアニメーション作品。

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