『岸辺のふたり』の監督の最新作は、こんな作品でした! 『アロマ・オブ・ティー』

 『岸辺のふたり』で全世界の観客の心をつかんだマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが、『岸辺のふたり』の次に作った待望の新作がこの“The Aroma of Tea”。今年1月の時点では、ネット上では観られなかったのですが、たまたま調べてみたらYou Tubeに投稿されていました。



 内容としては、これまでの3作品とは異なって、抽象的な作品で、等高線のような図から始まって、1つのドット(点)がゆっくりと移動していくのを追っていくというただそれだけの作品。

 この作品のことは「これまで彼の作品を観てきた方にも意外な作品として受け止められているようです」と、かつて当ブログでも書いたことがありますが、そう聞かされていても、これにはどういう意味があるのだろうかとちょっと考え込んでしまいます。

 物語としては、ドットが自分が収まるべきところを探して移動していて、 そこ(ある円の中心)を見つけた時点で、ようやく移動をやめて収まるべきところに落ち着く(溶け込む)と読むことはできます(あのドットは“円の中心”だったんだ!)が、それが、例えば自分探しの旅のメタファーのようなものであると解釈できたとしても、なぜこういう作品を作ってみたかったのかがよくわからないんですね。

 タイトルの“The Aroma of Tea”(茶の香り)というのもどういう意味があるのかちょっとわかりません。

 ただ1つ考えられることは、物語性のある作品では、『岸辺のふたり』以上の作品を作ることはなかなか難しく、何を作っても『岸辺のふたり』と比べられることは間違いないので、それならば『岸辺のふたり』とは全く違った作品を作ってみようとマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが考えたのではないか、ということです。

 出来上がった作品を観てみればなんということはない作品なのですが、こうした抽象的な作品を作ってみること自体、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットにとってはひとつの冒険だったのかもしれません。

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 ◆作品データ
 2006年/オランダ/3分20秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 *この作品は、2006年に数々の国際映画祭(韓国国際アニメーション・フェスティバル(5月)、アヌシー国際アニメーション・フェスティバル(6月)、ザグレブ国際アニメーション・フェスティバル(6月)、オランダ・フィルム・フェスティバル(9月)、ロンドン・フィルム・フェスティバル(10月)、オランダ・アニメーション・フィルム・フェスティバル(11月)、ブラッドフォード・アニメーション・フェスティバル(11月)、コカコーラ・シネマジック・ワールド・スクリーン・フェスティバル(11月)など)で披露されました。韓国国際アニメーション・フェスティバルでは、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督のレトロスペクティブも行なわれました。

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 ◆監督について
 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

 1953年 オランダ生まれ。
 ジュネーブのthe Ecole Supérieure des Beaux Arts Genève 、イギリスのthe University College for the Creative Arts in Farnhamを経て、1978年、イギリスのウエストスーリ・カレッジ・オブ・アート卒業。卒業制作は“The Interview”。
 1992年 『掃除屋トム』
 1994年 『お坊さんと魚』
 2000年  ・『岸辺のふたり』
 2006年 “The Aroma of Tea”
 そのほかにアニメーターとして参加している作品がいくつかあり、『ファンタジア2000』もその1つ。絵本も出版しているほか、アニメーションについて後進の指導にも当たっています。

 彼については英語版のWikipedea(http://en.wikipedia.org/wiki/Micha%C3%ABl_Dudok_De_Wit)で紹介されていて、それによれば、ジュネーブのthe Ecole Supérieure des Beaux Arts Genève ではエッチングを学んだこと、彼の絵のタッチには中国の水墨画や日本画からインスパイアされていること、などが紹介されています。

 彼は、2004年9月にロベール・ブレッソン賞を受賞したらしく、それにあわせて行なわれたインタビューがrobert-bresson.com(http://www.mastersofcinema.org/bresson/Words/Dudok_de_Wit.html)で読むことができます(英語)。この受賞を受けて、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットがあわててブレッソン作品を観たこと、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットの初ブレッソン体験は『バルタザールどこへ行く』だったこと、ブレッソン自身もマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットの『お坊さんと魚』までは観ていたらしいこと、などが語られています。

 ◇CM作品
 "Actifed Germ" The Welcome Foundation, Cough Medicine

 "Heinz Egg" Heinz Salad Cream

 "The Long Sleep" Mcallan Malt Whiskey

 "VW Sunrise" Volkswagen

 "Pink Foot" Owen's Corning Roof Insulation

 "Smart Illusions" Nestlé Smarties

 "Noah" The Irish Lottery

 "At&T" five TV commercials

 ◇絵本
 日本で出版されている絵本に『オスカーとフー』(評論社)『オスカーとフーいつまでも』(同)があります。

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 絵本版『岸辺のふたり』洋書版はこちら(http://www.amazon.co.jp/gp/product/3772522386%3ftag=kattenieigade-22%26link_code=xm2%26camp=2025%26dev-t=D31ZR0ROP0WVXQ

 ドイツ語版ですが、“Vier Biber in der Nacht ”という絵本もあります。

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