子どもの目線で…… コ・ホードマン 『砂の城』

 童心に帰るというのはこういうことを言うのでしょうか。

 

 砂から生まれた生き物が遊び、戯れ、そして、また砂に還る。
 ただそれだけの作品で、最初は、なんだ、幼児向けの作品じゃないかと思ってしまうかもしれませんが、これほど素朴で邪気のない作品世界は、他に例はなく、大人をも魅了してやまないものがあります。
 自分の作品はすべて1人で作るコ・ホードマンの制作スタイルは、まるで『砂の城』の中の“砂の子ども”のようではないかとも評されますが、撮影まで含めてこれらを1人でこなすということには驚嘆する同業者も多く、彼の作り出す作品世界ともども、たくさんのプロから尊敬と賞賛を集めています。

 すべてがまた砂に還ったあとは、ちょっともの哀しくもありますが、また最初に戻って、ず~っと遊びを繰り返すと考えるといいですよね。

 *画像はこちらの方はくっきりしているかもしれません(LARGE FORMATで観るとよりいいですね):http://www.nfb.ca/animation/objanim/en/films/film.php?sort=title&id=12503

 ◆作品データ
 1977年/カナダ/13分12秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション
 1977年 アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞
 1978年 米国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞
 「アニメーションの一世紀ベスト100」の84位。
 『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で44位。

画像

 ◆監督について
 コ・ホードマン(ヤコブス・ヴィレム(コ)・ホードマン)
 1940年オランダのアムステルダム生れ。
 15歳で学校を辞め、印刷会社で写真技師として働くが、映画の仕事がしたいと思うようになり、最初はハーレムにあるMultifilmに、次にヒルベルスムにあるCinecentrumに移る。
最初は光学処理や特殊効果の仕事を任されていたが、撮影やラボ、録音の仕事も手伝うようになる。同時に、アムステルダムの美術学校やハーグの写真学校に夜学で通うようにもなる。仕事の方は、次第に複雑なものを任されるようになり、最終的に、デザイン、セット、編集、監督までこなすようになる。
 1965年、カナダに移住し、カナダ国立映画製作庁(the National Film Board of Canada / NFB)の教育映画部門で製作アシスタントとして働き始める。1967年~68年には教育映画“Continental Drift”に参加。NFBにフレンチ・アニメーションスタジオが設けられると、そこのメンバーとなる(NFBでも数少ない正社員のアニメーション作家となる)。
 1977年の『砂の城』はNFBに初のアカデミー賞をもたらした。
 1999年に、スロバキアのブラチスラバで、Klingsor 賞を受賞。
 2000年に国際交流基金の招きで来日し、1ヶ月半にわたり、精力的に講演会やワークショップなどで、若いアニメーション作家や研究者、ファンらと交流する場を持った。

 作品制作はすべて1人で行ない、撮影監督も自分で務める。

 子ども向けの作品が多いが、大人も楽しめる作品を作り出すアニメーション作家として人気が高い。

 『岸辺のふたり』を日本に紹介したのは、クレスト・インターナショナルという配給会社でしたが、クレスト配給のアニメーション作品第2弾は、コ・ホードマンの『テディ・ベアのルドヴィック』で、この作品の日本語字幕はタレントのはなさんが手がけています。

 ・1969年 『へんてこなボール(不思議なボール)』 “Oddball”(Maboule)
 ・1970年 『マトリオスカ』“Matrioska”
 ・1970年 “Continental Drift”(La Dérive des continents)
 ・1971年 『ふくろうとねずみ』 “The Owl and the Lemming: An Eskimo Legend” (Le Hibou et le lemming)
 ・1972年 『シュッシュ』 “Tchou-tchou”
 ・1973年 “The Owl and the Raven: An Eskimo Legend”(Le Hibou et le corbeau)
 ・1975年 『ルマーク:エスキモーの伝説』 “Lumaaq: An Eskimo Legend”
 ・1975年 “Lumaaq”
 ・1975年 “L'Homme et le géant”(The Man and the Giant: An Eskimo Legend)
 ・1977年 『砂の城』 “Le Château de sable”(The Sand Castle)
 ・1980年 『海底の宝物』 “The Treasure of the Grotoceans”(Le Trésor des Grotocéans)
 ・1984年 『仮面舞踏会』 “Mascarade”(Masquerade)
 ・1987年 『チャールズとフランソワ』 “Charles et François ”(Charles and François)
 ・1989年 『箱』 “La Boîte”(The Box)
 ・1992年 『スニッフィングベア(悲しみの白クマ)』“L'Ours renifleur”(The Sniffing Bear)
 ・1995年 “Coucou l'ourson!”
 ・1997年 『エコの庭』 “Le Jardin d'Écos” (The Garden of Ecos)
 ・1998年 『テディ・ベアのルドヴィック 雪の贈り物』 “Ludovic: The Snow Gift”(Ludovic: Une poupée dans la neige)
 ・1999年 『テディ・ベアのルドヴィック ワニのいる庭』“Ludovic II: un crocodile dans mon jardin”( Ludovic: A Crocodile in My Garden)
 ・2001年 『テディ・ベアのルドヴィック おじいちゃんの家』“Ludovic: Visiting Grandpa”(Ludovic: Des vacances chez grand-papa)
 ・2002年 『テディ・ベアのルドヴィック 空に浮かぶ魔法』“Ludovic - Un vent de magie ”
 ・2003年 『冬の日』のうち「牛の跡とぶらふ草の夕暮に箕に鮗の魚をいただき」(杜国)のパートを担当。
 ・2004年 “Le Théâtre de Marianne”

 *DVD
 ・『テディ・ベアのルドヴィック』

 ・『NFB・コ・ホードマン作品集』
 『へんてこなボール』『マトリオスカ』『Owl and The Lemming』『シュッ・シュッ』『Owl and The Raven』『Lumaaq』『砂の城』『海底の宝物』『仮装舞踏会』『チャールズとフランソワ』『箱』『スニッフィング・ベアー』の12作品を収録。

 ・『冬の日』

 *参考サイト
 NFB:http://www.nfb.ca/portraits/fiche.php?id=283&v=h&lg=en

 以下のサイトにはコ・ホードマンへのインタビューの映像(英語&仏語)があって、ホードマン作品の映像の一部を観ることができます。
 ・http://video.google.com/videoplay?docid=4218571847473059152(8分39秒)
 ・http://www.youtube.com/watch?v=2EOTiTZhIIk(2分37秒)

 *参考書籍
 ・『ユーロ・アニメーション』(フィルムアート社) p62~65

 *当ブログ関連記事
 ・アカデミー賞短編アニメーション賞 リスト!

 ・
短編アニメーション ベスト100!

 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ リスト!

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この記事へのコメント

2007年02月07日 11:12
こんにちわ。面白かったですね。子どもではないので、自分の目線になってしまいますが。砂の仙人、はたまた神か、思いっきり遊ばせて、砂に戻りますね。戻らなかったものは、固まったままですね。砂と青い空でこれだけみせるのですから、言うことないよね。リズム感があり、ひょうきんさもあり、そして、刹那さまでありましたから。
umikarahajimaru
2007年02月07日 20:53
huneさま
コメントありがとうございました。
『砂の城』もよろこんでもらえたようでよかった!
コ・ホードマン監督の作品で観やすい作品としては他に『テディ・ベアのルドヴィック』があります。こちらはぬいぐるみのテディ・ベアを使ったアニメーションなのですが、まだご覧になっていないようでしたら、こちらも観てみてください。
私が観ているコ・ホードマン作品も実は『砂の城』と『ルドヴィック』だけで、作品集に収録されている他の作品も観てみたいんですが、このDVDはちょっと値段が張るんですよねえ。

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