『頭山』 山村浩二

 2002年のアカデミー賞短編アニメーション賞ノミネートで一躍脚光を浴びた山村浩二監督の代表作『頭山』です。

 何でももったいながる男がサクランボの種を飲み込んでしまったために、頭の上に桜の木が生えてきてしまった……という喜悲劇である、落語の「あたま山」を現代風にアレンジし、浪曲師・国本武春の唄と三味線で物語ったもの。

画像

 作品価値からいうと、権利元からの抗議でいつ削除されてもおかしくないので、観られるうちに観ておいた方がいいかもしれません(もう既に観られなくなっていたら、ゴメンナサイ)。



 まず、アニメーションでこういうものも題材になるのかあという驚きがあります。落語・ミーツ・アニメーションというのが面白いですね。それから、物語は、シュールで、寓意的で、不条理、ある意味、ファンタスティックでもあります。独創的で、おかしみがあって、アニメーションとしての完成度も高く、国際的なレベルで見ても決して見劣りはしません。出色と言っていいと思います。

 ただ、大好きかって聞かれると、個人的には、ちょっと違和感があるというか、物足りない感じがするのも本当なんですね。それはどこからくるのかってずっと考えているんですが、1つには、この作品が物語の発想の面白さに頼りすぎているからではないか、という気がします。主人公に関して、ケチな男だけど、人間くさくて、憎めない男、という感想を抱くまでには行っていないというか。落語だと、演者が技量なり、愛嬌なりで、ヴィジュアル的にそれを補うのでしょうが。
国本武春さんの唄(語り)がちょっと自己主張し過ぎている気もします。国本武春さんの唄と三味線がこの作品のユニークさの1つであり、命でもあるんですが、語りなしで、台詞もなしか、わずかに台詞を添える程度で十分傑作になり得たのではないかと考えたりもしますね。

作品世界は、シュールさや寓話性から言って『年をとった鰐』に通じるところがあります。たぶん、山村監督の面白がる感覚が『頭山』と『年をとった鰐』の重なるあたりにあるのでしょう。『年をとった鰐』は、私も違和感なく楽しめて、大好きですね。山村作品の中で、『年をとった鰐』がベスト、その次が『頭山』ということになるでしょうか。

 2003年にユーロスペースにてモーニングショー&レイトショーで開催された「ヤマムラアニメーション図鑑」の中で上映されました。

 DVD『頭山 山村浩二作品集』に収録。

 ◆監督について
 山村浩二
 1964年 名古屋市生まれ。
 1987年東京造形大学絵画科卒業。椋尾篁氏が主宰するアニメ美術制作会社ムクオスタジオへ入社
 1989年 フリーに。
 1993年 ヤマムラアニメーション(有)設立。
 2002年 Acme Filmworksと契約。
 現在、東京造形大学客員教授、国際アニメーション協会(ASIFA)日本支部理事。1998年から2006年まで日本アニメーション協会理事。

 1987年 『水棲』[監督]
 1989年 『ひゃっかずかん』[監督]
 1990年 『遠近法の箱』[監督]
 1991年 『ふしぎなエレベーター』[監督]
 1993年 『カロとピヨブプト おうち』[監督]
 1993年 『カロとピヨブプト サンドイッチ』[監督]
 1993年 『カロとピヨブプト あめのひ』[監督]
 1995年 『パクシ』[監督]
 1995年 『キッズキャッスル』[監督]
 1995年 『キップリングJr.』[監督]
 1996年 『バベルの本』 [監督] (TV) シカゴ国際児童映画祭 アニメーション部門 Adult's Jury Award受賞
 1997年 『金魚の一生』[アニメーション]
 1998年 『地球肋骨男』[監督]
 1998年 『REMtv Carp』[監督]
 1999年 『どっちにするの?』[監督]  シカゴ国際児童映画祭 アニメーション部門 Adult's Jury Award受賞、オタワ国際アニメーションフェスティバル 児童映画部門 OIAF Award受賞
 1999年 『Vibe-ID』[監督]
 2000年 『ジュビリー』[監督](ミュージック・ビデオ)
 2001年 『伝説のワニ ジェイク』 [アニメーション] (TV)
 2002年 『伝説のワニ ジェイク』[アニメーション]
 2002年 『頭山』[監督]
 2003年 『冬の日』[監督] 36に分かれたパートのうちの35番目「けふは妹の眉描きに行き 綾ひとへ居湯に志賀の花漉して」を担当
 2005年 『年をとった鰐』[監督] 飛騨国際メルヘンアニメーション映画祭グランプリ
 2006年 「Fig(無花果)」(『TOKYO LOOP』)[監督]
 2007年 『校長先生とクジラ』[監督]
 2007年 『子どもの形而上学』[監督]
 2007年 『カフカ 田舎医者』[監督]

 *ヤマムラアニメーション公式サイト:http://www.jade.dti.ne.jp/~yam/

 *山村浩二ブログ 知られざるアニメーション:http://yamamuraanimation.blog13.fc2.com/

 *Acme Filmworks:http://www.acmefilmworks.com/dir_folders/dirYamamura/yamamura.html

 *関連サイト 山村浩二ギャラリー:http://www.bitpranks.com/hagakiya/gal_ky.htm

 *関連サイト 東京造形大学:http://www.zokei.ac.jp/gallery/event/exhibit/pub_2003/yamamura.html

 *参考サイト Cinema Topics Online「ヤマムラアミネーション図鑑
」:http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3818

 ◆データ
 2002年/日本/10分
 日本語台詞あり/英語字幕あり
 アニメーション
 2003年アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート、アヌシー国際アニメーションフェスティバル 最優秀短編アニメーション賞グランプリ、文化庁メディア芸術祭アニメーション・漫画部門優秀賞、2004年 広島国際アニメーションフェスティバル グランプリ、ザグレブ国際アニメーションフェスティバル グランプリなど、受賞歴多数。

 『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で90位。

 *この作品を他の誰かにも教えてあげたいと思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 

 *当ブログ関連記事
 ・アカデミー賞短編アニメーション賞 リスト!

 ・短編アニメーション ベスト100!

 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ リスト!

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック