『岸辺のふたり』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

画像 『岸辺のふたり』は、たった8分の短編ながら、長編作品の併映作品としてではなく、メインの作品として劇場公開された世界一短いロードショー作品です(2004年12月テアトルタイムズスクエアにてモーニングショー&レイトショー。『お坊さんと魚』『掃除屋トム』を併映。入場料金800円均一)。確かそれを記録としてギネスブックに申請したということも伝え聞いたように思いますが、その結果がどうなったかはわかりません。
 まあ、ギネスブックに載ったかどうかはともかく、8分の作品が劇場公開された(=配給会社が劇場公開を企画し、劇場サイドもそれに乗った)ということは、短くてもそれだけの完成度があり、満足感を与える作品であるということは言えると思います。

 百聞は一見にしかずなので、まだこの作品を観たことがないという方は、まずはご覧ください。



 原題が“Father and Daughter”なので、本作に出てくる2人は父と娘ということなのでしょうが、ある日、自分の目の前から去った父を何年も何年も待つ娘のせつない想いが切々と伝わってきます(タイトル以外に、「彼と彼女」が「父と娘」であると示しているものはないので、あるいは、少女と、彼女がほのかな恋心を抱いていた青年の物語、という風に見ることもできた、かもしれません)。

 シンプルで繊細で力強いストーリー、短い時間に何十年という年月を凝縮して見せる手際、岸辺を走る自転車のその時々のディテール、娘の切ない心情に見事にマッチした音楽、どれをとっても素晴らしいですね。

 父親が娘の目の前から去った理由がいかようにも想像できるのもこの作品の魅力の1つになっています(戦争か何かがあって、父が出征し、そして帰らぬ人となったのではないかという説が有力ですが)。

 音楽監督は、ノルマン・ロジェ&ドゥニ・シャルランで、フレデリック・バックの『大いなる川の流れ』でも組んでいる音楽家であり、前者は同監督の『タラタタ』『クラック!』『木を植えた男』も担当しています。

 ◆監督について
 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
 1953年 オランダ生まれ。
 ジュネーブのthe Ecole Supérieure des Beaux Arts Genève 、イギリスのthe University College for the Creative Arts in Farnhamを経て、1978年、イギリスのウエストスーリ・カレッジ・オブ・アート卒業。卒業制作は“The Interview”
 1992年 『掃除屋トム』
 1994年 『お坊さんと魚』
 2000年 『岸辺のふたり』
 2006年 “The Aroma of Tea”
 そのほかにアニメーターとして参加している作品がいくつかあり、『ファンタジア2000』もその1つ。絵本も出版していて、アニメーションについて後進の指導にも当たっている。

 ◇CM作品
 "Actifed Germ" The Welcome Foundation, Cough Medicine

 "Heinz Egg" Heinz Salad Cream

 "The Long Sleep" Mcallan Malt Whiskey

 "VW Sunrise" Volkswagen

 "Pink Foot" Owen's Corning Roof Insulation

 "Smart Illusions" Nestlé Smarties

 "Noah" The Irish Lottery

 "At&T" five TV commercials

 ◇絵本
 日本で出版されている絵本に『オスカーとフー』(評論社)『オスカーとフーいつまでも』(同)があります。

 ◆データ
 2000年/英・オランダ合作/8分
 アニメーション
 台詞なし/字幕なし
 2001年米国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞、英国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞、アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ&観客賞受賞、2002年広島アニメーションフェスティバル グランプリ&観客賞受賞など受賞歴多数。
 『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で34位。

 私は、東芝EMIから出ているDVDでこの作品を購入して持っています(定価1890円)が、手元において何度も観たくなる作品です。

 *この作品を他の誰かにも教えてあげたいと思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。

 *当ブログ関連記事
 ・『お坊さんと魚』
 ・『掃除屋トム』
 ・マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットについてもう少し
 ・アカデミー賞短編アニメーション賞 リスト!
 ・短編アニメーション ベスト100!
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ リスト!
 ・“Aroma of tea”

--------------------------------

 なかなか新作映画に関する記事をアップできない状況にありまして、上のような記事を書いてみました。

 このような短編映画コレクションは、本当は、新しいブログを立ち上げてそこで始めようと思っていたものですが、慣れないこともあって、どうもうまくいきません。いずれ別のブログを立ち上げて、そこに引越しさせるかもしれませんが、しばらくは、当ブログの新趣向として楽しんでいただければ幸いです。

 カテゴリー(新ブログ名として考えていた)は、「tantano 短編映画を楽しむ」です。 You Tubeほかのサイトから、巨匠たちの初期短編をはじめ、ユニークな短編映画をコレクションしていきたいと思います。

この記事へのコメント

2007年01月13日 17:12
TBありがとうございました。映像も見させて頂きました。
お父さんがいなくなる、そうですよね、戦争でしたら、
納得できました。何だか最近のニュースの影響かしら。
ほんとすっきり致しました。時々訪問させていただきます。
コメントなくても必ず人気ブログランキングにクリックして
いきますからね。取りあえず御礼にて。感激しました。
umikarahajimaru
2007年01月13日 21:18
huneさま
コメントありがとうございました。
huneさんは、絵本の方を先にご覧になったのでしたか。そういうアプローチをされる方もいらっしゃるんですね。
当ブログでは、これからもお気に入りの短編映画を紹介していくつもりでいますので、よかったら時折覗いてみてください。
2007年01月15日 10:02
TBありがとうございます。
 DVDも発売されているので購入しようか、などと思っていたところ、TBをいただいたのでこのブログを訪問したら、なんと本編を見せていただけるではないですか。
 まことにありがたいとは思うものの、著作権とかウルサイことを言われなければ良い、と心配もしております。
umikarahajimaru
2007年01月15日 18:24
machさま
コメント&TBありがとうございます。
『岸辺のふたり』がYou Tubeで観られることは私も調べてみてわかったのですが、権利上の問題とかは確かにあるはずなので、楽しむことができる間だけ楽しませてもらうしかないか、と考えることにしています。
『岸辺のふたり』はYou Tubeでももうかなりのアクセス数があるので、監督もここで観られることは知っていて黙認してる形なのだろう、などと思うのはこちらにとって都合のいい勝手な思い込みでしかないかもしれませんが。
 まあ、そうはいいつつも私自身は以前にDVDを購入して持っていましたし、それに2000円程度の投資をするのは全然惜しくなかったのですね。
kanndousya
2007年02月02日 09:03
以前、gyaoで観たことがありもう一度と思い人づてにここへ来ました。
お父さんっこの娘が、突然いなくなった父の帰りを・・いつまでも・・命のある限り・・何度みても涙があふれます。
私もCDを買っておこうと思いながらもここがあるのでつい来てしまいます。本当に素晴らしいところです。
umikarahajimaru
2007年02月02日 19:52
kanndousyaさま
コメントありがとうございます。ブログ更新の励みになります。よかったらほかの記事も見てみてくださいね。
『岸辺のふたり』の市販のDVDは、パッケージもステキなので、当サイトとは別に、手元に買っておいても損はないかと思います。時々手にとって眺めるだけでもなかなかいいですよ!
kanndousya
2007年02月04日 09:37
私もそう思いましたので、このサイトを辿って買ってしまいました・・今日着く予定です。
これとは別に、時々訪れたいと思っていますのでそのうちに是非これといった逸品を紹介してください。
umikarahajimaru
2007年02月04日 13:36
kanndousyaさま
またまたコメントありがとうございます。
「是非これといった逸品を紹介してください」ということですが、とりあえず当ブログの「アカデミー賞短編アニメーション賞リスト」と「短編アニメーション ベスト100」あたりからお好みの作品を探してみてはいかがでしょうか。
短編映画は、長編以上に多種多用な作品があって、それぞれに違った面白さがあるのですが、『岸辺のふたり』を楽しまれた方であれば、フレデリック・バックの『クラック!』などから観てみてもいいかと思います。

この記事へのトラックバック

  • 映画観たよ  期間限定21日までです。  ~岸辺の二人~

    Excerpt: 8分間の映画でした。 Weblog: 兄さんの辛口日記 racked: 2007-01-12 18:10
  • 岸辺のふたり

    Excerpt: 12/03、「岸辺のふたり」を観た。(ギンレイシネマ) 【岸辺のふたり】 上映時間: 8分 製作: 2000年 イギリス/オランダ URL: http://www.crest-inter.. Weblog: 栄太(えいだ)の映画日記 racked: 2007-01-13 10:17
  • 短編アニメ 「岸辺のふたり」

    Excerpt:  なんと素晴らしい! わずか8分の素朴な感覚のアニメが与えてくれるこの感動は何だろう。  劇場で併映されていたので、たまたま見ることが出来たわけだが、本編以上にこの作品を見られたことの方がうれしい。.. Weblog: SEA side racked: 2007-01-15 09:55
  • 岸辺のふたり

    Excerpt: 2001年アカデミー賞短編アニメーション賞受賞作。自転車に乗り、川岸に来た父と娘。父は娘を岸辺に置いて、船に乗って旅立ってしまう。娘は、それからの人生、父への思いを胸に何度も自転車で岸辺を訪れる.. Weblog: 1-kakaku.com racked: 2007-02-04 02:10
  • 「岸辺のふたり」

    Excerpt: 映像というのは、「待つ」姿を描くとモノをいうものらしい。 映像は現在進行形なので、まだ来ていない時、というのは決して描けないから想像に任せるしかない。 しかも画がもっぱら遠景で、しかも人物が半ば影に.. Weblog: prisoner's BLOG racked: 2007-02-17 12:37
  • 「『岸辺のふたり』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット」について

    Excerpt: 「『岸辺のふたり』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット」について いつの間に…。最初にこのブログを立ち上げて、そのまま放置していた間に、こんな素敵なトラックバックがリンクされていようとは…。早速You.. Weblog: ハマネット racked: 2009-05-10 01:01