心がほどけていく旅 中谷美紀『インド旅行記1』

画像 中谷美紀さんの『インド旅行記1 北インド編』
危ういなあと思ったのは、やっぱり何でも仕事(お金)に結び付けてしまうことに危惧感を感じるからで、芸能人とかが好きで書いていたはずのブログが本になったりして、ブログを書くことが仕事になったり、半ば義務になったりする(そのために書く内容も意識してしまい、姿勢も変わる)のと同じものを感じます。
 中谷さんは、大きな仕事(『嫌われ松子の一生』)が終わって、リフレッシュしたかったんじゃないの?って思うんですが、最初から旅行記を出版することが決まっていたりしたのでしょうか? そのための費用も幻冬社が出すことになっていた? まあ、そのつもりでなくては、こんなに詳細な旅行記は書けないとは思うんですが。しかも、中谷さん、幻冬社の夏の文庫フェアのイメージ・キャラクターだし、きっとそのことも込みでの出資だったのでしょう。
 まあ、椎名誠ならそういう旅行もOKで、中谷美紀ならダメってこともないんですけど。
 もともと幻冬社文庫には、紀行ものが多いので、きっとその一環として企画されたものなんでしょう。中谷さんの「anan」での連載(『ないものねだり』として出版)を読んだ編集者が、彼女に旅行記を書かせてみたら面白いんじゃないかと思ったとしても不思議じゃありませんから。

 で、この旅行が、金に糸目をつけない、いいとこだけをかいつまんで帰ってくるVIP旅行かと思うと、必ずしもそんなことはなくて、行く先々にガイドを用意していることくらいが贅沢と言えるくらい。基本的にはスタッフも連れない1人旅で、宿泊先や移動手段はバックパッカーにはマネできないものだとしても、日本のOLや奥様方にやれないものでもないクラスのものですね(実際にそういう日本人旅行者と何人も出逢っているようです)。

 気になったのは、インドに対する身構え方で、最初は、ホテルに戻ってきたら、シャワーを浴びて、いかなる菌も残らないように手足を消毒し、日中に履いていたサンダルも同様にする。そのためにアルコールが入った除菌ウエット・ティッシュや消毒スプレーも日本から持参。さらにチューブ入りの練りワサビも携行し、食べたものが心配になったら、食後にのどに流し込むという念の入れよう(最初はプラムを3つ食べたと言っては練りワサビを飲んだりしていた)。そんなに気を遣うわりには、予防接種を待っていられなくて出発してしまうチグハグさもあったりするんですが、そんなに身構えていては旅も楽しめないだろうと思ったりもするわけです。
 しかし、そうしていながらも、お腹をこわしたり、スリに遭ってパスポートを紛失したりして、中谷さんもインドの洗礼を受けていって、徐々に気持ちがほどけていって、インドに対してより「自然」でいられるようになっていくわけで(単に書いてないだけで、それまでと同じようにしてるのかもしれないけど)、それと同じくして、私が当初抱いていた危惧感も薄らいでいったのでした。
だから、最終的には、全部どこかの会社持ちの旅行であったって全然かまわないですね~。っていいながら、個人的にはやっぱりグレゴリ青山さんなんかの旅行&旅行記の方に好感を持つんですけどね~。

 私がインドに旅行するなんてことはまあ今のところないと思いますが、参考として(索引代わりに)、以下に本書での中谷さんの旅行をまとめてみたいと思います。

 *○×は中谷さんが持った印象を文面から評価したものです。
 写真はネット上から拾ったもので、本書とは直接の関係はありません。

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 ・デリー(p13)
 [食]サンバル× バジー○
 ↓飛行機

 ・ヴァラナスィ(p19)
 ホテル ラディソン:http://india-hotelguide.com/hotels/India/Varanasi/Downtown/factSheet.php?hotelID=4794

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 ↓↑車
 ・サールナート(p21)
 鹿野苑 大菩提寺

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 [食]ミックスベジタブルカレー○ ベジタリアンカバブ○ ルーマリー○

 ↓↑車
 ・ダサーシュワメートゥガート(p35)
 ガンジス河
 ヴィシュワナート寺院
 バーラト・マーター寺院
 バナラスヒンドゥー大学(本にはヴァラナスィヒンドゥー大学とあるけれど間違い):http://www.bhu.ac.in/

 ↓列車
 ・アグラー(p47)
 タージマハル(p60):http://www.ne.jp/asahi/arc/ind/unesco/15_tajmahal/taj.htm
 レストラン ダサープラカーシュ(p67) [食]スナックタリー ドーサ○ ダイブラ×

 ↓列車
 ・デリー(p76)
 [食]お好み焼き○

 クトゥブ・ミナール(p78):http://www.theindiatravel.com/travel/favourites/monuments/qutabminar/qutab.htm

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 マハトマ・ガンジーの墓(p80):http://www.answers.com/topic/gandhi-s-tomb-jpg

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 レストラン モハティマハル(p83)

 ・ニューデリー(このへん、どこからがデリーでどこからがニューデリーなのかちょっと曖昧)

 ↓列車
 ・ハリドワール(p85)

 ↓車
 ・ガルワール(p86)
 ホテル アナンダ・イン・ヒマラヤ:http://www.coxandkings.co.jp/india/hotel/index.html
 [食]わかめのサラダ× スパゲティーゲノベーゼ×
 [食]インド料理○
 [食]マサラドーサ○

 ↓車
 ・リシケシュ(p106)
 ガンジス川の見渡せるホテル(たぶんGanga Viewか、Ganga Kinareのどちらか) プライベートヨガセッション○
 ヨガニケタン
 学校○

 [食]ラッシー○
 [食]プーリ・バジー○

 マドラスカフェ [食]ほうれん草のスープとマサラドーサ○

 シヴァナンダアシュラム
 ヨガスタディーセンター

 シヴァナンダジューラーのチョティーワーラー [食]カレー○

 パルマトニケタン

 [食]揚げたてのサモサ○

 ↓
 ・リシケシュ(p156)
 黒ゴマ油まみれのマッサージ○

 ↓車
 ・ハリドワール(p200)

 ↓列車
 ・デリー(p202)
 日本大使館

 ガンジー記念館(p209)

 ジャマーマスジット(p210):http://en.wikipedia.org/wiki/Jama_Masjid,_Delhi

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 アショカホテル内の韓国料理屋さん [食]韓国風煮麺○

 日本食レストラン [食]オクラ納豆、ごはん、お味噌汁○

 ↓車
 ・マンダワ(p230)
 ホテルキャッスルマンダワ○:http://www.mandawahotels.com/castlemandawa.htm

 [食]オクラのカレー○

 ハーヴェリー(p235)

 キャメルサファリ(p240)

 ↓車
 カルニマーター寺院(p246)×:http://judypat.com/india/karnimata.htm

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 ↓車
 ・ビカネールhttp://bikaner.nic.in/
 カルニ・バワン・パレスホテル(p248):http://www.nivalink.com/karnibhawan/
 [食]ダール ナン○

 ジューナガール(p249):http://www.realbikaner.com/palace/junagarh/index.html

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 ラールガル宮殿(p250):http://www.dreamersden.com/palaces-rajasthan/lalgarh-palace-bikaner.html

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 ↓車
 ニューラジャスターンモーテル
 ↓車
 ・ジャイサルメール(p255)
 ゴルバンドパレスホテル:http://www.rajasthaninfo.org/jaisalmer-gorbandhpalace.htm

 ガディサール(本にはガリー・サーガルとありますが、たぶん間違い)(p260):http://www.indianhorizons.net/best-of-india/jaisalmer/tourist-attractions/gadi-sagar-lake.html

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 ジャイサルメール城塞(p260):http://archnet.org/library/sites/one-site.tcl?site_id=4490

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 ハーヴェリー
 キャメルサファリ(p267) クーリー村 ○

 ↓車
 ・ジョードプール(p270):http://jodhpur.nic.in/
 レストラン Sukhsagar [食]ベジタリアンシシカバブー○

 メヘランガル城塞(p270)○

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 [食]クリスピーほうれん草× 揚げナス×

 ↓車
 ・ラーナクプル(p277)
 ホテル・ザ・キャッスル [食]×
 ジャイナ教の寺院(本文中には名前は出ていませんが、おそらくアーディナータ寺院):http://www.ne.jp/asahi/arc/ind/jaina/6_ranakpur/ranakpur.htm

 ↓車
 ・クンバルガル(p280):http://www.palacesonwheels.com/destinations/kumbhalgarh.html
 アオディホテル○:http://www.nivalink.com/aodhi/

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 世界で2番目に長い城壁を持つ城

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 ↓車
 ・ウダイプール(p285):http://udaipur.nic.in/
 レイクパレス○:http://india-hotelguide.com/hotels/India/Udaipur/Downtown/factSheet.php?hotelID=1320

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 ヒンドゥー教寺院(本文中に名前はありませんでしたが、おそらくジャグディッシュ寺院):http://www.indianhorizons.net/best-of-india/udaipur/tourist-attractions/jagdish-temple.html

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 シティパレスの中の美術館
 レストラン・アンブライ [食]パコーラー○

 ↓ジェットエアウェイズ
 ・ジャイプール(p292):http://www.ent.ohiou.edu/~kartik/jaipur.html
 パレスレストラン [食]タリー○

 シルバーアンドアートパレス(p295)

 ↓象のタクシー×
 アンベール城(p299)×:http://www.jaipurhub.com/tourist_attractions/amber_fort.html

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 パコーラー屋さん [食]チリパコーラー○

 シュバビヤス先生の自宅(p302)

 シティパレスの中の美術館(p315)

 ↓車
 ・デリー(p317)

 ↓飛行機
 ・レー(p320):http://leh.nic.in/

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 オマシラホテル○:http://www.indiatravelite.com/accommodations1/hotelomasiladakh.htm

 ちょうどダライラマが説法をしていた寺院(p321)

 [食]ラダックのバター飴×

 チベタンキッチン [食]トゥクパ

 チベタンマーケット

 ↓車
 ・リキール村(p335)
 リキルゴンバ

 チベットアーツ

 ↓飛行機
 ・デリー(p354)
 バハラト・パレス
 日本食レストラン [食]オクラ納豆、揚げだし豆腐、ごはん、お味噌汁○

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 読み出して、まず気がつくことは、中谷さんが、日常会話程度以上の英語ができるらしいことで、電子辞書も携帯していたにせよ、現地で知り合った人とかなり高度なやりとりをしていたことに驚きを禁じえませんでした。前から彼女が才女であることには気づいていましたが、これほどとは! そうした語学力が、この旅を単なる物見遊山以上のものにしていることは確かで、羨ましい限りでした。

 それから、この旅行記の中で心惹かれるのは、なんといってもヨガ体験に関することで、彼女がヨガをしていることは『ないものねだり』を読んで既に知っていましたが、私も機会があれば是非やってみたいと思わせるものでした。
 知的で、絶えず体と心のことを意識している、あるいは、知的だからこそ体と心のことを意識しているのか?
 とにかく「体と心を自分でコントロールすること」については私も非常に考えさせられました。語弊があるかもしれませんが、彼女にしてみたら、日本のアイドルや芸能人、そして俳優の大半もバカに見えて仕方がないのかもしれませんね~。

 ちなみに、彼女がこの旅行中に読んだ(持って行った+日本から送ってもらった)本は――
 遠藤周作『深い河』
 妹尾河童『河童が覗いたインド』
 「ロンリープラネット」
 ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』
 沢木耕太郎『深夜特急』

 1ヶ月以上にわたる今回の旅(2005年8月2日~9月8日)の途上でも「anan」の連載は続いていて、旅先から原稿を送ったりしているのですが、その記事は『ないものねだり』の――
 「地球への恩返し」(p189)
 「オレンジ洪水」(p192)
 「美しきインド」(p195)
 このあと7回ののち連載は終了する(2005年11月30日号)わけで、この時期は中谷さんにとって大きな区切りとなったようです。この旅から連載終了までの間に中谷さんはもう一度一ヶ月に亘る南インド旅行をしている(その後さらに中西部インド、東インドにも言っている)わけで、そうすると2度目のインド旅行前にすべての原稿を書き終えて出発したということでしょうか。

 『インド旅行記2』も早々に出るのでしょうか?(『3』まで出る?)
 本書は、固有名詞の明確化や整理が行き届いていないんじゃないかと私は感じてしまいましたが、中谷さんと元の原稿を尊重したということでしょうか。

 追記:写真を入れてみたら、本で読んでいた時に抱いたイメージとちょっと印象が変わってしまいました。ず~っと乾いた感じが続くというか、同じような石造りの建物にちょっとうんざりしてしまいました。だから、レーみたいな風景にはホッとしますね。

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この記事へのコメント

2006年08月29日 20:07
トラックバックありがとうございます。

私は中谷さんはインドに対しては、まずは普通の対応があって、段々のめり込むさまが出ていてなんかうれしかったです
umikarahajimaru
2006年08月29日 20:24
west32さま
コメントありがとうございました。
ブログを拝見すると、アイスランドへは仕事でいらしたようですが、インドへも何度もいらしたのでしょうか。羨ましい。会社に図書室があるらしいのも羨ましいですね。
2006年08月29日 20:57
TBありがとうございます。
中谷美紀さんは女優なので、本を読んでいても
映像と音声が頭の中に浮かんでくるのはリアルで
いいですね。
umikarahajimaru
2006年08月30日 00:32
KSArchitectさま
建築家の方(?)だと本の読みどころもまた違うのかもしれませんね。コメントありがとうございました。
しまぴょん
2006年09月02日 23:40
仕事で今、バンガロール(インド)にいます。なんていうか、なるほどザ・ワールドの世界ですね。どこもかしこも人、人、人で活気に満ち溢れています。
でも、私は一週間が限度みたいです。
umikarahajimaru
2006年09月03日 01:16
しまぴょんさま
コメントありがとうございます。それもわざわざバンガロールから!
パソコンが使える環境なんですね。
ブログとかに何か旅日記のようなものを書かれているようでしたら、アドレスなり教えていただければ、覗かせていただきます。どうぞ、よろしく!
しまぴょん
2006年09月15日 16:31
先週インドから帰国しました。
事前にインドの情報はある程度聞いていましたが、実際にインドへ行って、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じないとインドを何も理解することが出来ないということがよくわかりました。
インドには、方言を含めると1052言語、公式に認定している言語だけでも18言語あり、少なくとも18の国がひとつになっておりそこに、表に出ない階級制度、宗教については、ヒンドゥー教、イスラム教等、複数存在しており、決して一言では語れないですね。
umikarahajimaru
2006年09月15日 19:51
しまぴょんさま
またまたコメントありがとうございました。
機会があったら、前半部分の「実際にインドへ行って、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じないとインドを何も理解することが出来ないということ」について是非教えてください。
2007年02月07日 16:23
はじめまして。
自分もこの本読んだばかりです。
レビューを少しブログに書いたのですが、自分の記事の貧困さに・・・(涙)

>なかなか有意義な記事だったと思ったら、

とっても有意義だと思いました(笑)

足の裏まで除菌する必要があるのかな?とは思ったのですが、傷があったりしたら危ないのでしょうね。
写真入りのレビュー堪能させていただきました。TB一応送らせて下さい
umikarahajimaru
2007年02月07日 21:02
ふるさま
コメントありがとうございます。
こうして実際のビジュアルを出してみると、本を読んだだけのイメージと大分ズレがあって、調べながら自分でも発見が多かったですね。
続編についてもこういうことをやってみたいんですが、なかなか……。

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