海から始まる!?

アクセスカウンタ

zoom RSS すべては『エル・トポ』から始まった! 『ミッドナイトムービー』

<<   作成日時 : 2006/08/23 21:28   >>

トラックバック 4 / コメント 2

画像 映画に対してこういう楽しみ方もあるのかと開眼させてくれたのが『ロッキー・ホラー・ショー』だったので、『ロッキー・ホラー・ショー』は私の中でも特別な位置づけにある映画です。
 その『ロッキー・ホラー・ショー』を含む6本の映画がいかにして「ミッドナイトムービー」として受け入れられ、カルト・ムービーとなっていったのかを示した映画が『ミッドナイトムービー』(原題は“Midnight Movies: From the Margin to the Mainstream”)。

 まあ、作品に関する情報は公式サイトなどを見ればわかるので、ここでは、そのほかの部分で、映画『ミッドナイトムービー』と、そこで取り上げられた映画にアプローチしてみたいと思います。

 ◆映画『ミッドナイトムービー』で取り上げられている映画

 【メインの6作品について】

 アメリカでカルト化したミッドナイトムービーの流れがそのまま日本に入ってくることはなく、ほぼ同時期に劇場公開されたのは『ロッキー・ホラー・ショー』だけ。『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』のように劇場公開されなかった作品もあります。
 日本でカルト・ムービーに大きな注目が集まったのは、1988年~1989年にユーロスペース配給で4本の映画(『ロッキー・ホラー・ショー』『ファントム・オブ・パラダイス』『ストーミー・ウェザー』『ワッツタックス』@シネマライズ渋谷)がレイトショー上映された前後の時期で、1986年に『ピンク・フラミンゴ』、1987年に『エル・トポ』、1988年に『ロッキー・ホラー・ショー』が公開もしくはリバイバル上映されています。
これ以外にもカルト・ムービーとされる作品が続々上映され、(アメリカに10年以上遅れてはいますが)レイトショーという枠自体も特権化された空間として盛り上がりを見せていました。

 ・『エル・トポ』(1970) DVD

 1987年にっかつ配給で劇場公開(1972年「第2回メキシコ映画祭」にて『もぐら(エル・トポ)』という邦題で日本初公開)。
 1990年にホドロフスキーの新作『サンタ・サングレ』が劇場公開され、それに合わせて開催された三鷹オスカーでのホドロフスキー特集が『エル・トポ』が東京でスクリーンで上映された最後なのではないでしょうか?
 私自身は『エル・トポ』は一度しか観ていないのですが、今回部分的に観て、「あれっ、こんな映画だったっけ?」と、記憶とのズレを最も感じた作品でもありました。生理的な嫌悪感も含めて、インパクトの強い作品だったのですが、今観てみると印象を新たにすることになるのでしょうか。
 ホドロフスキーの現時点での最新作“The Rainbow Thief”(1990)は日本未公開のまま。制作中と伝えられる“Sons of El Topo”の情報は、例えばこちら(http://www.hotweird.com/jodorowsky/sons.html)にあります。

画像

 ・『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968) DVD

 ビデオのみのリリース(スクリーンでの上映は???)。 2001年コムストック配給で『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 最終版』公開(@シアター・イメージフォーラム(レイトショー))。
 その後公開されたこのシリーズのうちのいくつかは私もスクリーンで観ていますが、この作品はスクリーンで観ていません(本作で取り上げられている“ミッドナイトムービー”のメインの6本のうちで私がちゃんと観ていないのもこの作品だけ)。
 ちなみに、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を含み、70年代以降、アメリカでホラー映画が生み出されてきた社会的背景を探った映画に『アメリカン・ナイトメア』(2000年/監督アダム・サイモン)があります。

 ・『ピンク・フラミンゴ』(1972) DVDなし

 1986年東映+ケイブルホーグ配給で日本初公開、1998年日本ヘラルド映画配給で『ピンク・フラミンゴ 特別編』公開(@シネ・ヴィヴァン・六本木)
 ジョン・ウォーターズは当時ミッドナイトムービーを含めあらゆる映画を観ていて、『イレイザーヘッド』にも力を貸し、それをディヴィッド・リンチが感謝しているというのは微笑ましい。映画関係者のそうしたヨコのつながりを知るのも本作の楽しみの1つ。

画像

 ・『ハーダー・ゼイ・カム』(1972) DVD

 1978年キティ配給で日本初公開、1992年ケイブルホーグ配給で“ROCK MOVIE SPECIAL”の1本としてリバイバル(@バウスシアター)、2006年シネフィル・イマジカ配給でリバイバル(@UPLINK X(レイトショー))。
 劇場パンフには、『ハーダー・ゼイ・カム』がペリー・ヘンゼル監督の唯一の長編作品とありますが、2006年に“No Place Like Home”という作品を発表しています。ジャマイカにシャンプーのCM撮影にきた女性プロデューサーがジャマイカ文化の洗礼を受け、すべてを投げ出してジャマイカに移り住むことを決心し、そして……という物語のようです。

 ・『ロッキー・ホラー・ショー』(1975) DVD

 1976年20世紀フォックス配給で日本初公開、1988年ユーロスペース配給でリバイバル(@シネマライズ(レイトショー 7月20日〜10月25日))、1997年シネカノン配給で再リバイバル(@銀座シネ・ラ・セット)。
 シネマライズ渋谷で上映されていた時に私は3回鑑賞しました。上映を重ねるうちに、ファンによるパフォーマンスがどんどんエスカレートしていって、上映終了間際では、出演者と同じコスプレをしている人が何人もパフォーマンスするようになっていました。シネマライズ渋谷は現シネマライズのBF1の方で、その時は混雑緩和のために「2階席」にまわされたりしました。その「2階席」にまわすというのが、後にも先にもそれ1回限りで、「2階席」などというものが果たしてどこにあったのか、今もって謎となっています。
 『ロッキー・ホラー・ショー』自体は、エルジン劇場より、8th Street Playhouse(http://cinematreasures.org/theater/4699/)での上映の方が有名なはずで、毎週金曜と土曜の夜の上映が15年間続けられました。1992年に閉館した8th Street Playhouseは、今はビデオ・ショップになっているようです(http://www.flickr.com/photos/kencta/216865155/)。
 『ロッキー・ホラー・ショー』は今も世界のどこかで上映されていて、アメリカでの上映館はこちら(http://www.imdb.com/title/tt0073629/cinemashowtimes)で探すことができます。
 『ミッドナイトムービー』の6本のうち、『ロッキー・ホラー・ショー』の監督ジム・シャーマンだけは本編に出演していません。それは、オリジナルの舞台がリチャード・オブライエンによるものだからで、ジム・シャーマンは「自分は監督しただけ」という意識があるからだと思われます。1988年にスタジオ200で開催された<オーストラリアン・シネマ・ウィーク>で『フェリシティの告白』が上映された時、ジム・シャーマンも来日して舞台挨拶を行なっていますが、その時点でも「いまだに『ロッキー・ホラー・ショー』のことばかり訊かれて困る」と話していました。ジム・シャーマンは今は映画は撮っておらず、オーストラリアを代表する舞台監督になっているようです。ちなみに、『フェリシティの告白』は探せばビデオ・ショップで見つけることができます。『ロッキー・ホラー・ショー』とのつながりは全くありませんが。

画像

 ・『イレイザーヘッド』(1977) DVD

 1981年東映の配給で日本初公開、1993年に『イレイザーヘッド 完全版』がコムストック配給で劇場公開(@シネマライズ)。
 関連記事:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200511/article_19.html

画像

 【『ミッドナイトムービー』で取り上げられているそのほかの作品について】

 ・『フリークス』(1932) DVD

 ・“Reefer Madness”(1936)
マリファナが与える悪影響を誇張して描いた教育映画で、その誇張っぷりが逆にミッドナイトシアターでは大いにウケてたらしい。
その映像の一部はここ(http://www.youtube.com/results?search_type=search_videos&search_sort=relevance&search_query=reefer+madness&search=Search)で観ることができます。

 ・『絶対の危機』“The Blob”(1958)

 ・“Bambi Meets Godzilla”(1969)
 Elora Gorge Cinemaという映画館で『ビートルズ レット・イット・ビー』と“Reefer Madness”の間に上映されてミッドナイトムービーの人気プログラムになった。
 “Bambi Meets Godzilla”はGoogle Video(http://video.google.com/videoplay?docid=-3634309875781837645)で観ることができます。

 ・『マルティプル・マニアックス』(1970)
 ジョン・ウォーターズの、『ピンク・フラミンゴ』の前作。映画会社に送ったが受け入れられず、自主配給でウォーターズ自身が上映した。

 ・『ディープ・スロート』(1972)
 『ピンク・フラミンゴ』がヒットし始めた時に、ウォーターズは当時『ディープ・スロート』が作った記録を超えなければと思ったという。

 ・『アスパラガス』(1979) DVD
 『イレイザーヘッド』と併映されていた作品。
 その映像はこちら(http://www.youtube.com/results?search_type=search_videos&search_sort=relevance&search_query=suzan+pitt&search=Search)で観ることができます。日本の誰かがUPしたものらしく、もちろん無許可なので、いつ削除されるかわかりません。

 ◆監督スチュアート・サミュエルズについて

 スチュアート・サミュエルズは、撮影監督に焦点を当ててアメリカ映画史を振り返ったドキュメンタリー映画の佳品『ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち』の監督だったんですね。

 [プロフィール]
 1940年ニューヨーク生まれ。スタンフォード大学で歴史(映画史?)を学び、1967年〜81年までペンシルヴェニア大学の歴史の教授。

 [フィルモグラフィー]

 ・“Rockin' Ronnie”[監督]
 大統領時代のレーガンの映像とハリウッド時代のレーガンの出演シーンを、対比的に、皮肉たっぷりに描いた45分間のドキュメンタリー。

 ・「リターンド・ソルジャー/ベトナム戦士へのレクイエム」(1988)[製作総指揮](Vのみ)
 ベトナム戦争から帰ってきた退役軍人のための記念碑を作るべく奔走したJan Scruggsの、事実に基づく物語。

 ・『ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち』(1992)[監督・製作] DVDなし
 ゲレッグ・トーランドからネストール・アルメンドロス、ヴィットリオ・ストラーロ、ハスケル・ウェクスラー、ゴードン・ウィリス、ヴィルモス・ジグモンドなど、撮影監督に焦点を当てて、撮影監督たちへのインタビューを含めつつ、アメリカ映画史を振り返ったドキュメンタリー映画の佳品。
 同様の試みをしたものに、デニス・シェーファー&ラリー・サルヴァートの著書『マスターズ・オブ・ライト アメリカン・シネマの撮影監督たち』(高間賢治&宮本高晴訳 フィルムアート社刊)がありますが、『ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち』の方は実際に映像で見せてくれるので、視覚的にはグッとわかりやすい。

 ・“Cartier: Jewelers to the Kings ”(1998) [監督] (TV)

 ・本作(2005)[監督・製作・脚本]

 ・“27”(2007)[監督・脚本]
 1970年〜71年の間に27歳で死んだ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスンに関するドキュメンタリー。

 劇場パンフには、“Hollywoodism: Jews, Movies and the American Dream”もスチュアート・サミュエルズが監督、プロデュース、脚本を手がけたとありますが、これはSimcha Jacoboviciの誤り。スチュアート・サミュエルズは、コンサルタントもしくはアドバイザーという立場にとどまっています。
 劇場パンフでのスチュアート・サミュエルズに関する記事は、『ミッドナイトムービー』の資料(http://starz.mediaroom.com/index.php?s=press_releases&item=177)からの翻訳して再構成したもののようです。

 ◆エルジン劇場について

 本作でミッドナイトムービーとして取り上げられている作品は、ニューヨークの8番街と19番ストリートが交わったところにあったエルジン劇場で上映されて、話題を呼んだ作品ばかりで、ミッドナイトムービーの全盛期も、エルジン劇場でミッドナイトムービーが上映されていた1970年〜77年としています。
 エルジン劇場は、1942年に開館した映画館で座席数600。カルト映画やリバイバル作品の上映館として人気がありましたが、1977年にフィルムのレンタル料の高騰などにより閉館(この辺は東京から名画座が姿を消していったのと事情が似通っています)。のちに成人映画の専門館として活動を再開しますが、近隣からの抗議によって再び閉館。1982年にJoyce Theaterとしてダンスやパフォーマンスのための劇場(座席数472)として再スタートしています。
 本作にも登場しているChuck Zlatkinが運営していた頃が映画館としては最も成功していた時期ですが、現在、ダンス・シアターとしても確固たるポジションを築いているようです。

 ◆もし邦画からミッドナイトムービーを6本選ぶなら

 この映画を観た帰り、邦画でミッドナイトムービーを選ぶなら何になるだろうかと考えてみました。その条件は――
 @万人向けでなくても、
 Aカルチャー・ショックを感じるくらいのインパクトがあって、
 かつ、Bエポック・メイキングな作品で、
 さらに、C別の作品も観てみたくなるもの。

 1.塚本晋也『鉄男』(1989) DVD
 近年の日本映画の海外進出を導いた作品として。

 2.松井良彦『追悼のざわめき』(1988) DVDなし
 税関での試写で係官が観て吐いたといういわく付きの作品。

 3.原一男『ゆきゆきて、神軍』(1987) DVD
 内容、キャラ、話題性、インパクト……。

 この3本は、リアルタイムで観ているし、公開もカルト映画が相次いで上映された時期と重なってもいるので、文句なく決定!
 このほかは、アニメーション、ロマン・ポルノ、ATG、音楽映画……などといろいろ考えてもみたのですが、上の条件にも照らしてなかなかこの1本というのが思い浮かびません。もっと探す範囲を広げてみて、次の3本ではどうか?

 4.石井輝男『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969) DVDなし
 『幻の湖』や『真田風雲録』など、大井武蔵野館的なカルト・ムービーズを代表させる作品として。

 5.マキノ正博『鴛鴦歌合戦』(1939) DVD
 邦画でカルチャー・ショックを受けたのはこの作品が初めて。和製ミュージカルとしても出色だし。

 6.寺山修司『ローラ』(1974) DVDなし
 これまで寺山作品は度々上映されてきましたが、私がこの作品が上映される機会にめぐり合ったのは一度だけ。よく「映画」という概念を破壊するというけれど、こういう形で「映画」を破壊した作品はこれが初めてでした。

 あとで、劇場パンフを見たら、川勝正幸さんも同様の試みをしていました。しかも『鉄男』と『ゆきゆきて、神軍』が重なっている!
 川勝さんの残りのセレクションは、鈴木清順『殺しの烙印』、市川崑『黒い十人の女』、杉作J太郎『怪奇!!幽霊スナック狩り!』、井口昇『おいら女蛮(スケバン)』という4本でした。

 な〜るほどと思うことがあったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ミッドナイトムービー
1970年、ニューヨークの映画館で深夜に公開された一本の映画。特に宣伝されることもなかった過激な映像が続くその作品は評判を呼び、やがて「ミッドナイトムービー」と呼ばれる一つのジャンルが誕生します。アメリカン・ポップカルチャーに多大な影響を与えた伝説のカルト・ムービ ...続きを見る
日っ歩〜美味しいもの、映画、子育て......
2006/08/23 23:10
[ ミッドナイトムービー ]異端児がメジャーになる
[ ミッドナイトムービー ]@渋谷で鑑賞 ...続きを見る
アロハ坊主の日がな一日
2006/08/23 23:50
ElTopo(エル・トポ)
前からずっと見たかった映画の一つでNewYorkFilmFestivalで回顧上映されていたので見に行きました。エル・トポは息子と砂漠を旅するさすらいのガンマン。エル・トポはある村を訪れるが村人達は山賊によって大虐殺されていた。エル・トポは山賊退治のため村をあとにするが... ...続きを見る
シネマうさぎ
2006/10/08 01:28
『エル・トポ』 美しい傑作
 【ネタバレ注意】 ...続きを見る
映画のブログ
2009/08/23 11:53

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こちらにもひとこと。
これ、ノーチェックでした。
明日までか…。うーんちょっとムリそうです。
ホドロフスキー監督、好きなんです。と言っても学生時代に観たっきりですが。
「ロッキー〜」私もシネマライズ行きました。お米投げましたよー。懐かしいです。
この作品、DVD化してもらえるよう祈ります。
わかば
URL
2006/08/24 22:34
わかばさま
またまたコメントありがとうございます。
わかばさんもライズで『ロッキー・ホラー・ショー』をご覧になってたんですね。
あの当時に映画館にカルトムービーを観に行っていたような人も、もういいオヤジやおばさんですよね〜。当時の映画ファンで、今もこまめに映画館に足を運んでいる人っていうのはすっかり少なくなってしまいましたが。
時代の趨勢というか、映画を供給する側も映画を受け入れる側も、そして映画そのものも変わってしまったっていうことですよね〜。必ずしもそれらすべてが悪いっていうわけではありませんが。しみじみ……。
umikarahajimaru
2006/08/25 22:08

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
すべては『エル・トポ』から始まった! 『ミッドナイトムービー』 海から始まる!?/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる