本年度邦画ベストワン! 『ルート225』

画像 相対的な意味での評価(他の作品と比べて)ではなく、絶対的な評価(作品それ自体の価値)として本年度ベスト・ワンです。いやあ~、本当に! 素晴らしいんです。
 ストーリーの面白さと主演の多部未華子のチャーミングさに圧倒されてしまいました

 物語は、いわゆるパラレル・ワールドもの、と言ってわからなければ、実写版の『千と千尋の神隠し』のようなものだと思えばわかりやすいかもしれません(異界の生き物は出てきませんが)。
 何故かそれまでの世界(Aの世界)とは少しずつ違う世界(A’の世界)に迷い込んでしまった姉弟が、どうしてこういうことになったのか、原因を探りつつ、知恵を絞って、なんとか元の世界に戻ろうとする物語です。

 原作は、芥川賞作家・藤野千夜さんの同名小説で、2002年に理論社から刊行、2005年に新潮文庫から文庫化されて、現在4刷になっています。

 この映画は、チラシも早くから出回っていたのですが、チラシのビジュアルからは(残念ながら)全くそそられるものがありませんでした。それが変わったのは、映画館で流れている予告編を観てからですね(公式HPでも観ることができます)。面白そうじゃない? そしてこの主演の女の子(多部未華子)、ちょっとかわいいじゃないか、と。

 *最初に出たチラシは、姉と弟が並んでブランコに乗っているのを正面からとらえたもの。あとから出たチラシは、多部未華子の横顔(強い意志を感じさせつつも、薄っすら涙を浮かべているようにも見える)を上半分に取り込んだものになっています(右上) 。

 映画が始まってそんなにも経たないうちに、面白そうという予感は確信に変わりました。断固として面白い!それも年に1本あるかどうかの面白さであると。
 当ブログの他の記事に比べていささか浮かれてしまっている感じもありますが、本当に面白いんだから仕方がありません。冷静に考えて、「思春期の少年少女の(親離れを含む)成長物語」であり、それがテーマだということはわかるのですが、そんなことはもうどうでもいいですよね。

 この映画の面白さには、①ストーリーのユニークさ、②姉弟役の2人の演技、特に姉エリ子役の多部未華子の素晴らしさ、があると思いますが、どちらがよりこの映画の成功に寄与しているのか、甲乙つけがたいほどです。
 エリ子は、いまどきの‘いつもはちょっとつまらなそうにしている女子中学生’で、本当は両親のことが好きで弟想いなんだけれど、そのことは普段は一見クールな顔の下に隠している。弟がずかずかエリの領域に入り込んで来ようとすると、彼女は、姉という絶対的な権限を以って遠ざけるし、何があっても‘しっかりしたお姉ちゃん’を演じようとする。しかし、実際はロー・ティーンらしい子供っぽさや弱さ、もろさを持ち、‘しっかりしたお姉ちゃん’像が壊れないように、精一杯やせ我慢してつっぱっている。
 これを、多部未華子がこれ以上ないというくらいの存在感で好演しています。

 彼女が去年の出演作品で何か賞を獲った(ブルーリボン賞)というのは私も聞いていましたが、彼女の出演作を意識して観る機会はなかったので、これまで全く気に留めていませんでした。しかし、私が知らなかっただけで、豊かな感情表現がいいし、なんてったって台詞まわしが自然でうまいですよ。
 台詞の一部を紹介すると、「ありえない、ありえない」「マジうるさい、バカ弟!」「ビミョーだね、ビミョーすぎるよ」。こんな台詞ですけど、彼女がしゃべると、いまどきの女子中学生の言葉として生命力を持って生き生きと感じられてきます。

 まあ、本当に絶賛してしまうわけですが、冷静な判断で、比較対照作品を挙げてどのくらい面白いか示すならば、青春映画としては、『バタアシ金魚』や『がんばっていきまっしょい』くらい素晴らしく、昨年の映画でいうと(物語のタイプは違いますが)『運命じゃない人』や『サマータイムマシン・ブルース』くらい若々しくて魅力的と言っていいと思います。多部未華子も、田中麗奈や鈴木杏の系譜につらなる、久々の大型新人‘映画’女優ですね(断言!)。

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 さて、ここからは、いくつかの項目に亘って、映画『ルート225』に迫ってみたいと思います。

 ◆予告編
 まずは公式サイト(http://www.shirous.com/route225/)をご覧ください。

 画面の右上に国道の道路標識がありますが、サイトを開いた時は196だったのが1つずつカウント・アップしていって、最後には225になります。サイトを開きっぱなしにして、ほかのコンテンツなどを覗いていると、急に電話のベルが鳴り出すので驚いてしまいますが、ここで左下の公衆電話をクリックして、電話に出てみましょう。すると、何かが起こります。これをどうにかすると、A’の世界からAの世界に戻ってくることができます。

 ◆多部未華子
 1989年1月25日、東京生まれ。公式サイトhttp://www.hirata-office.jp/data/tabemikako/

 【フィルモグラフィー】
 2003年
 ・「2003サマースペシャルミュージカル 美少女戦士セーラームーン ~スターライツ・流星伝説~」[ミュージカル]
 セーラースターヒーラー/夜天 光役で出演。

 ・「東京危機一髪」(監督=山本淳一)[BS-iとBSフジのコラボレーションによって誕生した68FILMSの1本]
 青森から上京して地球防衛隊に就職した主演・桜子隊員役。公式サイトhttp://www.goggle.co.jp/sf/t04.html

 2004年
 ・『理由』(監督=大林宣彦)
 810号室の中学生・篠田いずみ役(107人いるという登場人物のうちエンド・ロールの59番目に登場(登場順))

 2005年
 ・「硝子と鉛の火の粉」[短編](監督=小牟田透)
 主演・紅役。原作=五十嵐ゆり

 ・『メールで届いた物語(ストーリー)』「CHANGE THE WORLD!」(監督=伊藤裕彰)
 ピンクの羽根をつけたセーラー服姿の天使。戦争反対デモの途中で、援助交際を迫った中年男性に片方の羽根を傷つけられる。主人公・小柳葉子(吹石一恵)に「メールが来たんです、ヘンなメール」と言って、メールを見せ、彼女を導く。

 ・『HINOKIO ヒノキオ』(監督=秋山貴彦)
 引きこもりの自分の代わりにロボットであるヒノキオを学校に登校させる主人公と心を通じさせるガキ大将・工藤ジュン役。公式サイトhttp://www.hinokio-movie.com/
HINOKIOブログhttp://blog.goo.ne.jp/hinokio-movie/c/b542234d14e075c9c941a0cf481cfd85

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 *実は、多部未華子と堀北真希の共演作でもあって、そのことが後々語り草になるかも。
 「キネマ旬報」の2005年度新人女優賞では、なぜか堀北真希には1票も入らず、多部未華子は6票獲得して第2位。惜しくも受賞を逃した(受賞したのは沢尻エリカで16票でダントツ)。

 ・『青空のゆくえ』(監督=長澤雅彦)
 中学3年の一学期でアメリカに転校する主人公(中山卓也)の幼馴染で、そのことを聞かされていた数少ない1人である河原春奈役。公式サイトhttp://www.aozoranoyukue.com/
 [レビュー

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 2006年
 ・「ブレスト 女子高生、10億円の賭け」(第5回文芸社新春ドラマスペシャル)
 主演=山口摩湖役。「高校生ブレーンのひとり。都立高校に通う、何事にも自信が持てない性格の女子高生。ルックスも成績もパッとせず地味な印象。しかし、三原に見出され、ブレーンに選ばれたことがきっかけで、成長を遂げていく。」(公式サイト(http://www.tv-asahi.co.jp/bungeisya/cast.html)より)

 ・「対岸の彼女」[WOWOWで放映されたTVドラマ](監督=平山秀幸)
 主人公(夏川結衣)が働く新しい職場の女社長(財前直美)の、高校生時代(石田未来)の友人・野口魚子役。原作は角田光代。公式サイトhttp://www.wowow.co.jp/dramaw/taigan/

 ・『ルート225』(監督=中村義洋)

 ・「すみれの花咲く頃」(NHKにて放映予定)
 主演・遠藤君子役。「高校卒業を前に、宝塚を夢見る一人の女子高校生を中心に、その家族や周りの人々とのなかで将来への夢、せつない心の揺れを描く一冬の物語」。
磐梯町でロケが行なわれたようです(http://www1.town.bandai.fukushima.jp/t_navi/lg/2006/03/042_03_nhk.htm)
 共演のこばやしまりさんのブログ(http://marilove.exblog.jp/)に関連情報があります(2月28日以降)。

 ・『ゴーヤーちゃんぷるー』(監督=松島哲也)6月東京都写真美術館にて公開予定(沖縄では先行公開済)
 主演・鈴木ひろみ役。【物語】学校ではシカトされ、父は事故死し、母も家を出ていた。ひきこもり状態のひろみは、沖縄のダイバーズショップでインストラクターをしている青年とネットで知り合い、家を飛び出して、彼に会いに行く……。(←どうも『十五才 学校Ⅳ』に物語が似ている)。公式サイトhttp://www.owl21.net/goya-champuru/
 *撮影は2004年だったらしく、まだ幼さが残り、表情も硬い。

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 ・『夜のピクニック』(監督=長澤雅彦)
 主演・甲田貴子役。【物語】クラスメイトでありながら、異母兄弟であることを周囲に隠している甲田貴子と西脇融(石田卓也)。「愛人の娘」である貴子は特に意識していなかったが、融はそうではなかったらしく、そのことが逆に貴子も意識させてしまうことになる。そんな2人に高校最後のイベント・鍛錬歩行祭(オールナイトで80キロ歩く)の日がやってくる。貴子は、1つの賭けを決心する……。原作=恩田陸。第2回本屋大賞、吉川英治文学賞新人賞受賞作品。公式サイトhttp://www.yorupic.com/index.html

 多部未華子さんに関する情報は、ブログ「kuma lyaの情報局X」(http://kumalya.blog20.fc2.com/blog-category-209.html)の情報が、量も質も圧倒的に素晴らしい。

 『ルート225』を観たあとで、DVDで『HINOKIO』を観てみました。
 わざと性別不詳の役柄にしている前半部分の多部未華子は、感情を無理して内に押し込めている感じ(役)なのでちょっと魅力に乏しい。感情をすっかり表に出して、イキイキとして表情を見せる後半はいいですね。でも一番いい表情をしたのは特典映像に入っている素のコメントかもしれません(笑)。

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 『HINOKIO』では、ある種のパラレル・ワールドを扱っているので、『ルート225』と似ている部分もあります。

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 ◆『ルート225』に関するトリビア
 G:原作、S:「シナリオ」2006年4月号(監督・中村義洋、脚本家・林民夫、プロデューサー・佐藤美由紀らの座談会記事あり)

 ・オーディション:できるだけ新鮮なキャスティングにしたかったのと、プロデューサーの佐藤美由紀さんが「新人発掘が大好きだ」ということもあって、主役の2人にはオーディションが行なわれた。そうすることで、結果的に資金集めに難航したらしい。【S】
 佐藤美由紀さんプロデュース作品で、「新人」が印象的な作品としては『ホテル・ハイビスカス』(2002)がある。

 ・クマノイさんとダイゴの関係:クマノイさんはダイゴのことが好きだったらしいのに、ダイゴは「クマノイさんのことなんか全然好きじゃない」とみんなの前で言ったことがあり、その直後、クマノイさんが死んでしまったので、ああ言ってしまったことをずっと後悔していた。【G】

 ・国道:公園から自宅に戻る途中にある国道は原作では225号線ではなくて、8号線。【G】

 ・国道225号線:国道225号線は、鹿児島県枕崎市と鹿児島県鹿児島市を結ぶ国道。薩摩半島を南西→北東に向かって貫いている。(http://3koku.uroneko.com/nr225_01.htm)

 ・撮影期間:2005年春休みに15日間で撮影。中学生の映画なので学校を休んで撮影に来させるということは避けたかったので、この時期の撮影となった。【S】

 ・「神社の階段をふたりで転げ落ちてみる」:マッチョが冗談半分に言った元の世界に戻るための案。もちろん映画『転校生』のことをイメージしているんですが、それはダイゴには通じますが、エリ子には通じません。原作通り。【G】

 ・高橋由伸のテレカ:例えば、高橋由伸のテレカはここ(http://www.teleca.net/cargo/goodslist.php?sc_id=2069)などで見ることができますが、映画の中で使われたのと同じものを見つけることはできませんでした。

 ・中学:エリ子は女子校(中2)、ダイゴは男子校(中1)に通っている。【G】

 ・富山の叔父さん:本当は別の俳優をキャスティングしてあったのを、照明技師が崔洋一監督ではどうかと提案した。崔洋一監督をキャスティングすることで、それまでの(作品)世界に違うテイストを与えられる(ファンタジー→現実世界、子どもだけの世界→大人の世界)と考えて、結局、中村監督の師匠である崔洋一監督がキャスティングされることになった。【S】

 ・肉眼では見えないのに、写真にはぼんやり写っている両親:このエピソードは乙一著『ZOO』収録作品の「SO-far そ・ふぁー」とちょっと似ています(書かれたのは『ルート225』の方が先)。ちなみに、映画『ZOO』で「SO-far(そ・ふぁー)」に出演しているのは、父:杉本哲太、母:鈴木杏樹、息子:神木隆之介。

 ・はやしだみきさん:この映画の初日舞台挨拶の司会をされた方ですが、この映画に「出演」もされたそうです。はやしだみきさんのブログ「かるい散歩」(http://blog.goo.ne.jp/go2miki/e/4f90f35915b917dd8b7f7b5ed81107de)より。

 ・ビルの屋上にある「握りこぶしのオブジェ」:現実にあるものか、この映画のために作られたものかは不明(たぶん映画用)ですが、このオブジェのことは、原作にも、脚本にも出てきません。映画オリジナルです。

 ・ブロックサイン:本作の中には、えり子とダイゴはブロックサインを使って、まだ同じ相手かどうか確かめ合うシーンがありますが、原作には、それ以前に、エリ子と「大久保ちゃん」がブロックサインでやりとりした(その時もうまくいかなかった)ことが書かれています。【G】

 ・ミルク多めのクリーム・シチュー:まだ体の小さいダイゴのために、成長を促すように、多めのミルクが使われているようです。【G】

 ・ロケ地:東京の練馬区関町北を中心に、青梅街道周辺の住宅地、碑文谷の住宅、三鷹台の公園、調布の商店街、横浜市立西中学校、神奈川の三崎、葉山などで行われたようです。(http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=5477
 haniwa2kさんのブログ「明日忘れる今日のこと」(http://d.hatena.ne.jp/haniwa2k/20060311/1142034638)には、ロケ地(の1つ)が写真&地図つきで紹介されています。

 追記:この映画はロケ地探しをしてみたくさせる作品らしく、getol broba photoさんもチャレンジされたようです(http://photos.yahoo.co.jp/ph/getol_broba_photo/lst?.dir=/69b9&.src=ph&.order=&.view=t&.done=http%3a//photos.yahoo.co.jp/)。

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 ◆原作
 原作と映画の違いは、原作にないシーンが映画の中にいくつかあることです。
 大きなものでは、主人公エリ子が見る夢、それからエビヅカ君ちのシーン。
 とっても印象に残るシーンですが、あれは、映画版での創作だったんですね。
 あと、映画版では「海」なのが、原作では「川」だったり、「家に帰った時にいる叔母さん」も映画オリジナルです。そのほか、クマノイさんが「犬と散歩中に交通事故で死んだ」が原作では「風邪をこじらせて死んだ」となっているなど、細かい相違点はたくさんありますが、基本的には原作に忠実な映画になっています。。

 原作も、現代の日本の中学生が普通に使っていそうな台詞がバンバン入っていて(ヨシギューとかアメショーとか、「そっかあ、そうやって略して使ってんだろうな、今時の中学生は」、と思わされるような単語もあちこちにあって、「ファンタジー」にリアリティーをもたらしていて)、実にいいですね。もちろんストーリーも面白いし(「このミステリがすごい!」のどこかで誰かがこの本をピックアップしていてもいいはずだと思って調べてみましたが、残念ながらそういう人は1人もいませんでした)。

 ◆原作者
 藤野千夜(ふじの ちや)
 1962年福岡県生まれ。
 「午後の時間割」で第14回海燕新人文学賞。
 「おしゃべり怪談」で第20回野間文芸新人賞受賞。
 「夏の約束」で第122回芥川賞受賞。

 【ビブリオグラフィー】
 ・『少年と少女のポルカ』 ベネッセコーポレーション, 1996.3
 ・干刈あがた・他『「海燕」新人文学賞全受賞作品』ベネッセコーポレーション, 1996.10(「午後の時間割」収録)
 ・『おしゃべり怪談』講談社, 1998.9
 ・日本文藝家協会『文学. 1999』講談社, 1999.4(「おしゃべり怪談」収録)
 ・『恋の休日』講談社, 1999.7
 ・『夏の約束』講談社, 2000.2
 ・『少年と少女のポルカ』講談社文庫, 2000.3.
 ・椎名誠・他『東京小説』紀伊國屋書店, 2000.4(「主婦と交番」収録)
 ・齋藤美奈子・他『21世紀文学の創造(7)』岩波書店,2001.11(「日本語とセクシュアリティ」収録)
 ・『おしゃべり怪談』講談社文庫, 2001.12.
 ・『ルート225』理論社, 2002.1
 ・『恋の休日』講談社文庫, 2002.8.
 ・『芥川賞全集. 第18巻』文藝春秋, 2002.10(「夏の約束」収録)
 ・『夏の約束』講談社文庫, 2003.2.
 ・狗飼恭子・他『あのころの宝もの』メディアファクトリー, 2003.3(「アメリカを連れて」収録)
 ・林真理子・他『東京小説』角川文庫, 2003.4. (「主婦と交番」収録)
 ・日本文藝家協会『文学. 2003』講談社, 2003.4(「愛の手紙」収録)
 ・角田光代・他『あの日、「ライ麦畑」に出会った』廣済堂出版,2003.9(「部長とチョコレート」収録)
 ・江國香織・他『ナナイロノコイ』角川春樹事務所, 2003.9(「ビルの中」収録)
 ・『彼女の部屋』講談社, 2003.10
 ・森本美絵・魚喃キリコ・他『15』青幻舎,2004.4(「中等部超能力戦争」収録)
 ・大庭みな子・他『テーマで読み解く日本の文学. 上』小学館, 2004.6(「雄々しい女、めめしい男」収録)
 ・狗飼恭子・他『ありがと。』メディアファクトリー, 2004.10(「アメリカを連れて」収録)
 ・角田光代・他『Teen age』双葉社, 2004.11(「春休みの乱」収録)
 ・『ルート225 』新潮文庫, 2005.1.
 ・『ベジタブルハイツ物語』光文社,2005.4.
 ・大道 珠貴・他『Inside and other short fiction: Japanese Women by Japanese Women インサイド(英文版)』講談社インターナショナル,2006.1.(“Her Room”収録)

 *『夏の約束』や『ルート225』などがフランスやイタリアでも翻訳出版されているようです。

 *TIMEBOOK TOWN(http://www.timebooktown.jp/Service/Clubs/00000000/A/000449/S00001page.asp#999#)では、「彼女の部屋」を電子書籍として読むことができます(入会登録が必要。有料)。

 *エキサイト ブックス 現代作家ガイドの藤野さんの項(http://www.excite.co.jp/book/guide/profile_56.html)を読んで、びっくり。え~っ! 『ルート225』の解説にはそんなこと一言も書いてなかったので(いちいちそんな断り書きをつけて、作品に先入観を与える必要もないのでしょうが)、驚きました!
 そういえば、思い当たることもちらほら(著者近影とか、ペンネーム、プロフィールに抜け落ちている1つの情報、上のビブリオグラフィーの中にある「これは何だろう?」と思わせるタイトルのいくつか、……)。だから、英語圏ではなく、フランスやイタリアで先に紹介されているのかな?本作のエリ子とダイゴの台詞のしなやかさもそんなところからくるのかもしれませんね。この作家に対する興味も俄然沸いてきました。

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 ◆感想をもう少しだけ

 ・著者のことを知ってみると、著者は映画『転校生』が好きで、原作を書くにも『転校生』を思い浮かべたんじゃないかということは容易に想像できます。
 本作が『千と千尋の神隠し』や『ターン』と違うのは、パラレル・ワールドに入るのが、1人ではなく、2人であることで、『千と千尋の神隠し』や『ターン』が「自分探しの物語」になっていくのに対して、本作では、身近にいたはずの2人が、こういうできごとを通じて、意外とお互いを知らなかったことに気づき、知り合って、協力して、事態に対処していく物語になっていきます。
 本作では2人が物理的に旅をするわけではありませんが、「よく知らない同士が、あるところからあるところまで時間を共有し、その間否応なく協力し合い、心を通じさせていく」というのをロード・ムービーの定義とするならば、本作もある種の「ロード・ムービー」と言ってよさそうです。

 ・ルート225の1つの意味が、15(才)ということらしいのですが、よくよく考えてみると、これがわかったようでよくわかりません(笑)。一見して「どういう意味なんだろう」と思わせる面白さがあるから、それはそれでよいのですが。

 ・この作品の公開が昨年だったら、中村監督の新人監督賞や、多部未華子さんの新人賞もあり得たと思うのですが、年度が変わってしまったので、それは難しくなりました。
 映画評論家筋があまりこの映画を観ていないらしかったり、各映画媒体でもあまり取り上げられていないようなので、この映画が各種のベストテン上位に食い込むことは、私がいくら絶賛しても(?)、残念ながら難しい(ほぼ、ない)と思われます。日本プロフェッショナル映画大賞、ヨコハマ映画祭脚本賞あたり、で評価されるかどうかでしょうか。

 (注)シアターN渋谷での上映は、4月14日までのようです。

 *初日舞台挨拶の様子は、「アイトピックス!」(http://itopix.jp/2006_03/mikako_tabe/index.shtml)で観ることができます。

 *「アイドルcheck編集部」オンデマンド放送には、中村監督と佐藤プロデューサーが出演して、映画『ルート225』について、語っています。「あっ!と驚く放送局」3月2日放送分後半(http://tandm.tv/top.html)

  [キャッチ・コピーで選ぶ日本映画 2006年1月~3月]

   ←ワン・クリックどうぞ

 ルート225

この記事へのコメント

2006年03月18日 06:31
ご紹介ありがとうございました。
『ルート225』は面白かったですね。
私も劇場予告編を観て
「これは面白そうだ」
と期待していたのですが、それ以上でした。

多部未華子さんは『理由』で登場シーンは少ないものの強烈なインパクトがあって、それ以来注目しています。
『HINOKIO』での演技も素晴らしかったです。
2006年03月18日 10:25
TBありがとうございました。
熱い思いがビシビシ伝わってきます。
ぼくも多部未華子はスゴいと思います。
『HINOKIO ヒノキオ』のとき、
完全にダマされました。
『青空のゆくえ』もおススメです。
2006年03月19日 07:27
トラックバックありがとうございました。
映画を見て1週間ほどたつんですが、もう、あの2人(エリ子&ダイゴ)にもう一度会いたくて会いたくて…結構本気で、また観にいこっかなー、なんて思ってます。
2006年03月19日 13:18
コメントとTBありがとうございます。
まじまじと読んでしまいました(笑)
ホントにいい作品なんですよね。
一度観て、どっかに見落としたとこがあるかもなぁ~
なんて思えるような一瞬一瞬にスキがないといいますか。。
場面のそれぞれがキラリとしてますよね!
はにわ
2006年03月21日 11:47
あいだが開きましたがTrackbackしました。
昨日は二度目の舞台挨拶に行ってきましたが、20~30分のトークショーで、佐藤プロデューサーもデジカメ片手にうろうろしてました。金曜の舞台挨拶も行こうと思っています。

はてなマップはグーグルマップをはてなで借りてるつくりですが、他のブログポータルで採用してるかは分かりません。
2008年03月21日 16:41
詳細な解説、非常に参考になります。
レンタルで借り、予想外の面白さに、2度ばかり見てしまいました。
多部美香子の演技は、出色ですね。沢尻エリカとは違った意味で、インパクトを感じます。
キツイ表情から笑顔に変わる瞬間が、いいですね。
umikarahajimaru
2008年03月21日 23:36
jinkan mizuhoさま
コメントありがとうございました。
このところすっかりテレビ・ドラマづいて知名度も大幅にアップした多部未華子ですが、テレビ・ドラマで観る多部未華子は何か演技の質が変わってしまったように思いますね。もう少しするとまた変わるのかもしれませんが。
多部未華子主演作では『青空のゆくえ』もおすすめです。

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