死を見つめて フランソワ・オゾン新作『ぼくを葬る』など

画像 既にチラシも出回っているフランソワ・オゾン監督の最新作『ぼくを葬<おく>る』(4月公開予定)は、自分が余命いくばくもないと知った31歳の青年の物語です。
 主人公は、オゾン映画らしく、ゲイなのですが、病名はエイズではなく、ガンです(エイズにしないのにはわけがありますが、“エイズもの”に特化したくなかったということもあるかと思います)。
 物語としては、わかりやすく言ってしまうと、オゾン版『死ぬまでにしたい10のこと』です(この映画のキャッチ・コピーが「余命3ヶ月――。あなたには何が残せますか?」ですから、このくらいのことは明らかにしてもいいと思います)。『死ぬまでにしたい10のこと』に対しては、私は「いったい死というものをどう考えているの?」とちょっと受け入れがたいものを感じましたが、『ぼくを葬<おく>る』に関しては全くそうは感じず、静かな感動を憶えました。理想主義的と言われるかもしれませんが、「こういう死に方」だったらいいですよ。ひょっとすると、主人公が男性か女性かで、どちらが好みか(『死ぬまでにしたい10のこと』か『ぼくを葬<おく>る』か)分かれるかもしれませんが。
 主演は、メルヴィル・プポー(この映画では、ちょっと西島秀俊に雰囲気が似ていました)で、重要な役どころで、『ミュンヘン』にも出演していたヴァレリア・ブルーニ=テデスキが出ています。

 4月公開の『ぼくを葬<おく>る』をここで紹介したのにはわけがあって、今、「死を見つめる映画」がとても多いからですね。自分の死、肉親の死、人間としての死、人を殺した結果としての死……。
 公開中や公開待機中の日本映画の中から、具体的なタイトルを挙げてみると――
 『あおげば尊し』『ベロニカは死ぬことにした』『カミュなんて知らない』『ギミー・ヘブン』『寝ずの番』……、みんなそうですね。
 外国映画まで含めると――
 『死ぬまでにしたい10のこと』をはじめ、『ソン・フレール 兄弟』『みなさん、さようなら』『天国の口、終りの楽園。』……と、これまたズラズラ、タイトルを挙げることができます。広義にとらえると『ミュンヘン』や『ジャーヘッド』なんかもそうした作品の中に入れられるかもしれません。
 今、全世界的に、リアルな死というものに対する実感が希薄になりつつあるから、こうした作品が作られるのでしょうか?

 ところで、『あおげば尊し』は、重松清の短編が原作ですが、このお正月に公開された重松作品に『疾走』がありました。実は、『あおげば尊し』と『疾走』の間に『ぼくを葬<おく>る』を入れることで、3作品が見事にリンクします。それがどういうことかは、ここでは明かしませんが、私が宣伝担当だったら、重松清さんに『ぼくを葬<おく>る』を観てもらって感想をもらうのにな。果たしてこの作品に重松清さんのコメントが出るでしょうか? ちょっと楽しみにしていてもいいかと思います。
 
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