2006年の春は、まずドン・チードルを知ることから始まる。

画像 『オーシャンズ11』や『オーシャンズ12』にも、そういえば出てたかなといった程度の印象だった、ドン・チードル。ブラッド・ピットに、ジョージ・クルーニーに、それからそれから……という豪華キャスト陣の中では、存在感が薄くても仕方ありませんが、そのほかの作品にしたって、パッとすぐ出演作品のタイトルが浮かぶような俳優ではありませんでした。
 ところが、日本ではたまたま公開が重なった、『ホテル・ルワンダ』と『クラッシュ』での彼は、役にピタ~ッとはまっていて、まさにはまり役というかなんと言うか、「うまい」と言うのが憚られるほどうまいんですねえ。『ホテル・ルワンダ』では堂々たる主役であり、群像劇である『クラッシュ』ではほぼ同じくらいの扱いの多数のキャストのうちの1人なんですが、他の出演者に比べて、ドン・チードルってこんなにうまい役者だったのかと思わせてしまうので、やっぱり私にとっては『クラッシュ』もドン・チードルの映画となったのでした。この2本の映画の映画を通して、彼も一躍ハリウッドのトップ・クラスの俳優にも仲間入りしたように見えます。
 そういうわけで、今回はドン・チードルについて調べてみました。

 といっても、同じ『16歳の合衆国』で共演しているミシェル・ウィリアムズに比べて、情報量自体が格段に少ないですね。英語のサイトを見ても、ですが。それがまさにドン・チードルに対する「これまでの注目のされ方の表われ」なのでしょうか。

 【プロフィール】
 1964年11月29日、ミズーリ州カンザス・シティ生まれ。父親は児童心理学者。
 身長は、5’81/2″(1m74cm)。
 幼少期にカンザス・シティを離れ、以後、ネブラスカ州リンカーン、コロラド州デンバーへと移り住む。デンバーでイースト高校を卒業。カルフォルニア・インスティテュート・オブ・ジ・アーツ(通称CalArts)に入学し、芸術修士を獲得。
 在学中に友人のすすめでオーディションを受け始め、「フェーム/青春の旅立ち」(82)に出演。映 画デビューは、ニール・イズラエル監督の『ドライブ・アカデミー/全員免停』(85)。
短期間ではあるが、スタンダップ・コメディーにチャレンジしたこともあるらしい。
 俳優として注目されるきっかけになったのは、カール・フランクリン監督の『青いドレスの女』(95)で、この作品で、LA批評家協会賞助演男優賞、全米批評家協会賞助演男優賞を受賞。
「リバウンド/伝説のストリート・プレイヤー」(96)では弟コリンが、ドン演じるアールの子ども時代を演じている(現在コリンは、デンバーの市役所に勤めている)。
 映画「ローズウッド」(97)で、彼の妻役を演じたブリジッド・コールターと結ばれ、2女をもうける。
 ロブ・コーエン監督の『ラット・パック/シナトラとJFK』(98)で、ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞(シリーズ/ミニ・シリーズ/映画部門)受賞。
準主役級、もしくは重要な役どころを演じることが多い。
 スティーヴン・ソダーバーグやブレット・ラトナー監督作品の常連。
 『ホテル・ルワンダ』(04)での好演が評価され、多数の映画賞で主演男優賞にノミネートされた。『クラッシュ』(04)では製作にも関わった。
 エルモア・レナード原作“Tishomingo Blues”を初監督作品として製作中。現在わかっているのはレナード自身が脚本に関わっていること、マシュー・マコノヒーが共演することくらい。
 『フォーガットン』や『マネートレイン』の監督ジョセフ・ルーベンの“Other Side of Simple”にも出演が決まっている。
 『ホテル・ルワンダ』出演後、2000年に起こった、スーダン北西部ダルフール州でのイスラム教徒による民族浄化(虐殺・略奪・レイプ)に関心を持つようになり、2005年1月には、避難民キャンプを訪問し、虐殺から生き延びた人々と会っている。その旅の報告は、2005年2月7日の“ABC News Nightline”で放送された。
 趣味はサックスを吹くこと、愛車はトヨタのプリウス。


 【フィルムグラフィー】
41.Other Side of Simple (2006 監督ジョセフ・ルーベン)
40.Reign O'er Me (2006 監督Mike Binder)
39.Tishomingo Blues (2006 監督ドン・チードル) .... Robert Taylor役
38.The Dog Problem (2006 監督スコット・カーン) .... Dr. Nourmand役
37.Smokin' Aces (2006監督Joe Carnahan)
36.オーシャンズ12 Ocean's Twelve (2004監督スティーヴン・ソダーバーグ) .... Basher Tarr役
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35.ダイヤモンド・イン・パラダイスAfter the Sunset (2004 監督ブレット・ラトナー) .... Henri Mooré役
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34.ホテル・ルワンダHotel Rwanda (2004 監督テリー・ジョージ) .... Paul Rusesabagina役
33.クラッシュCrash (2004 監督ポール・ハギス) .... Det. Graham Waters役
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32.リチャード・ニクソン暗殺を企てた男The Assassination of Richard Nixon (2004 監督ニルス・ミュラー) .... Bonny Simmons役
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31.16歳の合衆国The United States of Leland (2003 監督マシュー・ライアン・ホーグ) .... Pearl Madison役
30.The Hire: Ticker (2002 監督Joe Carnahan)(短編) .... Passenger役
29."Independent Lens" (2002) TV Series .... ホスト
28.オーシャンズ11Ocean's Eleven (2001監督スティーヴン・ソダーバーグ)[ノー・クレジット] .... Basher Tarr役
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27.ラッシュアワー2Rush Hour 2 (2001 監督ブレット・ラトナー) [ノー・クレジット] .... Kenny役
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26.ソードフィッシュSwordfish (2001 監督ドミニク・セナ) .... Agent J.T. Roberts役
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25.Manic (2001 監督Jordan Melamed) .... Dr. David Monroe役
24.Things Behind the Sun (2001 監督アリソン・アンダース) .... Chuck役
23.トラフィックTraffic (2000監督スティーヴン・ソダーバーグ) .... Montel Gordon役
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22.天使のくれた時間The Family Man (2000監督ブレット・ラトナー) .... Cash役
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21.FAIL SAFE 未知への飛行 Fail Safe (2000 監督スティーヴン・フリアーズ) (TV/テレビ放映のみ) .... Lt. Jimmy Pierce (co-pilot)役
20.ミッション・トゥ・マーズMission to Mars (2000 監督ブライアン・デ・パルマ) .... Luke Graham役
19.A Lesson Before Dying (1999監督Joseph Sargent) (TV) .... Grant Wiggins役
18.ラット・パック/シナトラとJFK The Rat Pack (1998 監督ロブ・コーエン) (TV/テレビ放映のみ) .... Sammy Davis Jr.役
17.アウト・オブ・サイトOut of Sight (1998監督スティーヴン・ソダーバーグ) .... Maurice Miller役
16.ブルワースBulworth (1998 監督ウォーレン・ビーティ) .... L.D.役
15.ブギーナイツBoogie Nights (1997 監督ポール・トーマス・アンダーソン) .... Buck Swope役
14.ボルケーノVolcano (1997 監督ミック・ジャクソン) .... Emmit Reese役
13.ローズウッド(惨劇のローズウッド/自由への脱出)Rosewood (1997 監督ジョン・シングルトン) (ビデオのみ).... Sylvester Carrier役
12.リバウンド/伝説のストリート・プレイヤーRebound: The Legend of Earl 'The Goat' Manigault (1996 エリック・ラ・サール) (TV/ビデオのみ) .... Earl 'The Goat' Manigault役
11.青いドレスの女Devil in a Blue Dress (1995 監督カール・フランクリン) .... Mouse Alexander役
10.デンバーに死す時Things to Do in Denver When You're Dead (1995 監督ゲイリー・フレイダー) .... Rooster役
9.ピケットフェンス"Picket Fences" (1992) TV Series(テレビ放映のみ) .... D.A. John Littleton役 (1993-1995)
8.ラッシュ・ライフLush Life (1993 監督マイケル・エライアス) (TV/ビデオのみ) .... Jack役
7.スーパーヒーロー/メテオマンThe Meteor Man (1993)(ビデオのみ) .... Goldilocks役
6.Roadside Prophets (1992 監督Abbe Wool) .... Happy Days Manager役
5."The Golden Palace" (1992 監督Peter D Beyt & Lex Passaris) TV Series .... Roland Wilson役
4.カラーズ/天使が消えた街Colors (1988 監督デニス・ホッパー) .... Rocket役
3.ハンバーガー・ヒルHamburger Hill (1987 監督ジョン・アーヴィン) .... Pvt. Washburn役
2.Punk (1986 監督カール・フランクリン)(短編)
1.ドライブ・アカデミー/全員免停Moving Violations (1985 監督ニール・イズラエル) .... Juicy Burgers Worker役

その他、ゲスト出演(の一部)
・ER 緊急救命室(9th シーズン)(2002~2003)Paul Nathan役
第8話 初雪 "First Snowfall" (episode # 9.8) 21 November 2002
第7話 痛みに耐えて "Tell Me Where It Hurts" 14 November 2002
第6話 はかない希望 "One Can Only Hope" 7 November 2002
第5話 悲しい運命 "A Hopeless Wound" 31 October 2002
 
・フェーム/青春の旅立ち(1982~87) Henry Lee役
"Losin' It" (episode # 5.23) 17 May 1986
"Henry Lee" in episode: "Choices" (episode # 5.10) 4 January 1986

 *ところどころに日本未公開作がありますが、主演級じゃないのにも拘らず、これだけ出演作が日本で公開されているっていうことは、本人の役の大きさは別として、かなり作品に恵まれている(あるいは出演作を意識的に選んでいる)っていうことですね。


 【ノミネート&受賞歴】
◇『オーシャンズ12』(04)
・BET Comedy Awards最優秀助演男優賞ノミネート(05)
・放送映画批評家協会賞最優秀アンサンブル賞ノミネート(05)
・Image Awards 最優秀助演男優賞映画部門ノミネート(05)

◇『ホテル・ルワンダ』(04)
・アカデミー賞最優秀主演男優賞ノミネート(05)
・Black Reel Awards 最優秀主演男優賞ドラマ部門ノミネート(05)
・放送映画批評家協会賞最優秀主演男優賞ノミネート(05)
・ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞ドラマ部門ノミネート(05)
・Image Awards 最優秀主演男優賞映画部門ノミネート(05)
・MovieGuide Awards Most Inspiring Movie actingノミネート(05)
・Online Film Critics Society Awards 最優秀主演男優賞ノミネート(05)
サテライト・アワード映画ドラマ部門最優秀主演男優賞受賞(04)
・映画俳優組合賞最優秀キャスト賞ノミネート(05)
・映画俳優組合賞最優秀主演男優賞ノミネート(05)

◇『クラッシュ』(04)
・Gotham Awards ベスト・アンサンブル・キャスト賞ノミネート(05)
・Image Awards 最優秀助演男優賞映画部門ノミネート(06)
・インディペンデント・スピリッツ・アワード最優秀作品賞ノミネート(06)
・映画俳優組合賞最優秀キャスト賞ノミネート(06)
・映画俳優組合賞最優秀助演男優賞ノミネート(06)

2004年 サンディエゴ映画批評家協会賞 スペシャル・アワード受賞

◇「ER」(02)
・エミー賞最優秀ゲスト・アクター賞ドラマ・シリーズ部門ノミネート(03)

◇『オーシャンズ11』(01)
・MTVムービー・アワードベスト・オン-スクリーン・チーム賞ノミネート(02)

◇”Things Behind The Sun”(01)
・エミー賞最優秀助演男優賞ミニシリーズ/映画部門ノミネート(02)
・インディペンデント・スピリッツ・アワード最優秀男優賞ノミネート(02)

◇『トラフィック』(00)
Black Reel Awards 最優秀助演男優賞劇場公開作品部門受賞(01)
映画俳優組合賞最優秀キャスト賞受賞(01)

◇“A Lesson Before Dying”(99)
Black Reel Awards 最優秀主演男優賞ネットワーク/ケーブル部門受賞(00)
・エミー賞最優秀主演男優賞ミニシリーズ/映画部門ノミネート(02)
・Image Awards 最優秀助演男優賞テレビ映画/ミニシリーズ/ドラマ・スペシャル部門ノミネート(00)
・サテライト・アワード最優秀主演男優賞ミニシリーズ/映画部門ノミネート(00)

◇「ラット・パック/シナトラとJFK」(98)
・エミー賞最優秀助演男優賞ミニシリーズ/映画部門ノミネート(02)
ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞シリーズ/ミニシリーズ/映画部門受賞(99)
・Image Awards 最優秀主演男優賞テレビ映画/ミニシリーズ部門ノミネート(99)

◇『天使がくれた時間』(00)
・Blockbuster Entertainment Awards 最優秀助演男優賞コメディー/ロマンス部門ノミネート(01)

◇『ブルワース』(98)
・Image Awards 最優秀助演男優賞映画部門ノミネート(99)

◇「ローズウッド」(98)
・Image Awards 最優秀助演男優賞映画部門ノミネート(98)

◇『ブギーナイツ』(97)
フロリダ映画批評家サークル賞ベスト・アンサンブル・キャスト賞受賞(98)
・映画俳優組合賞最優秀キャスト賞ノミネート(98)

◇「リバウンド/伝説のストリート・プレイヤー」(96)
・Image Awards 最優秀主演男優賞テレビ映画/ミニシリーズ部門ノミネート(97)

◇『青いドレスの女』(95)
・Image Awards 最優秀主演男優賞映画部門ノミネート(96)
LA批評家協会賞助演男優賞受賞(95)
全米批評家協会賞最優秀主演男優賞受賞(96)
・映画俳優組合賞最優秀助演男優賞ノミネート(96)

 *こうして見ると、ドン・チードルは、『ホテル・ルアンダ』や『クラッシュ』以前にかなり評価されてきた俳優であることがわかります。

 *ベスト・アンサンブル・キャスト賞にからむ作品(すなわち群像劇)が多いですね。『オーシャンズ11』『オーシャンズ12』『クラッシュ』『トラフィック』『ブギーナイツ』。それは、よく言うと、彼が群像劇の中でもキャラが立つ俳優であるからであり、悪く言うと、群像劇の中に1人くらいは黒人を入れておかないと差別的な映画だと見なされかねないと思う時に、手頃な黒人といって思いつくのがドン・チードルだから、ということなのかもしれません。

 *ここまでのデータは主にIMDbに拠っています。


 【役柄】
 最近の作品や印象的な作品から役柄を書き出してみます。

 『ホテル・ルワンダ』
 ルワンダの高級ホテル(ミル・コリン・ホテル)に勤めていた実在のホテルマン、ポール・ルセサバキナがモデル(ドン・チードルの役名もそのまま)。
 ポールは、フツ族によるツチ族弾圧(そして虐殺)が始まって、経営者であるフランス人たちが去り、否応なくホテルを任される立場になる。ポール自身はフツ族であり、フツ族の活動家はポールにも仲間に加わるよう求めてくるが、自分の妻がツチ族であることもあり、それはできない。妻や妻の家族、ホテルの仲間、近所の住人を救いたいと思ったことが発端となって、ホテルに多くの避難民を匿うことになる。
 正義漢ゆえにヒーローになるのではなく、自分の身近にいる人間を助けようとした結果そうなってしまったということにリアリティがあるし、そうした中で、“敵側”とも交渉しつつ、あらゆる手立てをつかって、ぎりぎりのところで生き延びて次の段階へと進む。困難に直面した人物の内面に起こりうるあらゆる感情や思惑(困惑、あせり、葛藤、落ち着き、冷静さ、祈り、安堵、イチかバチかの賭け、はったり……)を自在に操るがごとくのドン・チードルが素晴らしい。

 『クラッシュ』
 LAPDの刑事グラハム役。同僚の刑事を恋人にし、平気で人種差別的な軽口をたたけるほどのエリート刑事だが、自分の信念を揺るがすような事件と遭遇することになる。家庭にも問題があり、弟は犯罪にも手を染めているらしい。しかし、母が愛するのは、優秀なグラハムの方ではなく、出来の悪い弟の方だった……。
 やはり、様々な状況や相手によって、複雑な内面を表現し分けています。『ホテル・ルワンダ』にはないような、ゆとり、ユーモア、哀しみ、といった感情も……。

 『ダイヤモンド・イン・パラダイス』
 『ホテル・ルワンダ』や『クラッシュ』に比べ、ストーリー的にあまりにも扱いが軽い、こけおどし的なギャング役。前2作を観てからこれを観ると、あまりの落差にショックを受けるかも。まあ俳優としての評価が高まったと言っても、急に芸術志向、社会派志向に向かうわけでもなく、こういう役も楽しんでやる、ということでしょうか。ピアース・ブロスナン、サルマ・ハエック共演。

 『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』
 「孤独なサムが唯一心を許す友人ボニー。黒人である自分の置かれる社会的立場にいらだちを感じながらも必死に生きている彼は自動車修理工という職も持ちささやかながら幸せな家庭を築いている。理知的な現実主義者としてサムを時に厳しく時に暖かく見守る」(劇場パンフより)。

 『オーシャンズ12』『オーシャンズ11』
 爆弾のエキスパート、バシャー・ター役。
 『オーシャンズ12』では、前回儲けた金で音楽業界に打って出るが、自分が唄う歌詞のFワードがなぜ放送されないのか、理解できない。

 『16歳の合衆国』
 矯正施設の教官パール役。殺人を犯して施設に入ってきた少年リーランドの心を開こうとしつつ、自分の尊敬する作家の息子でもあるリーランドが犯した犯罪について興味を持つ。本に書くことをも計算に入れしつつ、彼と親密な接触を持ち、事件の真相に迫ろうとする。

 『ソードフィッシュ』
 サイバー犯罪捜査官ロバーツ役。

 『ミッション・トゥ・マーズ』
 2020年NASAが打ち上げた火星探査機マーズ1号が消息を絶つ。マーズ2号が救出に向かうが、送られてきた映像は生存者がいるらしいことを示すものだった……。
 ドン・チードルは、火星に奇跡的に助かっていたルーク役。

 『トラフィック』
 サンディエゴで、麻薬組織オブレゴン・カルテルを訴訟に持ち込むために、捜査を続けている麻薬取締局のおとり捜査官ゴードン役。

 『天使のくれた時間』 大手金融会社の社長の前に現れて、換金できない宝くじを売りつける男性の役。主人公(ニコラス・ケイジ)は、翌日、「ありえたかもしれない別の未来」にいる自分に気づく。邦題にある「天使」とは、すなわちドン・チードルのこと。

 『アウト・オブ・サイト』
 主人公(ジョージ・クルーニー)の刑務所仲間スヌーピー・ミラー役。主人公が、一度は失敗した盗み、の再挑戦を手伝う。

 『ブルワース』
 ストリート・ギャングのリーダーLD役。

 『ブギーナイツ』
 カントリー好きのポルノ男優。

 『青いドレスの女』 早撃ち自慢の男マウス。ある女性を捜してくれと依頼された主人公(デンゼル・ワシントン)を助けるために駆けつける旧友の役。

 役柄的には、主に3つ。
 ①こわもての男(主人公の敵役)。ステレオタイプの黒人ギャング等。
 ②その裏返しとしての、ちょっと裏の世界も知っていて、そういう意味で頼り甲斐のある男(主人公の友人という役柄が多い)。
 ③刑事など実力で出世することができる職業についていて、知性と理性と正義感を兼ね備えた男。
 最近は③が多いですね。児童心理学者であるという父の血なのか、「心を許して、何でも話したくなってしまいそうな、そんな安心感を与える心やさしき人物」が似合う俳優になってきたような気がします。
 ただ、①に関しても、初期の作品はいざ知らず、「ギャング」であっても、「ギャングの子分」とか「チンピラの1人」などではないというか、帳尻合わせみたいな役ではなく、ちゃんとキャラクターが立っている役を選んで出演しているように感じられます。
 事件や犯罪を扱うドラマやミステリ作品への出演も多く、そうした作品世界で、ひときわ存在感を発揮するようです。
 二面性(例えば、おとり捜査韓とか)や多面性など、複雑な内面を表現できることが認められてきて、俳優としての評価が上がった、と言えるかもしれません。


 【黒人俳優として】
 黒人男優と言って思い浮かぶ名前をざっとタイプ別に分けて書き出していくと、
 ①広範囲のジャンルで活躍できるトップ・クラス:デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン、サミュエル・L・ジャクソン
 ②アクション系:ウィル・スミス、ウェズリー・スナイプス
 ③コメディー系:エディー・マーフィー、クリス・タッカー、マーティン・ローレンス
 ④ドラマ系:ジェイミー・フォックス、ラリー・フィッシュバーン、キューバ・グッディング Jr.、フォレスト・ウィティカー、マイケル・クラーク・ダンカン、ダニー・グローバー
 ⑤その他:アイス・T、マリオ・ヴァン・ピーブルズ……

 この中では、ドン・チードルは明らかに「④ドラマ系」ですが、タイプを度外視してもドン・チードルが与えられるような形で役に理性や知性をもたらすことのできる黒人俳優は、他にはちょっと見当たりません。モーガン・フリーマンは別格として(年齢も上過ぎるし)、あえて言えば、デンゼル・ワシントンですが、デンゼル・ワシントンは既に俳優としてのイメージが出来上がってしまっているし、ちょっと優等生的過ぎますよね。
 要するに、(作品にもよりますが)今のドン・チードルの代わりをやれる黒人俳優はいない、ということです。かといって、①の域まで行くようなポピュラリティーを獲得するのはなかなか難しいと思いますが……。
 映画の中では素晴らしい演技を見せるドン・チードルも、スチール写真で見せる表情はどれもパッとしませんね、残念ながら。それが玉に瑕なのですが、これからもうちょっとなんとかなっていくのでしょうか。


 【ドン・チードルをめぐる人物】
 ・スティーヴン・ソダーバーグ 彼が監督した『アウト・オブ・サイト』『トラフィク』『オーシャンズ11』『オーシャンズ12』に出演。

 ・ブレット・ラトナー 彼が監督した『天使のくれた時間』『ラッシュアワー2』『ダイヤモンド・イン・パラダイス』に出演。

 ・ジョージ・クルーニー 『アウト・オブ・サイト』『オーシャンズ11』『オーシャンズ12』で共演。

 ・エルモア・レナード 彼の原作である『アウト・オブ・サイト』に出演し、“Tishomingo Blues”を監督&主演予定。

 ・スコット・カーン 『オーシャンズ11』『オーシャンズ12』で共演し、彼の第2回監督作品である“The Dog Problem”にも出演予定。このスコット・カーンをはじめ、彼のまわりには、俳優も監督もこなす俳優が数多く存在します(デニス・ホッパー、ウォーレン・ビーティ、ジョージ・クルーニー、ジャッキー・チェン、……)。彼らから触発されるものも多いのかな。

 [キャッチ・コピーで選ぶアメリカ映画 2006年1月-3月]

 [『ホテル・ルワンダ』に関するトリビア]

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この記事へのコメント

micoli 
2008年03月20日 01:45
だれも言っていないけど、トラフィックの
ドン チードル が 一番です。
ちょっと斜に構えてクール。
この映画のなかで一番目立っています。
umikarahajimaru
2008年03月20日 22:21
micollさま
『トラフィック』ですか~。
『トラフィック』は、ドン・チードルを意識してない時期に観た映画なので、見直してみると何か発見があるかもしれませんね。『トラフィック』は、ビデオを持っているので、見直そうと思えば、いつでも見直せるんですが。

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    Excerpt: 2月27日(月)TOHOシネマズ木曽川にて 冬、クリスマスも間近のロサンゼルス。深夜、ロス市警の黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と、同僚でスペイン系の恋人のリア(ジェニファー・エスポジト)は、.. Weblog: 桂木ユミの「日々の記録とコラムみたいなもの」 racked: 2006-03-04 08:54
  • ホテル・ルワンダ

    Excerpt: 映画館で、出演:ドン・チードル/ソフィー・オコネドー/ニック・ノルティ/ホアキン・フェニックス/ジャン・レノ/ハキーム・ケイ=カジーム/デズモンド・デュベ/デイヴィット・オハラ/カーラ・シーモア/ファ.. Weblog: Rohi-ta_site.com racked: 2006-03-10 15:40
  • クラッシュ

    Excerpt: 『クラッシュ』 (2004)CRASH上映時間112分製作国アメリカ ジャンルドラマ/犯罪 「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本で注目を集めたポール・ハギスが脚本に加えて自ら製作と監督も務めた衝撃のヒュ.. Weblog: がちゃのダンジョン 映画&本 racked: 2006-03-20 17:30
  • 「ホテル・ルワンダ」~混迷と冷静さと

    Excerpt: 2004年イギリス/イタリア/南アフリカ監督/テリー・ジョージ出演/ドン・チードル ソフィー・オコネドー ニック・ノルティ    ホアキン・フェニックス ジャン・レノ1994年、アフリカのルワンダでは.. Weblog: お茶の間オレンジシート racked: 2006-03-26 17:31
  • 『クラッシュ』

    Excerpt: 「この世から犯罪をなくす方法は二つ。ひとつは、この世から人間をなくすこと。もうひとつは、刑法などの法律をなくし、『犯罪』という概念をなくすこと」 と同じように、 「この世から差別をなくす方法は二つ.. Weblog: ストーリーの潤い(うるおい) racked: 2006-03-30 05:08
  • 映画「ホテル・ルワンダ」

    Excerpt: 映画「ホテル・ルワンダ」を見ました。これは凄い映画だと思います。2004年に作られた映画なのですが・・、その10年前の1994年。ルワンダの部族間闘争に端を発する大量虐殺事件は、100日間で100万人.. Weblog: システムエンジニアの晴耕雨読 racked: 2006-04-02 19:08
  • 「ホテル・ルワンダ」無力感を持って暖かい家に帰ろう

    Excerpt: 「ホテル・ルワンダ」★★★★ ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ主演 テリー・ジョージ監督、2004年アメリカ ルワンダの内戦 そこでは想像を絶する行為が 行われてい.. Weblog: soramove racked: 2006-04-09 19:03
  • ドン・チードル

    Excerpt: ドン・チードル Weblog: アイドル芸能Shop racked: 2006-04-21 12:56