今や…… 『満里奈の旅ぶくれ―たわわ台湾―』

画像 「なぜ私がここに出てきたのかとお思いの方もいらっしゃると思いますが、本日の司会進行を務めさせていただきます渡辺満里奈です。え~、今日は私も緊張してるんですが……。それではさっそくこの映画の監督をお呼びしましょう。アン・リー監督です」。
 こんな感じの語りとともに渡辺満里奈さんが私の目の前にあるステージ上に登場したのは、2000年7月24日の夜、『グリーン・デスティニー』のマスコミ披露試写会でのことでした。場所は、確か今はなき渋谷パンテオン。その時まで私は全然知らなかったのですが、渡辺満里奈さんて台湾ファンとして一部ではすごく有名だったんですね。

 本書は、その当時彼女が台湾について書いていた文章を集めたもの(を文庫化したもの)です。

 この手の本は、まだ台湾に行ったことのない人に向けて書き手が知っている台湾のことをエッセイ風に書くのか、あるいは既に何度か台湾に行っていて、台湾のことをある程度知っている人に向けて「私が知っている台湾の楽しみ方」を穴場ガイドのような感じで書くのか、ちょっと難しいですよね。万人に向けて基本的情報を余さず漏らさず拾い集めて、どこからでも読めるように編集してあるガイドブックとは違って、あくまでタレント・渡辺満里奈が書く台湾に関する読みものですから。
 だから最初からたくさんの漢字に北京語読みのルビが付され、なじみのない地名や食べ物がばんばん出てくる本書には、かなり抵抗がありました。なんて読みづらいんだろうって。
 ルビは気にせず、無理に一気に読み通そうとせず、雑誌の記事を読む感覚で時間がある時に少しずつ読めばいいんだと、読むコツをつかむまで、ちょっと時間がかかりました。

 本書は、「私の台湾旅行記」のようなものかと思ったら、そうではなくて、見事なまでに「台湾についての食のエッセイ」でした。もう食べまくり飲みまくり。

 台湾の食べ物はしつこくで慣れないと日本人の口には合わないと聞いたことがあるような気もしていましたが、そうではないのかな。映画で言えば、明らかに中国映画よりも台湾映画の方が日本人の感覚には近いのですが。

 私なんか日常生活の中でとにかく腹がふくれればいい(できれば何も食べないでずっとこのままでいられたらいいのにと思うことがあるくらい)というような食生活をしているので、こうした食を楽しむ余裕があって、それを共有できる友人がいる渡辺満里奈さんが羨ましかったですね。
 たくさんの食べ物が出てくる本書の中で、特に私が興味を持ったのは、様々な種類の「お茶うけ」と台湾式かき氷。
茶うけには、日本のようなせんべいや和菓子のようなものではなくて、茶梅、ドライ・フルーツ、ローストした落花生、北京式宮廷菓子なんかが用意されるんだそうです(p107~115。112~113にはカラー写真もあります)。
 かき氷は、氷の上にシロップやミルクをかけただけのものではなく、豆や芋などいろんな種類のトッピングを楽しめるんだそうです。「これだけでも台南による価値あり!」と満里奈さん(p184~187)。へえ~そうなんだ。ほかの食べ物は中国料理の延長線上にあるものだろうくらいな感じでイメージできるんですが、これらは、ちょっと面白そうだし、ちょっと食べてみたいですね。

 そうそう、満里奈さんが台湾に興味を持ったきっかけが映画だったらしく、本書にはいくつか映画のタイトルや役者や監督の名前がでてきます。あっ、そんなシーンをよく覚えているなあという感じで、台湾をよく知る満里奈さんならではの仕方で映画が紹介されています(これだけでもちょっとした台湾ガイドになります)。
 そこで、本書にでてくる映画のタイトルを拾ってみました。

 ・河 p189
 ・恋する惑星 p14
 ・恋人たちの食卓 p105
 ・天使の涙 p14
 ・悲情城市 p98、p124、p126
 ・わすれな草 p131

 最初に戻ると、その日観た映画『グリーン・デスティニー』は出演陣も素晴らしかった(チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、チャン・チャン他)し、武侠映画としてももの凄く面白かったんですけど、ファンは別として、「これ、全国拡大公開して大丈夫なのかなあ」というのが私の最初の印象でした。全国拡大公開するにはかなりマスにアピールしなくてはいけませんから。完成披露試写に、提供がらみのテレビ局のアナウンサーとかではなく、タレントの渡辺渡辺満里奈さんを起用したというのもヒットに向けて、配給会社の意気込みを示したものだったんですが。
 で、やっぱりというかファースト・ランではあまり芳しい客入りではなかったようで、『グリーン・デスティニー』は劇場公開後早々に打ち切られてしまいました。ただ多数の部門でアカデミー賞にノミネート(4部門で受賞)されたので、全国規模で再映されましたが。
 そのアン・リー監督もいまや『ブロークバック・マウンテン』で、アカデミー賞最有力候補と目されるようになっていて、別の作品でチャン・ツィイーも主演女優賞を狙える立場にあるんですからね。『グリーン・デスティニー』から数えて6年。外国語映画賞を取った監督が何年か後に作品賞を取るというのは史上初ではないでしょうか。アン・リー監督自身も監督賞に捲土重来を期すわけですから、そういう意味でも今度のアカデミー賞は楽しみですね。

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 満里奈の旅ぶくれ―たわわ台湾

この記事へのコメント

2006年01月01日 22:42
●明けまして おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
去年は色々とありがとうございました。
今後とも『映画鑑賞&グッズ探求記 映画チラシ』をよろしくお願いいたします。
2006年01月06日 00:39
こんにちは。この本、私も読みました。
本の中のお店もいくつか行ったりしました。そういえば茶芸館で、取材中の満里奈さんに遭遇したこともあったっけ。
台湾は美食天国♪屋台で売っているような何気ないものがおいしくて、自然にグルメになっちゃいます。
私の台湾旅行記事の一部をトラックバックさせてもらいました。かき氷、おいしいですよ~。

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