ハリウッドもようやくその才能に気づき始めた、ミシェル・ウィリアムズ

画像 ヴィム・ヴェンダース監督作品『ランド・オブ・プレンティ』は、9.11から2年と1日たったアメリカが、『ベルリン 天使の詩』で描いたような、生きることの喜びを大声で叫び出したくなるような世界ではなくなっている、とヴェンダースが訴えているような映画でした。正確に言うと、『ベルリン 天使の詩』はアメリカの話ではありませんでしたが、物語自体はどこが舞台でもよかったはずですよね。

 『ランド・オブ・プレンティ』のメッセージ性はどうあれ―この映画を観て自分の考えを改めるような人は、そもそも偏執的な考え方をしない人間なんじゃないんでしょうかとか―、ヴェンダースが主人公に据えたラナの、ナチュラルで、自己主張が強くなく、それでいて、理性的で、知的で、穢れを知らず、作り物ではない善意を感じられるところが非常に魅力的でした。映画『ランド・オブ・プレンティ』の命だったと言ってもいいと思います。

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 このラナ役を演じたのが、ミシェル・ウィリアムズで、アカデミー賞最有力候補である『ブロークバック・マウンテン』にも出演しています。
 『ブロークバック・マウンテン』での彼女の役は、主人公ヒース・レジャーの奥さん役。家族思いで、働き者で、何かと細やかな心遣いをみせる、労働者階級の理想の妻であり、それでいながら、夫には自分たち家族より大事な「男性」がいると知って独り苦しむ役でもあります。
 こんなにかわいらしい、愛すべき奥さんがいるのに夫は……と思わせる物語のキーとなるキャストで、ミシェル・ウィリアムズはこれまた好演してるんですね~。もちろん、ヒース・レジャーや彼の相手役のジェイク・ギレンホールも素晴らしい演技を見せていたのですが、私個人にとっては、ミシェル・ウィリアムズの魅力を再確認できたのが、よかった。この映画での共演をきっかけにして、実生活でもヒース・レジャーと結ばれたというのも、いい話じゃないですか。

画像 ミシェル・ウィリアムズは、『ランド・オブ・プレンティ』での新鮮な印象から、これがほとんど映画初お目見えなのかと思っていたら、実際はそうではありませんでした。これまで私が観た映画の中でも、「ヒロインの女友達」的な役によく起用されていたのでした。彼女は、ミス・コンのクイーンやモデル出身の女優ともタイプが違って、いたって自然で、目立たず騒がず、ヘンな存在感も主張せず、当たり障りがない感じで、まさに「ヒロインの女友達」的な役にぴったりで、そのナチュラルさゆえにこれまではあまり「ヒロイン」には考えられてこなかったようです。まあ、彼女を主役に据えたヴェンダースも凄いし、その期待に応えた彼女も凄いということなのですが……。

 前置きが長くなりましたが、今回は、そういうわけでミシェル・ウィリアムズについて調べてみました。

 本名:Michelle Inglid Williams
 生まれ:モンタナ州カリスペル
 生年月日:1980年9月9日
 家族:父ラリー、母カーラ、妹ペイジ
 身長:1m63cm
 体重:110ポンド(49.9kg)
 目の色:グリーン
 髪:ブロンド
 星座:おとめ座
 趣味:読書、ボクシング鑑賞

 【Biography】
 10歳の時に両親がサンディエゴに引越し、そこのコミュニティー・シアターで役をもらったのが、演技を始めるきっかけ。ほどなくロサンジェルスを行き来して、プロの女優を目指してオーディションを受けるようになる。
 スクリーン・デビューは14歳の時で、『名犬ラッシー』(94)のリメイク版。1995年には、2本のSF、“Timemaster”と『スピーシーズ2/種の起源』に出演。後者では、人間とエイリアンのハイブリッドであるナターシャ・ヘンストリッジの少女時代を演じている。
 女優としての才能が認められ、仕事も殺到し出したので、彼女は早々に自宅学習で学業を修了させ、15歳の時には、独りで暮らすために、法的に親元から独立して、バーバンクに小さなアパートを借りる。
 “Raising Cains”(95)、“My Son Is Innocent”(96)、「鬼教師グリフィン」(97)という3つのテレビ・シリーズに相次いで出演。映画『シークレット/嵐の夜に』(97)ではミシェル・ファイファーの娘を演じた。

画像 1998年には、彼女がブレイクするきっかけとなった、テレビ・シリーズ「ドーソンズ・クリーク」に、ジェニファー・リンドリーの役で出演(98~03)。「ドーソンズ・クリーク」は、思春期にまつわる様々な題材をテーマにした物語で、まず最初は4人の男女の物語としてスタート。ミシェルは、彼女自身の人生を自分の役に反映させているそうです。ちなみに、シリーズ最初の主人公4人のうち、あと3人は、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク、ケイティ・ホームズ(トム・クルーズの現在の奥さん)とジョシュア・ジャクソン。

 映画では、『ハロウィンH20』(98)(シリーズ第1作の20年後という設定で、第1作のヒロインであったジェイミー・リー・カーティスが主演。ジョシュ・ハートネットの映画デビュー作でもある)に出演。続いて、キルスティン・ダンストと共演したコメディー「キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!」(99 日本未公開 監督は『ザ・クラフト』のアンドリュー・フレミング)、ナターシャ・リオンと共演した「GO!GO!チアーズ」(99 日本未公開)に出演。
 2001年には3本の映画に出演(「PERFUME パフューム」『私は「うつ依存症」の女』『ミー・ウィズアウト・ユー』)。『ミー・ウィズアウト・ユー』は、アンナ・フリエルとの共演作で、幼馴染の少女2人の物語。
 2003年に、「ドーソンズ・クリーク」が、ミシェルが演じたジェンの死でシリーズを終了。その後、映画『16歳の合衆国』(03)、“The Station Agent”(03)、“A Hole in One”(04 初めての単独主演)、“Imaginary Heroes”(シガニー・ウィーバー主演)に出演。
 ヴィム・ヴェンダースとは、後に『アメリカ、家族のいる風景』(05)となる作品のオーディションで出会う。おそらくサラ・ポーリーが演じることになった役へのオーディションで、当時ミシェルはこの役には若すぎるのではないかと考えられた。『アメリカ、家族のいる風景』の製作が延期された後、浮上してきた『ランド・オブ・プレンティ』では、ヴェンダースは最初から彼女をイメージして脚本を書いたという。
 このあたりからハリウッドもようやくミシェルの才能に気づき始めたと言われ、“The Baxter”(05)、『ブロークバック・マウンテン』(05)へと続く。
 最新作は、ジュリアン・ゴールドバーガーの“The Hawk Is Dying”(06)

【Filmography】
23.The Hawk Is Dying (2006) .... Betty
22.『ブロークバック・マウンテン』Brokeback Mountain (2005) .... Alma Del Mar
21.The Baxter (2005) .... Cecil Mills
20.『ランド・オブ・プレンティ』Land of Plenty (2004) .... Lana
19.Imaginary Heroes (2004) .... Penny Travis
18.A Hole in One (2004) .... Anna Watson
17.The Station Agent (2003) .... Emily
16.『16歳の合衆国』The United States of Leland (2003) .... Julie Pollard
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15.『ミー・ウィズアウト・ユー』Me Without You (2001) .... Holly
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14.『私は「うつ依存症」の女』Prozac Nation (2001) .... Ruby
13.『Perfume パフューム」Perfume (2001) .... Halley
12.「マン ラブ ウーマン」より「1972」If These Walls Could Talk 2 (2000) (TV) .... Linda
11.「GO!GO!チアーズ」But I'm a Cheerleader (1999) .... Kimberly
10.「キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!」Dick (1999) .... Arlene Lorenzo
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9.『ハロウィンH20』Halloween H20: 20 Years Later (1998) .... Molly Cartwell
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8.「ドーソンズ・クリーク」"Dawson's Creek" (1998~2003) TV シリーズ .... Jennifer 'Jen' Lindley
7.『シークレット/嵐の夜に』A Thousand Acres (1997) .... Pammy
6.「鬼教師グリフィン」Killing Mr. Griffin (1997) (TV) .... Maya
5.My Son Is Innocent (1996) (TV) .... Donna
4.Timemaster (1995) .... Annie
3.『スピーシーズ/種の起源』Species (1995) .... Young 'Sil'
2."Raising Caines" (1995) TV シリーズ .... Trish Caines
1.『名犬ラッシー』Lassie (1994) .... April Porter.

 【舞台】
・1999年5月2日~6月27日 ニューヨークのオフ・ブロードウェイで"Killer Joe"のDottie 役。

・2002年5月 ニューヨークのサミュエル・ベケット劇場でマイク・リーの"Smelling a Rat"に出演(Melanie-Jane役)

・ミュージック・ビデオ"The Comas"に出演。

・2004年1月26日、乳がん研究基金のための一夜限りのイベントで“The Sisters Rosensweig”に出演。

・2004年7月11日~8月22日まで、ウィリアムズタウン劇場で開催された演劇祭で、チェーホフの「桜の園」に出演(ヴァーリャ役)。

 【トリビア】
・1999年に‘Teen People Magazine’が選んだ、「21歳以下で最も熱いスター21人」の1人に選ばれている。

・サンタフェ・クリスチャン・ハイスクールに通った。

・昔の恋人は俳優のドナルド・ラードナー・ウォード(16歳も年上)。

・“Don’t Blink”(まばたきするな)という脚本を書いたことがあり、それは売れたが、製作までには至らなかった。

・希覯本を集めるのが趣味。その中の1つは『華麗なるギャツビー』の初版本。

・シンガーのConer Oberstと付き合っていた時期がある。彼のバンドBright Eyesの曲の何曲かは彼女のことを歌った曲である。

・15歳で高校を卒業している。

・16歳で、‘the Robbins Trading Company World Cup Championship of Futures Trading’の1万ドル~10万ドルの部で優勝している。これはトーナメント史上2番目に高い賞金である。

・“The Comas”のシンガー・ソング・ライター、Andy Herodと2年間付き合っていた。彼の最新アルバム“Conductor”は、彼らの関係とその恋の終わりを歌ったものである。ミシェルは、“The Comas”というミュージック・ビデオにも出演している。

・『私は「うつ依存症」の女』撮影の間、クリスティーナ・リッチとルームメイトだった。
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・彼女には、妹のペイジと、父の連れ子であるジェイソン、ケリー、サラという異母兄弟がいる。

・彼女の父ラリーは卸売業を営んでいて、彼女の母とは離婚している。

・2003年の‘ELLE girl’で大好きな25人のヤング・スター(Favourite Hot, Young, Talented New Stars)の1人に選ばれている。

・彼女の誕生日は、アダム・サンドラーやヒュー・グラントと同じである。

・ミシェルとヒース・レジャーの間には、2005年10月28日にマチルダという女の子が誕生した。

 【受賞歴】
・1998年と1999年 「ドーソン・クリーク」でYoung Star Awardにノミネート。

・1995年、1999年、2000年と、それぞれ「名犬ラッシー」『ハロウィンH20』「キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!」でYoung Artist Awardにノミネート。

・2000年、‘シャロン・ストーン、アン・ヘッシュ、シェールらとともにWomen in Film Lucy Award’を受賞。

・2004年、“The Station Agent”で‘Screen Actors Guild Awards’の最優秀パフォーマンス賞映画部門にノミネート。

・2005年、‘Gotham Award’に『ブロークバック・マウンテン』でベスト・アンサンブル・キャスト賞にノミネート。

・2006年、ゴールデングローブ賞に『ブロークバック・マウンテン』で最優秀助演女優賞にノミネート。

・2006年、米俳優組合賞助演女優賞(『ブロークバック・マウンテン』)ノミネート。

・2006年1月10日、米放送映画批評家協会賞助演女優賞(『ブロークバック・マウンテン』)受賞。

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 ヴィム・ヴェンダースといい、アン・リーといい、アメリカ生まれやアメリカ育ちではない監督(疎外感を身にしみて感じている監督?)の下でこそ、彼女が輝く気がするのは、気のせいでしょうか。

 ちなみに、私の予想では、『ブロークバック・マウンテン』は他のすべての映画賞で作品賞を受賞したとしても、保守的な傾向があるアカデミー賞では作品賞は難しいのではないかと思います。監督賞と主演か助演の男優賞、そのほかのいくつかの賞(脚色、編集、楽曲、作曲など)は受賞できるように思いますが。

 [ミシェル・ウィリアムズへのインタビュー記事]

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この記事へのコメント

2005年12月25日 13:36
TBありがとうございます。
ミシェル・ウィリアムズ、本当に良かったですね。
でも、まだ若いのにこんなに様々な作品に出演しているとは思いませんでした。
トリビアも大変面白かったです。(明日使えるかわからないけど(^_^;))
またよろしくお願いします。
2005年12月25日 14:16
TBありがとうございました。
ミシェル・ウィリアムズの詳細にビックリ&スゴイ情報量ですね!!
平伏ですm(__)m(__)m(__)m
本作に於ける彼女は本当にヨカッタです。
では、またお邪魔します♪
2005年12月25日 22:58
こんばんは、TBありがとうございました。
『ランド・オブ・プレンティ』で、ミシェル・ウィリアムズに魅了されたので、
こちらの詳しい記事には感謝しています。
しかし、結婚していたとは・・・(涙)。
ともあれ、『ブロークバック・マウンテン』の公開を楽しみにしておきます。
2005年12月26日 16:47
TBありがとうございます。
ミシェル・ウィリアムズという女優さんにこの作品で
初めて出会い、癒され魅了されました。
こちらの詳しい記事で今までの経歴演技力に納得致しました。
今後の活躍にますます期待膨らみます。
また勉強しにお邪魔いたします^^



2005年12月26日 19:34
はじめまして。
TBありがとうございます。
私、最近ブログ始めたちょ~初心者なので、お礼が遅れてスミマセンでした。
なにせTBの仕組みも昨日友人に聞いて初めて知ったもので…。
私「ドーソンズ・クリーク」フリークで、特にミシェル・ウィリアムズ演じるジェンが大好きでした。
活躍してくれて、ホント嬉しい。
しかもこんなにミシェルに期待してる人がいっぱいいるって知って更に喜び倍増です。
しかし、スゴイ情報量ですね。
弟子にして下さい。
2006年02月15日 09:36
こんにちは♪
この映画、ラナの存在がものすごく大きかったですよね。
彼女、実生活ではヒース・レジャーと結婚しているんですか?
すごくプレイボーイだという噂ですけど・・(汗)
gooからのTB返しはできるときとできないときがありますが、それでもよろしければ私のブログへのTBを今後ともよろしくお願いいたします。
2006年06月22日 15:35
こんにちは。TBさせていただいたのですが届いておりますでしょうか?
この作品で、ミシェルは髪をダークブラウンに染めていたのがかえって印象的でした。(彼女本来の)ブロンドだと、ラナの知的で控えめなところが弱くなってしまったかもしれないと思いました。素敵な女優さんですね。
2008年10月11日 20:53
ヒースレジャーのファンです。
ミッシェルもヒース似のマチルダも幸福になって欲しいと思います。

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