糸井重里がそのドローイングをコレクションしている、ある映画監督とは?


 東京・渋谷PARCOのLOGOSは、アート系の洋書を揃えているお店で、映画関係のビジュアル本もよく店頭に出るので、けっこう利用させてもらっています。映画『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』公開前後には、ヴィゴ・モーテンセンの画集なんていうのも売られていました。映画のプロモーションで来日したヴィゴ・モーテンセンは、「もっと自分をアピールすればいいのに」なんて映画関係者の間で囁かれていましたが、どちらかといえばあんまり人前に出るのは得意じゃない、それよりは家に籠って絵でも描いている方が好き……というような彼のナイーブな性格が伺われるような画集だったように記憶しています。私は買いませんでしたが。
 それから、青山ブックセンター六本木店もそういう本がよく並びますね。これもここで買った本です。

“DAVID LYNCH” COLECCIÓN IMAGEN22 BANCO EXTERIOR DE ESPANA ISBN 84-7822-061-5

 デイヴィッド・リンチの写真とドローイング、コラージュ作品を集めた作品集で、COLECCIÓN IMAGENというシリーズの1冊です(何故かスペインの出版社の本)。他に取り上げられているのは、ウォーカー・エヴァンスやロバート・フランク、ロバート・キャパ等なので、基本的には写真家の写真集のシリーズのようです。

 リンチの写真は、一見なんていうことはない街の風景の一部を切り取ったようなモノクロ写真ですが、やはりリンチらしいというか、何かいかがわしいことが行なわれていた前後の場所なんじゃないかと思わせるような、どこか見る者を不安にさせる作品が多いですね。

 ドローイング&コラージュは、グレーの絵の具(黒が強め)でキャンバス一面をきれいに塗りつぶした後に、筆(もしくは指?)で幼児のいたずら書きのようなタッチで、人や燃える家(?)、大きな手などを描き込んだものが多く、こちらもちょっと不吉な印象を与えます。‘She Was Crying Just Outside the House’、‘Dreaming of Night Bombing’などとタイトルがつけられていますが、これらからも多少雰囲気は伝わるでしょうか。

 この作品集に収められたドローイング&コラージュ作品は、展覧会として世界を巡回していて、91年1月には東京(と大阪)にもやってきています。リンチも来日して、美術評論家・椹木野衣氏との対談も行ないました。

 この作品集自体は、展覧会当時にはなくて、その後、刊行されたものです。作品には、現在の所蔵者のクレジットもあって、その中にはShigesato Itoiの名もあります。糸井さんは、以前から買って持っていたのか、それともこの展覧会の時に購入されたのでしょうか。けっこういい値段するかもしれませんね。

 私は、この本を92年11月に買っていて、値段は7591円でした。そのくらいの価値はあると思って買ったんですが、やっぱり高いですね。で、もっと残念なことは、その後、この本が『イレi
ザーヘッド』を上映中のシネマライズ渋谷でもっと安く販売されていたこと! トレヴィル刊の『デビッド・リンチ Paintings&Drawings』という本もあって、これは上の展覧会の図録の役割を果たしていますが、写真作品は載っていません。この本も現在は絶版で、2940円だったものが現在中古本市場で3500円くらいの値段で取引されているようです。

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 デイヴィッド・リンチ―映画作家が自身を語る

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