「ぴあ」vs「東京ウォーカー」

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 「Weekly ぴあ」の発売日が木曜日発売に変わってもうすぐ1年になります(昨年の10月28日号から。7年半ぶりの曜日変更で、木曜日発売となるのは、実に12年ぶり)。というわけで、今回は、情報誌の映画館スケジュール・ページについてちょこっと書いてみたいと思います。

 情報誌の情報は正しくて当たり前で、間違っていたら雑誌の信用に関わります。情報の鮮度と正確さを守るために、編集部では大変な努力と厳しいスケジュール管理がなされているはずで、発売日を1日変えることなど、ちょっとした思いつきではできないと思われます。

 「ぴあ」は、情報誌のパイオニアとして、1972年7月に月刊誌として創刊。情報のスピードが加速化する中、それに対応するように1979年7月に隔週刊化されました。その後、1990年3月に、角川書店から「週刊東京ウォーカー」が創刊されると、対抗するように同年11月8日号より「ぴあ」も週刊化し、「weekly ぴあ」となります(この時は、「週刊東京ウォーカー」が火曜日発売で、「weekly ぴあ」が木曜日発売)。データに強い「ぴあ」に対し、「東京ウォーカー」はデートのネタ本的な内容がウケて、“デートのバイブル”とも呼ばれ、部数を伸ばします。後発の「東京ウォーカー」に部数で猛チャージをかけられた「ぴあ」は、1992年11月3日号より「東京ウォーカー」と同じ火曜日発売に変更、1997年3月17日号からは発売日をさらに1日早めて月曜日発売になりました。誌面的にも「東京ウォーカー」を意識してか、データ重視からより読み物を重視するように変わりました。

 それから7年半。いくつもの情報誌が創刊され、いくつかの情報誌が廃刊に追い込まれる中、「ぴあ」と「東京ウォーカー」はそれぞれ姉妹誌を創刊させつつも、本誌自体の対決は安定期を迎えたように見えました。しかし、その陰では、劇的な変化が起こっています。それは、シネマ・コンプレックスの大躍進です。
 シネコンでは、ヒット作は上映スクリーン数を増やし、不入りの作品はどんどん打ち切っていくので、タイム・スケジュールもどんどん変わります。それを情報誌では追いきれないのですね。最後の月曜日発売号となった昨年の10月18日号の「Weekly ぴあ」では、情報が掲載されている関東215館726スクリーンのうち、実に82館419スクリーンのタイム・スケジュールが「時間は直接劇場へ」となっています(劇場によっては一部の作品のみタイム・スケジュールが載っている場合もあります)。タイム・スケジュールは携帯電話やパソコン、電話案内などで調べればよいと言っても、これでは情報誌として十分とは言えないし、実際、随分と不便な思いをさせられました(その辺のことをシネコン・サイドではどう考えていたのでしょう?)。事情は「東京ウォーカー」でも同じです。

 その点を改善したのが、木曜日発売となった「ぴあ」です。依然として9館25スクリーンについては「時間は直接劇場へ」となっていたものの(当時)、木曜日発売とすることで、これまで掲載されていなかった約70館400スクリーンのタイム・スケジュールの掲載を成し遂げたわけです(その代わりこれまでの20日間の情報掲載は、情報の精度を上げる目的もあってか、2つの週末を含む11日間掲載に変わりました)。
 一方、ライバルの「東京ウォーカー」は、昨年の4月20日号をもって、隔週刊化し、「新東京ウォーカー」と誌名も変えました(部数低迷ゆえかもしれませんが、大部分の読者が2週間に1回くらいしか買わないのであれば、最初から隔週刊でもいいということなのかもしれません)。隔週刊では、これまで以上にシネコンのタイム・スケジュールは追い切れませんから、それに関してはすっかり白旗を揚げた形です。
 もっとも「ぴあ」の映画欄が雑誌の冒頭にあるのに対して、「東京ウォーカー」のそれは雑誌の後半にあって、誌面の中での重要度はかなり低いのかもしれません。シネコンは、定員入替制だから満員のために目的の作品が観られず、別の作品を観ることになるという場合もあるし、近くのシネコンに行って、ちょうどいい時間に始まるヒット作品を観るというのが、シネコン時代の映画の見方(=「東京ウォーカー」流のデートの仕方?)なのかもしれません。もしそうなら、シネコンのタイム・スケジュールが載っている、載っていないはさほど重要なことではないということにもなります(ネットのMovie Walkerで最新上映スケジュールは調べることはできますが)。
昨年の両誌の誌面刷新は、全く逆方向に、それぞれの雑誌の性格(“データに強い”「ぴあ」と“デートに使える”「東京ウォーカー」)を進めた形になりました。誌面刷新から1年。さて、どちらに軍配が上がったと言えるでしょうか。

 ちなみに、9月現在、映画館スケジュール表でそれぞれに記載されている映画館数およびスクリーン数は、
「weekly ぴあ」 210館802スクリーン うちタイム・スケジュールが載っていないのは23館68スクリーン
「新東京ウォーカー」 147館505スクリーン うちタイム・スケジュールが載っていないのは44館311スクリーン

 ※同じ建物に入っている映画館を1つの映画館と数えるか、別の映画館とみなすかは、「weeklyぴあ」と「新東京ウォーカー」では異なります。発売号によってタイム・スケジュールが載ったり載らなかったりすることもあるようです。

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