好きが高じてこうなりました

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 ジャン=リュック・ゴダール最新作『アワーミュージック』(04)の配給会社はプレノン・アッシュというところです。
 社名のプレノン・アッシュは、ゴダールの『カルメンという名の女』(83)の原題PRENOM CARMENへのオマージュになっていますから、ゴダールに対する思いには並々ならぬものがあるということでしょう。プレノン・アッシュ(PRENOM H)とは、「Hという名の女」ということで、Hはプレノン・アッシュ代表取締役の篠原弘子さんのイニシャルHを指しています。
 『愛の世紀』(01)に続き、プレノン・アッシュとしては2本目のゴダール監督作品になります。
 篠原さんにはブログもありますが、篠原さんの作品に対する熱意はそこを読むだけでも十分に伝わってきます。

 プレノン・アッシュのように、社名が映画へのオマージュになっている配給会社はいくつかあります。

 プレノン・アッシュと同じく、ゴダール作品の配給を手がけているザジ フィルムズの社名は、当然ルイ・マル監督の『地下鉄のザジ』(60)から採っています。
 ザジ フィルムズは、旧作を新しくリバイバルさせるのを得意にしている会社ですから、いずれ『地下鉄のザジ』もリバイバル上映してくれるかもしれませんね。

 ところで、今年は、ルイ・マル没後10年でした。没後10年の記念上映会があってもいいと思ったのですが、日本では今のところそういう予定は聞きません。ヨーロッパではどうだったのでしょう? ヨーロッパでそういうことがあれば日本でも、ということになりやすいのですが。
 2003年には、フランソワ・トリュフォーの監督作品がまとめて観られる機会がありましたが、次は是非ルイ・マル監督レトロスペクティヴをお願いしたいですね(一番最近の上映でも、1999年に『地下鉄のザジ』と『死刑台のエレベーター』(57)が2週間ずつレイトショー公開されたことくらいでしょうか)。個人的には、私は、ヌーヴェルヴァーグの監督たちの中でルイ・マルが一番好きです。

 現在『Nothing』(03)が公開中のクロックワークスは、スタンリー・キューブリック監督作品『時計じかけのオレンジ』(A CLOCKWORK ORANGE)へのオマージュで、CLOCKWORKのKをXに変えて、社名にしてあります。
 代表取締役の酒匂暢彦さんにお話を伺う機会がありましたが、スタンリー・キューブリック監督作品自体が好きで、いつかうちでもキューブリック作品がやれたらいいねという気持ちもあるけれど、『時計じかけのオレンジ』の持つパンクの精神、すなわち、「既成の観念をどんどん壊したい」という思いもあって、この社名にしたそうです。
配給作品のラインナップには、セックス・ピストルズに関するドキュメンタリー『NO FUTURE』(99)がありますが、『NO FUTURE』には、パンクへの感謝への気持ちもあって、だからどうしてもやりたかった作品だったのだそうです。

 配給会社ケイブルホーグの社名は、サム・ペキンパー監督作品『砂漠の流れ者 ケーブル・ホーグのバラード』(THE BALLAD OF CABLE HOGUE)(70)から採られています。
 ケイブルホーグ代表取締役根岸邦明さんのペキンパー好きは有名な話ですが、『砂漠の流れ者』は初公開当時2本立てのうちの1本で、しかも2週間ぐらいで打ち切りという悲惨な結果になったため、根岸さんは、配給会社を作ったら、いつかきちんとした形でこの作品を紹介したいと思ったそうです。社名には、(「ケーブル・ホーグ」を「ケイブルホーグ」に変えてありますが、)そういう決意も込められているのですね。
 ケイブルホーグの設立は83年で、日本ヘラルド映画配給で『ケーブル・ホーグのバラード』のリバイバルが実現したのが91年(シネセゾン渋谷でレイトショー)。この際、ケイブルホーグは「協力」として配給に関わり、この映画の撮影日誌のような本『遙かなるサム・ペキンパー』の編集も担当しています。この当時、根岸さんは「これでひと区切りついたように思います」と語っていました。
 98年には、念願だったペキンパー監督作品、『ワイルド バンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット』(69)とその製作ドキュメントである『ワイルド バンチ/アルバム・イン・モンタージュ』(96)の配給を、自社配給で実現させています。
 で、今、ケイブルホーグのホームページを調べてみたら、開くことができなくなっています。活動休止中なのでしょうか? 80年代前半に設立された配給会社がみな転機を迎えているようで、ちょっと心配です。
 最近、『スウィート・スウィートバック』や『フリークス』やフリッツ・ラング監督作品、カレル・ゼマン監督作品など、かつてケイブルホーグが手がけた作品ばかりがリバイバルされて、まさに「時代はケイブルホーグ」という感じなのですが。

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