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zoom RSS 大杉漣による、大杉漣のための、ベルリン国際映画祭2018!

<<   作成日時 : 2018/02/24 07:43   >>

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 『フォーラム部門』
 ◆ピンク・トリビュート・トゥ・佐藤啓子(A Pink Tribute to Keiko Sato)
 ・『変態家族 兄貴の嫁さん』“Abnormal Family”(1984/日) 監督:周防正行

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 偶然とか、運命とか。

 私が初めて『変態家族 兄貴の嫁さん』を観たのは、大井武蔵野館で第一回周防正行映画祭が開催された時でした。その時のプログラムは『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984)と『ファンシイダンス』(1989)と『シコふんじゃった。』(1992)の3本立て。当時のチラシには―

「★日本映画の伝統を背負って立つ、とまで言ってもいい周防(すおう)正行監督。今はまだ新人扱いだが、あと30年もしたら、世界中で「周防正行映画祭」は恒例行事になっているはず。だからそれに先がけて、まずは監督の地元ニッポンで、と意気込んでの「“第一回”周防正行映画祭」。小津映画のSEX、アイドルのスキンヘッド、アイドルのケツ、と今までにないものを見せるアイデアもさることながら、それは単なる導入部。センスだけに留まらない腰のすわった演出によって紡ぎ出されて来るのは、何度観ても飽きない、いや観る程におもしろいという普遍的な力に満ちた豊潤な世界だ。」

 とあります。
 それは、1992年のことで、『シコふんじゃった。』がヒットした同じ年の5月に開催されていて、初日の5月4日には、監督を招いて、鈴村たけし(ヨコハマ映画祭代表)を聞き手とするトークイベントも行なわれたのでした。
 「(この映画祭のために)会社に内緒で『変態家族 兄貴の嫁さん』のニュープリント作っちゃったんですよ」などという爆弾発言があったりして、トークも面白かったですね。本当に会社に内緒だったのかどうかはわからないけれど、きれいなプリントだった記憶があります。

 ピンク映画にもいろいろ傑作と言われる作品がある中で、『変態家族 兄貴の嫁さん』は、そこまでは届かないながらも、ピンク映画で“小津”をやってる珍作として、そしてもちろん周防正行の監督デビュー作として、それから33歳の大杉漣がおじいさんの役(というか笠智衆の役)をやっている映画として、映画好きなら観ておくべき1本になっています。

 Wikipediaによると、大杉漣(この項、敬称略)は1988年にピンク映画から足を洗ったらしく、『変態家族 兄貴の嫁さん』はその前のピンク映画時代の(代表作の)1本であり、周防正行映画祭が開かれた1992年当時は、たくさんのオリジナル・ビデオや一般映画に出ていた時代で、個人的には「『変態家族 兄貴の嫁さん』に出ていた大杉漣」の顔と名前が一致していった時代ということになります。『無能の人』(1991)とか『地獄の警備員』(1992)とかあったけど、転機となったのはたぶん1993年の『ソナチネ』で、脇役ながら『ソナチネ』以降、大きくブレイクしていったという印象があります。

 だから、大杉漣がブレイクするのをリアルタイムで観ていったというつもりがあるし、その起点となった映画『変態家族 兄貴の嫁さん』が、ベルリン国際映画祭で2回上映されるうち、1回目の上映(2月19日)と2回目の上映(2月25日)の間に亡くなってしまうなんて、ショックだったし、なんというタイミングなんだって思ってしまいます。

 テレビ番組で、大杉漣の出演作として『変態家族 兄貴の嫁さん』が紹介されることはないし、それがちょうどこのタイミングでベルリン国際映画祭で上映されることを紹介するメディアもないけれど、もっと多くの人に知ってほしいと思いますね。といっても、初回の上映はソールドアウトだったんですけどね。

 ※周防正行特集や、ピンク映画の大きな特集は、これまで国外でもいくつか行なわれていたように思いますが、その中に『変態家族 兄貴の嫁さん』が入っていたかどうかははっきりしません。少なくともIMDbでの国外での上映の記録には、今回のベルリン国際映画祭しか載っていません。

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 今回のベルリン国際映画祭は、いろんな偶然が重なったラインナップになっていました。

 ・『変態家族 兄貴の嫁さん』がフォーラム部門で上映されて、ベルリナーレ・クラシックス部門では小津安二郎の『東京暮色』が4K DCP デジタル修復版で上映されること。
 ※シネマトゥデイによると、『変態家族 兄貴の嫁さん』も4Kで上映されるって書いてあるけど本当でしょうか? 映画祭の公式サイトには、『東京暮色』には4Kっていう記載があるけど、『変態家族 兄貴の嫁さん』には何も書いてないけどな。(https://www.cinematoday.jp/news/N0098160

 ・(ひょっとするとまだあるかもしれないけど)大杉漣の最後の劇場公開作品『予兆 散歩する侵略者 劇場版』がパノラマ部門で上映されたこと。

 ・『予兆 散歩する侵略者 劇場版』は、黒沢清監督の作品だけれど、黒沢清監督の教え子である清原惟監督の監督デビュー作『わたしたちの家』が、フォーラム部門でインターナショナル・プレミアされたこと。

 ・第39回ぴあフィルムフェスティバル(2017)で、『わたしたちの家』と同じプログラムHで上映された山中瑶子監督の『あみこ』が、同じくフォーラム部門でインターナショナル・プレミアされたこと。

 こんなにいろいろ重なることあるかなあ。

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 大杉さんとは、面識はないけれど、近くですれ違ったことがあります。

 それは、渋谷公会堂で2004年に開かれた『THE GOLDEN CUPS MAXIMUM R&B LIVE 2004』の時で、どうやら普通に観客として来場されていたようでした。

 その年は、映画『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』が公開された年で、『THE GOLDEN CUPS MAXIMUM R&B LIVE 2004』は、映画公開記念も兼ねた1日限りの復活ライヴと銘打っていたような気がします。

 映画『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』は、アルタミラピクチャーズの製作配給作品で、アルタミラピクチャーズは、大杉さんとも関係が深い周防正行監督が設立に関わった会社であり(現・専務取締役)、フォークソングが好きでライヴも行なっていた大杉さんのライヴDVD『FURIDASHI LIVE!』(2007)をアルタミラミュージックからリリースしています。

 思い返せば、ザ・ゴールデン・カップスのリーダー、デイヴ平尾は2008年に心不全で亡くなり、
 『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』に出演し、『THE GOLDEN CUPS MAXIMUM R&B LIVE 2004』にもゲスト出演していた忌野清志郎も2009年に亡くなり、
 渋谷公会堂も2015年10月に閉館しています。
 名画座最後の砦と自称していた大井武蔵野館は、1999年1月31日に閉館しています。

 そして今また大杉さんも……。

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 そんなわけで、残り1回の『変態家族 兄貴の嫁さん』は、盛り上がってほしいなと思いつつ、そんな大げさに取り上げるものでもないかなとも思ったり。

 ソールドアウトになったという1回目の上映に関してのツイートは、2件だけです。


 ・‏Hind Mezaina:‏Masayuki Suo’s Abnormal Family, his debut feature from 1984, described as a “bawdy pastiche of the works of Yasujiro Ozu”. It’s quite funny and was quite fun watching it at a sold out screening. #Berlinale #Berlinale2018

 ・rike b schuppner :Maybe I was a bit naive but I had not expected ‘Abnormal family’ to be a somewhat ‘proper’ porn movie. And I had to watch it till the end. #berlinale

 う〜ん、ちょっと寂しい。

 普通に考えたら、周防正行のデビュー作であるピンク映画であることと、小津へのオマージュ作品であることがポイントではあるんですが、それは映画祭の作品紹介にも書いてあることだしねえ。

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 2回目の上映が終わってから、反響を見て、記事にするか考えようとも思ったんですが、それだと映画祭が終わっちゃうし、『変態家族 兄貴の嫁さん』のことも、ベルリン国際映画祭で上映されることも知らない人が多いかなと思って、上映前に記事にしてみました。

 *参考
 ・ピンク映画と国映・佐藤啓子専務:http://d.hatena.ne.jp/urbansea/20081025/1224924052

 *要確認
 ・大杉漣さんの生年が、Wikipediaだと1951年と書かれていますが、allcinemaでは1957年になっています。どうもallcinemaの間違いであるようですが、関係者の方々、ご確認の上、すみやかに訂正をお願いします。
 [追記]
 早々に訂正されました。ありがとうございました。

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 *当ブログ記事

 ・ベルリン国際映画祭2018 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201801/article_67.html
 ・ベルリン国際映画祭2018 コンペティション部門追加作品 +傾向と予想!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_18.html
 ・ベルリン国際映画祭2018 ベルリナーレ・スペシャル、パノラマ部門、フォーラム部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_33.html
 ・ベルリン国際映画祭2018 ジェネレーション部門、パースペクティヴ・ドイツ映画部門、短編コンペティション部門、NATIVe部門、カリナリー・シネマ部門、レトロスペクティヴ、クラシックス、オマージュ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_34.html

 ・ベルリン国際映画祭2018 日本映画上映スケジュール:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_35.html

 ・ベルリン国際映画祭2018 コンペティション部門 星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_37.html

 ・シューティング・スター2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_40.html

 ・『犬ヶ島』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_36.html
 ・『リバーズ・エッジ』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_38.html
 ・『東京暮色』 4K DCP デジタル修復版ワールド・プレミア in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_43.html
 ・『予兆 散歩する侵略者 劇場版』 in ベルリン国際映画祭2018: http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_49.html
 ・『わたしたちの家』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_51.html
 ・“Human, Space, Time and Human” in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_52.html
 ・『Blue Wind Blows』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_53.html
 ・『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_54.html
 ・『あみこ』 in ベルリン国際映画祭2018:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_55.html
 ・『ラーメン・テー』 in ベルリン国際映画祭2018;http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_58.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2017年12月〜2018年3月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201712/article_47.html

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