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zoom RSS ベルリン国際映画祭2018 コンペティション部門追加作品 +傾向と予想!

<<   作成日時 : 2018/02/07 23:29   >>

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 第68回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門の最後の1本が発表されました。

 ・“Utøya 22. juli (U - July 22)”(ノルウェー) 監督:エリック・ポッペ [ワールド・プレミア]
 出演:Andrea Berntzen、Aleksander Holmen、Brede Fristad、Elli Rhiannon Müller Osbourne、Solveig Koløen Birkeland、Sorosh Sadat、Ada Eide
 物語:2011年7月11日、ノルウェー史上最悪の連続テロ事件が起こる。犯人はアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(1979- )で、反移民、反イスラムの思想を持ち、当日、オスロ政府庁舎で爆破事件を仕かけ(8人死亡)、さらに、移民受け入れを推進していたノルウェー労働党青年部約700人が集会を行なっていたオスロ近郊のウトヤ島で銃乱射事件を起こして、69人を殺害した(併せて77人が死亡。単独犯による短時間での大量殺人としては、世界最多)。「ブレイビクはタクシーでウトヤ島の近くまで行った後に警察官の制服を着てボートで島に上陸し、爆破テロ捜査を口実に参加者を整列させ、午後5時頃より銃を乱射」。「確実に殺せるよう各人に2発ずつ撃ち込んで殺していった」(Wikipedia)、という。ブレイビクは、乱射事件直後に逮捕され、2012年8月、禁錮最低10年、最長21年の判決が下された(ノルウェーにおける最高の刑)。
 エリック・ポッペは、ノルウェー連続テロ事件という難しい題材を取り上げるに当たって、ブレイビクの心理を描くことも、裁判を追うこともせず、当日、島にいた若者たちに焦点を当てることにした。そして、ポッペと脚本家たちで事件の生還者の多くに話を聞き、テロから生き延びようとするKaja(18)という主人公を作り上げた。
 完成までに3年の歳月をかけた。

 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門参加は初めて。
 2017年 『ヒトラーに屈しなかった国王』:ベルリン(パノラマ部門)

画像

 ※全審査員も発表になりました。
 トム・ティクヴァ(審査員長)、セシル・ド・フランス、Chema Prado(スペインの映画人。約30年スペイン・シネマテークのディレクターを務めた)、アデル・ロマンスキー(『アメリカン・スナイパー』や『ムーンライト』のプロデューサー)、坂本龍一、Stephanie Zacharek(TIMEの映画批評家)

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 【コンペティション部門選出作品の傾向性】

 【選出された国や地域】

 ・イギリス、アイルランド、ポルトガル、オランダ、ルーマニア以外のバルカン諸国、アイスランド、デンマーク、フィンランド、イラン以外の中東諸国、南アジア、フィリピン以外の東南アジア諸国、台湾、香港、中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、パラグアイ以外の南米諸国、アフリカからの選出はありませんでした。

 ・前回選出があった、イギリス、ポルトガル、オーストリア、ハンガリー、フィンランド、中国、韓国、日本、ブラジル、チリ、セネガルからの選出はありませんでした。(一部の国を除き、前回選出があった国からはなるべく選ばないようにしているようです。)

 ・ベネチア国際映画祭2017のコンペティション部門で選出されたイギリス、レバノン、イスラエル、中国、日本、オーストラリアからの選出はありませんでした。

 ・アメリカからの選出は3本でした。(前回は1本)

 ・ポーランドとルーマニアからは、2年連続で選出されました。

 ・フランス資本の入った作品は6本(前回は5本、前々回は7本)。

 ・アメリカ資本の入った作品は3本(前回は2本)。

 ・ドイツ資本の入った作品は8本(前回は9本)。

 【監督の受賞歴・出品歴】

 ・初監督作品:Adina Pintilie、Marcelo Martinessi、ネイサン・ゼルナー

 ・3大映画祭コンペティション部門初参加:Thomas Stuber、エミリー・アテフ、Måns Månsson&Axel Petersén、デイヴィッド・ゼルナー&ネイサン・ゼルナー、アロンソ・ルイズィパラシオス

 ・金熊賞受賞:−

 ・ベルリン国際映画祭 審査員グランプリ:ウェス・アンダーソン

 ・ベルリン国際映画祭 監督賞:クリスティアン・ペツォールト、マウゴシュカ・シュモフスカ

 ・パルムドール受賞:ガス・ヴァン・サント

 ・金獅子賞:ラヴ・ディアス

 ・第2監督長編:ラウラ・ビスプリ、アロンソ・ルイズィパラシオス

 ・第3監督長編:フィリップ・グレーニング、Thomas Stuber

 ・第4監督長編:−

 ・第5監督長編:エミリー・アテフ、マウゴシュカ・シュモフスカ、アレクセイ・ゲルマン Jr.

 ・カンヌ国際映画祭60周年記念作品『それぞれのシネマ』(2007)参加:ガス・ヴァン・サント

 ・ベネチア国際映画祭70周年記念作品“Venice 70: Future Reloaded”(2013)参加:ブノワ・ジャコー、アレクセイ・ゲルマン Jr.、ラヴ・ディアス

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 【受賞結果の傾向性】

 審査員の顔ぶれ、審査方針、コンペティション部門のラインナップ、その年々の映画祭の雰囲気や意向などによって、受賞結果は変わってきますが、ここでは個々の作品の属性(主に監督)のみに限定して、傾向性を書き出すことにします。

 ◆作品賞(金熊賞)
 ・2017年:イルディゴ・エンエディ(ハンガリー) 第7作 ←1989:カンヌ=カメラ・ドール
 ・2016:ジャンフランコ・ロージ(伊) 第5作 ←2013:ベネチア=金獅子賞
 ・2015:ジャファール・パナヒ(イラン) 第8作 ←2013:ベルリン=脚本賞、2011年:カンヌ=黄金の馬車賞、2006年:ベルリン=審査員グランプリ、2000:ベネチア=金獅子賞、1995:カンヌ=カメラ・ドール
 ・2014:ディアオ・イーナン(中) 第3作
 ・2013:カリン・ピーター・メッツァー(ルーマニア) 第3作
 ・2012:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ(伊) 第18作 ←1986:ベネチア=生涯金獅子賞、1982:カンヌ=審査員特別グランプリ、1977:カンヌ=パルムドール
 ・2011:アスガー・ファルハディ(イラン) 第5作 ←2009:ベルリン=監督賞
 ・2010:セミフ・カプランオール(トルコ) 第5作
 ・2009:クラウディア・リョサ(ペルー) 第2作
 ・2008:ジョゼ・パジーリャ(ブラジル) 第2作
 ・2007:ワン・チュアンアン(中) 第3作
 ・2006:ヤスミラ・ジュバニッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ) 初長編?
 ・2005:Mark Dornford-May(南ア) 第1作
 ・2004:ファティ・アキン(独・トルコ) 第5作 →2007:カンヌ=脚本賞
 ・2003:マイケル・ウィンターボトム(英) 第12作 →2006:ベルリン=監督賞
 ・2002:宮崎駿(日) 第8作
 同:ポール・グリーングラス(英) 第3作
 ・2001:パトリス・シェロー(英・仏) 第9作 ←1994:カンヌ=審査員賞
 ・2000:ポール・トーマス・アンダーソン(米) 第3作 →2002:カンヌ=監督賞、2008:ベルリン=監督賞、2012:ベネチア=銀獅子賞(監督賞)

 ※本数は、数え方によって違いが出る場合があります。

 ・2001年以降、アメリカ映画からは金熊賞が出ていない。90年代以前はアメリカ映画が受賞することが多かったが、すっかり途絶えている。(カンヌやベネチアに比べても顕著。)

 ・2004年以降、英語作品からの金熊賞が出ていない。

 ・80年代はドイツ映画が頻繁に受賞していたが、1987年以降、過去30年間で金熊賞を受賞したドイツ映画はファティ・アキンの『愛よりも強く』しかない。

 ・約1/3がアジア映画。

 ・第5作までの受賞するケースがほとんど。

 ・初監督作品で受賞する例は稀だが、カンヌやベネチアでの実績がない監督が受賞するケースが多い。

 ◆審査員グランプリ(銀熊賞)

 ポジション的には、金熊賞に次ぐ作品に与えられる賞でありながら、第2作くらいの未知の監督作品、前作や前々作が話題になった若手監督の最新作などが選ばれたりもしていて、賞の立ち位置がちょっとわからないところがある。日本で劇場公開されないということも少なからずある。(何か賞をあげたい作品の、落としどころになっているような賞なのかもしれない。)

 ・2010年以降は、外国語映画賞各国代表に選ばれるような作品が選ばれている。

 ◆監督賞

 ・金熊賞とは違い、近年でも、ヨーロッパ映画やアメリカ映画から普通に受賞者が出ている。むしろヨーロッパやアメリカの監督が受賞することが多い。

 ・あまり知られていない監督が受賞することは多くはなく、ベテラン監督が受賞することも多い。

 ・ベルリン国際映画祭で、受賞実績のある作品の監督が受賞することも普通にある。(パトリス・シェロー、マイケル・ウィンターボトム、ポール・トーマス・アンダーソンなど)

 ・サタジット・レイ(1964、1965)、カルロス・サウラ(1966、1968)、マリオ・モニチェリ(1957、1976、1982)、リチャード・リンクレイター(1995、2014)は、複数回受賞している。

 ・60年の歴史の中で、アジアの監督で受賞しているのは、今井正、黒澤明、サタジット・レイ、アン・リー、リン・チェンシン、キム・ギドクしかいない。(「アジア」をより広域にとらえると、+ヨセフ・シダー、オタール・イオセリアーニ)

 ・これまで2度受賞したのは、アン・リーのみ(『ウェディング・バンケット』『いつか晴れた日に』)。

 ◆男優賞

 ・50年代半ば〜60年代半ば、80年代〜00年代半ばまでアメリカの男優が受賞することが多い。特に1962〜65、1993〜98は連続して受賞している。

 ・2009年以降、すべて異なる国から受賞者が出ている(ブルキナファソ、ロシア、イラン、デンマーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、中国、イギリス、チュニジア、ドイツ)。2001年以降で、2回以上選ばれている国はアメリカとイランしかない。

 ・かつては、よく知られている男優が選ばれていたが、近年はほとんど知られていない男優が選ばれることが多い。

 ・日本人が受賞したことはない。

 ◆女優賞

 ・男優賞に比べると、知名度のある女優が選ばれている。

 ・ドイツやアメリカからの受賞がやや多い。

 ・日本からは、1964年に左幸子、1975年に田中絹代、2010年に寺島しのぶ、2014年に黒木華が受賞している。

 ・この10年は、ほぼ異なる国から受賞者が出ている。(日本とイギリスのみ2回受賞。他は、ドイツ、イギリス、オーストリア、イラン、カナダ(コンゴ)、チリ、デンマーク、韓国)

 ・米国アカデミー賞ノミネーションにつながることが多い。(これまでで13人)

 ・シャーリー・マクレーンのみ2回受賞している(『恋の売り込み作戦』“Desperate Characters”)。

 ◆脚本賞

 ・まだ10年の歴史しかない。

 ・中国とアメリカとチリから2回受賞している。(他は、アルバニア(共同)、デンマーク、イラン、ドイツ、ポーランド)

 ・2015年にはドキュメンタリー(『真珠のボタン』)が受賞している。

 ・2012年には原作ものが受賞している(『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』)。

 ◆アルフレッド・バウアー賞

 ・1987年に創設。基本的には若手監督の野心作に与えられることが多いが、2009年には72歳のアンジェイ・ワイダに贈られ、2014年には91歳のアラン・レネに贈られている。

 ・過去30年で、2度受賞している国は韓国とドイツとアルゼンチンとポーランド、3度受賞している国はソ連+ロシア、フランス。

 ・2010年以降すべて異なる国に贈られている。

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 【受賞予想】

 個々の作品について、まだほとんどわかっていない現状ではありますが、一応、ざっと受賞予想をしてみたいと思います。

 ※審査員:トム・ティクヴァ(審査員長)、セシル・ド・フランス、Chema Prado(スペインの映画人。約30年スペイン・シネマテークのディレクターを務めた)、アデル・ロマンスキー(『アメリカン・スナイパー』や『ムーンライト』のプロデューサー)、坂本龍一、Stephanie Zacharek(TIMEの映画批評家)

 上記のようなデータを参考にしつながらの予想、というか、受賞候補の洗い出しですが、大雑把に言って―

 ◆金熊賞(作品賞)
 ・“Transit”(独・仏) 監督:クリスティアン・ペツォールト
 ・“Las herederas (The Heiresses)”(パラグアイ・独・ノルウェー・ブラジル・仏) 監督:Marcelo Martinessi
 ・“Utøya 22. juli (U - July 22)”(ノルウェー) 監督:エリック・ポッペ

 ◆審査員グランプリ
 ・“Mein Bruder heißt Robert und ist ein Idiot (My Brother’s Name is Robert and He is an Idiot)”(独・仏・スイス) 監督:フィリップ・グレーニング(Philip Gröning)
 ・“Touch Me Not(Adina Pintilie)”(ルーマニア・独・チェコ・ブルガリア・仏) 監督:Adina Pintilie
 ・“Museo (Museum)”(メキシコ) 監督:アロンソ・ルイズィパラシオス

 ◆監督賞
 ・クリスティアン・ペツォールト “Transit”
 ・アレクセイ・ゲルマン Jr. “Dovlatov”
 ・ラヴ・ディアス “Ang Panahon ng Halimaw (Season of the Devil)”
 ・アロンソ・ルイズィパラシオス “Museo (Museum)”

 ◆男優賞
 ・マテウシュ・コシチュキェヴィチ “Twarz (Mug)”
 ・Hasan Majuni “Khook (Pig)”
 ・ホアキン・フェニックス “Don't Worry, He Won't Get Far on Foot”

 ◆女優賞
 ・ヴァレリア・ゴリーノ&アルバ・ロルヴァケル “Figlia mia (Daughter of Mine)”
 ・Sara Casu “Figlia mia (Daughter of Mine)”
 ・Léonore Ekstrand “Toppen av ingenting (The Real Estate)”
 ・Ana Brun “Las herederas (The Heiresses)”

 ◆脚本賞
 ・“Figlia mia (Daughter of Mine)”
 ・“Transit”
 ・“In den Gängen (In the Aisles)”
 ・“Utøya 22. juli (U - July 22)”

 ◆アルフレッド・バウアー賞
 ・“Mein Bruder heißt Robert und ist ein Idiot (My Brother’s Name is Robert and He is an Idiot)”(独・仏・スイス) 監督:フィリップ・グレーニング
 ・“Dovlatov”(ロシア・ポーランド・セルビア) 監督:アレクセイ・ゲルマン Jr.
 ・“Ang Panahon ng Halimaw (Season of the Devil)”(フィリピン) 監督:ラヴ・ディアス
 ・“Museo (Museum)”(メキシコ) 監督:アロンソ・ルイズィパラシオス(Alonso Ruizpalacios)

 監督のキャリアとして、ここらへんで金熊賞を獲ってもいいかなと思うのは、クリスティアン・ペツォールト、マウゴシュカ・シュモフスカ、アレクセイ・ゲルマン Jr.、マニ・ハギギあたりですが、作品の題材が金熊賞を狙えるものではないかと思ったり……。

 サプライズ的に金熊賞を獲ったら面白いと思うのは、“Museo (Museum)”、“Las herederas (The Heiresses)”、“Utøya 22. juli (U - July 22)”あたりでしょうか。

 Neil Young’s Film LoungeのBerlinale 2018: Golden Bear oddsが更新されていますが(https://www.jigsawlounge.co.uk/film/reviews/berlinale-2018-golden-bear-odds/)、どうかなあ、これ。全然当てにならないと言いつつ、ついつい覗いちゃうわけですが。

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 *当ブログ記事

 ・ベルリン国際映画祭2018 コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201801/article_67.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2017年12月〜2018年3月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201712/article_47.html

 追記:
 ・ベルリン国際映画祭2018 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201802/article_60.html

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