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zoom RSS 『シェイプ・オブ・ウォーター』 VS 『スリー・ビルボード』 全米映画賞レース2017 勝敗表!

<<   作成日時 : 2017/12/22 09:07   >>

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 稀に見る混戦で始まった全米映画賞レース2017。

 主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、長編アニメーション賞は、ほぼ決定的ながら、まだまだ予断を許さない部門も多数あります。

 特に作品賞は、夏の頃からずっと『ダンケルク』が本命と言われてきましたが、今では、ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲った『シェイプ・オブ・ウォーター』と、トロント国際映画祭でピープルズ・チョイス賞を受賞した『スリー・ビルボード』、サンダンス映画祭でお披露目されてからずっと評価が高く、トロント国際映画祭でピープルズ・チョイス賞次点2位だった『君の名前で僕を呼んで』、早々に公開されながらずっと評判がよく、MTVアワードでも2部門で受賞した『ゲット・アウト』など、作品賞候補が乱立しています。

 そんな中で、ちょっと見えてきたのが、『シェイプ・オブ・ウォーター』対『スリー・ビルボード』という構図です。

 どちらも、大きな冠を引き下げての映画賞レースの参戦で、どちらも主演女優賞を争っている。どちらも監督は、アメリカ出身ではない。2作品は立ち位置が似ていて、似たところから映画賞レースを争っているように見えます。

 そこで、ここまでの時点の、映画賞レースでの勝敗を表にしてみることにしました。

 書き出したのは、作品賞と監督賞と主演女優賞と助演男優賞とその他の受賞部門です。(↓クリックすると、拡大できます。)

画像

 う〜ん、どうでしょう。
 確かに善戦してはいるけど、どっちも「アカデミー賞最有力」っていう感じではないかな。

 ひょっとして、今後の展開次第では、『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞をさらっていく流れはありそうだけれど、『スリー・ビルボード』はここまでの映画賞で監督賞をまるで受賞できていないっていうのが厳しいですね。

 試しに『ゲット・アウト』も表に加えてみましたが、これもそんなに強そうには見えませんね。

 それでも―

 【『スリー・ビルボード』が作品賞を受賞するだろうという根拠】

 米・俳優組合賞(SAG)のキャスト賞(アンサンブル賞)にノミネートされていない作品は、作品賞を受賞できない、というデータがあります。米・俳優組合賞(SAG)が創設されて以来、キャスト賞にノミネートされずに、米国アカデミー賞作品賞を受賞したのは、『ブレイブハート』のみです。

 前回は、『ムーンライト』と『ラ・ラ・ランド』が作品賞を競っていましたが、『ラ・ラ・ランド』はキャスト賞にノミネートされておらず、米・俳優組合賞(SAG)のノミネーションが発表された時点で、作品賞からは遠のいていたのでした。

 ◆俳優組合賞(SAG)2018 キャスト賞(Outstanding Performance by a Cast in a Motion Picture)ノミネーション
 ・『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
 ・『ゲット・アウト』
 ・“Lady Bird”
 ・『マッドバウンド 哀しき友情』
 ・『スリー・ビルボード』

 とすると、米国アカデミー賞2018作品賞で、『ダンケルク』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『君の名前で僕を呼んで』などが受賞する可能性はほぼなく、『スリー・ビルボード』が最有力、大穴として『ゲット・アウト』か“Lady Bird”ということになりそうです。

 【『シェイプ・オブ・ウォーター』も『スリー・ビルボード』も作品賞を受賞できないという根拠】

 米国アカデミー賞作品賞は、80%以上の確率で、ナショナル・ボード・オブ・レビューの「トップ10」(+作品賞)の中から出ている。

 近年だと、2004年度以降、米国アカデミー賞作品賞はすべてナショナル・ボード・オブ・レビューの「トップ10」(+作品賞)の中から出ている。

 米国アカデミー賞作品賞が、ナショナル・ボード・オブ・レビューの「トップ10」(+作品賞)の中から出なかったのは、

 2003(年度)(『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』)、2001(『ビューティフル・マインド』)、1988(『レインマン』)、1986(『プラトーン』)、1984(『アマデウス』)、1978(『ディア・ハンター』)、1974(ゴッドファーザーPARTU)、1967(『夜の大捜査線』)、1962(『アラビアのロレンス』)、1952(『地上最大のショウ』)、1949(『オール・ザ・キングスメン』)、1939(『風と共に去りぬ』)、1938(『我が家の楽園』)、1936(『巨星ジークフェルド』)、1932(「グランド・ホテル」)、1929(『』ブロードウェイ・メロディー)
 1929年度から2016年度までの88回のうち16回(18%)でした。

 ナショナル・ボード・オブ・レビューに選ばれずに米国アカデミー賞作品賞を受賞した作品のタイトルを見ると、選ばなかったナショナル・ボード・オブ・レビューの方が悪いような気もしますが、まあ、データとしてはそうなっているということです。

 ◆ナショナル・ボード・オブ・レビュー2017 作品賞
 ◎『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』“The Post” 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 ◆ナショナル・ボード・オブ・レビュー2017 トップ10(Top Films)(英題アルファベット順)
 ・『ベイビー・ドライバー』 監督:エドガー・ライト
 ・『君の名前で僕を呼んで』(伊・仏・ブラジル・米) 監督:ルカ・グァダニーノ
 ・“The Disaster Artist” 監督:ジェームズ・フランコ
 ・『ダウンサイズ』 監督:アレクサンダー・ペイン
 ・『ダンケルク』(英・仏・米・オランダ) 監督:クリストファー・ノーラン
 ・“The Florida Project” 監督:ショーン・ベイカー
 ・『ゲット・アウト』 監督:ジョーダン・ピール
 ・“Lady Bird” 監督:グレタ・ガーウィグ
 ・『LOGAN/ローガン』 監督:ジェームズ・マンゴールド
 ・“Phantom Thread” 監督:ポール・トーマス・アンダーソン

 米国アカデミー賞作品賞ノミネーションとナショナル・ボード・オブ・レビュー トップ10+1の一致度は、5〜8本くらいなので、そんなに気にすることもないかもそれませんが、
 現在、作品賞候補とされている作品の中で、『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』だけ抜けているのは、やっぱりちょっと気になりますね。

 有力候補の中から『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』を外してしまうと、なんだか急に寂しくなってしまうし、この2作品を押しのけるような、より有力と思える作品もまだ見当たらないので(少なくともデータ的には)、最終的に、本年度はこれまでのパターンが通用しない年ということになるかもしれません。

 まあ、いずれの作品も、今後のレース展開でそれらしくなっていくかもしれないし、最後の最後まで、「当確」が出なくて、授賞式で驚かされる、ということもあるかもしれません。

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 [おまけ]

 【トロント国際映画祭 ピープルズ・チョイス賞 → 米国アカデミー賞というデータ】

 1978年:『ガールフレンド』“Girl Friends”(米) 監督:クローディア・ウェイル
 ノミネート&受賞なし

 1979年:“Best Boy”(米) 監督:Ira Wohl
 ドキュメンタリー賞

 1980年:『ジェラシー』“Bad Timing”(英) 監督:ニコラス・ローグ
 ノミネート&受賞なし

 1981年:『炎のランナー』“Chariots of Fire”(英) 監督:ヒュー・ハドソン
 作品賞、監督賞、助演男優賞、オリジナル脚本賞、編集賞、衣裳デザイン賞オリジナル作曲賞

 1982年:『テンペスト』“Tempest”(米) 監督:ポール・マザスキー
 ノミネート&受賞なし

 1983年:『再会の時』“The Big Chill”(米) 監督:ローレンス・カスダン
 作品賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞

 1984年:『プレイス・イン・ザ・ハート』“Places in the Heart”(米) 監督:ロバート・ベントン
 作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞、衣裳デザイン賞

 1985年:『オフィシャル・ストーリー』“The Official Story”(アルゼンチン) 監督:ルイス・プエンソ
 オリジナル脚本賞、外国語映画賞

 1986年:『アメリカ帝国の滅亡』“Le Declin de l’empire Americain”(カナダ) 監督:ドゥニ・アルカン
 外国語映画賞

 1987年:『プリンセス・ブライド・ストーリー』“The Princess Bride”(米) 監督:ロブ・ライナー
 オリジナル歌曲賞

 1988年:『神経衰弱ぎりぎりの女たち』“Women on the Verge of a Nervous Breakdown”(西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 外国語映画賞

 1989年:『ロジャー&ミー』“Roger and Me”(米) 監督:マイケル・ムーア
 ノミネート&受賞なし

 1990年:『シラノ・ド・ベルジュラック』“Cyrano de Bergerac”(仏・ハンガリー) 監督:ジャン=ポール・ラプノー
 主演男優賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイキャップ賞、外国語映画賞

 1991年:『フィッシャー・キング』“The Fisher King”(米) 監督:テリー・ギリアム
 主演男優賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞、美術賞、オリジナル作曲賞

 1992年:『ダンシング・ヒーロー』“Strictly Ballroom”(オーストラリア) 監督:バズ・ラーマン
 ノミネート&受賞なし

 1993年:『スナッパー』“The Snapper”(英) 監督:スティーヴン・フリアーズ
 ノミネート&受賞なし

 1994年:『司祭』“Priest”(英) 監督:アントニア・バード
 ノミネート&受賞なし

 1995年:『アントニア』“Antonia”(オランダ・ベルギー・英) 監督:マルレーン・ゴリス
 外国語映画賞

 1996年:『シャイン』“Shine”(オーストラリア) 監督:スコット・ヒックス
 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、オリジナル脚本賞、編集賞、オリジナル作曲賞

 1997年:“The Hanging Garden”(英・カナダ) 監督:トム・フィッツジェラルド(Thom Fitzgerald)
 ノミネート&受賞なし

 1998年:『ライフ・イズ・ビューティフル』“Life Is Beautiful”(伊) 監督:ロベルト・ベニーニ
 作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞、編集賞、オリジナル作曲賞外国語映画賞

 1999年:『アメリカン・ビューティー』“American Beauty”(米) 監督:サム・メンデス
 作品賞監督賞主演男優賞、主演女優賞、オリジナル脚本賞撮影賞、編集賞、オリジナル作曲賞

 2000年:『グリーン・デスティニー』“Crouching Tiger、Hidden Dragon”(米・中) 監督:アン・リー
 作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、オリジナル作曲賞、オリジナル歌曲賞、外国語映画賞

 2001年:『アメリ』“Amelie”(仏) 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
 オリジナル脚本賞、撮影賞、美術賞、録音賞、外国語映画賞

 2002年:『クジラの島の少女』“Whale Rider”(ニュージーランド・独) 監督:ニキ・カーロ
 主演女優賞

 2003年:『座頭市』“Zatoichi”(日) 監督:北野武
 ノミネート&受賞なし

 2004年:『ホテル・ルワンダ』“Hotel Rwanda”(英・伊・南ア) 監督:テリー・ジョージ
 主演男優賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞

 2005年:『ツォツィ』“Tsotsi”(南ア・英) 監督:ギャビン・フッド
 外国語映画賞

 2006年:“Bella”(米・メキシコ) 監督:Alejandro Monteverde
 ノミネート&受賞なし

 2007年:『イースタン・プロミス』“Eastern Promises”(英・カナダ・米) 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
 主演男優賞

 2008年:『スラムドッグ$ミリオネア』“Slumdog Millionaire”(英・米) 監督:ダニー・ボイル
 作品賞監督賞脚色賞撮影賞編集賞録音賞、音響編集賞、オリジナル作曲賞オリジナル歌曲賞、オリジナル歌曲賞

 2009年:『プレシャス』“Precious”(米) 監督:リー・ダニエルズ
 作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞脚色賞、編集賞

 2010年:『英国王のスピーチ』“The King's Speech”(英・米・オーストラリア) 監督:トム・フーパー
 作品賞監督賞主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、オリジナル脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、録音賞、オリジナル作曲賞

 2011年:“Where Do We Go Now?”(仏・レバノン・エジプト・伊) 監督:ナディーヌ・ラバキ
 ノミネート&受賞なし

 2012年:『世界にひとつのプレイブック』“Silver Linings Playbook”(米) 監督:デイヴィッド・O・ラッセル
 作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞

 2013年:『それでも夜は明ける』“12 Years a Slave”(米) 監督:スティーヴ・マックイーン
 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞

 2014年:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』“The Imitation Game”(英・米) 監督:モルテン・ティルドゥム
 作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞、美術賞、作曲賞

 2015年:『ルーム』“Room”(カナダ・アイルランド) 監督:レニー・アブラハムソン
 作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞

 2016年:『ラ・ラ・ランド』“La La Land”(米) 監督:デイミアン・チャゼル
 作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、録音賞、音響編集賞、作曲賞、歌曲賞、歌曲賞

 2017年:『スリー・ビルボード』“Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”(英・米) 監督:マーティン・マクドナー

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 【参考】

 ・National Board of Review: Top Ten Films(Wikipedia):https://en.wikipedia.org/wiki/National_Board_of_Review:_Top_Ten_Films

 ・トロント国際映画祭(Wikipedia):https://ja.wikipedia.org/wiki/トロント国際映画祭

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 *当ブログ記事

 ・全米映画賞レース2017 前半戦の受賞結果をまとめてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201712/article_38.html

 ・全米映画賞レース2017 後半戦の受賞結果をまとめてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201712/article_85.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2017年12月〜2018年3月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201712/article_47.html

 ・『ラ・ラ・ランド』 VS 『ムーンライト』 全米映画賞レース2016 勝敗表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201701/article_43.html

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