海から始まる!?

アクセスカウンタ

zoom RSS 『スリー・ビルボード』“Victoria and Abdul”etc…米・脚本家組合賞2018失格!

<<   作成日時 : 2017/12/07 00:46   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 米・脚本家組合(WGA)は、本年度も米・脚本家組合賞の対象作品(対象外作品)を発表しました。

 オリジナル脚本賞の対象作品は59あって、『スリー・ビルボード』や『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』、“Breathe”(監督:アンディー・サーキス)、『リメンバー・ミー』は対象外になりました。(『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の脚本コンビは、前回『ロブスター』で米国アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされましたが、WCAにはノミネートされていません。)

 脚色賞の対象作品は47あって、“Victoria and Abdul”や“Film Stars Don’t Die in Liverpool”(監督:ポール・マクギガン)は対象外だそうです。(スティーヴン・フリアーズ作品だと、『あなたを抱きしめる日まで』は、WGAにはノミネートされませんでしたが、米国アカデミー賞脚色賞にはノミネートされています。)

 ※前は、確か対象作品の全リストが公表されていたと思いましたが、現在はそれらしい記事は見当たらないようです。

画像

 ・Variety:http://variety.com/2017/film/awards/darkest-hour-three-billboards-wga-awards-not-eligible-1202631189/

 何が対象となり、何が対象外となるのか。
 米・脚本家組合(WGA)の規定に適合していないと、米・脚本家組合賞のノミネートの資格を得られないということですが、この「規定」というのが、ちょっとわかりにくくて、
 @WGAもしくは関連組合の管理下で制作された脚本(Theatrical screenplays produced under the jurisdiction of the WGA or of an affiliate Guild)であれば、自動的にノミネートの資格を得、
 AWGAもしくは関連組合の「基本的同意事項」に沿って書かれた脚本(written under the WGA MBA)であれば、ノミネートの資格が得られる、
 となっています。

 *WGA WEST Submissions:http://awards.wga.org/wga-awards/submissions
 *WGA MBA2014:http://www.wga.org/content/default.aspx?id=1610

 そういわれても、どういうことなのかよくわかりませんが、思い切って単純化してしまうと、脚本家がWGAの組合員であること、脚本がWGAのガイドラインに従って作られたものであること、が必要とされるようです。

 「脚本家がWGAの組合員ではない」有名な例としてはタランティーノがいます。
 彼は、いろんな映画賞の脚本部門で受賞したり、ノミネートされたりしてきていますが、米・脚本家組合(WGA)に入ることは拒んでいて、このままでは彼の作品が米・脚本家組合賞にノミネートされることは永遠にない、ということになっています。(例外的に、2006年に『CSI:科学捜査班』の1エピソードで他の脚本家たちの中に紛れてノミネートされていたことはあります。)

 また、多くのアニメーション作品も製作会社が脚本家組合にサインしておらず、対象外となっています。(だから、米・脚本家組合賞には映画部門にアニメーション賞がないのかもしれません。)

 サンダンス映画祭に出品されるようなインディペンデント作品も多くは対象外になっています。

 ほとんどの外国映画もWGAのノミネート対象外になります。

 ただし、外国映画に関しては特別な規定があって、脚本家が「関連組合」(an affiliate Guild)、つまり「WGAが認める国際的な脚本家組合」に所属していれば、ノミネートが認められることもあるとされています。
 「WGAが認める国際的な脚本家組合」というのは、具体的には、カナダ脚本家組合(Writers Guild of Canada)、英国脚本家組合(Writers Guild of Great Britain)、アイルランド劇作家&脚本家組合(Irish Playwrights & Screenwriters Guild )、南アフリカ脚本家組合(Writers’ Guild of South Africa)、ニュージーランド脚本家組合(The New Zealand Writers Guild)、インド映画脚本家協会(Film Writers’ Association),フランス脚本家組合(La Guilde Francaise des Scénaristes)、イスラエル脚本家組合(Scriptwriters Guild of Israel)、ケベック・ラジオ、テレビ、映画著作者協会(The Société des Auteurs de Radio, Télévision et Cinéma)、ドイツ脚本家協会(Verband Deutscher Drehbuchautoren (VDD))という9カ国10の組合のことで、イタリア映画や、インド以外のアジア映画、中南米の映画などは、最初からノミネーションの対象にないことがわかります。(以前より南アフリカ、インド、ドイツが追加になっています。)

 幸いなことに、WGAとアカデミー賞の関係は、俳優組合賞(SAG)とアカデミー賞の関係ほど密接ではなくて、俳優組合賞(SAG)にノミネートされなければ、(アカデミー賞にノミネートされる可能性はあっても)アカデミー賞を受賞する可能性はほぼないのに対し、WGAにノミネートされなくても40%くらいの確率でアカデミー賞にノミネートされる可能性があり、20%くらいの確率で受賞の可能性も残されている、というデータがあります。

 近年では、『アーティスト』や『別離』や『愛、アムール』がWGAでは失格だったのに、アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされたし、『英国王のスピーチ』や『ジャンゴ 繋がれざる者』、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』はWGAでは失格だったのに、見事アカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞した、という結果が出ています。(本年度の例だと、『スリー・ビルボード』はWGAにはノミネートされないが、米国アカデミー賞ではノミネートされて、しかも受賞する可能性がある、ということです。)

 また、過去10年で、WGAにノミネートされなくて、米国アカデミー賞でオリジナル脚本賞または脚色賞を受賞したケースは4つあり(2011年、2013年、2014年、2015年)、3年連続で続いています。(しかも、WGAにノミネートされずに米国アカデミー賞でオリジナル脚本賞または脚色賞を制した作品の4つのうち3つが、米国アカデミー賞作品賞を受賞しています(2011年、2014年、2015年)。)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 【参考データ】

 過去の受賞データを書き出しておくと―

 ◇2017年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ムーンライト』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(WGAにもノミネート)
 ・WGA 脚色賞:『メッセージ』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 脚色賞:『ムーンライト』
 ・アカデミー賞 作品賞:『ムーンライト』

 ◇2016年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『スポットライト 世紀のスクープ』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『スポットライト 世紀のスクープ』
 ・WGA 脚色賞:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
 ・アカデミー賞 作品賞:『スポットライト 世紀のスクープ』

 ◇2015年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『グランド・ブダペスト・ホテル』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(WGAにはノミネートされず)
 ・WGA 脚色賞:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
 ・アカデミー賞 作品賞:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

 ◇2014年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『her/世界でひとつの彼女』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『her/世界でひとつの彼女』
 ・WGA 脚色賞:『キャプテン・フィリップス』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 脚色賞:『それでも夜は明ける』(WGAにはノミネートされず)
 ・アカデミー賞 作品賞:『それでも夜は明ける』

 ◇2013年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ゼロ・ダーク・サーティ』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『ジャンゴ 繋がれざる者』(WGAにはノミネートされず)
 ・WGA 脚色賞:『アルゴ』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『アルゴ』
 ・アカデミー賞 作品賞:『アルゴ』

 ◇2012年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ミッドナイト・イン・パリ』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『ミッドナイト・イン・パリ』
 ・WGA 脚色賞:『ファミリー・ツリー』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『ファミリー・ツリー』
 ・アカデミー賞 作品賞:『アーティスト』(オリジナル脚本賞でアカデミー賞にノミネート)

 ◇2011年
 ・WGA オリジナル脚本賞『インセプション』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『英国王のスピーチ』(WGAにはノミネートされず)
 ・WGA 脚色賞:『ソーシャル・ネットワーク』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『ソーシャル・ネットワーク』
 ・アカデミー賞 作品賞:『英国王のスピーチ』

 ◇2010年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ハート・ロッカー』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『ハート・ロッカー』
 ・WGA 脚色賞:『マイレージ、マイライフ』(アカデミー賞にもノミネート)
 ・アカデミー賞 脚色賞:『プレシャス』(WGAにもノミネート)
 ・アカデミー賞 作品賞:『ハート・ロッカー』

 ◇2009年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ミルク』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『ミルク』
 ・WGA 脚色賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
 ・アカデミー賞 作品賞:『スラムドッグ$ミリオネア』

 ◇2008年
 ・WGA オリジナル脚本賞:『ジュノ/JUNO』
 ・アカデミー賞 オリジナル脚本賞:『ジュノ/JUNO』
 ・WGA 脚色賞:『ノーカントリー』
 ・アカデミー賞 脚色賞:『ノーカントリー』
 ・アカデミー賞 作品賞:『ノーカントリー』

 上に書いたことと矛盾しますが、こうみてくると、WGAとアカデミー賞の合致率は高く、しかもそれは確実にアカデミー賞作品賞へとつながっている、ということがわかります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 *この記事がなかなか参考になった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・『ヘイトフル・エイト』『インサイド・ヘッド』『リリーのすべて』…米・脚本家組合賞 2016 失格!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201512/article_10.html

 ・『ジャンゴ』『愛、アムール』『レ・ミゼラブル』… 米・脚本家組合賞(WGA)2013 失格!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_40.html

 ・『英国王のスピーチ』がピンチ? 米・脚本家組合賞2011(WGA)候補作品発表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_61.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2017年9月〜2018年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201708/article_31.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『スリー・ビルボード』“Victoria and Abdul”etc…米・脚本家組合賞2018失格! 海から始まる!?/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる