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zoom RSS “Spoor(Pokot)”と、2017年のアニエスカ・ホランド:映画賞2、名誉賞4、審査員1

<<   作成日時 : 2017/08/14 00:51   >>

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 ヨーロッパ映画アカデミーのチェアウーマンでありながら、昨年のヨーロッパ映画賞の授賞式はVTRのみの出演で、“Spoor(Pokot)”の完成に集中したアニエスカ・ホランド。

 ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に“Spoor(Pokot)”を出品し、アルフレッド・バウアー賞を受賞してからは、かつてないほど精力的に公の場に顔を出しているように思います。人気監督であれば、新作ごとに映画祭ツアーとかプロモーションとしてみんなやっていることなのかもしれませんが。

 ここでは、ここ半年くらいのアニエスカ・ホランドの活動をまとめておきたいと思います。

 ※昨年のヨーロッパ映画賞の授賞式は、アニエスカ・ホランドと直接的にとても深いつながりがあったアンジェイ・ワイダの追悼イベントがあったのにも拘わらず、欠席という選択をしています。

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 2月9日-19日 第67回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に“Spoor(Pokot)”を出品。審査員は、ポール・ヴァーホーヴェン(審査員長)、ユリア・イェンチ、マギー・ギレンホール、ワン・チュアンアン、ディエゴ・ルナ、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson:デンマーク生まれの、アイスランドの芸術家)、Dora Bouchoucha(チュニジアのプロデューサー)。
 アルフレッド・バウアー賞を受賞。

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 ※アルフレッド・バウアー賞:1987年に創設。基本的には若手監督の野心作に与えられることが多いが、2009年には72歳のアンジェイ・ワイダに贈られ、2014年には91歳のアラン・レネに贈られている。アニエスカ・ホランドは68歳で受賞。(アンジェイ・ワイダは受賞後、『ワレサ 連帯の男』と『残像』を発表し、アラン・レネは遺作になっている。)
 2009年に『菖蒲』でアンジェイ・ワイダに贈られて以来、ポーランド作品として2度目の受賞となった。
 過去30年で、2度受賞している国は韓国とドイツとアルゼンチンと今回のポーランド、3度受賞している国はソ連+ロシア、フランス。

 “Spoor(Pokot)”(ポーランド・独・チェコ・スウェーデン・スロヴァキア) 監督:アニエスカ・ホランド 共同監督:カーシャ・アダミク(Kasia Adamik)
 出演:Agnieszka Mandat、Wiktor Zborowski、ミロスラヴ・クロボット(Miroslav Krobot)、Jakub Gierszał、Patricia Volny、Borys Szyc
 物語:Janina Duszejkoは、元エンジニアだが、今は教師をしてささやかな収入を得ている。彼女は、大の動物好きで、ウィリアム・ブレイクの信者であり、ウィリアム・ブレイクの哲学は現代に適用されるべきだと考えている。彼女の住んでいる地域で、連続殺人が起こる。犯行現場から、犯人は犠牲者を動物のように狩ったのだと考えられた。彼女は、犯人の考えていることがわかると主張したが、誰も信じてはくれなかった。
 ポーランドの作家オルガ・トカルチュクの小説“Prowadź swój pług przez kości umarłych(Drive Your Plow over the Bones of the Dead)”の映画化。
 近年は、アメリカでTVシリーズの演出を手がけたりしていたアニエスカ・ホランドが、『ソハの地下水道』以来6年ぶりに手がけた劇映画。
 共同監督のカーシャ・アダミク(Kasia Adamik)は実娘。キャリアの初期に、テレビ・シリーズ“Epika”(2007)の1エピソードを母娘共同で監督したことがあるが、映画での共同監督は“Janosik. Prawdziwa historia(True Story of Janosik and Uhorcik)”(2009)以来2度目。カーシャ・アダミクは、監督デビュー作“Bark!”(2002)がサンダンス映画祭で上映され、「ヴァラエティー」誌の「観るべき10人の監督たち」に選ばれた実力派で、『イーダ』(2013)の米国アカデミー賞外国語映画賞ポーランド代表選出の際には選考委員を務めている。
 [3大映画祭との関わり]
 1981年 “Goraczka (Dzieje jednego pocisku)”:ベルリン
 1985年 “Bittere Ernte”:ベルリン(パノラマ部門)
 1992年 『オリヴィエ オリヴィエ』:ベネチア
 2002年 “Julie Walking Home”:ベネチア


 ベルリン国際映画祭でのメディア評は、アキ・カウリスマキの『希望のかなた』や、セバスチャン・レリオの“Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”(チリ・独・米・西)ほどではなかったが、概ね高評価だった。

 filmstarts.de:★★★★
 The Guardian:★★★
 kulturradio.de:★★★★
 my movies.it:★★★1/2

 ラジオ・フランス・アンテルナショナル(仏):☆☆☆
 Zeitung(独):☆
 Die Zeit(独):☆☆☆
 Meduza(ロシア):☆☆☆☆
 Screen International:☆☆

 2月24日 ポーランドで“Spoor(Pokot)”公開。

 3月9日-19日 第21回ソフィア国際映画祭(ブルガリア)でソフィア賞/ワールド・シネマへの貢献賞(The Sofia Award of Sofia Municipality for contribution to world cinema)受賞。シネマ・トゥデイ-マスターズ部門で“Spoor(Pokot)”を上映。

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 3月23日-31日 第24回Prague Febiofest(チェコ)のオープニング作品として“Spoor(Pokot)”を上映。

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 3月23日-4月6日 第22回ヴィリニュス国際映画祭(リトアニア)Baltic Gazeコンペティション部門に“Spoor(Pokot)”を出品。

 4月3日-8日 第18回レッチェ・ヨーロッパ映画祭(イタリア)でヨーロッパ映画プロタゴニスト賞(I Protagonisti del Cinema Europeo)を受賞。同時受賞は、スティーヴン・フリアーズとヌリ・ビルゲ・ジェイラン。
 Omaggio Europeo: Agnieszka Hollandとして、“Spoor(Pokot)”を含む10作品を上映。
 ・“Aktorzy prowincjonalni(Provincial Actors/田舎役者)”(1978/ポーランド/108分)
 ・『熱病』(1980/ポーランド/122分)
 ・“Kobieta samotna(A Lonely Woman/孤独な女)” (1981/ポーランド/93分)
 ・『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパヨーロッパ』(1990/独・仏・ポーランド/112分)
 ・『オリヴィエ オリヴィエ』(1992/仏/110分)
 ・『秘密の花園』(1993/米・英/101分)
 ・『太陽と月に背いて』(1995/米・仏・ベルギー・伊/111分)
 ・“Washington Square”(1997/米/115分)
 ・『ソハの地下水道』(2011/ポーランド・独・カナダ/145分)
 ・“Spoor(Pokot)”(2017/ポーランド・独・チェコ・スウェーデン・スロヴァキア/128分) 共同監督:カーシャ・アダミク(Kasia Adamik)

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 4月6日 スロヴァキアで“Spoor(Pokot)”公開。

 4月20日 チェコで“Spoor(Pokot)”公開。

 ※製作にチェコが入るのは、初期短編を除けば、2009年の“Janosik. Prawdziwa historia(True Story of Janosik and Uhorcik)”以来、長編では2作目。
 アニエスカ・ホランドは、「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」で、世界中から注目されていたチェコスロヴァキアに留学し、チェコ国立芸術アカデミー 映画学部(FAMU)でミロシュ・フォアマンに学んでいる。留学中に体験したプラハの春では、反体制派に協力して逮捕されたりもした。
 次回作“Sarlatán”は、チェコ製作の作品になる、と伝えられている。

 4月11日-25日 第41回香港国際映画祭のヤング・シネマ・コンペティションで審査員を務めた。
 一緒に審査員を務めたのは、Colin Geddes(トロントの映画キュレーター/プロデューサー/活動家)、Thomas Sotinel(「ル・モンド」の音楽ライター)、アンソニー・ウォン。
 グランプリ(Firebird Award/火鳥大獎)に“My Happy Family (Chemi Bednieri Ojakhi)”(ジョージア)を、審査員賞に“Newton”(インド)を選んだ。
 Galas部門で“Spoor(Pokot)”を上映。

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 6月1日-7日 第19回ソウル国際女性映画祭ニュー・カレンツ部門に“Spoor(Pokot)”を出品。

 6月7日-18日 第64回シドニー映画祭に“Spoor(Pokot)”を出品。

 6月29日-7月15日 第19回台北電影節に“Spoor(Pokot)”を出品。

 6月30日-7月8日 第52回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 チェコ映画 2016-2017部門に“Spoor(Pokot)”を出品。

 6月30日-7月8日 第16回ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭(スイス)に“Spoor(Pokot)”を出品。

 7月11日-16日 第29回ゴールウェイ映画祭(アイルランド)に“Spoor(Pokot)”を出品。

 7月13日-8月2日 第21回ファンタジア国際映画祭(カナダ)に“Spoor(Pokot)”を出品。最優秀作品賞受賞。

 7月14日-22日 第8回オデッサ国際映画祭で生涯貢献賞(Golden Duke for Lifetime Achievement)受賞。特別上映作品で“Spoor(Pokot)”を上映。

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 7月25日-29日 第20回モトヴン映画祭(クロアチア)でマーヴェリック賞(生涯貢献賞)受賞。女性の受賞は初めて。
 メイン・プログラムで“Spoor(Pokot)”を上映。

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 7月28日 フィンランドで“Spoor(Pokot)”公開。

 8月18日 ノルウェーで“Spoor(Pokot)”公開。

 9月22日 スウェーデンで“Spoor(Pokot)”公開。

 9月28日-10月15日 第55回ニューヨーク映画祭に“Spoor(Pokot)”を出品。

 10月20日 スペインで“Spoor(Pokot)”公開。

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 ベテラン監督になると、「生涯貢献賞」に類した名誉賞をもらうようになる時期があるものですが、活動の拠点を半分以上アメリカに置いているアニエスカ・ホランドにとって(今年も『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の2話の演出を手がけている)、それがちょうど今だと判断されたということでしょうか。

 アニエスカ・ホランドは、映画祭とのめぐり合わせが悪い方で、90年代に大きな映画祭で大きな賞が獲れていてもよかったように思います(たとえば、カンヌとは全く縁がなくて、70周年の記念式典にも呼ばれていません)。映画祭で大きな賞が獲れていなくても、作品は世界中で上映されて、監督の実力も評価されているので、十分と言えば十分ですが。

 それにしても、これだけの短期間に、開催時期が重なっている映画祭も多いというのに、4つもこうした賞を受賞するのはなかなかないことのように思います。

 今年の後半もこれが続くのか。それとも新作の制作にシフトするのでしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・アニエスカ・ホランドのフィルモグラフィー 完全版!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200612/article_12.html
 ・アニエスカ・ホランド ポーランドから西欧、そしてアメリカへ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200612/article_13.html

 ・チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ! 1962〜1968:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_2.html

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