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zoom RSS 世界の映画史を変えてしまったかもしれない! アッバス・キアロスタミの短編映画ワークショップ!

<<   作成日時 : 2017/04/21 08:03   >>

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 アッバス・キアロスタミによる短編映画のワークショップ。

 文字通りキアロスタミのライフワークになっていたようで、調べてみると、世界各地で非常に精力的に行なっていたことがわかります。

 2014年からの3回は、コロンビアの映画会社Black Factoryがバックアップしていますが、それ以前は個々の映画学校なり、映画関係の団体によって開催されていたようなので、正確なリストのようなものはなく、やみくもに調べてみて、下記のような結果が得られました。たぶんまだまだあると思いますが。

 このリストを見るだけで、「パレルモで開催された最初の短編映画のワークショップは、受講生以上に、キアロスタミ自身を変えた」、というのがわかる気がしますね。

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 1997年:パレルモ

 2003年9月:トリノ(レトルスペクティヴ開催に合わせて)
 L‘école Holden de Turinにて。受講生は25人。
 ワークショップの模様を撮影したドキュメンタリー(“10 Jours Avec Abbas Kiarostami(10 Days With Abbas Kiarostami)”(2003/仏/52分) 監督:Brigitte Delpech)も制作された。
 *関連記事
 ・http://www.humanite.fr/node/293362
 ・http://mk2films.com/en/film/10-jours-avec-abbas-kiarostami/

 2004年10月:サンパウロ(2004年10月24日-11月4日)
 サンパウロ国際映画祭に招待されたのに合わせて。
 ワークショップはFundação Armando Álvares Penteado (Faap)にて開催。最大30名の募集。
 サンパウロ国際映画祭では、『5 five 〜小津安二郎に捧げる〜』と“10 on Ten”がプレミア上映されたほか、『友だちのうちはどこ?』『オリーブの林をぬけて』『桜桃の味』も上映されて、マスタークラスも開催され、さらに写真展“The Roads of Kiarostami”が開かれ、写真集“Abbas Kiarostami - Photographs / The Real, Heads or Tails”も刊行された。
 *関連記事:http://39.mostra.org/en/jornal_interno/1289-28th-Sao-Paulo-International-Film-Festival-opens-registrations-for-workshop-with-Abbas-Kiarostami

 2005年4月:バーリ(イタリア)
 Culture del Comune di Bariの後援による。
 受講生は35人。
 *関連記事:http://ricerca.repubblica.it/repubblica/archivio/repubblica/2005/04/02/la-lezione-di-kiarostami-qui-imparero-dai.html?refresh_ce

 2005年5月:ロンドン(2005年5月2日-10日)
 ロンドン映画学校とイラン・ヘリテージ・ファンデーション プレゼンツ、チャンネル4とHot Property Filmsのコラボレーションによる
 *関連記事:http://www.parstimes.com/film/kiarostami_workshop.html

 2007年12月:ニース
 lLÉcole dLArt de la Villa Arson de Niceにて。
 *関連記事:http://www.pole-cinema-paca.org/messagerie/IMG/pdf/ATELIER_CINEMA_AVEC_KIAROSTAMI.pdf

 2013年1月:ストラスブール(2013年1月15日-24日)
 ストラスブール大学の美学性を対象に。
 *関連記事:http://www.residence-kiarostami.unistra.fr/index.php?id=kiarostami_atelier

 2014年3月:ボゴタ(2014年3月3日-12日)
 Black Factory CinemaとMedio de Contención Produccionesによる第1回Taller Práctico de Autores “Filmando en Colombia con Abbas Kiarostami”
 コロンビア、ベネズエラ、ポーランド、チリ、エクアドルから、55人の受講生が集まって57本の短編映画が制作された。
 併せて、コロンビアでは初となるレトロスペクティヴが開催され、11本のキアロスタミ作品が上映されて、2500人以上の観客を集め、さらにボゴタで1回、カルタヘナで2回のマスタークラスが開かれ、1000以上の聴講生を得た。
 *関連記事
 ・http://www.blackfactorycinema.com/taller/
 ・http://www.blackfactorycinema.com/distribucion/#!/seleccion-de-cortos-filmando-en-colombia-con-abbas-kiarostami

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 2015年2月:バルセロナ(2015年2月27日-3月10日)
 Black Factory Cinemaによる第2回Taller Práctico de Autores
 50人の受講生によって10日間で50本の短編映画が制作された。
 キアロスタミ自身によっても、短編“Diálogo”が制作された。

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 *関連記事
 ・http://www.presstv.ir/Detail/2015/10/12/433073/Abbas-Kiarostami-Barcelona
 ・http://www.blackfactorycinema.com/taller2015/
 ・http://www.blackfactorycinema.com/distribucion/#!/distribucion-seleccion-2015

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 【Filming in Cuba with Abbas Kiarostami】

 2016年1月:キューバ(2016年1月26日-2月6日)
 Black Factory Cinemaによる第3回Taller Práctico de Autores
 キューバの有名な映画学校EICTVで開催され、52人の受講生によって、52本の短編映画が制作された。
 このワークショップには、世界各国からかなりの応募があったらしく、通過者はネットで発表された。

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 それぞれの受講生は、10日間で、脚本執筆、キャスティング、撮影、編集まで行なって、1本の短編を完成させなければならない。
 ワークショップには、ペルシャ語、スペイン語、英語と3人の通訳が協力した。
 テーマは、全員共通で「Simply Cuba」。

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 キアロスタミ自身も“Pasajera”という短編を制作した(ただし、未完らしい)。

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 このワークショップの内容に関しては、受講生らによって多くのレポートがネットに挙げられている。

 【キアロスタミの言葉から】

 “I’m not here to teach, I’m here to remind you of what you already know.”(私は教えに来たんじゃない。あなた方が既に知っていることを思い出させるためにここにいるんだ。)

 “Don’t fall into doubt.If you see something you like, capture it.”(疑念に陥ってはいけない。何か好きなものを見つけたら、それをつかまえるんだ。)

 “If you can’t explain your story succinctly, you don’t know your story. Explain the image, the visuals. Who? How old? How do we see it? Imagine you’ve set the camera and are ready to roll.”(ストーリーを簡潔に説明できないとしたら、それはストーリーを知らないということだ。イメージやビジュアルを説明してごらん。誰なの? いくつの人? カメラをセットして、まわすところを想像してみるんだ。)

 “Begin with the people and the location…match the characters to their real location…this doesn’t mean it will be a documentary, when you inject your story it becomes personal…short stories need an ending; you need a small adventure; something unexpected. Build the story image by image.”(人とロケーションから始めるんだ。登場人物に現実のロケーションをマッチさせよう。これはドキュメンタリーを撮ろうっていうことじゃない。自分のストーリーを注入すれば、それはパーソナルなものになる。ショート・ストーリーにはエンディングが必要だ。小さな冒険。何か思いがけないもの。イメージごとにストーリーを組み立てよう。)

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 完成した短編のうち、キアロスタミ作品を含む8本が選ばれて、1本につないで、“Filming in Cuba with Abbas Kiarostami”として、ロカルノ国際映画祭で上映され、その後、モントリオール現代美術館(2016年10月15日)でも上映されています。
 *ロカルノ国際映画祭2016:http://www.pardolive.ch/pardo/pardo-live/today-at-festival/2016/day-9/filmando-en-cuba-con-abbas.html

 ・“Filming in Cuba with Abbas Kiarostami(Filmando en Cuba con Abbas Kiarostami)”(2016/西・コロンビア) in ロカルノ国際映画祭2016
 “Pasajera”(西・コロンビア・イラン/8’52’’) 監督:アッバス・キアロスタミ
 “Ceiba”(西・コロンビア・メキシコ/9’) 監督:Ramiro Pedraza
 “Cinco años(Five Years)”(西・コロンビア・米/12’) 監督:Martin Snyder
 “Heidi”(西・コロンビア・英・香港/7’) 監督:Fatema Abdoolcarim
 “Hoja Colorada”(西・コロンビア・米/7’) 監督:Kai Tillman
 “Pezcal”(西・コロンビア・アルゼンチン・スイス/11’) 監督:Pablo Briones
 “Piccolo mondo”(西・コロンビア・伊/5’53’’) 監督:Alessandro Focareta
 “Por si acaso”(西・コロンビア・ブラジル/15’) 監督:Pedro Freire

 ※上映時間(と制作国)は資料によって数値が違う場合があります。
 ※制作国にスペインとコロンビアが入っているのは、ワークショップをバックアップしているBlack Factoryがコロンビアとスペインを拠点に活動している映画会社であるからであるようです。
 ※“Cinco años(Five Years)”は、ロカルノ国際映画祭2016のラインナップの中に入っていたはずですが、現在、見当たらなくなっています。
 ※“Cinco años(Five Years)”は、IMDbでは制作国が「アメリカ」ではなく、「キューバ」になっています。

 “Filming in Cuba with Abbas Kiarostami(Filmando en Cuba con Abbas Kiarostami)”は、作品を組み替えて、48分の作品としてDocブエノスアイレス2016で上映されています。

 “Filming in Cuba with Abbas Kiarostami(Filmando en Cuba con Abbas Kiarostami)”(48’) in Docブエノスアイレス(2016年10月23日・24日)
 “Pasajera”(8’52’’) 監督:アッバス・キアロスタミ
 “Piccolo Mondo”(5’53’’) 監督:Alessandro Focareta
 “3 Retratos”(8’32’’) 監督:Francielli Rebelatto
 “Pasaje Tropical”(6’57’’) 監督:Fabiana Salgado
 “Soñamos Despiertas”(10’) 監督:Andrea Novoa

 *関連記事
 ・IndieWire:http://www.indiewire.com/2016/03/heres-what-its-like-to-make-a-short-film-with-abbas-kiarostami-in-10-days-61916/
 ・http://www.blackfactorycinema.com/distribucion/#!/distribution-selection-2016
 ・http://filmmakermagazine.com/97552-learning-by-making-with-abbas-kiarostami/#.WPhd94VOJPa
 ・http://fatemaabdoolcarim.com/news.html

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 ワークショップといっても、自治体が公共的サービスとして行なっているものではなく、映画監督の卵や現役の若手監督も参加するような、プロを目指す人のための本格的なもので、当然慈善事業などではなく、そこそこの参加料も請求されています。

 にもかかわらず、わざわざ旅費と滞在費を負担した上で、国外からの希望者が多数参加するという非常に人気の高いワークショップになっていたようです。

 上記にもあるように、2003年のトリノのワークショップでは、ドキュメンタリーも撮影されていますし、出来上がった作品のいくつかはネットにアップロードされて、自由に視聴できるようになっています。

 世界中にキアロスタミを私淑する映画ファンは数多くいるわけですが、ワークショップを通して直接キアロスタミから映画制作を教わった人も世界各地に数百人いるということになるわけで、これはこれでとても凄いことで、世界の映画史を変えてしまったかもしれませんね。

 詩人でもあって、心に響く言葉もたくさん持っていますし。

 ちなみに―
 キアロスタミと組んで3回ワークショップを行なったBlack Factoryは、今年はヴェルナー・ヘルツォークを招いてキューバでワークショップを開いています。
 キアロスタミからヘルツォークって、作ってきた映画も違えば、人間に対する考え方も随分と違いそうですね。そもそもヘルツォークの映画作りは他人に教えられるものなのかどうか……。

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 *当ブログ記事

 ・アッバス・キアロスタミ 全フィルモグラフィー:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201704/article_27.html

 ・息子が語る父アッバス・キアロスタミ in ロカルノ国際映画祭2016:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_16.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2017年2月〜2017年9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201702/article_35.html

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