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zoom RSS ベルリン国際映画祭2017 コンペティション部門追加作品 +傾向と予想!

<<   作成日時 : 2017/01/21 17:29   >>

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 第67回ベルリン国際映画祭 コンペティション部門の追加作品が発表され、コンペティション部門のすべての作品が出揃いました。

 追加作品は、フランス映画でもイタリア映画でもアメリカ映画でもなく、中国のアニメーションでした。

 また、オープニング作品として最初に発表されていた“Django”もコンペ作品であることが判明したので、併せて、書き出しておくことにします。

 ・“Have a Nice Day(好极了)”(中) 監督:リュウ・ジェン(Liu Jian/劉健) [WP]
 物語:南部の町。雨が近づいている。運転手をしている小張は、愛のために、恋人とともにボスから大金を盗む。いろんな者たちが、2人を追い始める。様々なことが絡み合って、予想もしなかった結末が訪れる。
 『ピアシングT』(2009)のリュウ・ジェン監督が3年かけて完成させた第3長編。
 3大映画祭のコンペティション部門にアジアのアニメーション作品が選出されるのは、『千と千尋の神隠し』以来で、中国アニメーションとしては史上初。
 [3大映画祭との関わり]
 初参加。


 ・“Django”(仏) 監督:エチエンヌ・コマール(Etienne Comar) [WP]
 出演:レダ・カテブ(Reda Kateb)、セシル・ドゥ・フランス、アレックス・ブレンデミュール(Àlex Brendemühl)、Ulrich Brandhoff、ベアタ・パーリャ(Beata Palya)、Maximilien Poullein、Alexandre Sauty
 物語:ヨーロッパ・ジャズのパイオニアであり、ジプシー・スウィングの父でもあるジャンゴ・ラインハルトは、ナチス占領下のパリでも音楽活動を続けていた。だが、ロマ二世であるシンティの彼と彼の家族は、ナチスに追い回されたり、迫害されたりすることに脅えていた……。
 Alexis Salatkoによるジャンゴ・ラインハルトの伝記“Folles de Django”の映画化。
 ジャンゴ・ラインハルトの音楽は、オランダのジャズ・バンド、ザ・ローゼンバーグ・トリオが手がけている。
 『神々と男たち』『大統領の料理人』『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』の脚本、『ブラウン夫人のひめごと』『迷宮の女』『神々と男たち』『大統領の料理人』『チャップリンからの贈りもの』『禁じられた歌声』『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』の製作を手がけているエチエンヌ・コマールの初監督作品。『神々と男たち』と『禁じられた歌声』でセザール賞作品賞を受賞している。
 ベルリン国際映画祭 オープニング作品。
 第22回Rendez-Vous with French Cinema(@Film Society of Lincoln Center)出品。
 [3大映画祭との関わり]
 初参加。


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 【コンペティション部門選出作品の傾向性】

 【選出された国や地域】

 ・スペイン、イタリア、スイス、チェコ、ルーマニア以外のバルカン諸国、フィンランド以外の北欧、中東、南アジア、東南アジア、香港、台湾、オセアニア、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、セネガル以外のアフリカ、からの選出はありませんでした。

 ・前回選出があった、イタリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、デンマーク、イラン、フィリピン、カナダ、メキシコ、チュニジアからは選出されませんでした。(一部の国を除き、前回選出があった国からはなるべく選ばないようにしているようです。)
 アメリカからの選出もわずか1本にとどまりました。
 そんな中、イギリス、ポルトガル、中国からは、2年連続で選出されました。

 ・3大映画祭のコンペティション部門で、1年以上選出がなかったハンガリー、デンマーク以外の北欧、日本、チュニジア以外のアフリカから久々の選出となりました。(しばらく(少なくとも1年以上)選出がない、ブルガリア、ギリシャ、スウェーデン、イスラエル、トルコ、フィリピン以外の東南アジア、台湾、香港あたりは、次回のカンヌ以降選出される可能性が高そうです。)

 ・フランス資本の入った作品は5本(前回は7本)。

 ・アメリカ資本の入った作品は2本(前回は3本)。

 ・ドイツ資本の入った作品は9本(前回は4本)。

 ・英語のみの作品は、イギリス映画とアメリカ映画の2本のみ。

 【監督の受賞歴・出品歴】

 ・初監督作品:エチエンヌ・コマール、Josef Hader

 ・3大映画祭初参加:リュウ・ジェン

 ・3大映画祭コンペティション部門初参加:マルセロ・ゴメス

 ・金熊賞受賞:カリン・ピーター・メッツァー

 ・パルムドール受賞:フォルカー・シュレンドルフ

 ・第2監督長編:―

 ・第3監督長編:リュウ・ジェン

 ・第4監督長編:カリン・ピーター・メッツァー、オーレン・ムーヴァーマン、Alain Gomis

 ・第5監督長編:マルセロ・ゴメス

 ・『10ミニッツ・オールダー』(2002)参加:フォルカー・シュレンドルフ、アキ・カウリスマキ

 ・カンヌ国際映画祭60周年記念作品『それぞれのシネマ』(2007)参加:アキ・カウリスマキ

 ・ベネチア国際映画祭70周年記念作品“Venice 70: Future Reloaded”(2013)参加:テレーザ・ヴィラヴェルデ、ホン・サンス

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 【受賞結果の傾向性】

 審査員の顔ぶれ、審査方針、コンペティション部門のラインナップ、その年々の映画祭の雰囲気や意向などによって、受賞結果は変わってきますが、ここでは個々の作品の属性(主に監督)のみに限定して、傾向性を書き出すことにします。

 ◆作品賞(金熊賞)
 ・2016:ジャンフランコ・ロージ(伊) 第5作 ←2013:ベネチア=金獅子賞
 ・2015:ジャファール・パナヒ(イラン) 第8作 ←2013:ベルリン=脚本賞、2011年:カンヌ=黄金の馬車賞、2006年:ベルリン=審査員グランプリ、2000:ベネチア=金獅子賞、1995:カンヌ=カメラ・ドール
 ・2014:ディアオ・イーナン(中) 第3作
 ・2013:カリン・ピーター・メッツァー(ルーマニア) 第3作
 ・2012:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ(伊) 第18作 ←1986:ベネチア=生涯金獅子賞、1982:カンヌ=審査員特別グランプリ、1977:カンヌ=パルムドール
 ・2011:アスガー・ファルハディ(イラン) 第5作 ←2009:ベルリン=監督賞
 ・2010:セミフ・カプランオール(トルコ) 第5作
 ・2009:クラウディア・リョサ(ペルー) 第2作
 ・2008:ジョゼ・パジーリャ(ブラジル) 第2作
 ・2007:ワン・チュアンアン(中) 第3作
 ・2006:ヤスミラ・ジュバニッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ) 初長編?
 ・2005:Mark Dornford-May(南ア) 第1作
 ・2004:ファティ・アキン(独・トルコ) 第5作 →2007:カンヌ=脚本賞
 ・2003:マイケル・ウィンターボトム(英) 第12作 →2006:ベルリン=監督賞
 ・2002:宮崎駿(日) 第8作
 同:ポール・グリーングラス(英) 第3作
 ・2001:パトリス・シェロー(英・仏) 第9作 ←1994:カンヌ=審査員賞
 ・2000:ポール・トーマス・アンダーソン(米) 第3作 →2002:カンヌ=監督賞、2008:ベルリン=監督賞、2012:ベネチア=銀獅子賞(監督賞)

 ※本数は、数え方によって違いが出る場合があります。

 ・2001年以降、アメリカ映画からは金熊賞が出ていない。90年代以前はアメリカ映画が受賞することが多かったが、すっかり途絶えている。(カンヌやベネチアに比べても顕著。)

 ・2004年以降、英語作品からの金熊賞が出ていない。

 ・80年代はドイツ映画が頻繁に受賞していたが、1987年以降、過去30年間で金熊賞を受賞したドイツ映画はファティ・アキンの『愛よりも強く』しかない。

 ・約1/3がアジア映画。

 ・第5作までの受賞するケースがほとんど。

 ・初監督作品で受賞する例は稀だが、カンヌやベネチアでの実績がない監督が受賞するケースが多い。

 ◆審査員グランプリ(銀熊賞)

 ポジション的には、金熊賞に次ぐ作品に与えられる賞でありながら、第2作くらいの未知の監督作品、前作や前々作が話題になった若手監督の最新作などが選ばれたりもしていて、賞の立ち位置がちょっとわからないところがある。日本で劇場公開されないということも少なからずある。(何か賞をあげたい作品の、落としどころになっているような賞なのかもしれない。)

 ・2010年以降は、外国語映画賞各国代表に選ばれるような作品が選ばれている。

 ◆監督賞

 ・金熊賞とは違い、近年でも、ヨーロッパ映画やアメリカ映画から普通に受賞者が出ている。むしろヨーロッパやアメリカの監督が受賞することが多い。

 ・あまり知られていない監督が受賞することは多くはなく、ベテラン監督が受賞することも多い。

 ・ベルリン国際映画祭で、受賞実績のある作品の監督が受賞することも普通にある。(パトリス・シェロー、マイケル・ウィンターボトム、ポール・トーマス・アンダーソンなど)

 ・サタジット・レイ(1964、1965)、カルロス・サウラ(1966、1968)、マリオ・モニチェリ(1957、1976、1982)、リチャード・リンクレイター(1995、2014)は、複数回受賞している。

 ・60年の歴史の中で、アジアの監督で受賞しているのは、今井正、黒澤明、サタジット・レイ、アン・リー、リン・チェンシン、キム・ギドクしかいない。(「アジア」をより広域にとらえると、+ヨセフ・シダー、オタール・イオセリアーニ)

 ・これまで2度受賞したのは、アン・リーのみ(『ウェディング・バンケット』『いつか晴れた日に』)。

 ◆男優賞

 ・50年代半ば〜60年代半ば、80年代〜00年代半ばまでアメリカの男優が受賞することが多い。特に1962〜65、1993〜98は連続して受賞している。

 ・2009年以降、すべて異なる国から受賞者が出ている(ブルキナファソ、ロシア、イラン、デンマーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、中国、イギリス、チュニジア)。2001年以降で、2回以上選ばれている国はアメリカとイランしかない。

 ・かつては、よく知られている男優が選ばれていたが、近年はほとんど知られていない男優が選ばれることが多い。

 ・日本人が受賞したことはない。

 ◆女優賞

 ・男優賞に比べると、知名度のある女優が選ばれている。

 ・ドイツやアメリカからの受賞がやや多い。

 ・日本からは、1964年に左幸子、1975年に田中絹代、2010年に寺島しのぶ、2014年に黒木華が受賞している。

 ・この10年は、ほぼ異なる国から受賞者が出ている。(日本とイギリスのみ2回受賞。他は、ドイツ、イギリス、オーストリア、イラン、カナダ(コンゴ)、チリ、デンマーク)

 ・米国アカデミー賞ノミネーションにつながることが多い。(これまでで13人)

 ・シャーリー・マクレーンのみ2回受賞している(『恋の売り込み作戦』“Desperate Characters”)。

 ◆脚本賞

 ・まだ9年の歴史しかない。

 ・中国とアメリカから2回受賞している。(他は、アルバニア(共同)、デンマーク、イラン、ドイツ、チリ、ポーランド)

 ・2015年にはドキュメンタリー(『真珠のボタン』)が受賞している。

 ・2012年には原作ものが受賞している(『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』)。

 ◆アルフレッド・バウアー賞

 ・1987年に創設。基本的には若手監督の野心作に与えられることが多いが、2009年には72歳のアンジェイ・ワイダに贈られ、2014年には91歳のアラン・レネに贈られている。

 ・過去30年で、2度受賞している国は韓国とドイツとアルゼンチン、3度受賞している国はソ連+ロシア、フランス。

 ・2003年以降すべて異なる国に贈られている。

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 【受賞予想】

 個々の作品について、まだほとんどわかっていない、審査員も審査員長しかわかっていない現状ではありますが、一応、ざっと受賞予想をしてみたいと思います。

 上記のようなデータを参考にしつながらの予想、というか、受賞候補の洗い出しですが、大雑把に言って―

 ・若手の意欲的な作品が金熊賞かアルフレッド・バウアー賞、ベテラン監督の作品が、審査員グランプリか監督賞
 ・近年(ここ10年くらい)、できるだけ世界のいろんな国から受賞者を選出しようとしている

 という傾向性は窺えると思います。そこで― 

 ◆金熊賞(作品賞)
 ・“Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”(チリ・独・米・西) 監督:セバスチャン・レリオ
 ・“Félicité”(仏・セネガル・ベルギー・独・レバノン) 監督:Alain Gomis

 ◆審査員グランプリ
 ・“Teströl és lélekröl (On Body and Soul)”(ハンガリー) 監督:イルディゴ・エンエディ
 ・“Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”(チリ・独・米・西) 監督:セバスチャン・レリオ

 ◆監督賞
 ・テレーザ・ヴィラヴェルデ “Colo”(ポルトガル・仏)
 ・フォルカー・シュレンドルフ “Return to Montauk(Rückkehr nach Montauk)”(独・仏・アイルランド)
 ・ホン・サンス “On the Beach at Night Alone(밤의 해변에서 혼자)”(韓)
 ・マルセロ・ゴメス “Joaquim”(ブラジル・ポルトガル)

 ◆男優賞
 ・レダ・カテブ “Django”(仏)
 ・Georg Friedrich “Helle Nächte (Bright Nights)”(独・ノルウェー)
 ・サカリ・クオスマネン&Sherwan Haji “Toivon tuolla puolen (The Other Side of Hope)”(フィンランド・独) 監督:アキ・カウリスマキ
 ・Julio Machado “Joaquim”(ブラジル・ポルトガル)

 ◆女優賞
 ・ニーナ・ホス “Return to Montauk(Rückkehr nach Montauk)”
 ・Diana Cavallioti “Ana,mon amour”(ルーマニア・独・仏)
 ・Daniela Vega “Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”(チリ・独・米・西)
 ・Véro Tshanda Beya “Félicité”(仏・セネガル・ベルギー・独・レバノン) 監督:Alain Gomis

 ◆脚本賞
 ・“The Party”(英) 監督:サリー・ポッター
 ・“Teströl és lélekröl (On Body and Soul)”(ハンガリー) 監督:イルディゴ・エンエディ
 ・“Ana,mon amour”(ルーマニア・独・仏) 監督:カリン・ピーター・ネッツァー
 ・“Toivon tuolla puolen (The Other Side of Hope)”(フィンランド・独) 監督:アキ・カウリスマキ
 ・“Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”(チリ・独・米・西) 監督:セバスチャン・レリオ
 ・“Félicité”(仏・セネガル・ベルギー・独・レバノン) 監督:Alain Gomis

 ◆アルフレッド・バウアー賞
 ・“Colo”(ポルトガル・仏) 監督:テレーザ・ヴィラヴェルデ
 ・“Have a Nice Day(好极了)”(中) 監督:リュウ・ジェン

 金熊賞を与えられるような監督の資格というかポジションを考えると、“Una mujer fantástica (A Fantastic Woman)”のセバスチャン・レリオか、“Félicité”のAlain Gomisしか、いないような気がします。

 今回、作品が選ばれている監督を見ると、サリー・ポッターやアニエスカ・ホランド、アキ・カウリスマキ、ホン・サンスなどは、映画祭での受賞に恵まれていないように見えます。キャリアから見て、サリー・ポッターは、『オルランド』あたりでもっと上位の賞が獲れていてよかったし、アニエスカ・ホランドも90年代前半にもっと大きな賞が獲れていてよかったように思います。まあ、映画祭で大きな賞が獲れていなくても、作品は世界中で上映されて、監督の実力も評価されているので、十分と言えば十分ですが、映画祭や映画祭での受賞の意味を考えてしまいますね。映画祭で受賞したことで飛躍した監督もいっぱいいるわけですが。

 世界の現状を反映したような作品が評価されるようであれば、“The Party”や“Colo”、“Toivon tuolla puolen (The Other Side of Hope)”、“Félicité”あたりが、今回の映画祭のカギを握っていると言えるかもしれません。

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 *当ブログ記事

 ・ベルリン国際映画祭2017 コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201701/article_54.html

 ・カンヌ国際映画祭 各賞の傾向性(2016年):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201604/article_21.html

 ・ベネチア国際映画祭 各賞の傾向性(2016年):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_32.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年12月〜2017年4月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201612/article_1.html

 追記:
 ・ベルリン国際映画祭2017 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201702/article_38.html

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