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zoom RSS ヨーロッパ映画賞2016 オフィシャル・セレクション 50作品!その3 +傾向と予想

<<   作成日時 : 2016/08/29 07:58   >>

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 【本年度のセレクションの傾向】

 ◆国ごとのセレクション

 ヨーロッパ映画アカデミーの上位20カ国のうち、
 スイス、オランダ、スウェーデン、オーストリア、フィンランド、ノルウェー、ロシア、ハンガリーからは、1本ずつの選出で、これがそれぞれの国の会員によるチョイス(投票結果)なのだろうと推測されます。

 4本選出:スペイン
 3本選出:ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、デンマーク、ポーランド
 2本選出:ベルギー、ギリシャ、イスラエル、アイルランド、チェコ

 上位20カ国以外からの選出
 2本選出:ルーマニア、トルコ
 1本選出:ポルトガル、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アイスランド、ラトヴィア、ウクライナ

 1本も選出されなかった主な国(上位20カ国以外)
 セルビア、ブルガリア、スロヴェニア、スロヴァキア、ルクセンブルク、リトアニア、エストニア、キプロス、コソボ、ジョージア、マケドニア、マルタ

 複数の作品が選出されている国の作品が、より有力な作品(外せない作品)で、ノミネート有望な作品ということになります。

 ◆主なセレクション作品のプレミア上映

 ・ロカルノ国際映画祭2015:2本

 ・ベネチア国際映画祭2015:4本(コンペティション部門1本、アウト・オブ・コンペティション部門1本、Orizzonti部門1本)

 ・トロント国際映画祭2015:5本(CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門2本、DISCOVERY部門2本、PLATFORM部門1本)

 ・サンセバスチャン国際映画祭2015:1本(ニュー・ディレクターズ部門)

 ・サンダンス映画祭2016:1本

 ・ロッテルダム国際映画祭2016:1本

 ・ベルリン国際映画祭2016:10本(コンペティション部門7本、パノラマ部門2本、ジェネレーション部門1本)

 ・カンヌ国際映画祭2016:12本(コンペティション部門7本、ある視点部門3本、国際批評家週間1本、監督週間1本)

 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016:2本(オフィシャル・セレクション:1本、イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門:1本)

 ・その他:13本

 カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭が上位なのは変わりませんが、どちらも本数を減らして、代わりにいろんなところをプレミア上映の場とする作品が増えています。

 ◆他のセレクションとの関係

 ・オーデンティア賞2016 ノミネーション:15本中2本
 “Chevalier”、“Song of Songs(Pesn pesney)”

 ・「ヴァラエティー」誌批評家によるチョイス2016:10本中0本

 ・ラックス賞2016 オフィシャル・セレクション:10本中7本
 “Letters From War(Cartas da Guerra)”、“Things to Come(L’Avenir)”、“Like Crazy(La Pazza Gioia)”、“Toni Erdmann”、“Sieranevada”、“Suntan”、『ある戦争』

 ・米国アカデミー賞 外国語映画賞 各国代表(8月28日現在)
 米国アカデミー賞2016:イタリア、オランダ、デンマーク(ノミネート)
 米国アカデミー賞2017:クロアチア、ドイツ、ルーマニア

 ひょっとすると、そのほかの部門(ディスカバリー賞やアニメーション賞)でピックアップされることになるのかもしれませんが、若手の注目作品のほとんどが落とされてしまっています。

 「ヴァラエティー」誌批評家によるチョイスは、コンセプトが変わってしまったこともあり、1本も重ならない結果になりました。

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 【ヨーロッパ映画賞2016 オフィシャル・セレクション(続き)】

 ・“The Commune(Kollektivet)”(デンマーク・スウェーデン・オランダ) 監督:トマス・ヴィンターベア
 出演:トリーヌ・ディルホム(Trine Dyrholm)、ウルリク・トムセン(Ulrich Thomsen)、Helene Reingaard Neumann、Martha Sofie Wallstrøm Hansen、ラース・ランゼ(Lars Ranthe)
 物語:Erikは、建築学の講師で、コペンハーゲンの北、ヘレラップにある、父の古くて大きな家を相続する。妻のAnnaは、有名なニュースキャスターで、友人たちを招いて、一緒に暮らそうと提案する。彼女は、そうすることで、マンネリ化した結婚生活を打開したかったのだ。10数人の男女や子供たちがカントリーハウスにやってくる。彼らは、集団的な決まりを作り、ディスカッションをし、近くのエーレスンド海峡に泳ぎに行ったりした。彼らのもろい人間関係は、Erikが若い教え子に恋をして、彼女を家に招いたことから、崩れていく。ErikとAnnaの、14歳の娘Frejaは、超然と大人たちを観察し、自分の選ぶべき道を探っていた……。
 ベルリン国際映画祭2016 コンペティション部門出品。女優賞(銀熊賞:トリーヌ・ディルホム)受賞。
 FEST国際映画祭2016(セルビア)出品。
 シドニー映画祭2016出品。
 エジンバラ国際映画祭2016出品。
 メルボルン国際映画祭2016出品。
 トロント国際映画祭2016 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。


 ・『幸せなひとりぼっち』“A Man Called Ove(En Man som heter ove)”(スウェーデン・ノルウェー) 監督:ハンネス・ホルム(Hannes Holm)
 出演:ロルフ・ラスゴード(Rolf Lassgård)、Bahar Pars、Filip Berg、Ida Engvoll
 物語:Oveは59歳の気難しい老人だ。何年か前に、彼は、コンドミニアム協会の会長を退陣させられていたけれど、それに文句を言うこともなく、今でも近所の見回りを欠かさない。ある時、近所のテラスハウスに妊婦のParvanehとその家族が引っ越してくる。一家の車がOveの郵便受けに突っ込んできたことがきっかけとなって、思いもかけない友情が芽生える……。
 Fredrik Backmanの小説の映画化。
 スウェーデン・アカデミー賞2016 主演男優賞(ロルフ・ラスゴード)、メイキャップ賞、観客賞受賞。作品賞、助演女優賞、撮影賞、視覚効果賞ノミネート。
 ヨーテボリ国際映画祭2016 出品。
 ニューポート・ビーチ国際映画祭2016出品。
 シアトル国際映画祭2016 作品賞第3席、男優賞(ロルフ・ラスゴード)受賞。
 カブール映画祭2016 観客賞受賞。
 ブリュッセル映画祭2016出品。
 エジンバラ国際映画祭2016 観客賞第2席。
 トラヴァース・シティー映画祭2016 観客賞受賞。


 ・“The Happiest Day in the Life of Olli Mäki(Hymyilevä mies)”(フィンランド・独・スウェーデン) 監督:Juho Kuosmanen
 出演:Eero Milonoff、Jarkko Lahti、Oona Airola
 物語:実在のボクサーOlli Mäkiの物語。Olli Mäkiは、フィンランドで初めてワールド・チャンピオンシップをかけて戦う、フェザー級のボクサーになる。試合当日のスタジアムは超満員。しかし、彼は2回戦でぶざまな負け方をする。彼は、この日のことを人生最良の日として思い出す。
 カンヌ国際映画祭2016 ある視点部門出品。ある視点賞受賞。
 ミュンヘン映画祭2016 シネヴィジョン・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016アナザー・ビュー部門出品。
 メルボルン国際映画祭2016出品。
 トロント国際映画祭2016 DISCOVERY部門出品。


 ・“Pyromaniac(Pyromanen)”(ノルウェー・スウェーデン・独) 監督:エーリク・ショルビャルグ(Erik Skjoldbjaerg)
 物語:平和な村で、放火が発生する。1週間も経たずに、また放火が起こる。小さなコミュニティーに恐怖が広がる。平和な村の表面を剥ぐと、地獄が顔を覗かせる。地元の警察官が信じられない真実を発見する。放火魔は、地元の若い消防隊員で、消防隊長の息子だったのだ。若い青年の心の中で、消防隊員と放火魔がせめぎ合う。
 トーキョー ノーザンライツ フェスティバル2014で『Nokas』が上映されているエーリク・ショルビャルグの最新作。
 トロント国際映画祭2016 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。


 ・“Dawn(Ausma)”(ラトヴィア・ポーランド・エストニア) 監督:Laila Pakalniņa
 物語:Pavel Trofimovich Morozov(Pavlik)は、13歳の時に、父親を反ソビエト主義者としてスターリンの秘密警察に告発したが、逆に、家族によって惨殺されてしまう。この物語は、美談として、よきソビエト市民の義務として、これまでに繰り返し本に書かれ、歌で歌われ、舞台やオペラにもなった。本作は、この物語を、Janisという名の少年の物語として、再話する。この物語は、1935年から1937年にかけてセルゲイ・エイゼンシュテインによって『ベジン高原』“Bezhin Meadow”として、制作が進められたが、ソ連の思想に反すると見なされて中止になった。本作はこの『ベジン高原』へのオマージュでもある。
 ソビエト時代のラトヴィア。Janisは、Dawnと呼ばれる集団農場で暮らしている。彼は、共産主義システムによって約束された未来のユートピアを信じて、酒好きで残忍な父親を当局に売り渡す。ところが、父親によって復讐されてしまう。
 B&W。
 タリン・ブラック・ナイツ映画祭2015出品。撮影賞受賞。
 ヴィリニュス国際映画祭2016出品。
 シアトル国際映画祭2016 コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門出品。

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 ・“The Student(Ученик/Uchenik)”(ロシア) 監督:キリル・セレブレンニコフ(Kirill Serebrennikov)
 物語:ティーンエージャーのVeniaminは、神学論的な懐疑主義の真っただ中にあり、質問攻めにしては、母親やクラスメート、さらには学校全体を困らせている。「女の子がビキニを着て水泳教室で泳いでもいいんじゃない?」「学校で性教育を行なうべきでは?」「進化論は自然科学として学校で教えられるべきじゃないか?」などなど。大人たちは、聖書のみに誓いを立てる若者の信念に当惑する。彼を納得させられるのは、どうやら生物の教師のElena以外にいなさそうだった……。
 カンヌ国際映画祭2016 ある視点部門出品。Prix François Chalais受賞。
 Biografilm Festival 2016 観客賞受賞。
 ブリュッセル映画祭2016 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 ミュンヘン映画祭2016 シネマスターズ・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 アナザー・ビュー部門出品。
 モトヴン映画祭2016 メイン・プログラム。

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 ・“Song of Songs(Pesn Pesney)”(ウクライナ) 監督:Eva Neymann
 物語:1905年のユダヤ人村(シュテトル)。ShimekとBuzyaは、10歳で、同じ領地内の近隣の邸宅に住み、Shimekはプリンスで、Buzyaはプリンセスだった。Shimekにとって、Buzyaがどんな存在であるかを本当の意味で知ったのは、それから何年も経った後、彼が故郷から遠く離れて暮らすようになって、Buzyaが結婚するという知らせをもらってからだった。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2015 オフィシャル・セレクション出品。エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション受賞。
 オデッサ国際映画祭2015 インターナショナル・コンペティション部門出品。最優秀作品賞、最優秀ウクライナ映画賞受賞。
 トロント国際映画祭2015 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 テッサロニキ国際映画祭2015出品。
 ヨーテボリ国際映画祭2016出品。
 フリブール国際映画祭2016 国際批評家連盟賞受賞。
 イスタンブール国際映画祭2016 出品。
 オーデンティア賞2016 ノミネート。
 ナッシュヴィル映画祭2016 脚本賞(審査員特別賞)受賞。

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 ・“Beyond the Mountains and Hills(Me'ever laharim vehagvaot/מעבר להרים ולגבעות)”(イスラエル・独・ベルギー) 監督:エラン・コリリン
 物語:Davidは、27年間、仕えてきたイスラエル軍を除隊して、ようやく家族の元に戻り、市民生活に入る。友人は、栄養補助食品を売る仕事をやらないかと提案してくれて、彼は、これをビジネスの世界に飛び込み、人生を再出発させるいい機会と考えた。しかし、そう決心してから徐々に、彼と彼の家族は、イスラエルでの生活を支配している暗い力にからめとられていく。
 カンヌ国際映画祭2016 ある視点部門出品。
 エルサレム映画祭2016 長編コンペティション部門出品。女優賞受賞(Shiree Nadav-Naor)。
 イスラエル・アカデミー賞2016 作品賞、監督賞ノミネート。

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 ・“Tikkun”(イスラエル) 監督:Avishai Sivan
 物語:Haim-Aaronは、ユダヤ教の超正統派の宗教学者である。彼の才気と献身は、多くの人々から認められていた。ある日の夕方、日課の断食を終えた後、彼は倒れて意識を失う。救急隊は、Haim-Aaronの死を宣言するが、父親はそれを認めようとせず、彼を生き返らせようとする。40分後、Haim-Aaronは、息を吹き返す。その後、Haim-Aaronは、勉強に身が入らなくなる。そして自分の体に奇妙な覚醒が起きていると感じる。自分は、神に試されているのか。父親は、息子の異変に気づくが、息子を生き返られようとした時、神の意思に触れたような気がして、恐ろしくなり、ただ見守るしかなかった。
 ロカルノ国際映画祭の作品紹介には、「この作品は一部の観客にはショックを与える可能性のあるシーンがあります」(This film features scenes that could shock the sensitivity of some viewers.)との注意書きあり。
 エルサレム映画祭2015 Haggiag Award 最優秀イスラエル映画賞、男優賞(Khalifa Natour)、Pirchi Family Award 脚本賞、Van Leer Group Foundation Award 撮影賞受賞。
 ロカルノ国際映画祭2015 インターナショナル・コンペティション部門出品。審査員特別賞、ドン・キホーテ賞、撮影賞スペシャル・メンション受賞。
 サラエボ映画祭2015出品。
 テルライド映画祭2015出品。
 バンクーバー国際映画祭2015出品。
 ハンプトンズ国際映画祭2015出品。
 ワルシャワ国際映画祭2015出品。
 シカゴ国際映画祭2015出品。
 バリャドリッド国際映画祭2015 撮影監督賞受賞。
 テッサロニキ国際映画祭2015出品。
 ストックホルム国際映画祭2015出品。
 トリノ映画祭2015出品。
 シンガポール国際映画祭2015 シルバー・スクリーン・アワード アジア長編映画コンペティション部門 スペシャル・メンション受賞。
 ファンタスポア国際ファンタスティック映画祭2016 男優賞受賞(Aharon Traitel)。
 トランシルヴァニア国際映画祭2016 コンペティション部門出品。
 ミュンヘン映画祭2016 インターナショナル・インディペンデンツ部門出品。

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 ・『錯乱』“Abluka (Frenzy)”(トルコ・仏・カタール) 監督:エミン・アルペル(Emin Alper)
 物語:カディルは、刑期終了前に出所を許される。その条件は、不審者と思われる人物の監視と密告だ。イスタンブールにはテロが横行し、犯人はつかまらない。カディルには、誰もかれもが怪しく見えてくる。偶然から、飼ってはいけないはずの犬を飼い始めたことで、カディル自身も秘密を抱え、不安と緊張はピークに達する。映画は、カディルの主観と、カディルの周辺の人物の視点による映像が交錯するように構成され、観る者に何が真実で何がそうでないのか、不確かで落ち着かないものにしていく。
 2012年に“Tepenin Ardi (Beyond the Hill)”で高い評価を受けたエミン・アルペルの最新作。
 ベネチア国際映画祭2015 コンペティション部門出品。審査員特別賞、Arca CinemaGiovani Award、Bisato d'Oro受賞。
 トロント国際映画祭2015 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 釜山国際映画祭2015 フラッシュ・フォワード部門出品。
 MUFF マラティヤ国際映画祭2015 最優秀作品賞、監督賞受賞。
 アジア太平洋スクリーン・アワード2015 審査員グランプリ受賞。
 レザルク・ヨーロッパ映画祭2015出品。
 ヨーテボリ国際映画祭2016出品。
 トルコ映画批評家協会賞2016 作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞受賞。主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞・撮影賞・美術賞・音楽賞ノミネート。
 香港国際映画祭2016出品。
 ソフィア国際映画祭2016 最優秀バルカン映画賞受賞。
 サンフランシスコ国際映画祭2016出品。
 トランシルヴァニア国際映画祭2016 Supernova部門出品。
 ミュンヘン映画祭2016 シネヴィジョン・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 ホライズンズ部門出品。
 サラエボ映画祭2016 In Focus部門出品。

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 ・“Rauf”(トルコ) 監督:Barış Kaya、Soner Caner
 物語:ラウフは、9歳で、終わりなき戦争の影に怯える、田舎の村で暮らしている。彼は、大工の徒弟をしていて、親方の20歳になる娘のことが好きになり、彼女のためにピンク色を探す旅に出る。ピンクは、彼にとって愛の色であり、希望へと続く勇気の色であり、見たこともない平和の象徴であった。彼女を喜ぶ顔が見たいと思って、彼はピンクを探す旅をスタートさせる。しかし、グレーの世界で生まれ育った彼には、黒と白しか見出すことができない。
 ベルリン国際映画祭2016 ジェネレーションKplus部門出品。
 ソフィア国際映画祭2016 国際批評家連盟賞受賞。
 イスタンブール国際映画祭2016 ナショナル・コンペティション部門出品。審査員特別賞受賞。
 ズリーン国際映画祭2016 ヨーロッパ初監督長編作品 インターナショナル・コンペティション部門出品。特別表彰。
 ヨーロッパ映画賞2016 ヤング観客賞ノミネート。

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 【ヨーロッパ映画賞 傾向と予想】

 先に結論だけ書いてしまうと、今年のヨーロッパ映画賞は“I, Daniel Blake”と“Toni Erdmann”の一騎打ちで、カンヌでの対決再び、ということになります。

 【傾向】

 ◆作品賞

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞のノミネーションは、あまりなじみのない国からは選ばれない。

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞最多受賞国はイタリアとドイツの各9回(共同製作含む)。ドイツはすべて2000年以降。(製作国はカウントの仕方によって違ってくる場合があります。)
 イタリア:90、92、94、98、05、08、09、13、15
 ドイツ:00、03、04、05、06、10、11、12

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞最多ノミネート国はイギリスの43回(共同製作含む)。

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞のノミネーションは、(共同製作を除けば)同じ国から複数の作品が選ばれることは稀。

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞は、映画祭との関係で言えば、カンヌとの関連性(だけ)が強い。
 ベルリンやベネチアは、そもそも作品のチョイスからして、ヨーロッパ映画賞にノミネートされるような作品が少なく、受賞作がヨーロッパ映画賞にからんでくることも多くはない。
 カンヌ国際映画祭とヨーロッパ映画賞は、好みとする監督も似ている。

 ・本年度パルムドール受賞のケン・ローチは、今回受賞すれば『リフ・ラフ』『大地と自由』に続いて、3回目の受賞となり、ジャンニ・アメリオ、ラース・フォン・トリアー、ミヒャエル・ハネケと並び、同率トップ・タイとなる。

 ・これまでのヨーロッパ映画賞作品賞最多ノミネートは、5回で、ペドロ・アルモドバル(2回受賞)、ミヒャエル・ハネケ(3回受賞)、ラース・フォン・トリアー(3回受賞)の3人。
 4回ノミネート:アキ・カウリスマキ(受賞なし)、ケン・ローチ(2回受賞)、マイク・リー(受賞なし)
 3回ノミネート:ジャンニ・アメリオ(3回受賞)、ファティ・アキン(1回受賞)、ルーカス・ムーディソン(受賞なし)

 ・過去15年で、パルムドール受賞作品は、ほぼヨーロッパ映画賞作品賞にノミネートされている。(ノミネートされていないのは2015年のみ(作品賞にノミネートされていないどころか完全に無視された)。)

 ・過去15年で、パルムドール受賞作品が、ヨーロッパ作品であったことは11回あり、そのうちヨーロッパ映画賞作品賞にノミネートされたことは10回あり、ヨーロッパ映画賞作品賞受賞を果たしたことは3回ある(2007年、2009年、2012年)。

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞は、国際批評家連盟賞の年間グランプリとの関係性が強い。
 過去17年で、国際批評家連盟賞の年間グランプリがヨーロッパ映画だったことは10回あり、2003年と2004年はヨーロッパ映画賞作品賞にノミネートすらされなかったが(残りの8回はノミネートされている)、1999年、2007年、2009年、2010年、2012年は、国際批評家連盟賞の年間グランプリとヨーロッパ映画賞作品賞が一致している。

 ・本年度の国際批評家連盟賞の年間グランプリは、Toni Erdmann”。

 ・ヨーロッパ映画賞作品賞ノミネーションは、米国アカデミー賞外国語映画賞ノミネーションと、1〜2作品で重なる傾向がある。『未来を生きる君たちへ』や『偽りなき者』のようにヨーロッパ映画賞作品賞ノミネーションの方が、1年後にズレ込むケースもあり、『スラムドッグ$ミリオネア』や『英国王のスピーチ』、『アーティスト』のように、米国アカデミー賞では、外国語映画賞ではなく、作品賞にノミネートされるケースもある。

 ・1998年、1999年、2006年、2012年、2013年、2014年は、ヨーロッパ映画賞作品賞と米国アカデミー賞外国語映画賞が一致している。

 ◆監督賞

 ・作品賞と監督賞は、受賞作が一致することが多い。

 ・作品賞ノミネーションと監督賞ノミネーションとは、3〜4本が一致する。

 ・ヨーロッパ映画賞監督賞は、作品賞ほどではないが、パルムドールとの関連性が強い。
 過去15年で、パルムドールがヨーロッパ映画だった11回のうち、ヨーロッパ映画賞作品賞にノミネートされたことが10回あり、そのうちヨーロッパ映画賞監督賞にノミネートされたことが7回ある。

 ・ヨーロッパ映画賞監督賞最多受賞は、ミヒャエル・ハネケの3回。

 ・ヨーロッパ映画賞監督賞最多ノミネートは―
 4回:ペドロ・アルモドバル(2回受賞)
 3回:ミヒャエル・ハネケ(3回受賞)、ラース・フォン・トリアー(1回受賞)、スザンネ・ビア(1回受賞)、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(受賞なし)、パオロ・ソレンティーノ(2回受賞)
 2回:ヴェンダース、アンゲロプロス、マイク・リー、ケン・ローチ、ウィンターボトム、ファティ・アキン、アンドレアス・ドレーゼン、ソレンティーノ、ポランスキー、アキ・カウリスマキ、スティーヴ・マックィーン、フランソワ・オゾン、トルナトーレ、パヴェウ・パヴリコフスキー、ヴィルツィ、ロイ・アンダーソンの16人。

 ・先行する映画祭や映画賞で監督賞を受賞している作品の監督がノミネートされるケースが多いが、監督賞に類する賞を受賞していない作品の監督がノミネートされることもある。

 ◆男優賞・女優賞

 ・ベテランが受賞しやすい。

 ・カンヌ国際映画祭出品作からの受賞が多い。

 ・イギリスとフランスが圧倒的に強い。特にフランス女優が強い。

 ・男優賞最多受賞は、トニ・セルヴィッロ(2回)。

 ・男優賞最多ノミネートは、3回で、ハヴィエル・バルデム(1回受賞)、ミシェル・ピコリ(受賞なし)、マッツ・ミケルセン(受賞なし)、ステラン・スカルスガルド(受賞なし)の4人。

 ・女優賞最多受賞は、2回で、ジュリエット・ビノシュ、シャーロット・ランプリング、カルメン・マウラ、イザベル・ユペールの4人。

 ・女優賞最多ノミネートは、4回で、ペネロペ・クルスのみ(1回受賞)。3回だとジュリエット・ビノシュ(2回受賞)、シャーロット・ランプリング(2回受賞)、シャルロット・ゲンズブール(受賞なし。)

 ◆脚本賞

 ・ノミネート経験者がノミネートされやすいという傾向があるが、受賞は1回どまりが多く、2回受賞したことがあるのは、イシュトヴァン・サボーとアニエス・ジャウイ&ジャン=ピエール・バクリのみ。

 ・同じ年に脚本賞にノミネートされるノミニーのうち、脚本賞ノミネート経験者は、せいぜい2〜3組に絞られる。

 ・今回脚本賞にノミネートされる可能性があって、過去に脚本賞受賞を経験しているのは、トビアス・リンホルム、トマス・ヴィンターベア、ダルデンヌ兄弟、ペドロ・アルモドバル、ダニス・タノヴィッチ。

 ・今回脚本賞にノミネートされる可能性があって、過去に脚本賞にノミネートされたことがあるのは、クリスティアン・ムンジウ(2回)、エラン・コリリン、ポール・ラヴァーティ(3回)、クリスティ・プイウ。

 ・脚本賞は、作品賞にも、監督賞にもノミネートされている作品から選ばれることが多い。過去15年で、脚本賞受賞作が、作品賞にも、監督賞にもノミネートされているケースは11回(02、03、06、07、08、09、10、11、12、14、15)。そのうち、脚本賞受賞作が、作品賞も、監督賞も受賞するのは6回(02、03、08、09、10、14)。

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 【ノミネート予想】

 以上のようなことを参考にしつつ、主要5部門のノミネーションをざっと予想してみることにします。

 ◆作品賞
 ・『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
 ・“I, Daniel Blake”
 ・『ルーム』
 ・“Toni Erdmann”
 ・“Sparrows(Þrestir)”
 ・『ある戦争』
 ・『地雷と少年兵』

 ◆監督賞
 ・スティーヴン・フリアーズ 『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
 ・ケン・ローチ “I, Daniel Blake”
 ・ペドロ・アルモドバル 『ジュリエッタ』
 ・マレン・アデ “Toni Erdmann”
 ・クリスティアン・ムンジウ “Graduation(Bacalaureat)”
 ・トビアス・リンホルム 『ある戦争』

 ◆男優賞
 ・Dave Johns “I, Daniel Blake”
 ・リカルド・ダリン “Truman”
 ・ルカ・マリネッリ “Don't Be Bad(Non Essere Cattivo)”
 ・ブルクハルト・クラウスナー 『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』
 ・ペーター・シモニシェック “Toni Erdmann”
 ・ルイス・ホフマン 『地雷と少年兵』
 ・ロルフ・ラスゴード 『幸せなひとりぼっち』

 ◆女優賞
 ・メリル・ストリープ 『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
 ・キャリー・マリガン “Suffragette”
 ・ブリー・ラーソン 『ルーム』
 ・エマ・スアレス 『ジュリエッタ』
 ・イザベル・ユペール “Things to Come(Avenir)”
 ・ミカエラ・ラマゾッティ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ “Like Crazy(La Pazza Gioia)”
 ・アグニェシュカ・グロホフスカ “Strange Heaven(Obce Niebo)”

 メリル・ストリープは、これまでヨーロッパ映画賞に1回もノミネートされたことがありません。
 ヨーロッパ映画賞では、男優賞・女優賞で、複数の男優・女優がまとめてノミネート・受賞したことがあります。

 ◆脚本賞
 ・“Suffragette”
 ・“I, Daniel Blake”
 ・『ルーム』
 ・“Like Crazy(La Pazza Gioia)”
 ・“Perfect Strangers(Perfetti Sconosciuti)”
 ・“Toni Erdmann”
 ・“United States of Love(Zjednoczone stany miłości)”
 ・“Death in Sarajevo(Smrt u Sarajevu)”
 ・“Graduation(Bacalaureat)”
 ・“Chevalier”
 ・『ある戦争』
 ・『地雷と少年兵』
 ・『錯乱』

 『ルーム』、“Perfect Strangers(Perfetti Sconosciuti)”、“Chevalier”、『錯乱』など、設定のユニークさで引っ張る作品がいくつかあり、これらのうちのどれがノミネートされるか、ちょっと読めないところがあります。

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 ノミネーションは、11月5日にセビリヤ・ヨーロッパ映画祭で発表され、12月10日にポーランドのヴロツワフで行なわれる授賞式ですべての受賞結果が発表されることになっています。

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 *当ブログ記事

 ・ヨーロッパ映画賞2016 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_33.html

 ・ヨーロッパ映画賞2016 オフィシャル・セレクション その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_34.html

 ・ヨーロッパ映画賞2016 ドキュメンタリー賞 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_23.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月〜11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

 追記:
 ・ヨーロッパ映画賞2016 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201611/article_10.html

 ・ヨーロッパ映画賞2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201612/article_31.html

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