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zoom RSS カンヌ国際映画祭2016 コンペティション部門 傾向と予想

<<   作成日時 : 2016/04/24 10:45   >>

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 【コンペティション部門 追加作品】

 ・“The Salesman(فروشنده /Forushande)”(イラン・仏) 監督:アスガー・ファルハディ
 出演:シャハブ・ホセイニ(Shahab Hosseini)、タラネ・アリシュスティ(Taraneh Alidoosti)
 物語:テヘラン。ある夫婦が、アーサー・ミラーの『セールスマンの死』の主役に抜擢される。2人は、穏やかな性格のはずだったが、演じるうち、夫婦関係がおかしくなる。特に夫は急速に冷静さを失い、冷酷で妥協を許さないモンスターになっていく。こうなった背景には、個人的な事情のみならず、社会の変化によって生じた、社会的、政治的、道徳的な問題が隠されていた……。
 [3大映画祭との関わり]
 2009年 『彼女が消えた浜辺』:ベルリン〜銀熊賞(監督賞)
 2011年 『別離』:ベルリン〜金熊賞、銀熊賞(女優賞:女性キャスト・アンサンブル)、銀熊賞(男優賞:男性キャスト・アンサンブル)、エキュメニカル審査員賞、Berliner Morgenpost Reader's Prize
 2015年 『ある過去の行方』:カンヌ〜女優賞、エキュメニカル審査員賞

画像

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 [コンペティション部門選出作品の傾向性]

 【選出された国や地域】

 アイルランド、ポルトガル、イタリア、バルカン半島を除く東欧、北欧、南アジア、フィリピンを除く東南アジア、台湾、香港、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル以外の中・南米、アフリカ、からの選出はありませんでした。

 前回、アイルランド(『ロブスター』)、イタリア(3作品)、東欧(『サウルの息子』)、北欧、台湾(『黒衣の刺客』)、中国(『山河ノスタルジア』)、日本は、選出されていたので、今回は、他の国や地域の作品にコンペティション部門の枠を譲った(意識的に別の国や地域の作品が選ばれた)、と考えられます。該当国・地域に有望の候補があっても他の部門にまわされることになります。

 全21作品のうち、フランス資本の入った作品が13本あります。

 全21作品のうち、英語作品は、イギリスの2本、アメリカの4本、そして“Personal Shopper”を含めて、7本あります。

 全21作品のうち、セールス・エージェントWild Bunchがセールスを手がける(作品によっては製作と配給も手がける)作品が5本もあります。

 【監督の受賞歴・出品歴】

 ・初監督作品:なし

 ・3大映画祭初参加:Kleber Mendonça Filho

 ・3大映画祭コンペティション部門初参加:アラン・ギロディー、クリスティ・プイウ

 ・3大映画祭コンペティション部門 オフィシャルの賞の受賞歴なし:ニコール・ガルシア、ポール・ヴァーホーヴェン、ショーン・ペン、ジェフ・ニコルズ

 ・パルムドール受賞:ケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟(2回)、クリスティアン・ムンジウ

 ・グランプリ受賞:ブリュノ・デュモン、ダルデンヌ兄弟、パク・チャヌク

 ・審査員賞受賞:アンドレア・アーノルド(2回)、ケン・ローチ(3回)、グザヴィエ・ドラン

 ・監督賞受賞:ペドロ・アルモドバル、ブリランテ・メンドーサ、ニコラス・ウィンディング・レフン

 ・金熊賞受賞:アスガー・ファルハディ

 【監督どうしのめぐり合わせ】

 2014年のカンヌ(審査員長:ジェーン・カンピオン、審査員:ニコラス・ウィンディング・レフン他)
 ケン・ローチ、オリヴィエ・アサイヤス、ダルデンヌ兄弟、グザヴィエ・ドラン(審査員賞)

 2013年のカンヌ(審査員長:スティーヴン・スピルバーグ、審査員:クリスティアン・ムンジウ他)
 アスガー・ファルハディ(女優賞)、ニコラス・ウィンディング・レフン、ジム・ジャームッシュ

 2012年のカンヌ(審査員長:ナンニ・モレッティ、審査員:アンドレア・アーノルド他)
 ケン・ローチ(審査員賞)、クリスティアン・ムンジウ(脚本賞、女優賞)、ジェフ・ニコルズ

 2011年のカンヌ(審査員長:ロバート・デニーロ、審査員:オリヴィエ・アサイヤス他)
 ペドロ・アルモドバル、ダルデンヌ兄弟(グランプリ)、ニコラス・ウィンディング・レフン(監督賞)

 2009年のカンヌ(審査員長:イザベル・ユペール)
 アンドレア・アーノルド(審査員賞)、ケン・ローチ、ペドロ・アルモドバル、ブリランテ・メンドーサ(監督賞)、パク・チャヌク(審査員賞)

 2008年のカンヌ(審査員長:ショーン・ペン)
 ダルデンヌ兄弟(脚本賞)、ブリランテ・メンドーサ

 【キャストと監督と以前の作品での因縁】

 マリオン・コティヤール ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ『サンドラの週末』(2014)

 イザベル・ユペール ブリランテ・メンドーサ『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』(2012)

 ジュリエット・ビノシュ オリヴィエ・アサイヤス『アクトレス〜女たちの舞台〜』(2014)

 ハビエル・バルデム ペドロ・アルモドバル作品(『ハイヒール』『ライブ・フレッシュ』)

 そのほか、今回、マリオン・コティヤールの出演作が2本、ヴラド・イヴァノフの出演作が2本あります。

 ペドロ・アルモドバルは、この後、アスガー・ファルハディ作品をプロデュースする予定だと伝えられています。(完成までたどりつけない可能性もありますが。)

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 [受賞結果の傾向性]

 ・審査員長の好みや意向が強く反映される年もあれば(2009年のカンヌ、2015年のカンヌなど)、レビューの評価の順にほぼ上から賞が与えられる年もある。

 ・その年の映画祭の意向や雰囲気に影響を受ける年もある(2011年のベルリン、2013年のベネチアなど)。

 ・審査員のメンバーの国籍が受賞結果に色濃く反映してしまうことも少なくない。

 ・同じ監督の作品が、2大会連続してオフィシャルの賞を受賞することはなかなか難しい(といって全然ないわけでもない)。

 ・賞を与えることの意味を吟味して、ベテラン監督の秀作よりは、若手監督の意欲作に賞を与えることもある。

 [監督賞]

 ・カンヌで監督賞を2回以上受賞しているのは、ルネ・クレマン、セルゲイ・ユトケーヴィッチ、ロベール・ブレッソン、ジョン・ブアマン、コーエン兄弟(3回受賞)の5組しかいない。90年代以降に初受賞して2回以上受賞しているのはコーエン兄弟しかいない。

 ・国際的に知られるようになるのが遅かった監督やコンペティション部門にエントリーされてこなかったような監督はともかく、早くから注目されていた監督は、比較的早い時期に監督賞を受賞している。前回の侯孝賢や2002年のイム・グォンテクを例外とすれば、思い出したかのように監督賞を与えられることは稀。その一方で、新人監督に監督賞が与えられることも極めて稀(例外は1990年のパーヴェル・ルンギン)。
 近年の、監督賞受賞監督では―
 第3作で受賞:アマ・エスカレンテ、ジュリアン・シュナーベル
 第4作で受賞:ベネット・ミラー、マチュー・アマルリック、ポール・トーマス・アンダソン
 第6作で受賞:カルロス・レイガダス、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 第7作で受賞:エドワード・ヤン、ウォン・カーウァイ
 第8作で受賞:ブリランテ・メンドーサ、ミヒャエル・ハネケ
 第9作で受賞:ニコラス・ウィンディング・レフン、デイヴィッド・リンチ
 第10作で受賞:ガス・ヴァン・サント
 第13作で受賞:ペドロ・アルモドバル
 第15作で受賞:トニー・ガトリフ

 とすると、カンヌの監督賞は、
 1.ある種の作家性が認められて数作目
 2.国際的に知られるようになって数作目(カルロス・レイガダス、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ブリランテ・メンドーサ、ミヒャエル・ハネケ、ニコラス・ウィンディング・レフンなど)
 3.意欲作(ガス・ヴァン・サント、ロバート・アルトマンなど)
 4.功労賞的な受賞(侯孝賢、イム・グォンテクなど)
 で贈られる傾向性がある、ということになる。

 今回のエントリー作品では、一度監督賞を受賞しているペドロ・アルモドバル、ブリランテ・メンドーサ、ニコラス・ウィンディング・レフンは受賞しにくく、これまで監督賞に縁がなかったケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟、ジム・ジャームッシュあたりは、監督賞受賞の可能性は低い、ということになる。

 ・2000年以降では、アメリカが6回、メキシコが3回、フランスと台湾が1回ずつ受賞

[グランプリ]

 ・グランプリは、カンヌでは、パルムドールに次ぐ2番目の賞で、パルムドールがパルムドールを与えることの意味を考えて、意欲的な若い監督や国際的にまだ知名度が高くない監督に贈られることも多いのに対して、グランプリは、のちにその監督の代表作となるような作品に贈られることも多い。(『サクリファイス』『ニュー・シネマ・パラダイス』『美しき諍い女』『奇跡の海』『スウィートヒア アフター』『ライフ・イズ・ビューティフル』『鬼が来た!』『オールド・ボーイ』『ゴモラ』など)

 ・グランプリは、監督のキャリアや受賞歴とは関係なく与えられ、『サウルの息子』のような新人監督作品に贈られることもあれば、ダルデンヌ兄弟やコーエン兄弟などベテラン監督に贈られることもあり、ブリュノ・デュモン、マッテオ・ガローネ、ヌリ・ビルゲ・ジェイランといった意外な監督が2回ずつ受賞していたりする。

 ・「グランプリ」という現在の名称になった1995年以降で、フランスが4回、イタリアが3回、トルコとアメリカが2回ずつ受賞している。(1967-88年が「審査員特別グランプリ」、1989-1994年が「審査員グランプリ」。)

[審査員賞]

 ・結果的に、野心的な作品に贈られることが多い。(『ひかり』『殺人に関する短いフィルム』『ヨーロッパ』『マルメロの陽光』『王妃マルゴ』『クラッシュ』(クローネンバーグ)『セレブレーション』『散歩する惑星』『ブラックボード 背負う人』『D.I.』『午後の五時』『トロピカル・マラディ』『ペルセポリス』『静かな光』『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』『渇き』『そして父になる』『Mommy/マミー』『ロブスター』など)

 ・「グランプリ」と切り離された1969年以降で、審査員賞は、ケン・ローチが3回、サミラ・マフマルバフとアンドレア・アーノルドが2回ずつ受賞している。

 ・多くの部門賞が年ごとに国際的な広がりを見せているのに対して、審査員賞の受賞国は、ほぼカンヌの常連国ばかりである。

[男優賞]

 ・1962年まではほぼアメリカが独占。
 以降、1987年まではイタリアとフランスの受賞が多くなる。
 1990年代以降は国際色が強くなる。

 ・例外はあるが、国際的に名の知られた男優が受賞するケースがほとんど。

 ・これまでに、2回受賞したのは、マストロヤンニとジャック・レモンとディーン・ストックウェルしかいない。

 ・今回の出演陣で受賞経験者は、ショーン・ペンとハビエル・バルデムのみ。

[女優賞]

 ・1989年までは、アメリカ、フランス、イタリアの受賞が多い。
 1990年代以降は国際色が強くなる。

 ・国際的に名の知られた女優が受賞するケースが多いが、さほど知られていない女優が受賞するケースもある。

 ・これまでに、2回受賞したのは、ヴァネッサ・レッドグレーヴとヘレン・ミレンとイザベル・ユペールのみ。

 ・今回の出演陣で受賞経験者は、イザベル・ユペール(2回)とジュリエット・ビノシュのみ。

[脚本賞]

 ・原作ものに、脚本賞が与えられることは稀(1997年の『アイス・ストーム』以降、原作ものは脚本賞を受賞していない)。

 ・監督が脚本に参加していない作品より、監督が脚本に参加している作品の方が脚本賞を受賞することが多い(前者は、1949、1951、1952、1958、1965、1997、1999、2000、2002、2005、2009と少なく、しかも年度的に偏っている)。

 ・脚本賞は、1980年までは、イギリス、アメリカ、フランス、イタリアにしか与えられていない。過去10年で、2回受賞しているのは中国のみ。過去20年で2回以上受賞しているのは、アメリカ(3回)、フランス、メキシコ、中国のみ。

 ・これまでカンヌで脚本賞を2回受賞している者はいない。今回のエントリー作品で、過去に受賞しているのは、ケン・ローチ(ポール・ラヴァティ)、ペドロ・アルモドバル、ダルデンヌ兄弟、クリスティアン・ムンジウ。

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 [受賞予想]

 まだ審査員が審査員長のジョージ・ミラーしか発表されていないので、全メンバーが発表されれば、また変わってくるかもしれませんが、現時点でわりと緩めに予想を出してみました。

 ◆パルムドール
 ・“I, Daniel Blake”(英・仏・ベルギー) 監督:ケン・ローチ
 ・“Julieta”(西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 ・“Toni Erdmann”(独・オーストリア) 監督:マレン・アデ
 ・“Juste La Fin du Monde (It's Only the End of the World)”(カナダ・仏) 監督:グザヴィエ・ドラン
 ・“Loving”(米・英) 監督:ジェフ・ニコルズ

 ◆グランプリ
 ・“I, Daniel Blake”
 ・“Julieta”
 ・“La Fille Inconnue (The Unknown Girl)”
 ・“Toni Erdmann”
 ・“Ma'Rosa”

 ◆審査員賞
 ・“Toni Erdmann”
 ・“The Salesman(فروشنده /Forushande)”
 ・“The Handmaiden(아가씨/Agassi)”
 ・“Juste La Fin du Monde (It's Only the End of the World)”
 ・“Loving”

 ◆監督賞
 ・アラン・ギロディー
 ・ブリュノ・デュモン
 ・マレン・アデ
 ・クリスティアン・ムンジウ
 ・アスガー・ファルハディ
 ・パク・チャヌク
 ・グザヴィエ・ドラン
 ・ジェフ・ニコルズ
 ・ショーン・ペン

 ◆男優賞
 ・Dave Johns “I, Daniel Blake”
 ・Damien Bonnard “Rester Vertical (Staying Vertical)”
 ・ペーター・シモニシェック “Toni Erdmann”
 ・ギャスパー・ウリエル “Juste La Fin du Monde (It's Only the End of the World)”
 ・ジョエル・エドガートン “Loving”

 ◆女優賞
 ・Hayley Squires “I, Daniel Blake”
 ・Emma Suárez、Adriana Ugarte “Julieta”
 ・マリオン・コティヤール “Mal de Pierres (From the Land of the Moon)”
 ・アデル・エネル “La Fille Inconnue (The Unknown Girl)”
 ・ソニア・ブラガ “Aquarius”

 ◆脚本賞
 ・“Ma Loute (Slack Bay)”
 ・“Toni Erdmann”
 ・“The Salesman(فروشنده /Forushande)”
 ・“Ma'Rosa”
 ・“Loving”
 ・“The Last Face”
 ・“Paterson”
 ・“Aquarius”

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 *当ブログ記事

 ・カンヌ国際映画祭2016 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201604/article_20.html

 追記:
 ・カンヌ国際映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201605/article_35.html

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