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zoom RSS カンヌ国際映画祭2015 記録、データ、雑感、photo

<<   作成日時 : 2015/05/26 20:13   >>

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 【データ&記録】

 ◆フランス映画

 ・1955年以降、フランス映画のパルムドール受賞は、2年ぶり10回目。(1956、1959、1961、1964、1966、1987、2002、2008、2013)(共同製作含む。「共同製作」の数え方次第では本数は変わってくるかもしれません)

 ・フランス人の男優賞受賞は、4年ぶり11回目。(1969、1972、1980、1986、1990、1996、1999、2001、2006、2011)

 ・フランス人の女優賞受賞は、2年ぶり15回目。(1946、1959、1960、1963、1974、1976、1978、1980、1981、1998、2001、2009、2010、2013)

 ・女優賞のタイ受賞は、16年ぶり11回目(1960、1962、1964、1976、1977、1978、1981、1985、1986、1999)。このうち、1981年は、イザベル・アジャーニが2作品での受賞なので、これを除くと10回目。

 ・フランス映画から、同じ年にパルムドールと男優賞と女優賞が出たのは、カンヌ史上初めて(極めて異例!)。
 作品賞&女優賞受賞では、1959年(『黒いオルフェ』&シモーヌ・シニョレ)、2013年(『アデル、ブルーは熱い色』&ベレニス・ベジョ)。
 男優賞&女優賞受賞では、1980年(ミシェル・ピコリ&アヌーク・エーメ)、2006年(ブノワ・マジメル&イザベル・ユペール)。
 これまで作品賞と男優賞を同時受賞した年はなし。

 ・ヴァンサン・ランドンは、これまでセザール賞に5回ノミネートされたが無冠で、1989年にジャン・ギャバン賞、2008年に『すべて彼女のために』でサルラ映画祭男優賞を受賞しているほかは、映画賞とは全く無縁だった。

 ・エマニュエル・ベルコは、女優と監督を兼業していて、短編でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞しているほかは、監督作品でリュミエール賞ノミネート1回、ルイ・デリュック賞ノミネート1回という実績があるが、演技面では、受賞はおろか、ノミネートされたことすらない。

 ◆ギリシャ映画

 ヨルゴス・ランティモスは、ギリシャ映画史上2人目のカンヌ国際映画祭審査員賞受賞監督となった。

 ・パルムドール受賞
 1982年 『ミッシング』 監督:コスタ=ガヴラス
 1998年 『永遠と一日』 監督:テオ・アンゲロプロス

 ・グランプリ
 1995年 『ユリシーズの瞳』 監督:テオ・アンゲロプロス

 ・審査員賞
 1969年 『Z』 監督:コスタ=ガヴラス

 ・監督賞
 1975年 “Special Selection” 監督:カスタ=ガヴラス

 ◆ハンガリー映画

 ハンガリー映画のカンヌでの受賞は、これまでグランプリが最高で、László Nemesは、2人目のグランプリ受賞監督となった。

 ・グランプリ
 1984年 『日記』 監督:マールタ・メーサーロッシュ

 ・審査員賞
 1971年 『愛』“Love(Szerelem)” 監督:マック・カーロイ
 1985年 『連隊長レドル』 監督:サボー・イシュトヴァーン

 ・監督賞
 1967年 『詩人ヨーゼフ・アッティラの少年期』 監督:コーシャ・フェレンツ
 1972年 “Red Psalm” 監督:ヤンチョー・ミクローシュ

 ◆台湾映画

 カンヌ国際映画祭で台湾映画が監督賞を受賞したのは、史上2回目。

 ・審査員賞
 1993年 『戯夢人生』 監督:ホウ・シャオシェン

 ・監督賞
 2000年 『ヤンヤン 夏の想い出』 監督:エドワード・ヤン

 ◆監督どうしの因縁

 ・2013年のカンヌのコンペティション部門には、ソレンティーノ、ジャ・ジャンクー(脚本賞)、是枝裕和(審査員賞)、そして今回の審査員長のコーエン兄弟(グランプリ)がいたが、コーエン兄弟は、2年前のライバルたちには1つも賞を与えなかった。

 ・2012年のカンヌのコンペティション部門には、オディアール、ガローネ(グランプリ)がいて、審査員長がモレッティだったが、その時、賞を逃したオディアールがパルムドールとなり、ガローネは無冠、モレッティもオフィシャルの賞は贈られなかった。

 ・2011年のカンヌのコンペティション部門には、マイウェン(審査員賞)、モレッティ、ソレンティーノがいたが、マイウェン作品に女優賞が贈られたのみで、他は無冠に終わった。

 ・2009年のカンヌのコンペティション部門には、オディアール(グランプリ)がいて、イザベル・ユペールが審査員長で、審査員の中にスー・チーがいた。今回、スー・チーも、出演作品が2本あったイザベル・ユペールも受賞を逃したのに対し、オディアールが自己最高となるパルムドールを受賞した。

 ・2008年のカンヌのコンペティション部門には、ソレンティーノ(審査員賞)、ガローネ(グランプリ)、ジャ・ジャンクーがいたが、いずれも無冠に終わった。

 ・今回、パルムドールを受賞したジャック・オディアールは、受賞結果を受けて、ミヒャエル・ハネケに感謝の言葉を述べている。「今年、映画を作らないでくれて、ありがとう」と。
 ※オディアールは、2009年と2012年にカンヌのコンペティション部門に出品し、いずれもハネケにパルムドールをさらわれている。

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 【雑感】

 星取表やパルムドール予想オッズからすると、今回のカンヌ国際映画祭コンペティション部門の受賞結果は、かなり変則的で、異例なものだったと言えるかもしれません。

 ・女優賞をタイ受賞にまでして、フランス映画にパルムドールと男優賞と女優賞を贈ったこと。

 ・女優賞候補の、芸達者な女優がたくさんいたのにも拘わらず、これまで演技面では全く評価されたことのないエマニュエル・ベルコに、あえてタイ受賞にまでして、女優賞を贈ったこと。

 ・ケイト・ブランシェットでもなく、ケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラでもなく、エマニュエル・ベルコとのタイ受賞で、(『ドラゴン・タトゥーの女』以外ではほとんど演技面で評価されたことのない)ルーニー・マーラに女優賞を贈ったこと。

 ・コンペ作品の中でも特に評価が高かったモレッティ作品、ソレンティーノ作品を無冠にして、3本もエントリーされていたイタリア映画に何も賞を贈らなかったこと。

 などなど。

 この受賞結果が真っ当なものであるかどうかは、実際に作品を見てから、あるいは、冬以降の各国の映画賞の結果で検証されていくことになるかと思います。

 審査員長のコーエン兄弟は、賞のバランスに気を使ったと言っていますが(“We are not a jury of film critics - we are artists looking at work and deciding what to celebrate in each of the works.” “We couldn’t give a top prize to every movie - but we did try to balance out the attention on each of the films.”)、そのバランスが悪いんですよね。この場合の「バランス」が「賞の割り振り」ということであれば、あながち間違っていないのかもしれませんが。

 下種の勘繰りを承知で書いてしまうと、今回の審査結果を左右したのは―

 @作品そのものの評価だけではなく、監督や俳優のキャリアや将来性を含めて評価した
 Aアメリカ勢(5人)対フランス勢(3人、グザヴィエ・ドランも含む)で、ナショナリズムあふれる審査員どうしの激しい駆け引きがあった
 Bどういう賞を贈るかより、賞をあげたい作品に何らかの賞を贈ることが重要視された
 C審査員にイタリア系が一人もいなかった
 D2013年の因縁

 あたり、ではないでしょうか。

 こう考えると、今回の受賞結果がすごくしっくりくるように思いますが、さて……。

 ま、今回の結果に関わりなく、“Mia Madre”や“Youth”は世界的なセールスを獲得したでしょうし、その一方で、“Saul Fia (Son of Saul)”や“The Lobster”は、そうでなかった場合よりずっと多く世界的にセールスされることになるはずで、その点では、今回の受賞結果も悪くはなかったかもしれません。
 “La loi du marché (A Simple Man)”、“Mon Roi”、“Chronic”は、何らかの形では日本にも紹介されるでしょうが、劇場までたどりつけるかどうかは、ちょっと微妙なところかもしれません。

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 【PHOTO GALLERY】

 ◆男泣きするヴァンサン・ランドン

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 ◆ジャック・オディアール
 ジャック・オディアールが、サングラスも眼鏡も帽子もしないでこうした場に出るのは、珍しいような気がしましたが、そんなこともないでしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・カンヌ国際映画祭2015 コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_8.html

 ・カンヌ国際映画祭2015 アウト・オブ・コンペティション部門、ある視点部門、特別招待部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_14.html

 ・カンヌ国際映画祭2015 ミッドナイト・スクリーニング部門、短編部門、シネフォンダシオン部門、カンヌ・クラシック部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_17.html

 ・カンヌ国際映画祭2015 パルムドール予想オッズ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_9.html

 ・カンヌ国際映画祭2015 星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_10.html

 ・カンヌ国際映画祭2015 受賞結果: http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_20.html

 ・『海街diary』 in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_11.html

 ・『あん』in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_12.html

 ・“The Sea of Trees” in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_13.html

 ・『岸辺の旅』in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_15.html

 ・Japan Day Project Party in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_16.html

 ・『黒衣の刺客』 in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_18.html

 ・『リトルプリンス 星の王子さまと私』 in カンヌ国際映画祭2015:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_21.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2015年3月〜9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201503/article_1.html

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