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zoom RSS 国際批評家連盟(FIPRESCI) 設立 90周年!

<<   作成日時 : 2015/03/29 03:27   >>

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 国際批評家連盟が今年90周年を迎えたそうで、いろいろとイベントが計画されています。

 国際批評家連盟(FIPRESCI:Fédération Internationale de la Presse Cinématographique/International Federation of Film Critics)は、1925年にパリとブリュッセルの映画ジャーナリストが集まって、プロの映画批評家のための組織(Professional Association of the Film Press)を作ろうとしたのが起源で、今年で90周年というのは、そこから数えてということになります。

 その後、国際的な構想に発展したのが、その翌年のことで、1926年9月27日から10月3日まで、パリのロスチャイルド・ビルディングで開催された映画会議(The Congress of Cinema)で、国際批評家連盟の原型となる組織に関するコミュニケ(国際的な情報の中心となり、職業的利益を保護する組織となること)が発表されています。

 そして、ベルギーの映画ジャーナリストが諸外国に声をかけて、1930年6月、ブリュッセルのパレ・デ・アカデミーで開催された「映画に関する国際会議」(The International Congress on Cinema)で、正式に国際批評家連盟が設立されました。(Wikipediaには国際批評家連盟の設立年を1930年と記してありますが、それはこの年を元年としているからです。)

 国際批評家連盟の目的は、主に、映画文化の推進と発展(the promotion and development of film culture)、および、映画ジャーナリストとしての職業的利益の保護(safeguarding of professional interests)というように説明されていますが、もっとざっくりとわかりやすく言うと、世界各地で開催される国際映画祭に参加して、優れた作品を見出し、国際批評家連盟の名前で、映画賞を授与し、その映画を報奨すること、と言ってもいいかもしれません。
 かつては、オンライン映画ジャーナルを発行したりもしていたようですが、現在はそうした活動はしていないようで、(少なくとも)公式サイトは、世界中の映画祭で続々と発表される「国際批評家連盟賞」の紹介を中心に更新されています。

 1925年から90年、1930年からでも85年となり、現在では、世界50カ国以上にわたり、300人以上のメンバーを有している、と発表されています。

 正確なところはわかりませんが、メンバーは、世界各国の映画ジャーナリストが個々人で国際批評家連盟に所属しているわけではないようで、国ごとに組織(ナショナル・セクション)があり、そこから、規約に従って、国際批評家連盟のメンバーになりたい人の登録が行われる(The National Sections have to register those members who wish to take part in the activities of the Federation.)、という方式になっています。

 *公式サイト(Statute):http://www.fipresci.org/about-us/statute

 ナショナル・セクションは、原則として、1国に1つと決められていて、日本では、日本映画ペンクラブがその役割を果たしています。

 日本映画ペンクラブは、公式サイトで、「国際的映画評論家の組織であるFIPRESCI(フィプレッシ)に加盟し、世界各国で開催される国際映画祭への審査員の招待・派遣の窓口になっている日本で唯一の団体」と記していますが、どうも、日本映画ペンクラブの会員=国際批評家連盟のメンバーというわけではないようで、(少なくとも日本の場合は)組織を通して、国際批評家連盟賞を選考する各映画際の審査員を選出し派遣している、というのがその活動の実態であるようです。(日本映画ペンクラブには映画ジャーナリストではない人も多く所属していますし、250人近くいる日本映画ペンクラブのメンバー全員が国際批評家連盟のメンバーだったら、国際批評家連盟の大半が日本人になってしまいます。実際のところ、国際批評家連盟賞の審査員を経験した日本人はいても、日本の映画関係者で「国際批評家連盟の会員」と名乗っている人はほぼ見たことがないような気がしますね。ちなみに、公式サイトには国際批評家連盟のメンバーとして佐藤忠男の名前が挙がっていますが、佐藤忠男は日本映画ペンクラブには属していません。)

 各国のナショナル・セクションは、インドや韓国のように国際批評家連盟の支部を設けている国もあれば、そうでない国もあって、フランスはSyndicat français de la critique de cinémaが、香港は香港電影評論学会がナショナル・セクションとなっています。

 *公式サイト(National Sections/Indivisual Members):http://www.fipresci.org/about-us/members

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 過去10年で、ベルリン、カンヌ、ベネチアで、国際批評家連盟賞を授与された作品には、次のようなものがあります。(メイン・コンペティション部門以外にも賞を授与している部門があったりしますが、近年以外は受賞作のみ記載しています。)

 【ベルリン国際映画祭】

 2005年:『西瓜』(仏・台湾) 監督:ツァイ・ミンリャン
 2006年:『レクイエム〜ミカエラの肖像』“Requiem”(独) 監督:ハンス=クリスティアン・シュミット
 2007年:『英国王給仕人に乾杯!』(チェコ・スロヴァキア) 監督:イジー・メンツェル
 2008年:『レイク・タホ』"Lake Tahoe”(メキシコ・日・米) 監督:フェルナンド・エインビッケ
 2009年:『悲しみのミルク』(西・ペルー) 監督:クラウディア・リョサ
 2010年:“En familie”(デンマーク) 監督:Pernille Fischer Christensen
 2011年:『ニーチェの馬』(ハンガリー) 監督:タル・ベーラ
 2012年:『熱波』(ポルトガル) 監督:ミゲル・ゴメス
 2013年 コンペティション部門:『私の、息子』(ルーマニア) 監督:カリン・ペーター・メッツアー
  パノラマ部門:『クロエの祈り』“Inch'Allah”(スイス・仏) 監督:アナイス・バルボ=ラヴァレット(Anaïs Barbeau-Lavalette)
  フォーラム部門:『エリオ・オイチシーカ─マージナルな英雄』“Hélio Oiticica”(ブラジル) 監督:セザル・オイチシーカ・フィーリョ(Cesar Oiticica Filho)
 2014年 コンペティション部門:『愛して飲んで歌って』(仏) 監督:アラン・レネ
  パノラマ部門:“Au premier regard”(ブラジル) 監督:Daniel Ribeiro
  フォーラム部門:『FORMA』(日) 監督:坂本あゆみ
 2015年 コンペティション部門:“Taxi”(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ
  パノラマ部門:“A Minor Leap Down(Parizan az Ertefa Kam)”(イラン・仏) 監督:Hamed Rajabi
  フォーラム部門:“Hand Gestures(Il gesto delle mani)”(伊) 監督:Francesco Clerici

 【カンヌ国際映画祭】

 2005年:『隠された記憶』(仏) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 2006年:『うつろいの季節』“Les Climats (İklimler)”(トルコ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 2007年:『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 2008年:『デルタ』“Delta”(ハンガリー) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
 2009年:『白いリボン』(独・オーストリア・仏・伊) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 2010年:『さすらいの女神たち』(仏) 監督:マチュー・アマルリック
 2011年:『ル・アーヴルの靴みがき』(仏) 監督:アキ・カウリスマキ
 2012年:“Dans la brume(В тумане, V tumane)”(ロシア) 監督:セルゲイ・ロスニタ(Sergei Loznitsa)
 2013年 コンペティション部門:『アデル、ブルーは熱い色』(仏・ベルギー・西) 監督:アブデラティフ・ケシシュ
  ある視点部門:“Dast-Neveshtehaa Nemisoozand (Manuscripts Don’t Burn)”(イラン) 監督:モハマド・ラスロフ(Mohammad Rasoulof)
  監督週間:『ブルー・リベンジ』(米) 監督:ジェレミー・ソルニエ
 2014年 コンペティション部門:『雪の轍』(トルコ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
  ある視点部門:『約束の地』(アルゼンチン) 監督:リサンドロ・アロンソ
  監督週間:“Les Combattants”(仏) 監督:Thomas Cailley

 【ベネチア国際映画祭】

 2005年:『グッドナイト&グッドラック』(米) 監督:ジョージ・クルーニー
 2006年:『クィーン』(英) 監督:スティーヴン・フリアーズ
 2007年:『クスクス粒の秘密』“La Graine et le Mulet”(仏) 監督:アブデラティフ・ケシシュ
 2008年:“Inland (Gabbla)”(アルジェリア) 監督:Tariq Teguia
 2009年:『ルルドの泉で』(仏) 監督:ジェシカ・ハウスナー
 2010年:“Le Dernier Voyage de Tanya(Овсянки, Owsjanki)”(ロシア) 監督:アレクセイ・フェドルチェンコ(Alekseï Fedortchenko)
 2011年:『SHAME -シェイム-』(英) 監督:スティーヴ・マックイーン
 2012年:『ザ・マスター』(米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 2013年 コンペティション部門:『トム・アット・ザ・ファーム』(カナダ・仏) 監督:グザヴィエ・ドラン
  Orizzonti部門&国際批評家週間:“Återträffen (The Reunion)”(スウェーデン) 監督:Anna Odell
 2014年 コンペティション部門:『ルック・オブ・サイレンス』(デンマーク・フィンランド・インドネシア・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
  Orizzonti部門&国際批評家週間:“No One’s Child(Ničije dete)”(セルビア・クロアチア) 監督:Vuk Rsumovic

 【国際批評家連盟賞 年間グランプリ】(Grand prix de la FIPRESCI)

 国際批評家連盟は、国際批評家連盟賞・オブ・国際批評家連盟賞として、年間グランプリを決定していて、毎年、サンセバスチャン国際映画祭で授賞式を行なっています。

 1973 年:『トゥキ・ブゥキ / ハイエナの旅』“Touki Bouki”(セネガル) 監督:ジブリル・ジオップ・マンベティ(Djibril Diop Mambéty)
 1999年:『オール・アバウト・マイ・マザー』(仏・西):ペドロ・アルモドバル
 2000年:『マグノリア』(米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 2001年:『チャドルと生きる』(イラン・伊・スイス) 監督:ジャファール・パナヒ
 2002年:『過去のない男』(フィンランド・独・仏) 監督:アキ・カウリスマキ
 2003年:『冬の街』“Uzak”(トルコ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 2004年:『アワーミュージック』(仏・スイス) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
 2005年:『うつせみ』(韓) 監督:キム・ギドク
 2006年:『ボルベール〈帰郷〉』(西) 監督:ペドロ・アルモドバル
 2007年:『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 2008年:『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 2009年:『白いリボン』(独・オーストリア・仏・伊) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 2010年:『ゴーストライター』(仏・独・英) 監督:ロマン・ポランスキー
 2011年:『ツリー・オブ・ライフ』(米) 監督:テレンス・マリック
 2012年:『愛、アムール』(オーストリア・仏・独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 2013年:『アデル、ブルーは熱い色』(仏・ベルギー・西) 監督:アブデラティフ・ケシシュ
 2014年:『6才のボクが、大人になるまで。』(米) 監督:リチャード・リンクレイター

 国際批評家連盟賞の受賞結果を見ただけでも、カンヌ国際映画祭はフランス寄りで、ベネチア国際映画祭はアメリカ映画の方に顔を向けていて、ベルリン国際映画祭はそれらよりワールド・ワイドな広がりを持っていることが見て取れます。

 国際批評家連盟賞も、審査員の顔ぶれによって、自ずと審査結果は変わってくるはずですが、上記の受賞結果を見た限り言うと、どの映画祭でも、新しい、若い才能を発掘しようというのと、ベテラン監督の新たな境地を評価しようという2つの考え方の間で、せめぎ合いが繰り返されている、そしてその2つの間を絶妙なバランス感覚で駆け抜けている、ように見えます。

 国際批評家連盟賞が好む映画作家というのも確かにいるようで、ペドロ・アルモドバル、ポール・トーマス・アンダーソン、ミヒャエル・ハネケ、アブデラティフ・ケシシュ、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、ジャファール・パナヒ、アキ・カウリスマキあたりが、批評家好みの映画作家ということになりそうです。

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 さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。

 90周年を迎えた国際批評家連盟は、その記念イベントの1つとして、3月21日〜28日まで開催の第6回バーリ国際映画祭(イタリア)で、8人の映画監督を招いて、マスタークラスを開催し、併せてプラチナム・アワード(Platinum Awards)を授与しました。
 その8人の映画監督は、以下の通り。

 ・アラン・パーカー

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 ・ジャン=ジャック・アノー

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 ・コスタ=ガヴラス

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 ・エットーレ・スコラ

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 ・アンジェイ・ワイダ

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 ・エドガー・ライツ

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 ・マルガレーテ・フォン・トロッタ

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 ・ナンニ・モレッティ

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 ナンニ・モレッティには、さらに映画祭からフェデリコ・フェリーニ・プラチナム・アワード(Federico Fellini Platinum Award for Cinematic Exellence)も贈られました。

 バーリ国際映画祭は、イタリア映画にとって、とても重要な映画祭の1つですが、こういうイベントの開催地として選ばれるというのは、なかなか凄いことですね。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2015年3月〜9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201503/article_1.html

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