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zoom RSS 英国TVドキュメンタリーの最前線! グリアソン・アワード2013 受賞結果!

<<   作成日時 : 2013/11/09 00:05   >>

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 グリアソン・アワード2013 の受賞結果が発表されました。(11月4日)

 【グリアソン・アワード】

 グリアソン・アワード(The Grierson Award)と言っても日本ではほとんど知られていないと思いますが、スコットランド出身のドキュメンタリーのパイオニア、ジョン・グリアソン(1898-1972)の偉業を継承する目的で設立されたグリアソン・トラストが、1972年から始めたドキュメンタリーの祭典で、もう既に40年近い歴史があります。

 ノミネーション対象作品は、2012年5月1日から2013年4月30日までにイギリス内で最低1度は上映または放映されたということが条件で、イギリスで製作された作品のみならず全世界で製作された作品が対象になります。(必然的にイギリス作品が多くなり、テレビで発表された作品が多くなりますが。)

 過去の受賞作で日本でも劇場公開されたものには、『Joy Division』(Best Cinema Documentary 2008)、『ダーウィンの悪夢』(Best Cinema Documentary 2006)、『マイ・アーキテクト』(Best Cinema Documentary 2005)、『ビルマVJ』(UKフィルム・カウンシル最優秀ドキュメンタリー映画部門2009)などがあります。

 7月30日に発表されたショートリストから、ノミネートが行なわれ、そこからさらに選考が行なわれて、11月4日に授賞式が行なわれました。

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 ◆コンテンポラリー部門 英国作品 (The Open University Best Documentary on a Contemporary Theme — Domestic)

 ◎“7/7: One Day in London”(Minnow Films) 監督Ben Anthony 初公開:BBC Two
 オリンピック開催がロンドンに決まったその日、ロンドンの公共輸送機関にテロが仕掛けられ、52人の死者と700人以上のケガ人が出た。本作では、直接、テロの影響を受けた50人以上の人にインタビューし、テロの経験と、テロが彼らの人生に及ぼした影響、そして未だに消えない後遺症について話を聞く。
 BAFTA2013 フラハティー・ドキュメンタリー賞受賞。
 英国ロイヤル・テレビジョン・ソサイエティー賞2013 単発ドキュメンタリー部門 RTS テレビジョン賞受賞。

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 ◆コンテンポラリー部門 インターナショナル作品(Shell Best Documentary on a Contemporary Theme — International)

 ◎“Law of the Jungle”(デンマーク)(Radiator Film) 監督:Michael Christoffersen、Hans La Cour 初公開:Sheffield Doc/Fest
 2008年、ペルー政府は、国土の70%以上を占める地域を100の区域に分け、開発権を多国籍企業に売却した。土着のグループが、国土の破壊に抗議し、Pluspetrolの滑走路を占拠した。1人の警官が殺された時、抗議者たちが逮捕され、告発された。彼らが無実を証明するためには、勇気と、情熱的な被告弁護人と、怖がって証言できずにいる目撃者を探し出すことが必要だ。

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 ◆時事ドキュメンタリー (ITN Source Best Documentary on Current Affairs) [新設]

 ◎“Syria: Across the Lines”(Quicksilver Media) 監督:Olly Lambert 初公開:Channel 4
 ドキュメンタリー作家Olly Lambertは、数週間、シリアに住んで、その生活に深く入り込んだ。ある時は、政府関係者と一緒に過ごし、またある時は逆の立場にある人たちと一緒に過ごして、2年にもわたる紛争がいかにコミュニティーを分断したかを明らかにする。

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 ◆アート・ドキュメンタリー部門 (Best Arts Documentary)

 ◎“Imagine: The Fatwa - Salman's Story”(BBC) 監督:Jill Nicholls 初公開:BBC One
 サルマン・ラシュディーが、ホメイニ師に死刑宣告を出され、身を隠して暮らさなければならなくなったことについて、初めて語る。Alan Yentobは、ラシュディーの新刊のリリースに合わせ、彼と、彼と一緒に暮らしているボディーガートと同席のもとに、会えることになった。また、本作では、イアン・マキューアンやハニフ・クレイシといった作家たち、友人、ラシュディーの姉妹、元妻、息子たちが、ラシュディーについて、フランクに話す。

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 ◆ヒストリカル・ドキュメンタリー部門 (ITN Source Best Historical Documentary)

 ◎“The Secret History of Our Streets: Deptford High Street”(Century Films & Halcyon Hearts Films) 監督:Joseph Bullman 初公開:BBC Two
 チャールズ・ブース(1840-1914)は、1886-1902年の間に、ロンドンを通りごとに分けて、労働者階級を中心にした貧困調査を実施し、その結果を「ロンドン市民の生活と労働」 (1902-1903)としてまとめた。本作では、ブースの時代と現在とを比較する。たとえば、60年代のスラム一掃によって、数百万の家族が行き場を失い、南ロンドンのオックスフォード通りは、現在ではロンドンでも最も貧しい商店街となっている。
 BAFTA TVアワード2013 編集賞ノミネート。

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 ◆サイエンス・ドキュメンタリー部門 (Best Science or Natural History Documentary)

 ◎“How to Build a Bionic Man”(Darlow Smithson Productions) 監督:Tom Coveney 初公開:Channel 4
 われわれは、あともう少しで人体のパーツや器官を人工品で代替できるところまで来ている。本作では、ワールドワイドな取材を敢行し、バイオニック・アームを利用している人や、世界初の人工装具人間(prosthetic human)の製造を追い、人体代替テクノロジーの躍進と、未来を創造する挑戦について、リポートする。

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 ◆エンタテインメント部門 (Most Entertaining Documentary)

 ◎“Nina Conti: A Ventriloquist's Story - Her Master’s Voice”(英・米) 監督:Nina Conti 初公開:BBC Four
 ニナ・コンティ(Nina Conti)は、世界的に知られた腹話術師で、彼女は、いまは亡き師の人形と彼女の元恋人ケン・キャンベルとともに、亡くなった腹話術師たちの人形が眠るVenthavenへと巡礼の旅に出る。この旅を通して、彼女は、ラテックスや木でできたパートナーたちをより深く知るとともに、自分自身をいったんバラバラにし、また、自らの失恋を語る。
 SXSW映画祭2012 観客賞受賞。

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 ◆ドキュメンタリー・シリーズ部門 Envy Best Documentary Series

 ◎“The Year The Town Hall Shrank”(Blast! Films) 監督:David Nath、James Newton 初公開:BBC Four
 イギリスのストローク=オン・トレントを1年以上にわたって撮影したドキュメンタリー。ストローク市議会は、戦後最大となる経済削減を発表した。政治家は何を残し、何を廃するのか決断しなければならない。この決議が、イギリスでも最も貧しい市の1つに与えるインパクトは、衝撃的で、悲痛だ。介護施設や図書館、プールまでも閉鎖された。これは、2011年のイギリス国民すべての物語である。
 英国ロイヤル・テレビジョン・ソサイエティー賞2013 最優秀ドキュメンタリー・シリーズ賞ノミネート。

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 ◆劇場公開作品部門 DocHouse & The Bertha Foundation Best Cinema Documentary

 ◎“The House I Live In”(オランダ・英・独・日・オーストラリア・米) 監督:ユージーン・ジャレッキ(Eugene Jarecki) 初公開:劇場公開
 アメリカでは、過去40年間に、麻薬による4500万人の逮捕者が出ている。それは世界でもトップで、国内外の貧しいコミュニティーにダメージを与えている。しかし、麻薬は、以前よりずっと安くなり、純度も増し、入手もたやすくなっている。われわれのどこが間違っていたのだろうか。現状を変える手立てはあるのだろうか。
 『ボクシング・ベイビー』“The Opponent”(2000)、『ヤバい経済学』“Freakonomics”(2010)などで知られるユージーン・ジャレキ監督の最新作。
 サンダンス映画祭2012 審査員グランプリ受賞。
 アフロアメリカン映画批評家協会賞2012 ドキュメンタリー賞受賞。
 米国アカデミー賞2013 長編ドキュメンタリー賞ショートリスト。

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 ◆新人部門 CTVC Best Newcomer Documentary

 ◎“High Tech, Low Life”(Mud Horse Pictures, LLC) 監督:Stephen Maing 初公開:シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭
 2人の中国人が、急激な経済成長を遂げる中国の裏側をリポートする様子を追う。1人目は、若き八百屋の青年で、市によって検閲されたニュースについてレポートする。2人目は引退したビジネスマンで、苦労する農村についてドキュメントする。土地の横取り、汚染、汚職、そして一般市民の話したいという気持ちの高まりが、大きくなる規制の波を潜り抜けるブロガーたちの格好の材料となる。

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 ◆学生作品部門 Sky Atlantic Best Student Documentary

 ◎“Sodiq” 監督:Adeyemi Michael(国立映画テレビ学校) 初公開:BFI Southbank
 Sodiqは、殺人罪で公判の最中だが、大学に行き、医者になるという夢を持っている。監督のAdeyemi Michaelは、市営住宅のサッカーチームで彼を知り合り、2008年に夢を語る彼の姿を映画に撮った。Sodiqは、刑務所で人生を終える気はないのだ。

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 ◆プレゼンター・オブ・ザ・イヤー (Documentary Presenter of the Year) [新設]

 ◎Grayson Perry “All in the Best Possible Taste with Grayson Perry”(Seneca Productions) 初公開:Channel 4

 ◆Radio Times Readers’ Choice Award

 ◎“The Secret History Of Our Streets”(Century Films & Halcyon Hearts Films) 監督:Joseph Bullman 初公開:BBC Two

 ◆Coutts Grierson Trustees’ Award

 ◎ジョン・パトセック(John Battsek)
 ジョン・パトセックは、『レストレポ 〜アフガニスタンで戦う兵士たちの記録〜』、『THE AGE OF STUPID』、“Fire in Babylon”、“The Tillman Story”、“Better this World”、『シュガーマン 奇跡に愛された男』などを製作したPassion Picturesのプロデューサー。

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 ノミネートされた作品には『シュガーマン 奇跡に愛された男』や『壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び』といった作品もありましたが、そうした作品を押しのけて、上記のような作品が受賞を果たしました。

 グリアソン・アワードのショートリストやノミネーションを見た時は、映画賞レース的には1年遅れの作品も多いし、IDAアワードが米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に擦り寄るような形で方向転換したのに対し、これはちょっとどうなのかなあとも思いましたが、受賞作について知ってみると、これはこれで悪くないような気がしてきました。イギリスのTVドキュメンタリーの最前線というか、イギリスのTVドキュメンタリーが今興味を示している方向や方面がわかって、なかなか興味深いですね。

 個人的に観てみたいと思うのは、“Imagine: The Fatwa - Salman's Story”や“Nina Conti: A Ventriloquist’s Story - Her Master’s Voice”あたりでしょうか。

 なお、各賞には、個別にスポンサーがついていて、賞のタイトルに各スポンサー名が冠されています。最近の映画賞には、こういうスタイルのものが増えてきているようです。

 
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 *当ブログ記事

 ・グリアソン・アワード2013 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201308/article_2.html
 ・グリアソン・アワード2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_52.html

 ・グリアソン・アワード2012 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_31.html
 ・グリアソン・アワード2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_33.html
 ・グリアソン・アワード2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_4.html

 ・グリアソン・アワード2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_8.html

 ・グリアソン・アワード2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_26.html

 ・グリアソン・アワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_13.html

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内 容 ニックネーム/日時
 どれも面白そうな映画ですが、“The Year The Town Hall Shrank”(Blast! Films) 監督:David Nath、James Newtonについては、英国TVで放映されてかなり論議を呼んでいるようなので、参考までにサイトのアドレスを書き込んでおきます。
http://www.eastlondonlines.co.uk/2012/07/deptford-locals-say-bbc-streets-documentary-an-insult-to-area/
林海馬
2014/04/19 11:37

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