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zoom RSS 『舟を編む』、または、米国アカデミー賞 外国語映画賞 日本代表作品 データ!

<<   作成日時 : 2013/09/05 12:54   >>

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 第86回米国アカデミー賞 外国語映画賞 日本代表作品が、石井裕也監督の『舟を編む』に決まったと発表がありました。(9月5日)

 米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 日本代表作品は、ぼんやりと『そして父になる』が最有力なのではないか、あるいは『風立ちぬ』かと思っていたので、ちょっと意外でした。
 『そして父になる』は、9月28日公開なので、米国アカデミー賞の規定する本国での連続上映日数が足りないんですね。

 石井裕也監督は、現在30歳で、米国アカデミー賞外国語映画賞日本代表監督として、史上最年少記録だそうです。

 これまでの記録は、(代表選出時点で)李相日の32歳、行定勲の33歳、小栗康平の35歳、勅使河原宏の37歳、熊井啓の38歳、篠田正浩の39歳、市川崑と吉田喜重の40歳、今村昌平と深作欣二と是枝裕和の42歳、森谷司郎の45歳、大島渚の46歳、という風になっています。(発表時を9月上旬と推定して計算しています)
 みんな若くして日本代表監督に選ばれているんですね。

 アカデミー賞外国語映画賞日本代表の選定基準には、おそらく明文化はされていないでしょうけれど――
 ・「世界に出るチャンス」として、なるべく、これまで選ばれたことのない監督を選出する
 ・ベテラン監督の代表作となるような、完成度の高い作品を選んだりする一方で、勢いがある意欲的な若手の作品を積極的にチョイスする
 というのがあるんじゃないかと、個人的に推測しているんですが、そういう伝統は、50年代から既にあることがわかります。

画像

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 【米国アカデミー賞 外国語映画賞 日本代表作品】

 1952年:『羅生門』 監督:黒澤明 [名誉賞受賞]
 1955年:『地獄門』 監督:衣笠貞之助 [名誉賞受賞]
 1956年:『宮本武蔵』 監督:稲垣浩 [名誉賞受賞]
 1957年:『ビルマの竪琴』 監督:市川崑 [ノミネート]
 1958年:『あらくれ』 監督:成瀬巳喜男
 1959年:『楢山節考』 監督:木下惠介
 1960年:『野火』 監督:市川崑
 1961年:『秋日和』 監督:小津安二郎
 1962年:『永遠の人』 監督:木下惠介 [ノミネート]
 1963年:『私は二歳』 監督:市川崑
 1964年:『古都』 監督:中村登 [ノミネート]
 1965年:『砂の女』 監督:勅使河原宏 [ノミネート]
 1966年:『怪談』 監督:小林正樹 [ノミネート]
 1967年:『湖の琴』 監督:田坂具隆
 1968年:『智恵子抄』 監督:中村登 [ノミネート]
 1969年:『黒部の太陽』 監督:熊井啓
 1970年:『神々の深き欲望』 監督:今村昌平
 1971年:『無頼漢』 監督:篠田正浩
 1972年:『どですかでん』 監督:黒澤明 [ノミネート]
 1973年:『軍旗はためく下に』 監督:深作欣二
 1974年:『戒厳令』 監督:吉田喜重
 1975年:『化石』 監督:小林正樹
 1976年:『サンダカン八番娼館 望郷』 監督:熊井啓 [ノミネート]
 1977年:なし
 1978年:『八甲田山』 監督:森谷司郎
 1979年:『愛の亡霊』 監督:大島渚
 1980年:『月山』 監督:村野鐵太郎
 1981年:『影武者』 監督:黒澤明 [ノミネート]
 1982年:『泥の河』 監督:小栗康平 [ノミネート]
 1983年:『鬼龍院花子の生涯』 監督:五社英雄
 1984年:『南極物語』 監督:蔵原惟繕
 1985年:『瀬戸内少年:野球団』 監督:篠田正浩
 1986年:『花いちもんめ』 監督:伊藤俊也
 1987年:『キネマの天地』 監督:山田洋次
 1988年:『女衒』 監督:今村昌平
 1989年:『ダウンタウン・ヒーローズ』 監督:山田洋次
 1990年:『利休』 監督:勅使河原宏
 1991年:『死の棘』 監督:小栗康平
 1992年:『八月の狂詩曲』 監督:黒澤明
 1993年:『女殺油地獄』 監督:五社英雄
 1994年:『まあだだよ』 監督:黒澤明
 1995年:『平成狸合戦ぽんぽこ』 監督:高畑勲
 1996年:『深い河』 監督:熊井啓
 1997年:『学校II』 監督:山田洋次
 1998年:『もののけ姫』 監督:宮崎駿
 1999年:『愛を乞うひと』 監督:平山秀幸
 2000年:『鉄道員(ぽっぽや)』 監督:降旗康男
 2001年:『雨あがる』 監督:小泉堯史
 2002年:『GO』 監督:行定勲
 2003年:『OUT』 監督:平山秀幸
 2004年:『たそがれ清兵衛』 監督:山田洋次 [ノミネート]
 2005年:『誰も知らない』 監督:是枝裕和
 2006年:『血と骨』 監督:崔洋一
 2007年:『フラガール』 監督:李相日
 2008年:『それでもボクはやってない』 監督:周防正行
 2009年:『おくりびと』 監督:滝田洋二郎 [受賞]
 2010年:『誰も守ってくれない』 監督:君塚良一
 2011年:『告白』 監督:中島哲也 [ショートリスト]
 2012年:『一枚のハガキ』 監督:新藤兼人
 2013年:『かぞくのくに』 監督:ヤン・ヨンヒ
 2014年:『舟を編む』 監督:石井裕也

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 【米国アカデミー賞外国語映画賞日本代表に選ばれた監督】

 ・5作品:黒澤明(5回中1回は名誉賞)
 ・4作品:山田洋次
 ・3作品:市川崑、熊井啓
 ・2作品:木下恵介、中村登、勅使河原宏、篠田正浩、小林正樹、五社英雄、今村昌平、小栗康平、平山秀幸
 ・1作品:衣笠貞之助(名誉賞)、稲垣浩(名誉賞)、成瀬巳喜男、小津安二郎、田坂具隆、深作欣二、吉田喜重、大島渚、村野鐵太郎、伊藤俊也、高畑勲、宮崎駿、降旗康男、小泉堯史、行定勲、是枝裕和、崔洋一、李相日、周防正行、滝田洋二郎、君塚良一、中島哲也、新藤兼人、ヤン・ヨンヒ、石井裕也

 【ノミネートまで進んだ作品】(名誉賞を除く)

 ・1957年:『ビルマの竪琴』(監督:市川崑)
 ・1962年:『永遠の人』(監督:木下恵介)
 ・1964年:『古都』(監督:中村登)
 ・1965年:『砂の女』(監督:勅使河原宏)
 ・1966年:『怪談』(監督:小林正樹)
 ・1968年:『智恵子抄』(監督:中村登)
 ・1971年:『どですかでん』(監督:黒澤明)
 ・1976年:『サンダカン八番館 望郷』(監督:熊井啓)
 ・1981年:『影武者』(監督:黒澤明)
 ・1982年:『泥の河』(監督:小栗康平)
 ・2004年:『たそがれ清兵衛』(監督:山田洋次)
 ・2009年:『おくりびと』(監督:滝田洋二郎)

 このうち、2度ノミネートを受けたのは黒澤明と中村登のみ。受賞したのは『おくりびと』のみです。

 【近年の日本代表作品と海外の映画祭への出品歴】

 ※( )内は制作会社ではなく、配給会社。

 ・1999年 『愛を乞うひと』(東宝) 監督:平山秀幸
 海外の映画祭への出品歴:モントリオール世界映画祭(国際批評家連盟賞受賞)
 ・2000年 『鉄道員』(東映) 監督:降旗康男
 海外の映画祭への出品歴:モントリオール世界映画祭(男優賞受賞)
 ・2001年 『雨あがる』(アスミック・エース=東宝) 監督:小泉堯史
 海外の映画祭への出品歴:ベネチア国際映画祭
 ・2002年 『GO』(東映) 監督:行定勲
 海外の映画祭への出品歴:―
 ・2003年 『OUT』(20世紀フォックス映画) 監督:平山秀幸
 海外の映画祭への出品歴:―
 ・2004年 『たそがれ清兵衛』(松竹) 監督:山田洋次
 海外の映画祭への出品歴:(ベルリン国際映画祭、香港国際映画祭)
 ・2005年 『誰も知らない』(シネカノン) 監督:是枝裕和
 海外の映画祭への出品歴:カンヌ国際映画祭(男優賞受賞)、テルライド映画祭、トロント国際映画祭、バンクーバー国際映画祭
 ・2006年 『血と骨』(松竹=ザナドゥー) 監督:崔洋一
 海外の映画祭への出品歴:釜山国際映画祭
 ・2007年 『フラガール』(シネカノン) 監督:李相日
 海外の映画祭への出品歴:トロント国際映画祭
 ・2008年 『それでもボクはやってない』(東宝) 監督:周防正行
 海外の映画祭への出品歴:バンクーバー国際映画祭
 ・2009年 『おくりびと』(松竹) 監督:滝田洋二郎
 海外の映画祭への出品歴:モントリオール世界映画祭(グランプリ受賞)
 ・2010年 『誰も守ってくれない』(東宝) 監督:君塚良一
 海外の映画祭への出品歴:モントリオール世界映画祭(脚本賞受賞)
 ・2011年 『告白』(東宝) 監督:中島哲也
 海外の映画祭への出品歴:トロント国際映画祭、プチョン国際ファンタスティック映画祭(審査員賞受賞)、ウーディネ極東映画祭(観客賞受賞)
 ・2012年 『一枚のハガキ』(東京テアトル) 監督:新藤兼人
 海外の映画祭への出品歴:モスクワ国際映画祭
 ・2013年 『かぞくのくに』(スターサンズ) 監督:ヤン・ヨンヒ
 海外の映画祭への出品歴:ベルリン国際映画祭(C.I.C.A.E.賞受賞)、モントリオール世界映画祭
 ・2014年 『舟を編む』(松竹=アスミック・エース)
 海外の映画祭への出品歴:香港国際映画祭、シアトル国際映画祭

 これらから、米国アカデミー賞外国映画賞日本代表作品の近年の傾向性を書き出してみると――

 ・大半が、松竹・東宝・東映の配給作品から選ばれている。流れとしては松竹作品と東宝作品が隔年に選ばれる感じで、同じ配給会社の作品が2年続けて選ばれることはほぼない。

 ・この15年間は毎年違う監督の作品が選ばれている。

 ・『誰も知らない』『フラガール』『誰も守ってくれない』『一枚のハガキ』『かぞくのくに』以外は原作ものの映画化作品。(映画化に合わせて「原作」が書かれたものを除く)

 ・15本のうち、時代劇が2本、現代劇が13本、そのうち現在から過去を回想しているスタイルの作品(現代劇)が2本。

 ・10月以降日本公開の作品は翌年度にまわされるためか、2002年公開作品と2004年公開作品が2本ずつある。

 ・日本アカデミー賞最優秀作品賞と合致する作品は7つ:『愛を乞うひと』、『鉄道員』、『雨あがる』、『たそがれ清兵衛』、『フラガール』、『おくりびと』、『告白』
 キネ旬ベストワンと合致する作品は8つ:『GO』、『たそがれ清兵衛』、『誰も知らない』、『フラガール』、『それでもボクはやってない』、『おくりびと』、『一枚のハガキ』、『かぞくのくに』
 毎日映画コンクール大賞と合致する作品は7つ:『愛を乞うひと』、『鉄道員』、『たそがれ清兵衛』、『血と骨』、『それでもボクはやってない』、『おくりびと』、『一枚のハガキ』
 ブルーリボン賞作品賞と合致する作品は5つ:『たそがれ清兵衛』、『誰も知らない』、『フラガール』、『告白』、『かぞくのくに』

 ・社会性の強い作品が選ばれる傾向が高い、というよりは、家族間の葛藤を描いた作品が多い。

 ・開催時期と選考時期が近いこともあってか、モントリオール世界映画祭、トロント国際映画祭、バンクーバー国際映画祭の出品作が選ばれる可能性が高い。特にモントリオール世界映画祭の出品作が選ばれる可能性が高い。

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 【米国アカデミー賞外国語映画賞日本代表の選考の方法】

 ここで、米国アカデミー賞外国語映画賞日本代表の選考のやり方についてまとめておくと、一般社団法人日本映画製作者連盟という団体があり、そこが米国映画芸術科学アカデミーから依頼を受けて、出品作の受付をし(申請制)、外部の選考委員に選考を依頼して、選考委員により日本代表作品を決定する、という仕組みになっています。

 日本映画製作者連盟というと、日本の映画監督やプロデューサーたちが所属する団体なのかと思ったりもしますが、会員は、東宝・松竹・東映・角川映画の4社です。

 出品作の主な条件は、前年の10月1日から当年の9月30日までに7日間以上連続して商業公開された作品であることで、そのほか、視聴用素材を提供することも求められています。(以前は、選考費用2万円を負担することも明記されていましたが、現在はその記載は削除されています。)

 ※一般社団法人日本映画製作者連盟:http://www.eiren.org/academy/exhibition.html

 今年の申請作品、および、選考委員は、公式には発表されていないようです。

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 【米国アカデミー賞 外国語映画賞の今後の流れ】

 10月1日:各国代表作品の締め切り

 10月半ば:規定に反していないか審査された後、全エントリー作品の発表(前回は審査をクリアできなかった作品に関するアナウンスはありませんでした)

 12月末(?):全エントリー作品から9作品にまで絞り込んだ「ショートリスト」の発表
 前々回まではショートリストの発表は、ノミネーション発表の1週間前でしたが、前回はかなり前倒しの発表になりました。

 2014年1月3日〜13日:パームスプリングス国際映画祭
 この映画祭は、アカデミー賞と直接的な関係はありませんが、実は、ここは、アカデミー賞外国語映画賞の実質的な前哨戦になっていて、『おくりびと』もここで受賞を果たしています。

 1月16日:ノミネーション5作品の発表

 アカデミー会員による投票
 5本のノミネート作品すべてを鑑賞したアカデミー会員のみに投票権が与えられ、投票が行なわれる。
 前回までは、「VHS、DVD、配信などではなく、劇場もしくはアカデミー会員向け上映会で5本のノミネート作品すべてを鑑賞したアカデミー会員のみに投票権が与えられ」、DVD鑑賞による投票は認められていませんでしたが、2014年5月4日のプレスリリースで、短編部門とドキュメンタリー部門と外国語映画賞部門でDVDでの鑑賞を可能とする「計画」があり、理事会で了承された、と発表されています。
 本年度から既にDVD鑑賞が可能になったのかどうか、公式サイトの規定を読んでもよくわかりませんが、今のところ「5本のノミネート作品すべてを鑑賞したアカデミー会員のみに投票権が与えられ」の規定は健在です。

 3月2日:授賞式で結果の発表

 ということになっています。

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 ちなみに、石井裕也監督は、受賞したら、外国語映画賞受賞史上最年少監督になるのかと思って、調べてみました。

 確か、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクは卒業制作だったはずで、ジュゼッペ・トルナトーレも若かったはずだと思ったんですが、上には上がいましたね――

 クロード・ルルーシュ(1937年10月30日生まれ):29歳 受賞年:1967年 『男と女』
 イジー・メンツェル(1938年2月23日生まれ):30歳 受賞年:1968年 『厳重に監視された列車』
 ヤン・スヴィエラーク(1965年2月6日生まれ):32歳 受賞年:1997年 『コーリャ 愛のプラハ』
 アレハンドロ・アメナバール(1972年3月31日):32歳 受賞年:2005年 『海を飛ぶ夢』
 ダニス・タノヴィッチ(1969年2月20日):33歳 受賞年: 受賞年:2002年 『ノー・マンズ・ランド』
 ジャン=ジャック・アノー(1943年10月1日生まれ):33歳 受賞年:1977年 『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』
 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(1973年5月2日生まれ):33歳 受賞年:2007年 『善き人のためのソナタ』
 ジュゼッペ・トルナトーレ(1956年5月27日):33歳 受賞年:1990年 『ニュー・シネマ・パラダイス』

 
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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_8.html

 ・米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 各国代表作品 続々決定!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_1.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月〜12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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