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zoom RSS 物議を醸しそうな映画がいっぱい!シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭2013!

<<   作成日時 : 2013/06/26 20:23   >>

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 第20回シェフィールド国際ドキュメンタリー映画祭(6月12日-18日)の受賞結果です。

 シェフィールド国際映画祭(Sheffield Doc/Fest(Sheffield International Documentary Festival (SIDF)))は、イギリスのシェフィールドで開催されるドキュメンタリーとデジタル・メディアの祭典で、ドキュメンタリーの国際映画祭としては、最も大きなものの1つに数えられています。

 Behind the Beat(音楽ドキュメンタリー)、Best of British(イギリスのドキュメンタリーのショーケース)、Euro/Doc、Films on Film、Queer Screen、Short Docs、The Habit of Art(アート・ドキュメンタリー)、This Sporting Life(スポーツ・ドキュメンタリー)など、数多くの部門が設けられています。

 2013年は、クリス・マルケル、マイケル・グリスビー、Les Blankのトリビュート上映、および、今村昌平のレトロスペクティヴが開催されました。

 本年度の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆審査員特別賞(Special Jury Award)
 ◎“The Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー(Joshua Oppenheimer)
 1965年9月30日、スハルトのクーデター軍がスカルノ政権を倒した時、北スマトラのメダンのAnwar CongoとAdi Zulkadryは、映画チケットのブラックマーケットを預かるならず者から悪名高き殺人部隊のリーダーに昇格する。彼らは、1965年から66年にかけて、「アカ狩り」と称して無実の人々を100万人以上殺害、Anwar自身も約1000人を絞殺した。殺された者の中には華僑もいて、脅しても、金を差し出さない者は容赦なく殺した。彼らは、自分たちの犯した残虐な行為に対して、今日まで一切罪に問われることなく、それどころか、腐敗した政治家たちの支援を得て、力を増し、Anwar自身は、殺人組織を脱した右派の民兵組織Pemuda Pancasilaの設立者として尊敬すらされている。彼らは、「共産主義者たちとの闘い」における、効率的な殺し方を思い出しては、自慢したりするのだ。
 監督のジョシュア・オッペンハイマーは、本作のために、Anwarにアプローチし、彼とその友人たちに、ドラマとして、過去の「殺人」を再現させ、当時の記憶や感情を思い出させようとする。それらのシーンは、彼らの好きなギャング映画や西部劇やミュージカルのスタイルで撮影される。勝利者にとって、これは栄光の出来事を映画的に美しく再現することであり、決して「虐殺」などではないのだ。
 Anwarの友人の何人かは、「殺人」を悪かったことだと認めているが、Pemuda Pancasilaの若きメンバーたちは、今日のパワーの基礎を築いたのは、彼らの恐るべき力なのだから、大虐殺も大いに誇ればいいと語る。
 エロール・モリスとヴェルナー・ヘルツォークがエグゼクティヴ・プロデューサーを務める。
 テルライド映画祭2012出品。
 トロント国際映画祭2012 TIFF DOCS部門出品。
 CPH DOX2012 グランプリ受賞。
 ベルリン国際映画祭2013 パノラマ部門 エキュメニカル審査員賞、観客賞受賞。
 イスタンブール・インディペンデント映画祭2013 批評家賞受賞。
 デンマーク・アカデミー賞2013 最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
 SXSW映画祭2013 フェスティバル・フェイバリット
 デンマーク映画批評家協会賞2013特別Bodil賞(Årets Sær-Bodil)受賞。
 香港国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 ヴァランシエンヌ映画祭2013 ドキュメンタリー部門グランプリ受賞。
 ドキュメンタ・マドリッド2013 審査員グランプリ、観客賞受賞。
 Beldocs ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭2013 グランプリ受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 No Limit部門出品。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 プチョン国際ファンタスティック映画祭2013 ヴィジョン・エクスプレス部門出品。

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 ◆スペシャル・メンション(Special mention)
 ◎“Mothers(媽媽的村庄)”(中) 監督:Xu Huijing
 中国北部の村では、子供をひとり産んだ女性は、避妊治療をさせられるか、避妊リングをつけさせられる。これは、30年以上前に始められた中国の一人っ子政策の影響の1つで、2人以上産むと罰金が科せられるからだ。撮影クルーは、役人を尾行して、避妊治療を拒む女性と追いかけっこをしている姿をとらえる。中国では、いまだに家族計画が押し付けられ、女性の産む権利は認められていない。
 全州国際映画祭2013 インターナショナル・フィルム・コンペティション部門出品。

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 ◆ヤング審査員賞(Sheffield Youth Jury Award)
 16歳から21歳の審査員によって選ばれる。
 ◎“God Loves Uganda”(米) 監督:Roger Ross Williams
 アフリカでのキリスト教信者拡大について、その状況をつぶさに調査し、記録したドキュメンタリー。アフリカでは、アメリカのキリスト教右派に根ざした価値観をアフリカに文化に植えつけようと、盛んに福音活動が行なわれている。ウガンダでは、アメリカとウガンダの宗教的指導者が「性的不道徳」について争い、宣教師たちは、ウガンダ人を説いて、キリスト教の掟を教え込もうとしている。
 TVシリーズなどを手がけるRoger Ross Williamsの初監督長編。
 サンダンス映画祭2013出品。
 サンフランシスコ国際映画祭2013 ゴールデンゲート長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 AFI Docs 2013 ベスト・オブ・フェスト。

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 ◆イノベーション賞(Sheffield Innovation Award)
 形式や語り口などがラディカルでオリジナリティーあふれる作品に贈られる。
 ◎“Alma, a Tale of Violence”(仏) 監督:Miquel Dewever-Plana、Isabelle Fougère
 アルマは、5年間、グアテマラで最も残忍といわれるギャングのメンバーで、彼女が最初に人を殺したのは15歳だった。今、彼女は、iPadに向かって、グアテマラの日常や、ギャングとしての生活を語る。果たして、彼女は犠牲者なのか、それともモンスターなのか。
 「視聴者に不適切な部分が含まれる場合があります」と「警告」つきで、インターネット上で公開されている40分のウェブ・ドキュメンタリー。オリジナル言語:スペイン語。英語字幕つき。
 公式サイト:http://alma.arte.tv/en/
 IDFA Doclab 2012 IDFA Doclab Award for Digital Storytelling受賞。

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 ◆グリーン・アワード(Sheffield Green Award)
 環境問題を扱った作品を対象とする。
 ◎“Pandora’s Promise”(米) 監督:ロバート・ストーン(Robert Stone)
 原子力の歴史と未来を考察するドキュメンタリー。原子爆弾や、フクシマにおける原発でのメルトダウンは、地球にとって大いなる脅威となっている。しかし、原子力は本当に悪なのだろうか。環境論者の多くは、エネルギー消費を減らす方向に向かわせることは難しいという厳しい現実を理解していて、抜本的な改革がなければ、氷山が溶けるのも、シロクマが死んでいくのも食い止めることはできないだろうということを知っている。メルトダウンの可能性は否定できないながら、結局は、彼らも、よくない手と知りながら、原発という選択肢に戻ってくるのだ。また、現在のアメリカの電力の10%は、旧ロシアの核弾頭を解体した核燃料によって賄われているという驚くべき事実もある。未来へと希望をつなぐためには、さまざまな議論がなされなければならない。
 『グランド・ゼロ/第三次世界大戦』(1998)、『パティ・ハースト誘拐 〜メディア王令嬢のゲリラ戦記〜』(2004)などで知られるロバート・ストーン監督の最新作。
 サンダンス映画祭2013 ドキュメンタリー・プレミア部門出品。

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 ◆スペシャル・メンション(Special mention)
 ◎“Fuck For Forest”(独) 監督:Michał Marczak
 ダニーは、若いノルウェー人で、裕福で保守的な家族の下を離れて、ベルリンに向かう。彼は、そこでFuck For Forestという団体に出会う。それは、自分たちの出演するアマチュアのポルノをインターネットに流し、その収益で、アマゾンの森林を買うということを目的とする団体だ。ポルノは無制限で、料金は月に15ドル。ダニーは、コミューンでのフリー・セックスにスリルを覚える。
 ワルシャワ国際映画祭2012 ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 What's Up,Docs?部門出品。

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 ◆学生ドキュメンタリー賞(Sheffield Student Doc Award)
 大学生の作品を対象とする。
 ◎“Boys”(英) 監督:Marc Williamson
 情緒や行動に問題のある子供たちを助けるために設けられた学校に通う2人の少年の夏期講習の様子を追ったドキュメンタリー。

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 ◆短編賞(Sheffield Short Doc Award)
 ◎“Slomo”(米) 監督:Josh Izenberg
 1998年、神経科医のJohn Kitchinは、キャリアを捨てて、パシフィック・ビーチに移り、ローラーブレードを手に入れて、「SLOMO」に変身する。
 SXSW映画祭2013 最優秀短編ドキュメンタリー賞受賞。
 AFI Docs 2013 観客賞 短編部門受賞。

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 ◆The Tim Hetherington Award
 ◎“The Square(El Midan)”(エジプト・米) 監督:Jehane Noujaim
 2011年2月のエジプト革命でムバラク政権は倒れた。しかし、それですべてが解決したわけではない。革命の勝利に陶酔しているうち、過渡的に軍隊の支配を招き、危険で不確かな状況が訪れる。やがて革命はイスラム急進派にのっとられてしまったことがわかる。革命の成功は世界中が目撃した。だが、大事なのは、その後なのだ。
 “Startup.com”(2001)で米・監督組合賞を受賞しているJehane Noujaimの最新作。
 サンダンス映画祭2013 出品。観客賞受賞。

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 ◆女性監督賞(The EDA award for Best Female-Director awarded by the Alliance of Women Film Journalists, Inc.)
 ◎“Rafea Solar Mama”(ヨルダン・米・デンマーク・インド) 監督:Mona Eldaief、 Jehane Noujaim
 1人のベドウィン人の母親が、世界中から集まった30人の読み書きのできないおばあちゃんたちとともにヨルダン-イラク国境地帯で暮らしている。彼らは、ソーラー・エンジニアになるために、インドの太陽光発電パネル学校:Barefoot Collegeに向う。
 トロント国際映画祭2012 TIFF DOCS部門出品。

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 ◆観客賞 長編部門(2013 Audience Award for Best Feature)
 ◎“The Act of Killing”(デンマーク・ノルウェー・英) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー(Joshua Oppenheimer)

 ◆観客賞 長編部門(2013 Audience Award for Best Feature)
 ◎“Particle Fever”(米) 監督:Mark Levinson [ワールド・プレミア]
 エジソンやフランクリンなど、偉大な科学者たちによって人類は、大いなる発展を遂げてきた。そして、現在―
 6人の科学者たちにより大型ハドロン衝突型加速器が開発され、人類のイノベーションが進められている。また、100カ国から10000人の科学者たちが集まり、ビッグ・バンが起こった後の状況を作り出して、世界の始まりがどうだったのか解明しようとしている。さらに、科学者たちの関心は、なぜわれわれが存在するのかという究極の問いへと向かう……。
 監督のMark Levinsonは元物理学者。編集のウォルター・マーチは、『地獄の黙示録』や『イングリッシュ・ペイシェント』などで知られる映画編集者。

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 ◆観客賞 短編部門(2013 Audience Award for Best Short Documentary)
 ◎“Slomo”(米) 監督:Josh Izenberg

 ◆観客賞 短編部門(2013 Audience Award for Best Short Documentary)
 ◎“Solipsist Part 1”(英) 監督:Andrew Huang
 サイケデリック・ファンタジー・フィルム。精神と肉体がひとつに収斂する別次元の人間を描く。手の込んだ衣裳や、視覚効果を使い、観る者をノン・ナラティヴで幻惑的な体験へと誘う。

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 ◆Inspiration Award
 映画業界やテレビ業界に多大な影響を与えた映画人・テレビ人に名誉賞。
 ◎Nick Fraser
 Nick Fraserは、『GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて〜』や『セルジオ』、『プロジェクト・ニム』、“Knucle”、“Rafea Solar Mama”などを手がけるプロデューサー。

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 “The Act of Killing”は、本年度のドキュメンタリー映画でキーともなるべき映画で、受賞歴で言えば、ジャンルは違いますが、昨年度の『シュガーマン 奇跡に愛された男』に匹敵するくらいの受賞歴を重ねています。

 物議を醸しかねない題材で、(いつかそうなって当たり前だったのかもしれませんが)この映画が大きく取り上げられることで、インドネシアの国政が大きく揺さぶられる可能性もありそうです。(『靖国』や『ザ・コーヴ』の時に日本で起こったレベルの騒ぎではないはずです。)

 撮られた側は、別に騙されたとは思っていない(正しいと思ってやったことを再現しただけ)と話しているという説もあれば、話が違う、裁判も辞さないと息を荒げているという噂もあって、本当のところはよくわかりません。

 アカデミー賞にノミネートされるとことまで行ったら、インドネシアでこの作品がどういう風にとらえられているか、そしてこの作品の中で描かれていることに対して国民はどう思っているのかが、日本のマスコミでも取り上げられるようになると思いますが、さて、どうなるでしょうか。

 『シュガーマン 奇跡に愛された男』とはジャンルも違うと書きましたが、複数の国の製作による作品で、監督の出身国とは異なる題材を扱い、ともに英語をベースとしているという点では共通点があります。製作に、イギリスとスウェーデンが関わっているという点も共通していますね。

 ちなみに、“The Act of Killing”で扱われるインドネシアの「アカ狩り」を取り上げている映画には、米国アカデミー賞2013外国語映画賞インドネシア代表に選ばれた“Tiny Dancer(Sang Penari)”(監督:Ifa Isfansyah)があり、戦争の残虐な加害者にフィルムメーカーがアプローチするドキュメンタリーとしては、 米国アカデミー賞2011長編ドキュメンタリー賞候補にもなった“Enemies of the People”(カンボジア・英)(監督:Rob Lemkin、Thet Sambath)があります。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月〜12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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