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zoom RSS 注目作あり! 学生アカデミー賞2013 発表!

<<   作成日時 : 2013/05/25 00:05   >>

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 第40回学生アカデミー賞の結果が発表されました。(5月14日)

 学生アカデミー賞は、アメリカの映画芸術科学アカデミーによる学生作品を対象とするコンペティションで、ロバート・ゼメキス(“A Field of Honor”(1975))、ジョン・ラセター(“Lady and the Lamp”(1979)、“Nitemare”(1980))、ジャコ・ヴァン・ドルマル(“Maedeli la brèche”(1981))、スパイク・リー(『ジョーズ・バーバー・ショップ』(1983))らを輩出したりして、もともと未来の映画監督への登竜門的なところがありましたが、このところさらに注目度を増しているのは、2011年、2012年と学生アカデミー賞受賞作品がそのまま本家の米国アカデミー賞にノミネートされたり、受賞したりするようになっているからです。

 2011年の米国アカデミー賞では学生アカデミー賞ナラティヴ部門金賞受賞作品『ゴッド・オブ・ラブ』“God of Love”(Luke Matheny監督)と外国映画部門受賞作品『告白』“The Confession”(Tanel Toom監督)がそれぞれ短編映画賞にノミネートされ、前者が受賞を果たしていますし、2012年の米国アカデミー賞では学生アカデミー賞外国語映画部門金賞受賞作品『チューバ・アトランティック』“Tuba Atlantic”(Hallvar Witzø監督)と同じくブロンズ賞受賞作品『息子』“Raju”(Max Zähle監督)がそれぞれ米国アカデミー賞短編映画賞にノミネートされています。

 外国映画部門は、これまでもHonorary Foreign Filmとしてあることはあったのですが、前々回より他の部門と同じく正式なコンペティション部門に昇格し、これが学生アカデミー賞から本家・米国アカデミー賞への流れをより強化したと言えるかもしれません。

 2012年度は、残念ながら、学生アカデミー賞受賞作品から米国アカデミー賞にノミネートされる作品はありませんでしたが、学生作品としては、『ヘッド オーバー ヒールズ』(頭のつまさき)“Head Over Heels”(英)(監督:ティモシー・レカート)が短編アニメーション賞にノミネートされています。

 なお、受賞作品には、金賞、銀賞、ブロンズ賞が与えられますが、各賞は、6月8日に行なわれる授賞式で発表されることになっています。

 *公式サイト:http://www.oscars.org/awards/saa/2013/index.html

 今年の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆オルタナティヴ部門(Alternative)

 ・“Bottled Up” 監督:Rafael Cortina(オクシデンタル大学)
 物語:エイモスは、社会の歯車の1つに過ぎないことに疲れてしまった。われわれの生活は、赤い河に沈み行くガラスびん(おそらくクール・エイドだ)に向かって祈りを送っているようなものだ。祈りは、決して聞き届けられることはない。エイモスは、ガラスのびんを沈めることに決め、クール・エイドを飲むのをやめる。
 トライベッカ映画祭2013出品。
 *公式サイト:http://www.flavorfilms.com/bottledup/index.html

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 ・“The Compositor” 監督:John Mattiuzzi(School of Visual Arts)
 物語:ポールは、ニューヨークで、デジタル映像に文字を打ち込んで仕上げる仕事(Compositor)をしているが、自分が作り出すデジタルなリアリティーの中で、自分自身を見失いかけている。そんな幻想世界から脱するためには、彼は、自分を精神的肉体的な奴隷に仕向けているものから自らを解放しなければならない。
 サンダンス映画祭2013、トライベッカ映画祭2013出品。
 *公式サイト:http://www.thecompositorfilm.com/

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 ・“Zug” 監督:Perry Janes(ミシガン大学)
 物語:ドノヴァンとリーは、デトロイトの郊外から市内に引っ越してきた少年たちである。デトロイトには、河の中洲に、ザグ・アイランドと呼ばれる複合工業地帯があり、そこではさまざまな都市伝説がささやかれている。たとえば、政府の最高機密の刑務所があるとか、実はひどく汚染されているとか、あるいは、ネイティヴ・アメリカンの墓地の上に建てられ、彼らの亡霊に脅かされているとか。ドノヴァンとリーは、クラスメイトに挑発されて、これらの都市伝説を確かめに行くことになる。
 バンクーバー国際映画祭2012、パームスプリングス国際短編映画祭2013出品。
 *公式サイト:http://www.zugfilm.com/

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 「オルタナティヴ部門」と言っても何のことだかわかりませんが、どうやら一般的な(現実的な)「ドラマ作品」より、野心的、意欲的な新しいタイプの作品ということのようです。前身は、Experimental Awardですが、それをそのまま引き継いだ「実験映画」部門ではなく、既定のジャンルにとどまらない新しいタイプの映像作家(たとえば、スパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリー、ダーレン・アロノフスキーなんかが出てきた時のような?)、新しいタイプの映像作品をピックアップするための部門という感じでしょうか。
 学生アカデミー賞は、「アニメーション部門」「ドキュメンタリー部門」「ドラマ部門」(Dramatic)の3つの部門で構成されていましたが、1995年にオルタナティヴ部門が設けられ、1999年には「ドラマ部門」が「ナラティヴ部門」に改称されています。
 応募作品がまだ多くないためか、前回までは受賞作品は1作品のみでしたが(応募する側も、この部門がどういう部門なのか、よくわかっていなかったのでしょう)、今回より3作品選ばれています。

 ◆アニメーション部門(Animation)

 ・“Dia de los Muertos” 監督:Lindsey St. Pierre、Ashley Graham(Ringling College of Art and Design)
 物語:死者の国にやってきた(引きずり込まれた)少女が、メキシコの祝日「死者の日」(Dia de los Muertos)が本当はどういう日なのかを知る。
 *公式facebook:http://www.facebook.com/DiaDeLosMuertosfilm?ref=stream#!/DiaDeLosMuertosfilm

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 ・“Peck Pocketed” 監督:Kevin Herron(Ringling College of Art and Design)
 物語:キラキラしたもので自分の巣を埋め尽くすことが夢の鳥が、ある日、公園で、キラキラしたものをたくさん身につけた、見るからにリッチな夫人が眠っているのを見つける。
 * Kevin Herron 公式facebook:https://www.facebook.com/kevin.c.herron

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 ・“Will” 監督:Eusong Lee(CalArts)
 物語:9.11のあの日、パパは、少女にヨーヨーを手渡して、仕事に出かけていった。その後、パパは、少女に向けて、留守番電話に最後のメッセージを残す。少女は、ヨーヨーを見るたびに、パパのことを思い出す。ヨーヨーは、一度下がってもまた戻ってくるが、パパは二度と思ってこない……。
 Eusong Leeは、韓国人留学生だそうです。
 ワルシャワ国際映画祭2012出品。
 * Eusong Lee 公式facebook:https://www.facebook.com/artofeusong

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 ◆ドキュメンタリー部門(Documentary)

 ・“Every Tuesday: A Portrait of The New Yorker Cartoonists” 監督:Rachel Loube(School of Visual Arts)
 雑誌「ニューヨーカー」誌に挿絵を描いているカトゥーンニスト4人、Sidney Harris, Emily Flake、Drew Dernavich、Zack Kaninのクリエイティヴィティーと、彼らがむランチの風景を捉えたドキュメンタリー。
 トライベッカ映画祭2013出品。
 公式facebook:https://www.facebook.com/EveryTuesdayAPortraitOfTheNewYorkerCartoonists

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 ・“A Second Chance” 監督:David Aristizabal(南カリフォルニア大学)
 Blade Anthonyは軍医である。働いているところは戦場から離れているが、その影響を受けないわけにはいかない。後に、彼は、軍医を解かれることになるが、普通の市民生活もままならない状態で、心的外傷性後遺症と診断され、介助犬の世話になることになる。今、彼は、戦争で被った心の傷を自覚し、戦場から生きて帰って来た仲間たちの第二の人生について目を向け始めている。
 David Aristizabalは、コロンビア出身の監督。

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 ・“Win or Lose” 監督:Daniel Koehler(Elon University)
 クリス・ブラウンは、カメラマンだが、政治的ではなかった。ところが、ノースカロライナ州で、州憲法修正第1条が可決されると、同性婚が禁止されることになると知ると、カメラを持って立ち上がり、結婚の平等のために闘おうと決める。そうして、彼は、州を走り回って、同性のカップルたちの写真を撮り続けていく。彼は、政治家や無知、そして自分自身の疑念とも闘いつつ、投票の日を待つことになるが、果たして自分はやれるだけのことはやっただろうかと心配になる。投票の結果が勝利であれ、敗北であれ、数千人の人々と団結し、愛と支援のために闘った事実に変わりはない。
 *公式サイト:http://www.winorlosedoc.com/

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 ◆ナラティヴ部門(Narrative)

 ・“Josephine and the Roach” 監督:Jonathan Langager(南カリフォルニア大学)
 物語:ゴキブリが、アパートの住人であるジョゼフィンに恋をする。彼女が好きなフランスの古いシャンソンも好きになるし、彼女がアコーディオンを弾く時は、彼はバイオリンで伴奏をする(彼女はそれを知らなかったが)。しかし、ジョゼフィンは既婚で、しかも夫のモエは害虫駆除業者だった。一計を案じたゴキブリは、モエの脳の中に入り込んで、彼を頭の中からコントロールしようとする……。
 アメリカ撮影者協会賞2012 ASC Heritage Award受賞。
 スラムダンス映画祭2013 オナラブル・メンション受賞。
 *公式サイト:www.josephineandtheroach.com

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 ・“Ol’ Daddy” 監督:Brian Schwarz(テキサス大学)
 物語:テリーは、フルタイムで、父の面倒を見なくてはならなくなり、悪戦苦闘する。そんなある日、父が、ふらふらと外へさまよい出てしまい、彼は父を捜して、右往左往することになる。
 ホワイト・サンズ国際映画祭2012出品。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/oldaddyfilm

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 ・“Un Mundo para Raúl (A World for Raúl)” 監督:Mauro Mueller(コロンビア大学)
 物語:13歳の少年ラウルが、地方で、地主の少年に遊ぼうと誘う。その結果、2人の少年の、力とプライドを賭けたゲームが始まる。
 コロンビア大学映画祭2011 Development Award受賞。コロンビア大学映画祭2012 フェスティバル賞・監督賞(Big Beach賞)・IFP観客賞・学生チョイス賞受賞。
 ワルシャワ国際映画祭2012出品。
 * Mauro Mueller 公式facebook:http://www.facebook.com/mauromueller

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 ◆外国映画部門(Foreign Film)

 ・“Miss Todd”(英) 監督:Kristina Yee(英国国立映画テレビ学校)
 物語:本当にあった物語。投資家で政治家のアメリカ人ラッセル・セイジ(Russell Sage)は、どケチだったが、78歳で死に、妻オリヴィアに大金を残す。遺産を受け継いだオリヴィアは、慈善家となり、多くの寄付を行なう。ディディエ・マッソンは、フランス人の旅芸人で、第一次世界大戦では、飛行機のパイロットを務め、何度も危機を切り抜けて生還し、ヒーローとなった。リリアン・トッド(1865-1937)は、メカが好きな発明家で、1906年から飛行機の設計を始め、1909年に完成させて、女性で初めての飛行機の設計技師となった。彼女を応援したのが、オリヴィアで、1910年に、その飛行機を操縦したのが、ディディエ・マッソンだった。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2013出品。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/MissToddFilm
 *公式ブログ:http://misstoddthefilm.blogspot.jp/

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 ・“Parvaneh”(スイス) 監督:Talkhon Hamzavi(Zurich University of the Arts)
 物語:Parvanehは、アフガン難民で、スイスにある亡命者のためのトランジット・センターで暮らしていた。彼女は、センターとセンターが建っている田舎のことしか知らなかったが、故郷に送金するために、初めて町に出て、ネオンの看板や鉄道の喧騒に圧倒される。彼女は、IDを持っていなくて、送金できなかったが、そんな彼女を助けてくれたのが、ひとりのパンク少女だった。それをきっかけに、彼女はさまざまなことを経験していく。
 *公式サイト:http://sfv.zhdk.ch/diplomfilme/index.php?show=361

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 ・“Tweesprong (Crossroads)”(ベルギー) 監督:Wouter Bouvijn(RITS School of Arts, Erasmus College Brussels)
 物語:マキシムの父親が遺伝性の病気で亡くなる。マキシムは、自分もその病気にかかっているか検査しなければならなかったが、結果を知らされるのが怖かった。
 リューベン国際短編映画祭2012 最優秀デビュー作品賞受賞。
 *公式facebook:https://www.facebook.com/tweesprong

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 最終的にこれらの作品の中から本家アカデミー賞にノミネートされる作品が出るかどうかはわかりませんが、今回は、かなりクオリティーが高いのではないでしょうか。

 アニメーション部門とドキュメンタリー部門は、これがそのままノミネーションとなってもいいくらいな気がしますね。特にアニメーション作品は、予告編を観ただけですが、長編アニメーションのオマケとして劇場公開されてもいいようなクオリティーの高さで、CGアニメーションだったら、学生でももうこのくらいは普通にできるのだと知って、驚かされます。

 これらが、米国アカデミー賞候補に挙がるかどうかが最初に判明するのは、短編ドキュメンタリー部門が10月中、短編映画部門と短編アニメーション部門が11月です。

 その前に“Miss Todd”は、まず手始めに、アヌシーで受賞するかどうかというのもありますが……。

 ちょっと楽しみですね。

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 *当ブログ記事

 ・学生アカデミー賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_14.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月〜12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

 追記:
 ・学生アカデミー賞2013 授賞式:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_9.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして ブログ楽しく読ませていただきました。役立つ情報をありがとうございます
只野剛
2013/05/25 09:59
Josephine and the road面白そうですね。
初歩的な質問かもしれませんが、学生アカデミー賞を受賞する作り手達は、「映画芸術科学アカデミー」の講義を受けたり、製作資金を受けたりはしないのですか。または、彼らの出身大学が、アカデミーの認めた大学、という訳でもないのでしょうか。
Shun
2013/05/27 20:15

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