第65回米・脚本家組合賞(WGA)の結果が発表されました。(2月17日) 【映画部門】 ◆オリジナル脚本賞 ・『フライト』 ジョン・ゲイティンス ・『LOOPER/ルーパー』 ライアン・ジョンソン ・『ザ・マスター』 ポール・トーマス・アンダーソン ・『ムーンライズ・キングダム』 ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ ◎『ゼロ・ダーク・サーティ』 マーク・ボール ![]() ◆脚色賞 ◎『アルゴ』 クリス・テリオ 原作:Antonio J. Mendez著“The Master of Disguise”(からのセレクション)、“The Wired Magazine”の記事:Joshuah Bearman著‘The Great Escape’ ・『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 デイヴィッド・マギー 原作小説:ヤン・マーテル(Yann Martel)著『パイの物語』 ・『リンカーン』 トニー・クシュナー 原作:ドリス・カーンズ・グッドウィン(Doris Kearns Goodwin)著『リンカン 奴隷解放宣言』“Team of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln”(の一部) ・“The Perks of Being a Wallflower” スティーヴン・チョボスキー 原作:スティーヴン・チョボスキー ・『世界にひとつのプレイブック』 デイヴィッド・O・ラッセル 原作小説:Matthew Quick著“Silver Linings Playbook” ![]() ◆ドキュメンタリー賞(Documentary Screenplay) ・“The Central Park Five”(監督:Sarah Burns、David McMahon、Ken Burns) Sarah Burns、David McMahon、Ken Burns ・“The Invisible War”(監督:カービー・ディック) カービー・ディック ・“Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God”(監督:アレックス・ギブニー) アレックス・ギブニー ◎『シュガーマン 奇跡に愛された男』(監督:マリク・ベンジェルール) マリク・ベンジェルール ・“We Are Legion: The Story of the Hacktivists”(監督:Brian Knappenberger) Brian Knappenberger ・“West of Memphis”(監督:エイミー・バーグ) エイミー・バーグ、Billy McMillin ![]() −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【テレビ部門】 ※文字数の都合上、以下は受賞作のみ記載しています。 ◆ドラマ・シリーズ部門(Drama Series) ◎『ブレイキング・バッド』(AMC) Sam Catlin、ヴィンス・ギリガン(Vince Gilligan)、ピーター・グールド(Peter Gould)、Gennifer Hutchison、George Mastras、トーマス・シュノーズ(Thomas Schnauz)、Moira Walley-Beckett 『ブレイキング・バッド』は、2連覇です。 ![]() ◆コメディー・シリーズ部門(Comedy Series) ◎“Louie”(FX) パメラ・アドロン(Pamela Adlon)、Vernon Chatman、ルイス・C・K ![]() ◆新シリーズ部門(New Series) ◎“Girls”(HBO) ジャド・アパトゥ、Lesley Arfin、レナ・ダナム(Lena Dunham)、Sarah Heyward、ブルース・エリック・カプラン(Bruce Eric Kaplan)、Jenni Konner、Deborah Schoeneman、Dan Sterling ![]() ◆ドラマ部門 エピソード賞(Episodic Drama) ◎『MAD MEN マッド・メン』(AMC)-‘The Other Woman’ セミ・チェラス(Semi Chellas)、マシュー・ワイナー(Matthew Weiner) ◆コメディー部門 エピソード賞(Episodic Comedy) ◎『モダン・ファミリー』(ABC)-‘Virgin Territory’ Elaine Ko 『モダン・ファミリー』は2連覇です。 ◆ロング・フォーム部門 オリジナル脚本賞(Long Form – Original) ◎『宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ』(History)-Nights Two and Three Teleplay:テッド・マン(Ted Mann)、ロナルド・パーカー(Ronald Parker) ストーリー:ビル・カービィ(Bill Kerby)、テッド・マン ◆ロング・フォーム部門 脚色賞(Long Form – Adapted) ◎『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』(HBO) ダニー・ストロング(Danny Strong) 原作:マーク・ハルペリン、ジョン・ハイルマン ◆コメディー/バラエティー・シリーズ(トーク・ショーを含む)部門(Comedy / Variety – (Including Talk) Series) ◎“Portlandia”(IFC) Fred Armisen、Carrie Brownstein、Karey Dornetto、Jonathan Krisel、Bill Oakley ![]() ◆コメディー/バラエティー スペシャル−音楽/授賞式/トリビュート部門(Comedy / Variety – Music、Awards、Tributes – Specials) ◎第66回トニー賞(CBS) Dave Boone Special Material:Paul Greenberg オープニング&クロージング・ソング:David Javerbaum、Adam Schlesinger ◆デイタイム・ドラマ部門(Daytime Drama) ◎“The Young and the Restless”(CBS) Amanda Beall、Jeff Beldner、Susan Dansby、Janice Ferri Esser、Jay Gibson、Scott Hamner、Marla Kanelos、Natalie Minardi Slater、Beth Milstein、Michael Montgomery、Anne Schoettle、Linda Schreiber、Sarah K. Smith、Christopher J. Whitesell、Teresa Zimmerman ![]() ◆子供向け番組−エピソード&スペシャル部門(Children's – Episodic & Specials) ◎『セサミ・ストリート』-‘The Good Sport’(PBS) Christine Ferraro ![]() ◆子供向け番組−ロング・フォーム/スペシャル部門(Children’s – Long Form Or Special) ◎“Girl vs. Monster”(Disney Channel) Teleplay:Annie DeYoung、Ron McGee ストーリー:Annie DeYoung ◆アニメーション部門(Animation) ◎『シンプソンズ』(Fox)-‘Ned ’N’ Edna’s Blend Agenda’ Jeff Westbrook ◆ドキュメンタリー−報道部門(Documentary – Current Events) ◎“Frontline”(PBS)-‘Money, Power and Wall Street: Episode One’ Martin Smith 、Marcela Gaviria ◆ドキュメンタリー−その他の番組部門(Documentary – Other Than Current Events) ◎“Nova”(PBS)-‘The Fabric of the Cosmos: The Illusion of Time’ Telescript:Randall MacLowry ストーリー:Joseph McMaster、Randall MacLowry ![]() ◆ニュース−レギュラー番組/速報/特報部門(News – Regularly Scheduled、Bulletin、or Breaking Report) ◎“Tragedy In Colorado: The Movie Theatre Massacre”(ABC News) Lisa Ferri、Joel Siegel ◆ニュース−分析/特集/コメンタリー部門(News – Analysis、Feature、or Commentary) ◎“Moyers & Company”(Thirteen/ WNET)-‘The Ghost of Joe McCarthy’ Bill Moyers、Michael Winship ![]() 【ラジオ部門】 ◆ニュース−レギュラー番組/特報部門(News – Regularly Scheduled or Breaking Report) ◎“World News This Year 2011”(ABC News Radio) Darren Reynolds ![]() ◆ニュース−分析/特集/コメンタリー部門(News – Analysis、Feature or Commentary) ◎“Dishin Digital”(WCBS-AM) Robert Hawley ![]() 【PR/グラフィック・アニメーション部門】 (Promotional Writing And Graphic Animation) ◆PR賞(ラジオ/テレビ)部門(On-Air Promotion (Radio or Television)) ◎“Partners”(CBS) Dan A. Greenberger ◆グラフィック・アニメーション部門(Television Graphic Animation) ◎“Sunday Morning with Charles Osgood”(CBS)-‘The Oscars’ アニメーション:Bob Pook 【ビデオゲーム部門】 ◆Outstanding Achievement in Videogame ◎“Assassin’s Creed III: Liberation” Richard Farrese、Jill Murray; Ubisoft 【ニュー・メディア部門】 ◆Outstanding Achievement In Writing Original New Media ◎“The Compromises”-Episode 1、“The Pest”-Episode 3、“The Snake”-Episode 4、“The Bonding”-Episode 6、“The Future”-Episode 7/Series Finale(Jack In A Box) Michael Cyril Creighton(Jackinaboxsite.Com) ![]() ◆Outstanding Achievement In Writing Derivative New Media ◎“The Walking Dead: Cold Storage”-‘Hide And Seek’、‘Keys To The Kingdom’、‘The Chosen Ones’、‘Parting Shots’ John Esposito(Amctv.Com) ![]() 【特別賞・名誉賞】 ◆Screen Laurel Award ◎トム・ストッパード 演劇作品の脚本を映画に脚色することに対して(on adapting screenplays versus writing for the theater) ◆Paddy Chayefsky Laurel Award ◎ジョシュア・ブランド(Joshua Brand) & ジョン・フォルシー(John Falsey) 70年代、80年代のTVでの活動に対して(on working in TV in the 1970s and 80s) ◆Paul Selvin Award ◎トニー・クシュナー アブラハム・リンカーンを知らしめたことに対して(on getting to know Abraham Lincoln) ◆Morgan Cox Award ◎ダニエル・ペトリ Jr.(Daniel Petrie Jr.) 組合での活動に対して(on the rewards of service to the Guild) ◆Valentine Davies Award ◎フィル・ローゼンタール(Phil Rosenthal) 子供たちの内面に熱心に芸術をもたらしたことに対して(on why he works diligently to bring arts to inner city children) ◆ジャン・ルノワール賞 ◎黒澤明、橋本忍、菊島隆三、小国英雄 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 映画部門について― 【アカデミー賞との関係】 オリジナル脚本賞と脚色賞での一致度は以下のようになっています。 2012年 脚本:2作品(WGA=AA) 脚色:3作品(WGA=AA) 2011年 脚本:3作品(WGA) 脚色:3作品(WGA=AA) 2010年 脚本:2作品(WGA=AA) 脚色:2作品(WGA、AA) 2009年 脚本:1作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA=AA) 2008年 脚本:4作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA=AA) 2007年 脚本:3作品(WGA=AA) 脚色:3作品(WGA=AA) 2006年 脚本:3作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA=AA) 2005年 脚本:3作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA=AA) 2004年 脚本:3作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA、AA) 2003年 脚本:3作品 脚色:4作品(WGA) 2002年 脚本:3作品(WGA=AA) 脚色:3作品(WGA=AA) 2001年 脚本:4作品(WGA、AA) 脚色:4作品(WGA=AA) 2000年 脚本:4作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA、AA) 1999年 脚本:4作品(WGA=AA) 脚色:4作品(WGA、AA) カッコで示してあるのは、脚本家組合賞(WGA)のノミネーションとアカデミー賞のノミネーションが一致した中からそれぞれの受賞作品が出たかどうかを示しています。 「WGA=AA」は同じ作品が双方で受賞したことを示し、「WGA、AA」は一致したノミネート作品の中から別々の作品が受賞したことを示し、「WGA」は一致したノミネート作品の中から脚本家組合賞は出たけれど、アカデミー賞は脚本家組合賞にはノミネートされなかった作品から出、何も記していないところはそれぞれ別々のノミニーから受賞作が出たことを示しています。 ※過去14年分を書き出していることに特に意味はありません。毎年データを書き出していて、それが蓄積していっているだけです。 重なったノミネート作品の中から双方の受賞作が出る割合は25/28(89.3%)、受賞作が一致する割合は、オリジナル脚本賞で11/14(78.6%)、脚色賞で9/14(64.3%)、全体では20/28(71.4%)ということになります。 つまり、アカデミー賞のノミネーションが発表された時点で、重なったノミニーの中から受賞作が選ばれる確率は89.3%、受賞作が一致する確率は、オリジナル脚本賞で78.6%、脚色賞で64.3%、全体では71.4%あるということになります。 ◆米国アカデミー賞 オリジナル脚本賞ノミネーション ・『愛、アムール』 ミヒャエル・ハネケ ・『ジャンゴ 繋がれざる者』 クエンティン・タランティーノ ・『フライト』 ジョン・ゲイティンス ・『ムーンライズ・キングダム』 ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ ・『ゼロ・ダーク・サーティ』 マーク・ボール ◆米国アカデミー賞 脚色賞ノミネーション ・『アルゴ』 クリス・テリオ ・『ハッシュパピー〜バスタブ島の少女〜』 ルーシー・アリバー、ベン・ザイトリン ・『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 デイヴィッド・マギー ・『リンカーン』 トニー・クシュナー ・『世界にひとつのプレイブック』 デイヴィッド・O・ラッセル 今回の発表を受けて、『ゼロ・ダーク・サーティ』が米国アカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞する確率は78.6%、『アルゴ』が米国アカデミー賞脚色賞を受賞する確率は64.3%となります。脚色賞に関しては『アルゴ』がUSCスクリプターも受賞しているので、『アルゴ』はさらに有力ということになります。 しかし、米・脚本家組合賞(WGA)と米国アカデミー賞とは、有資格作品にずれがあり、また、英国アカデミー賞では、『ジャンゴ 繋がれざる者』がオリジナル脚本賞、『世界にひとつのプレイブック』が脚色賞を受賞したこともあって、両部門ともまだ当確とは言い切れません。 特に脚色賞に関しては、米・脚本家組合賞(WGA)ではトニー・クシュナーにPaul Selvin Awardを授与することが決まっていたので、脚色賞を贈るまでもないと見なされてしまった可能性もあります。 また、14年間の脚本家組合賞のオリジナル脚本賞もしくは脚色賞ノミネート作品の中からアカデミー賞作品賞が出る割合は12/14(85.7%)、脚本家組合賞受賞作の中からアカデミー賞作品賞が出る割合は8/14(57.1%)になっていますから、『アルゴ』が作品賞最有力と考えられている現在、脚色賞も『アルゴ』が受賞する可能性が高い、ということになります。 というわけで、米・脚本家組合賞(WGA)が発表になった現時点でも オリジナル脚本賞 ・『ゼロ・ダーク・サーティ』:有望 ・『ジャンゴ 繋がれざる者』:優勢 脚色賞 ・『アルゴ』:本命 ・『世界にひとつのプレイブック』:有望 ・『リンカーン』:有力 という状況です。 どのデータを重要視するかによって、予想は変わります。 オリジナル脚本賞は、『ジャンゴ 繋がれざる者』に対する評価が脚本に集まれば『ジャンゴ 繋がれざる者』がオリジナル脚本賞を受賞するかもしれませんし、プロジェクトや企画までも含めた評価を脚本に向けるとすれば『ゼロ・ダーク・サーティ』がオリジナル脚本賞を受賞するかもしれません。 脚色賞は、作品賞の勢いが脚色賞まで及べば『アルゴ』、トニー・クシュナー個人への評価が高まれば『リンカーン』の受賞となります。 あとは、現在のアメリカの映画界の流れ、雰囲気がどうなっているか、にかかっているということになるでしょうか。 ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ クリックしてね! *当ブログ記事 ・米・脚本家組合賞(WGA)2013 映画部門 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_8.html ・米・脚本家組合賞(WGA)2013 TV部門他 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_77.html ・米・脚本家組合賞(WGA)2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_7.html ・米・脚本家組合賞(WGA)2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_34.html ・米・脚本家組合賞2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_7.html ・米・脚本家組合賞2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201102/article_10.html ・米・脚本家組合賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_15.html ・米・脚本家組合賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_37.html ・米・脚本家組合賞2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_8.html ・米・脚本家組合賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_9.html ・『ジャンゴ』『愛、アムール』『レ・ミゼラブル』… 米・脚本家組合賞(WGA)2013 失格!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_40.html ・米国アカデミー賞2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_30.html ・全米映画賞レース2012の結果をまとめてみました! 〈前半戦〉:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_51.html ・全米映画賞レース2012の結果をまとめてみました! 〈後半戦〉:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_40.html ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月〜2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html |
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