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zoom RSS オーストリア映画賞2013 ノミネーション発表! 『愛、アムール』は…?

<<   作成日時 : 2012/12/26 01:36   >>

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 第3回オーストリア映画賞(Österreichischen Filmpreis/Austrian Film Award) 2013のノミネーションが発表されました。(12月17日)

 ◆作品賞(Bester Spielfilm)
 ・“Grenzgänger(Crossing Boundaries)” 監督:フロリアン・フリッカー
 ・“Paradies: Liebe(Paradise:Love)” 監督:ウルリッヒ・ザイドル
 ・“Die Wand(The Wall)” 監督:Julian Roman Pölsler

 ◆監督賞(Beste Regie)
 ・フロリアン・フリッカー “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・Julian Roman Pölsler “Die Wand(The Wall)”
 ・ウルリッヒ・ザイドル “Paradies: Liebe(Paradise:Love)”

 ◆男優賞(Bester männlicher Darsteller)
 ・ラース・アイディンガー(Lars Eidinger) “Tabu – Es st die Seele ein Fremdes auf Erden(Taboo−The Soul Is a Starnger on Earth)”(監督:Christoph Stark)
 ・Andreas Lust “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・Karl Merkatz “Anfang 80(Coming of Age)”(監督:Gerhard Ertl、Sabine Hiebler)

 ◆女優賞(Beste weibliche Darstellerin)
 ・マルティナ・ゲデック “Die Wand(The Wall)”
 ・Christine Ostermayer “Anfang 80(Coming of Age)”
 ・Margarethe Tiesel “Paradies: Liebe(Paradise:Love)”

 ◆脚本賞(Bestes Drehbuch)
 ・フロリアン・フリッカー “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・Julian Roman Pölsler “Die Wand(The Wall)”
 ・ウルリヒ・ザイドル、Veronika Franz “Paradies: Liebe(Paradise:Love)”

 ◆撮影賞(Beste Kamera)
 ・マルティン・ゲシュラハト(Martin Gschlacht) “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・ヴォルフガング・ターラー(Wolfgang Thaler)、エド・ラッハマン(Ed Lachman) “Paradies: Liebe(Paradise:Love)”
 ・カーステン・ティーレ(Carsten Thiele) 『二番目の妻』“Kuma”(監督:ウムト・ダー)

 ◆編集賞(Bester Schnitt)
 ・カリーナ・レスラー(Karina Ressler) “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・カリーナ・レスラー(Karina Ressler) “Oh Yeah, She Performs!”(監督:Mirjam Unger)
 ・モニカ・ヴィッリ(Monika Willi) “Die Lebenden(The Dead and the Living)”(監督:バルバラ・アルベルト(Barbara Albert))

 ◆美術賞(Bestes Szenenbild)
 ・アンドレアス・ドンホイザー(Andreas Donhauser)、レナーテ・マルティン(Renate Martin) “Paradies: Liebe(Paradise:Love)”
 ・Katrin Huber 『二番目の妻』“Kuma”
 ・レナート・シュマーデラー(Renate Schmaderer)、Enid Löser、Petra Heim、Hajo Schwarz “Die Wand(The Wall)”

 ◆衣裳デザイン賞(Bestes Kostümbild)
 ・Cinzia Cioffi 『二番目の妻』“Kuma”
 ・バージット・フッター(Birgit Hutter) “Tabu – Es st die Seele ein Fremdes auf Erden(Taboo−The Soul Is a Starnger on Earth)”
 ・Thomas Olàh “Die Vermessung der Welt(Measuring the World)”(監督:デトレフ・ブック(Detlev Buck))

 ◆メイキャップ賞(Beste Maske)
 ・Fabienne Adam、Brigitte Dettling “Tabu – Es st die Seele ein Fremdes auf Erden(Taboo−The Soul Is a Starnger on Earth)”
 ・Monika Fischer-Vorauer、Michaela Oppl “Die Vermessung der Welt(Measuring the World)”
 ・Martha Ruess 『二番目の妻』“Kuma”

 ◆音響デザイン賞(Beste Tongestaltung)
 ・Heinz K. Ebner、Philipp Mosser、Berhard Maisch “Das Pferd auf dem Balkon(The Horse on the Balcony)”(監督:Hüseyin Tabak)
 ・Nils Kirchhoff、Bernhard Maisch、ディーター・メイヤー(Dieter Meyer) “More than Honey”(監督:Markus Imhoof)
 ・Dietmar Zuson、Tobias Fleig “Die Lebenden(The Dead and the Living)”

 ◆音楽賞(Beste Musik)
 ・ロレンツ・ダンゲル(Lorenz Dangel) “Die Lebenden(The Dead and the Living)”
 ・Eva Jantschitsch “Grenzgänger(Crossing Boundaries)”
 ・Judit Varga “Das Pferd auf dem Balkon(The Horse on the Balcony)”

 ◆短編賞(Bester Kurzfilm)
 ・“Hatch” 監督:Christoph Kuschnig
 ・“Unser Lied(Our Song)” 監督:Catalina Molina
 ・“366 Tage(366 Days)” 監督:Johannes Schiehsl

 ◆ドキュメンタリー賞(Bester Dokumentarfilm)
 ・“Evolution der Gewalt(Evolution of Violence)” 監督:Fritz Ofner
 ・“Low Definition Control (Malfunctions #0)” 監督:Michael Palm
 ・“Der Prozess(The Process)” 監督:Gerald Igor Hauzenberger

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 主な作品のノミネート状況は以下の通りです。

 ・“Grenzgänger(Crossing Boundaries)”(7):作品・監督・男優・脚本・撮影・編集・音楽
 ・“Paradies: Liebe(Paradise:Love)”(6):作品・監督・女優・脚本・撮影・美術
 ・“Die Wand(The Wall)”(5):作品・監督・女優・脚本・美術
 ・『二番目の妻』“Kuma”(4):撮影・美術・衣裳・メイク
 ・“Tabu – Es st die Seele ein Fremdes auf Erden”(3):男優・衣裳・メイク
 ・“Die Lebenden(The Dead and the Living)”(3):編集・音響・音楽
 ・“Anfang 80(Coming of Age)”(2):男優・女優
 ・“Die Vermessung der Welt(Measuring the World)”(2):衣裳・メイク
 ・“Das Pferd auf dem Balkon(The Horse on the Balcony)”(2):音響・音楽

 2012年度のフランスとドイツとオーストリアの映画賞は、みんな『愛、アムール』が総なめにするんじゃないかと思っていたら、ミヒャエル・ハネケの母国オーストリアのオーストリア映画賞のノミネーションには『愛、アムール』は影も形もありませんでした。

 正確なところはわかりませんが、CHINO KINOによると、〈Haneke himself declined to submit it for consideration, saying it was "kind of stupid" to compete against those who were just beginning and "that would be unfair. "〉とあります。「映画を始めたばかりの若造と競うのはばかばかしいし、フェアではないと言って、ハネケはエントリーを辞退した」ということのようです。

 映画は、監督ひとりのものではないし、キャストにもスタッフにも与えられるべき栄誉は与えられるべきであって、そのチャンスを(プロデューサーでもない)監督の独断で奪うものではないとも思いますが、そんなこともないのでしょうか。まあ、ハネケがいなかったら、『愛、アムール』と同じものはできなかったでしょうし、ヘネケの意思とは別に、作品自体には、現時点まででかなり多くの栄誉は与えられてきているわけですが……。

 それはともかく―

 上記のノミネーションを見ると、ベルリン、カンヌ、モスクワ、モントリオール、サンセバスチャンと、大きな国際映画祭に、相次いでオーストリア映画が出品され、それらが、それぞれに確かな評価を得ていることがわかります。

 日本に作品が紹介されている監督もいますが、そうではない監督、または、まだまだ認知されているとは言いがたい監督ばかりなのに、それでもこうして国際的な評価を得ている作品が多いというのは凄いですね。

 当ブログでは、2006年にオーストリア映画についてまとめていますが(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200605/article_10.html)、あの頃と比べても、オーストリア映画は少なからず飛躍しているように見えます。

 オーストリア映画賞を始めたのは、2009年に設立されたオーストリア映画アカデミーであり、こうした組織や映画賞ができたこと自体、オーストリア映画界が盛り上がってきている証し、と考えられます。

 ドイツとの共同製作も多く、「オーストリア映画」単体で取り上げられることが少ないオーストリア映画ですが、ハネケ以外にも、ウルリヒ・ザイドルがいて、ジェシカ・ハウスナーがいて、ニキ・リストがいて、フーベルト・ザウパーがいて……というように、そろそろオーストリア映画も「ドイツ映画とは違う」というところを示す時期に来ているのかもしれません。

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 主なノミネート作品を簡単に紹介しておきます。

 ・“Grenzgänger(Crossing Boundaries)”(オーストリア) 監督:フロリアン・フリッカー(Florian Flicker)
 物語:1人の女と2人の男。夫である一方の男は、妻に、もう一方の男に言い寄って、取引現場から彼の目をそらさせたいと考えていた。もう一方の男は、彼女に、違法となる証拠を入手する手助けをしてもらいたいと考えていた。女は、2人の男に操られていたのだが、どちらか一方を選ばなければならなかった。
 サラエボ映画祭2012 CICAE賞受賞。

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 ・“Paradies: Liebe(Paradise:Love)”(独・仏・オーストリア) 監督:ウルリッヒ・ザイドル
 出演:Margarethe Tiesel、Peter Kazungu、Inge Maux
 物語:ケニアのビーチに「シュガーママス」と呼ばれているヨーロッパ出身の女性たちがいる。彼らは、少々のお金と引き換えに、若いアフリカ人男性のささやかな愛が得られるならとヨーロッパからケニアにきて、ここで楽園を築いたのだ。そして、この楽園に、50歳代のオーストリア人旅行客テレサがやってくる。
 この作品は、三人の女性、三つのバカンス、三つの幸せへの憧憬物語を描く三部作の第一部。
 カンヌ国際映画祭2012 コンペティション部門出品。
 トロント国際映画祭2012CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。


 ・“Die Wand(The Wall)”(オーストリア・独) 監督:Julian Roman Pölsler
 出演:マルティナ・ゲデック
 物語:1人の女性が、ある夫婦とともに山小屋に泊まる。夫婦は、谷にあるパブに行くが、彼女はひとり残って眠ってしまう。翌朝、彼女が目覚めるが、夫婦は戻ってきていない。彼女は、不審に思って、谷に下りていくが、見えない壁があって、そこから先に進むことができない。こちらの世界には彼女以外、人っ子ひとりおらず、彼女だけが取り残されている。彼女は不安と苦悩に苛まれながら、自分の考えを記録に残そうとする。
 オーストリアの小説家マルレーン・ハウスホーファーが1963年に出版してベストセラーになった小説『壁』の映画化。
 ベルリン国際映画祭2012 パノラマ部門出品。エキュメニカル審査員賞受賞。

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 ・『二番目の妻』“Kuma”(オーストリア) 監督:ウムト・ダー(Umut Dag)
 出演:ニハル・コルダシュ、ベギュム・アッカヤ、ヴェダト・エリンジン、ムラトハン・ムスル、アレヴ・ウルマク、ディラーラ・カラバユル
 物語:「ウィーンに暮らすトルコ系家族の女主ファトマは、夫と子供たちとイスラムの伝統を守りながら暮らしていた。その息子のもとにアイシェは、トルコの村から嫁いでくる。ただ、二人はある秘密を持っていた。」
 ベルリン国際映画祭2012 パノラマ部門オープニング作品。
 ハンプトンズ国際映画祭2012 コンペティション部門出品。最優秀長編ナラティヴ作品賞受賞。
 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012 最優秀作品賞受賞。

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 ・“Tabu – Es st die Seele ein Fremdes auf Erden(Taboo−The Soul Is a Starnger on Earth)”(オーストリア・独・仏・ルクセンブルク) 監督:Christoph Stark
 出演:ラース・エイディンガー(Lars Eidinger)、Peri Baumeister、ライナー・ボック(Rainer Bock)、Vera Borek、ハイモン・マリア・バッテンガー(Haymon Maria Buttinger)、ペトラ・モルゼ(Petra Morzé)、Luc Spada、Rafael Stachowiak
 物語:ドイツ表現主義時代の夭逝の詩人として知られるゲオルク・トラークル(1887-1914)と、彼が愛した(そして近親相姦的な関係もあったのではないかとささやかれる)妹エリザベータについての、これまで語られることのなかった愛の物語。
 モスクワ国際映画祭2011 コンペティション部門出品。

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 ・“Anfang 80(Coming of Age)”(オーストリア) 監督:Gerhard Ertl、Sabine Hiebler
 出演:Karl Merkatz、Christine Ostermeyer
 物語:ローサとブルーノは、80代の夫婦で、これまで人生のあらゆることを経験してきたと思っていた。しかし、ローサが癌にかかり余命いくばくもないとわかって、これまでの人生を見つめ直し、マンネリと化した生活から脱して、新しい生活を始めることに決める。介護者や医者、親族の反対にもかかわらず、彼らはこれまで慣れ親しんだ家を出て、新しいアパートに移る。
 モントリオール世界映画祭2012 ワールド・コンペティション部門出品。男優賞(Karl Merkatz)、観客賞受賞。
 チューリヒ映画祭2012 ドイツ語映画コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。

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 ・“Die Lebenden(The Dead and the Living)”(オーストリア) 監督:バルバラ・アルベルト(Barbara Albert)
 物語:Sitaは、ベルリンから、ウィーン、ワルシャワを経由して、ルーマニアへと旅をする。それは、彼女の家族が第二次世界大戦中に背負った重荷を知る旅であると同時に、現代ヨーロッパ人が抱える深淵への旅でもあった。この旅を通して、彼女は自分自身を再発見し、希望と責任を見出す。
 『サラエボの花』や『サラエボ、希望の街角』のプロデューサー、バーバラ・アルバートの最新監督長編。
 サンセバスチャン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。

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 オーストリア映画賞の発表は、2013年1月23日です。

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 *当ブログ記事

 ・オーストリア映画賞2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_64.html
 ・オーストリア映画賞2011 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_49.html

 ・恐るべし!オーストリア映画:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200605/article_10.html
 ・昔〜ハリウッドの巨匠、今〜新進気鋭の映画作家 → オーストリア映画:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200605/article_11.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月〜2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

 追記:
 ・オーストリア映画賞2013 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201301/article_58.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
なんか今回のハネケの対応は、影武者を日本アカデミー賞の対象から外した黒澤明を彷彿とさせるものがありますね。ちなみに黒澤明が辞退した理由は「権威のない映画賞を受賞しても嬉しくない」とのことらしいですが、ハネケも同じ気持ちを抱いているのかもしれないですね。加えて「愛、アムール」はキャストがフランス人でカメラマンがイラン人で、純粋なオーストリア映画でないということも関係しているかもしれませんね。
タラコフスキー
2012/12/26 10:27
タラコフスキーさま
オーストリア映画賞(オーストリア映画アカデミー)は、『愛、アムール』がヨーロッパ映画賞で4冠となった時に賛辞を贈っていたりするので、両者の関係は、険悪ということはないと思いますね。
オーストリア映画賞自体、まだ3回目で、組織も若いし、若い人たちは若い人たちで頑張りなさいと応援する気持ちもあって、自らは辞退したのではないでしょうか。
なんだかそんな感じがしますね。
umikarahajimaru
2012/12/28 11:13

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