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zoom RSS 英国ドキュメンタリー2012 ナンバーワン! グリアソン賞発表!

<<   作成日時 : 2012/11/08 04:53   >>

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 英国グリアソン・アワード2012の受賞結果が発表になりました(11月6日)。

 【グリアソン・アワード】

 グリアソン・アワード(The Grierson Award)と言っても日本ではほとんど知られていないと思いますが、スコットランド出身のドキュメンタリーのパイオニア、ジョン・グリアソン(1898-1972)の偉業を継承する目的で設立されたグリアソン・トラストが、1972年から始めたドキュメンタリーの祭典で、もう既に40年近い歴史があります。

 ノミネーション対象作品は、2011年5月1日から2012年4月30日までにイギリス内で最低1度は上映または放映されたということが条件で、イギリスで製作された作品のみならず全世界で製作された作品が対象になります。(必然的にイギリス作品が多くなり、テレビで発表された作品が多くなりますが。)

 イギリス中心なので、今年話題になったすべてのドキュメンタリーが網羅されているわけではありませんが、2009年から2010年にかけて製作された英国関係のドキュメンタリーに関しては、目ぼしい作品はほぼエントリーされているようです。

 過去の受賞作で日本でも劇場公開されたものには、『Joy Division』(Best Cinema Documentary 2008)、『ダーウィンの悪夢』(Best Cinema Documentary 2006)、『マイ・アーキテクト』(Best Cinema Documentary 2005)、『ビルマVJ』(UKフィルム・カウンシル最優秀ドキュメンタリー映画部門2009)などがあります。


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 ◆コンテンポラリー部門 英国作品 (Deluxe 142 Best Documentary on a Contemporary Theme - Domestic)

 ・“My Child the Rioter”( ) 監督:Olly Lambert
 ・“Panorama Undercover Care - The Abuse Exposed”(BBC Productions) 監督:Joe Plomin
 ・“We Need to Talk About Dad”(Rare Day) 監督:Elizabeth Stopford

 ◎“Terry Pratchett Choosing to Die”(Keo North) 監督:Charlie Russell
 ピーター・スメドレーは、ホテル業で成功した億万長者である。彼は、2008年に運動神経疾患を宣告される。自殺幇助合法化論者の小説家テリー・プラチェットが、彼と死について話をする。プラチェットは、さらにアルツハイマー病にかかって自殺したベルギー人作家ユゴー・クラウスの妻に会いに行く。その後、スメドレーと同じく運動神経疾患にかかり、ホスピスで生きることを選んだタクシー運転手に会い、さらに、42歳で多発性硬化症にかかって、自殺支援組織Dignitasの世話になることに決めたアンドリュー・コルガンに会う。プラチェットとスメドレーは、一緒にスイスのDignitasに行き、バルビツール酸誘導体ネンブタールを摂取し、妻と2人に看取られて、息を引き取る。
 BAFTAスコットランド・アワード2011 最優秀単発ドキュメンタリー賞受賞。

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 ◆コンテンポラリー部門 インターナショナル作品 (Shell Best Documentary on a Contemporary Theme - International)

 ・“Baka-A Cry from the Rainforest”(River Films) 監督:Phil Agland
 ・“Children of the Tsunami”(Renegade Pictures(UK) Ltd) 監督:Dan Reed
 ・“The Life and Loss of Karen Woo”(Century Films) 監督:Ursula Macfarlane

 ◎“Hell and Back Again”(Roast Beef Productions) 監督:Danfung Dennis
 2009年のアフガン行きから帰郷して、米国内でリハビリを果たすまでが、1人の海兵隊員の目を通して描かれる。我々は、現在の“見境のない”戦争が、実際に戦争に参加している兵士たちにどんな影響を及ぼすのかを目撃することになる。
 初監督作品。
 サンダンス映画祭2011審査員グランプリ受賞。
 モスクワ国際映画祭2011 Silver St. George受賞。
 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2011 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 国際ドキュメンタリー協会 IDA賞2011Jacqueline Donnet Award(新人監督賞)受賞。
 ゴッサム・アワード2011 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 インディペンデント・スピリット・アワード2012 ドキュメンタリー賞ノミネート。
 米国アカデミー賞2012 長編ドキュメンタリー賞ノミネート。

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 ◆アート・ドキュメンタリー部門 (The Open University Best Arts Documentary)

 ・“The Camera That Changed the World”(Lambent Productions) 監督:Mandy Chang
 ・“Lucien Freud Painted Life”(Blakeway Productions) 監督:Randall Wright
 ・“Rostropovich The Genius of the Cello”(ITN Productions) 監督:John Bridcut

 ◎“Culture Show Jeremy Deller Special”(BBC Scotland) 監督:Jack Cocker
 ターナー賞受賞の、イギリスの気鋭のアーティスト、ジェレミー・テラーに密着したドキュメンタリー。ロンドンのヘイワード・ギャラリーでの大展覧会の準備を進める様子を映し出すとともに、彼の過去の主だった仕事を振り返っていく。

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 ◆ヒストリカル・ドキュメンタリー部門 (ITN Source Best Historical Documentary)

 ・“Double Agent The Eddie Chapman Story”(Walker George Films) 監督:スティーヴン・ウォーカー(Stephen Walker)
 ・“Fight to Save the World Sergio”(Passion Pictures, Silverbridge) 監督:Greg Barker
 ・“World War Two 1941 and the Man of Steel”(Barnes Hassid Productions) 監督:Russell Barnes

 ◎“The Love of Books A Sarajevo Story”(Oxford Film and Television) 監督:Sam Hobkinson
 ボスニア戦争の最中に、戦時下でありながら、サラエボの図書館に所蔵されていた貴重な書物を守ろうとした人々に関するドキュメンタリー。彼らによって、1万冊以上のイスラムの手書きの書物や原稿が残されることになった。

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 ◆サイエンス・ドキュメンタリー部門 (Best Science Documentary)

 ・“The Fabric of the Cosmos Space Odyssey”( ) 監督:Jonathan Sahula、Graham Judd、Sabin Streeter
 ・“Frontline Medicine Survival”(BBC Scotland) 監督:Paul Overton
 ・“My Life as a Turkey”(Passion Pictures) 監督:David Allen

 ◎“After Life The Strange Science of Decay”(BBC Scotland) 監督:Fred Hepburn、 Dani Carlaw
 2011年夏、エンジンバラ動物園に、普通の庭と食べ物が置かれたキッチンが入った大きなガラスケースが設置され、一般に公開された。これは、ジョージ・マクガヴィン博士と彼のチームによる実験で、物はただそのままに放置したらどうなるか―腐り、虫やバクテリアが繁殖し、分解され、崩壊し、やがては新しい生命に取って代わられるだろう―というのを、定点カメラを使って、継時露出で撮影したもの。実験は2ヶ月にわたって続けられた。

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 ◆エンタテインメント部門 (Most Entertaining Documentary)

 ・“A Hasidic Guide to Love, Marriage and Finding a Bride”( ) 監督:Paddy Wivell
 ・“Obsessive Compulsive Hoarder”(RDF Television) 監督:Christian Trumble
 ・“Rich Hall’s Continental Drifters”(Open Mike Productions) 監督:Chris Cottam、 Rich Hall

 ◎“The Bengali Detective”(Native Voice Films) 監督:Phil Cox
 コルカタは、世界最大級の人口密集地で、犯罪も耐えないが、人々は、もう警察には愛想を尽かしている。その代わりに頼ることにしたのは、私立探偵である。本作の、主人公は、コルコタの探偵ラジェッシュ・ジー(Rajesh Ji)とその仲間で、本作では、3つの事件を扱う。最初の事件は、にせもの作り事件で、大企業の利益を損なうシャンプーのにせもの作りに関わった小売店主が刑務所に送られる。第2の事件は、夫の不倫と家庭内暴力に関するもので、真相が明るみになった時、妻は1つの勇気ある決断をする。3つ目は、3人の子どもたちの轢死事件で、彼らの家族が容疑者として浮かび上がってくる。ラジェッシュは、プライベートでは、TVのタレント・ショーで勝利することが夢で、息子にダンスを習わせている。
 ベルリン国際映画祭2011 パノラマ部門出品。
 BFI賞2011 グリアソン賞ノミネート。
 トランシルヴァニア国際映画祭2012出品。

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 ◆ドキュメンタリー・シリーズ部門 (Envy Best Documentary Series)

 ・“Educating Essex”(Two Four Productions) 監督:David Clews
 ・“Frozen Planet”(BBC Natural History Unit) 監督:Vanessa Berlowitz
 ・“Our War”(BBC Productions) 監督:ブルース・グディソン(Bruce Goodison)、John Douglas、Stuart Bernard

 ◎“Protecting Our Children”(BBC Productions) 監督:Sacha Mirzoeff、Emma Burman
 イギリスにおける子どもたちの現状と児童保護(Child Protection)に関わる人々の活躍を追ったドキュメンタリー。
 ・イングランドとウェールズを合わせると、週に1人の子どもが誰か他人の手によって殺されている。
 ・イギリス中で、約46000人の子どもたちが児童虐待の危機にある。
 ・イングランドでは、2010年3月までの1年間で、22000人の子どもたちが、虐待、放置、家族内ストレス、家族の機能不全などで、地元当局のお世話になっている。
 ・ソーシャル・ワーカーの調査によれば、3年間で放置や虐待の疑いのある子どもたちが52%までふえた。
 ・1歳未満の子どもたちが殺される可能性は、他の年齢より高く、死亡と重症を合わせると約9倍、児童保護プランに関わる案件で約3倍ある。
 ……

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 ◆劇場公開作品部門 (DocHouse and The Bertha Foundation Best Cinema Documentary)

 ・“Dreams of a Life”(Cannon and Morley Productions, Soho Moon) 監督:Carol Morley
 ・“Knuckle”(Rise Productions) 監督:Ian Palmer
 ・『プロジェクト・ニム』“Project Nim”(Red Box Films, Passion Pictures, BBC Films) 監督:ジェームズ・マーシュ

 ◎“Bobby Fischer Against the World”(Moxie Firecracker Films) 監督:Liz Garbus
 悲劇的で奇妙な人生を送った今は亡きチェスの名人ボビー・フィッシャーに関するドキュメンタリー。問題を抱えた子ども時代から、世界チャンピオンになり、冷戦のアイコンにもなった経歴はよく知られているが、本作では、より深く彼の人生に踏み込んでいく。
 米・映画音響協会賞2012 TVシリーズ/スペシャル部門ノミネート。

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 ◆新人部門 (CTVC Best Newcomer Documentary)

 ・“Barbaric Genius”(Screenworks) 監督:Paul Duane
 ・“Panorama The Truth about Adoption”(Films of Record) 監督:Clare Johns
 ・“The Sinking of the Concordia Caught on Camera”(Dragonfly Film and Television Productions) 監督:Vanessa Colosi

 ◎“Gypsy Blood”(ClearStory) 監督:Leo Maguire
 ジプシーの文化が父親から息子へと受け継がれる様子を2年かけて撮影したドキュメンタリー。1組目はHughie Dohertyと彼の息子で、息子は普通に小学校で読み書きを習いながら、キャンプサイトでは狩りを教わる。2組目はロマ人のFred Butcherで、彼は、酒場で飲んでいて、ケンカになり、ナタで殺されそうになる。

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 ◆学生作品部門 (Sky Arts Best Student Documentary)

 ・“Kirkcaldy Man”(エジンバラ芸術学校) 監督:Julian Schwanitz
 ・“The Men in White Coats”(国立映画テレビ学校) 監督:Rob Harper
 ・“Mostar”(Newport Film School) 監督:Sebastian Feehan、Josh Bamford

 ◎“The Betrayal”(国立映画テレビ学校) 監督:Karen Winther
 Karen Winther は、10代で、オスロの不法占拠者の根城となっていたBlitzに拠り所を求める。その後、彼女は15歳でデモにも参加するようになるが、90年代半ばから、反ファシストとネオ・ナチの衝突が激しくなると、自身の選択を後悔するようになる。本作は監督のKaren Wintherが、当時の暴動のフッテージに自身の日記をボイス・オーバーでかぶせるなどして、当時の状況や自身の思いを再現しながら、反抗的だった10代の自分を振り返っていく。
 クラクフ映画祭2012 出品。

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 ◆グリアソン・トラスト賞(Grierson Trustees’ Award)
 ◎ケヴィン・マクドナルド

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 コンテンポラリー部門 英国作品は、衝撃的な作品“Terry Pratchett Choosing to Die”が受賞し、コンテンポラリー部門 インターナショナル作品は、順当に“Hell and Back Again”が受賞。劇場公開作品部門は、わりと評価の高い作品が揃った中では、事前に評判が伝わっていなかった“Bobby Fischer Against the World”が、他の作品を押しのけて受賞を果たしました。
 TV作品も多く、NHKか、BS・CSでもなければ日本では陽の目を見ないだろうと思われる作品ばかりですが、なかなか面白そうな作品がたくさんあります。こうやって作品の内容紹介を書き出すことで、「へえ〜、そんなことがあったのか」と知らされることも度々です。

 劇場公開作品部門にノミネートされていた『プロジェクト・ニム』は、人間とは何か、教育とは何か、野生とは何か、動物にとっての真の幸せとは何か、を考えさせる非常に面白いドキュメンタリーだったんですが、他の候補作品が強いのか、イマイチ受賞に恵まれませんでした。たぶんこれが『プロジェクト・ニム』がからむ映画賞レースの最後となるんじゃないかと思いますが……。
 昨年の東京国際映画祭で見れたので、私としてはよかったといえばよかったのですが、劇場公開はされずじまいのようで、それがちょっと残念ですね。WOWOWで放映になったようなので、ヘタに劇場公開するよりも多くの人が観たかもしれませんが。

 なお、コンテンポラリー部門 英国作品、コンテンポラリー部門 インターナショナル作品、アート・ドキュメンタリー部門、エンタテインメント部門、劇場公開作品部門の5つの部門は、ノミネーションの記事↓でノミネーション作品の紹介をしています。

 
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 *当ブログ記事

 ・グリアソン・アワード2012 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_31.html
 ・グリアソン・アワード2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_33.html

 ・グリアソン・アワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_13.html

 ・グリアソン・アワード2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_26.html

 ・グリアソン・アワード2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_8.html

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