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zoom RSS 注目すべき2012年のヨーロッパ映画10本! ラックス賞2012 ロングリスト発表!

<<   作成日時 : 2012/07/10 00:34   >>

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 第6回ラックス賞(Lux Prize)のエントリー作品10作品がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で発表になりました。(7月1日)

 【ラックス賞】

 ラックス賞というのは、欧州議会(European Parliament)によって贈られる映画賞で、ヨーロッパの現状(拡大と交流)を示すような題材の映画を通して公衆に議論を呼び起こすことと、EU加盟国での映画の普及とを目的として、2007年からスタートしたものです。

 内容から言うと、ローカルで、ドメスティックな内容のものではなく、いろんな出自(出身国や民族)のバックグラウンドを持つ登場人物が出てくる現代劇で、しかもそのことが物語の根幹に関わってくるような作品、あるいは、物語が複数のヨーロッパ諸国にまたがっていて、物語の展開に従って、それぞれの国の実情(現状)が映画の中に映し出されていくような作品、を対象とした映画賞だということになります。

 イメージとしては、ヨーロッパ映画賞や難民映画祭が重なってきますが、汎ヨーロッパ的な作品ということで、より対象作品が限定されることになります。

 投票資格があるのは、欧州議会の議員約800名のみで、議員には、ノミネート発表後、作品の無料の上映会が行なわれることになっています。

 ノミネート作品は3本という規定になっていて、前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から、欧州議会の文化教育委員会のメンバーがセレクションを行ない、3本に絞り込むというシステムが取られています。

 今回、発表された10本は、ノミネート作品を3本に絞り込むためのエントリー作品で、7月24日に行なわれるベネチア国際映画祭2012ベネチア・デイズのプレス会見で、ノミネート作品3本が発表される予定になっています。(その後、10月15日〜11月20日までに行われる23の公式言語による上映会&投票を経て、11月21日に受賞作品が発表されます。)

 過去5回のノミネート&受賞作品は以下の通りです。

 ◆2007年
 ◎『そして、私たちは愛に帰る』(独・トルコ) 監督:ファティ・アキン
 ・『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 ・『夜顔』(西・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ

 ◆2008年
 ・『デルタ』(ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
 ◎『ロルナの祈り』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 ・“Občan Havel”(チェコ) 監督:Miroslav Janek、Pavel Koutecký

 ◆2009年
 ・『ソフィアの夜明け』(映画祭上映題:『イースタン・プレイ』)(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ
 ・“Sturm”(独・デンマーク・オランダ) 監督:ハンス=クリスチャン・シュミット
 ◎『君を想って海をゆく』(仏) 監督:フィリップ・リオレ

 ◆2010年
 ・“Plato's Academy(Akadimia Platonos)”(ギリシャ・独) 監督:Filippos Tsitos
 ◎“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:Feo Aladag
 ・『イリーガル』“Illégal”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:オリヴィエ・マッセ=ドパス(Olivier Masset-Depasse)

 ◆2011年
 ・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
 ◎『キリマンジャロの雪』“Les neiges du Kilimanjaro (The Snows Of Kilimanjaro)”(仏) 監督:ロベール・ゲディギャン
 ・『プレイ』“Play”(スウェーデン・仏・デンマーク) 監督:リューベン・オストルンド

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 第6回ラックス賞のエントリー作品は以下の通りです。

 ・“Tabu”(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
 出演:テレサ・マドゥルガ、Laura Soveral、Ana Moreira、Carloto Cotta
 物語:ピラーは、カポベルデ人で、年輩のポルトガル人女性オーロラの隣に住んで、彼女の家政婦をしていた。オーロラは、なけなしの蓄えをエストリルのカジノですることで余生を過ごしていて、ピラーに感謝の言葉1つかけることもなかったが、ピラーにとってはよいことをすることが人生の目的なのだった。老女が死んだ時、ピラーは、昔の恋人の足跡をたどることにする。
 日本ではポルトガル映画祭2010で『私たちの好きな八月』(2008)が上映されています。本作は、『私たちの好きな八月』に続く第3監督長編。
 ベルリン国際映画祭2012コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞、アルフレッド・バウアー賞受賞。

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 ・“Louise Wimmer”(仏) 監督:Cyril Mennegun
 出演:Corinne Masiero、ジェローム・キルシャー、Anne Benoit、マリー・クレメール、Jean-Marc Roulot
 物語:50歳のルイーズの快適な生活は、辛い別れの後で、ひっくり返されることになる。彼女には多額の借金が残され、住むところも失い、車の中で暮らすことを余儀なくされる。彼女は、ホテルでメイドとして働いていたが、それだけでは到底借金は払い切れなかった。しかし、彼女は友人や彼女を愛する男性の助けは借りずに、自力でこの窮地を脱出しようとする。
 ベネチア国際映画祭2011批評家週間出品。

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 ・“L'enfant d'en haut (Sister)”(仏・スイス) 監督:ウルスラ・メイヤー(Ursula Meier)
 出演:レア・セドゥー、Kacey Mottet Klein、マーティン・コムストン、ジリアン・アンダーソン
 物語:スイスのゴージャスなスキー・リゾート。12歳のシモンは、無職の姉と2人暮らし。彼は、スキー客から盗みを働いては、地元の子供たちに売って、金にしていた。シモンはイギリス人の季節労働者とパートナーを組むことにするが、それ以降、彼はこれまで越えていなかった一線を越えてしまい、姉との関係性も変わる。彼らは逃亡を余儀なくされて、逃げ場所を探すはめになる……。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 監督ウルスラ・メイヤーにとって『ホーム 我が家』(2008)以来の2本目の劇映画。
 ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。特別銀熊賞受賞。

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 ・“À perdre la raison (Our Children)”(ベルギー・仏・ルクセンブルク・スイス) 監督:Joachim Lafosse
 物語:パンジェ医師は、モロッコ人の少年ムニールをベルギーへ連れ帰り、わが子のように育てる。成長したムニールは、ミュリエルと情熱的な恋をし、結婚して、自分たちの子どもが欲しいと考えるが、それは医師への依存度を大きくすることになる。やがてミュリエルが精神のバランスを崩し、家族を悲劇へと導く。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。女優賞受賞(エミリー・デュケンヌ)。

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 ・“Cesare deve morire (Caesar Must Die)”(伊) 監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
 出演:Cosimo Rega、Salvatore Striano、Giovanni Arcuri、Antonio Frasca
 物語:『ジュリアス・シーザー』の舞台が終わり、演者は盛大な拍手を受ける。その後、演者は、皆、ステージから去り、それぞれの監房に戻る。ここはローマで最高のセキュリティーを誇るRebibbia刑務所であり、演じていたのは皆受刑者たちなのであった。受刑者の1人は言う、「芸術というものを知って以来、ここが本当の監獄になった」と。
 タヴィアーニ兄弟が本物の刑務所で半年間のリハーサルを経て完成させた作品。
 ベルリン国際映画祭2012コンペティション部門出品。金熊賞&エキュメニカル審査員賞受賞。
 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2012 作品賞・監督賞・編集賞・プロダクション賞受賞。ナストロ・ダルジェント賞特別賞2012受賞。

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 ・『シュン・リーと詩人』“Io sono Li (Shun Li and the Poet)”(伊・仏) 監督:アンドレア・セグレ(Andrea Segre)
 物語:中国人女性シュン・リーは、ローマの織物工場で働いていた。彼女は、自分の書類を整えて、8歳になる自分の息子を早くイタリアに呼びたいと考えていた。しかし、突然、彼女は、キオッジャでバーテンダーとして働くことになる。そこは、友達から詩人と呼ばれる、スラブ系の漁師ベッピのパブであった。2人の間には友情が芽生えるが、それは、中国人と地元のコミュニティー双方に不協和音をもたらすのだった。
 監督のアンドレア・セグレは、ドキュメンタリー作家で、ドラマ作品を手がけるのは、これが初めて。
 ベネチア国際映画祭2011 ベネチア・デイズ部門出品。FEDIC Award、Lanterna Magica賞受賞。
 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2012 主演女優賞(チャオ・タオ)受賞。
 アルシネテラン配給により公開予定。イタリア映画祭2012にて上映。

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 ・“Barbara”(独) 監督:クリスティアン・ペツォルト(Christian Petzold)
 出演:ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト、ライナー・ボック、Christiana Hecke
 物語:1980年夏の東ドイツ。バーバラは、小児科医で、西側に移住の申請をしていたが、彼女に下されたのは、首都から小村への左遷だった。彼女には西側に恋人であるイェルクがいて、彼の手引きで黒海から逃走する計画を立てた。新しい任地は彼女には何の魅力もなかった。彼女は、幼い患者たちには誠意を尽くしたが、同僚には距離を置いた。しかし。彼女の新しい上司アンドレが彼女を混乱させる。彼は、彼女の才能に全幅の信頼を置いてすべてを任せ、笑みさえ見せてくれるのだ。彼女が若い逃亡者を助けた時、アンドレは彼女をかばう。アンドレは、バーバラを監視しているのか。それとも彼女のことを愛しているのか。彼女の決心が揺らぐ。計画を実行するはずの日はどんどん近づいてくる……。
 ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。銀熊賞(監督賞)、ベルリナー・モルゲンポスト読者賞受賞
 ドイツ映画賞2012 作品賞銀賞受賞。

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 ・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
 出演:Lajos Sárkány、Katalin Toldi、Gyöngyi Lendvai、György Toldi
 物語:ハンガリーの村でロマ人一家が殺される。犯人は逃げて、もう誰の仕業かはわからない。近くにもう1つのロマ人一家が暮らしているが、彼らにとっては、注意深く抑えてきた恐怖が現実のものになっただけだった。家長は遠くカナダにいて、彼は、ニュースを聞いて、妻や子供たちや父を自分のもとへできるだけ早く集めようとする。人種差別主義者たちのテロに怯えながら暮らし、沈黙を決め込んだ多数派に囲まれて、感情を露わにすることもなく、彼らは、じっと襲撃されるまで、日々が過ぎていくのを耐える。夜の帳が落ち、彼らはいつもよりもベッドを引き寄せて眠る。恐怖から逃げ出したいという願いは叶えられそうにない。
 ハンガリーで実際に起こった一連の殺人事件を元に映画化。
 Bence Fliegauf監督は、数多くの短編やドキュメンタリーを発表していて、既に10年以上のキャリアを持つ。
 ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。銀熊賞(審査員グランプリ)、平和映画賞、アムネスティ・インターナショナル賞受賞。

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 ・“Djeca (Children of Sarajevo)”(ボスニア ヘルツェゴビナ・独・仏・トルコ) 監督:Aida Begic
 物語:ラヒマは24歳、弟のネディムは14歳。2人は、ボスニア戦争の孤児で、いまはサラエボに住んでいる。サラエボでは、モラルが失われていて、戦争孤児の面倒を見る余裕など全くなかった。犯罪に走りがちな数年を経て、ラヒマはイスラムの教えに慰めを見出し、弟にもそれを求める。ネディムが有力者の息子とケンカして、高価な携帯電話を壊すという事件があり、それ以降、2人の生活はさらに厳しくなる。ひき続いて起こった出来事から、ラヒマは、弟が二重生活を送っていることを知る。
 カンヌ国際映画祭2012 ある視点部門出品。審査員スペシャル・メンション受賞。

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 ・『クルリク』“Crulic – drumul spre dincolo (Crulic – The Path to Beyond)”(ルーマニア・ポーランド) 監督:アンカ・ダミアン(Anca Damian)
 不当な裁判に抗議して、ポーランドの刑務所でハンガー・ストライキを起こして、死んだルーマニア人、ダニエル・クラウディウ・クルリクの実話に基づく物語。
 ロカルノ国際映画祭2011 ドン・キホーテ賞スペシャル・メンション受賞。
 ワルシャワ国際映画祭2011 インターナショナル・コンペティション部門 スペシャル・メンション受賞。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2012 グランプリ受賞。
 EUフィルムデーズ2012にて上映。

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 10作品の内訳は―

 ・ロカルノ国際映画祭2011出品作:1本
 ・ベネチア国際映画祭2011出品作:2本
 ・ベルリン国際映画祭2012出品作:5本(すべてコンペティション部門)
 ・カンヌ国際映画祭2012出品作:2本(ともにある視点部門)

 2012年ベルリン国際映画祭出品作が半数を占めていて、ちょっとバランスが悪い気がしますが、それは、カンヌ国際映画祭2012出品作にはまだ劇場公開されていない作品が多く、かといって、カンヌ国際映画祭2011やベネチア国際映画祭2011の出品作で既に一般に一定の評価を得た作品はわざわざここでピック・アップする必要もなく、それゆえ必然的にこんなセレクションになった、と考えるといいでしょうか。

 いずれにせよ、2011年から2012年にかけて発表されたヨーロッパ作品の中でも重要と思われる作品が多く、これらの作品は、今後、各国の国内映画賞やヨーロッパ映画賞、米国アカデミー賞外国語映画賞などにチョイスされて、さらなる注目を浴びていくはずで、今のうちからチェックしておいていい作品ばかりです。

 既に日本で紹介されている作品が2本あり(うち1本は日本語字幕なしで上映)、1本が劇場公開が決定していますが、そのほかの作品も十分に劇場公開されていいと思われます。これらのうち1年後に日本で紹介されている作品はどれくらいあるでしょうか。

 今後のスケジュールは、上にも書きましたが、7月24日に行なわれるベネチア国際映画祭2012ベネチア・デイズのプレス会見で、ノミネート作品3本が発表され、その後、10月15日〜11月20日までに行われる23の公式言語による上映会&投票を経て、11月21日に受賞作が発表される、という予定になっています。

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 *当ブログ記事
 ・第3回ラックス賞:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_43.html
 ・第4回ラックス賞:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_27.html
 ・第5回ラックス賞:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_2.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月〜2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

 追記:
 ・第6回ラックス賞 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_16.html

 ・第6回ラックス賞 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_21.html

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