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zoom RSS 注目作品あり! 学生アカデミー賞2012!

<<   作成日時 : 2012/06/13 22:54   >>

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 第39回学生アカデミー賞の授賞式が行われました。(6月9日。受賞者の発表は5月15日)

 学生アカデミー賞は、アメリカの映画芸術科学アカデミーによる学生作品を対象とするコンペティションで、ロバート・ゼメキス(“A Field of Honor”(1975))、ジョン・ラセター(“Lady and the Lamp”(1979)、“Nitemare”(1980))、ジャコ・ヴァン・ドルマル(“Maedeli la brèche”(1981))、スパイク・リー(『ジョーズ・バーバー・ショップ』(1983))らを輩出して、もともと未来の映画監督への登竜門的なところがありましたが、このところさらに注目度を増しているのは、2011年、2012年と学生アカデミー賞受賞作品がそのまま本家の米国アカデミー賞にノミネートされたり、受賞したりするようになっているからです。

 2011年の米国アカデミー賞では学生アカデミー賞ナラティヴ部門金賞受賞作品『ゴッド・オブ・ラブ』“God of Love”(Luke Matheny監督)と外国映画部門受賞作品『告白』“The Confession”(Tanel Toom監督)がそれぞれ短編映画賞にノミネートされ、前者が受賞を果たしていますし、2012年の米国アカデミー賞では学生アカデミー賞外国語映画部門金賞受賞作品『チューバ・アトランティック』“Tuba Atlantic”(Hallvar Witzø監督)と同じくブロンズ賞受賞作品『息子』“Raju”(Max Zähle監督)がそれぞれ米国アカデミー賞短編映画賞にノミネートされています。

 外国映画部門は、これまでもHonorary Foreign Filmとしてあることはあったのですが、前回より他の部門と同じく金賞・銀賞・ブロンズ賞を決める正式なコンペティション部門に昇格し、これが学生アカデミー賞から本家・米国アカデミー賞への流れをより強化したと言えるかもしれません。

 今年の受賞結果は以下の通りです。

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 ◆オルタナティヴ部門(Alternative)
 ◎金賞(Gold Medal):“The Reality Clock” 監督:Amanda Tasse(南カリフォルニア大学)

 「オルタナティヴ部門」と言っても何のことだかわかりませんが、端的に言うと「実験映画部門」ということです。そのものずばりExperimental Awardとして部門が設けられたりした年もありましたが、1995年からオルタナティヴ部門となり、今日に至っています。
 アニメーションにもドキュメンタリーにもドラマにも当てはまらない作品をフォローするために作られた部門だと思われますが、「実験映画部門」とすると、ある種のイメージがつきまとうので、「オルタナティヴ部門」=これまでにない新しいタイプの作品、という名称を使用しているのだと思われます。
 応募作品がまだ多くないためか、この部門のみ受賞作品は1作品のみです。
 なお、学生アカデミー賞は、「アニメーション部門」「ドキュメンタリー部門」「ドラマ部門」(Dramatic)の3つの部門で構成されていましたが、「ドラマ部門」は1999年に「ナラティヴ部門」に改称されています。

 ◆アニメーション部門(Animation)
 ◎金賞(Gold Medal):“Eyrie” 監督:David Wolter(Cal Arts)
 ◎銀賞(Silver Medal):“The Jockstrap Raiders” 監督:Mark Nelson(カリフォルニア大学)
 ◎ブロンズ賞(Bronze Medal):“My Little Friend” 監督:Eric Prah(Ringling College of Art and Design)

 ◆ドキュメンタリー部門(Documentary)
 ◎金賞(Gold Medal):“Hiro: A Story of Japanese Internment” 監督:Keiko Wright(ニューヨーク大学)
 物語:第二次世界大戦中、日系アメリカ人だった、ヒロこと、ヒロシ ホシザキは、12歳で、アメリカ生まれであるのにも拘らず、日系人という理由で、家族とともにワイオミングに強制転住・拘留に遭う。ヒロシ ホシザキの記憶に基づいて作られたドキュメンタリー。
 *公式サイト:http://www.hirothedocumentary.com/
 *公式facebook:http://www.facebook.com/hirodoc

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 ◎銀賞(Silver Medal):“Dying Green” 監督:Ellen Tripler(アメリカン大学)
 ◎ブロンズ(Bronze Medal):“Lost Country” 監督:Heather Burky(Art Institute of Jacksonville)

 ◆ナラティヴ部門(Narrative)
 ◎金賞(Gold Medal):“Under” 監督:Mark Raso(コロンビア大学)
 物語:都会に住む娘シドニーの麻薬依存症が再発する。フィアンセは、彼女と田舎の山小屋に閉じこもって、禁断症状が抜け切るまで一緒に闘おうと決め、出発する。
 監督であるMark Rasoが雪崩による死亡事故の新聞記事を読み、もし妻と一緒に生き埋めになり、死ぬのを待つような状態になったらと考えたところから、本作は生まれた。完成まで半年かかり、“生き埋め”のシーンは、祖父のガレージにセットを組んで撮影した。
 コロンビア大学映画祭2012 Faculty Honors Films、Student Selects Films、EP Best Producer Award、IFP Audience Choice Awards受賞。
 *参考サイト:http://studentacademyawards.tumblr.com/post/24506090079/meet-mark-raso
 参考サイト2:http://www.denverfilm.org/filmcenter/detail.aspx?id=24252&FID=61

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 ◎銀賞(Silver Medal):“Narcocorrido” 監督:Ryan Prows(AFI)
 ◎ブロンズ賞(Bronze Medal):“Nani” 監督:Justin Tipping(AFI)

 ◆外国映画部門(Foreign Film)
 ◎金賞(Gold Medal):“For Elsie”(英) 監督:David Winstone(ウエストミンスター大学)
 物語:かつてはコンサートのピアニストを目指していたグレンは、夢破れ、ピアノ教師に甘んじていた。そんな彼の前に、ギャングのキーロフが現れ、娘に1日で「エリーゼのために」をマスターさせることができたら1万ポンド払おうと提案する。
 参考サイト:http://nextreel.org/films/detail/14

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 ◎銀賞(Silver Medal):“Of Dogs and Horses(Von Hunden und Pferden)”(独) 監督:Thomas Stuber(バーデン・ヴルテンブルク映画アカデミー(Film Academy Baden-Württemberg)
 物語:50代のロルフには、ピエトという愛犬がいて、彼の生きがいだった。ところが、ピエトが股関節形成異常症という病気になり、歩けなくなってしまう。手術をすれば歩けるようになるが、それには3000ユーロかかり、彼にはそんなお金はなかった。ロルフは、競馬を試そうと考えるが、彼には競馬の知識はない。古い友人であるシェーファーを訪ねると、彼の家はガランとしていてダイニング・テーブルと馬の絵しかなかった。ともかくも、シェーファーの予想を手がかりとしてレースに挑む。最初のレースは、シェーファーの予想が当たって、勝利。そして、次のレースに進む……。
 Thomas Stuberは、“Teenage Angst”(2008)でドイツ映画批評家協会賞2010第1回作品賞にノミネートされているドイツの俊英です。“Of Dogs and Horses(Von Hunden und Pferden)”はドイツ短編映画賞(Deutschen Kurzfilmpreis)2011を受賞しています。
 *参考サイト:http://www.kurzsuechtig.de/de/jahr-2012/einreichungen-2012/film/von-hunden-und-pferden

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 ◎ブロンズ賞(Bronze Medal):“The Swing of the Coffin Maker(Die Schaukel des Sargmachers)”(独) 監督:Elmar Imanov(ケルン国際映画学校(The International Film School Cologne))
 物語:ヤガプは、人の死に依存して生きている。というのも彼は棺職人だからだ。彼は、精神障害を持つ息子ムーサと暮らしている。ムーサは、できる限り父の仕事を手伝おうとするが、ドリルを使えないではできることは知れている。ある日、ヤガプは、自棄になって彼が自分の人生の枷になっているとムーサを責めてしまう。それからしばらくして、息子が重い病気にかかっていることがわかる。医者は、もう長くは生きられないだろうと言う。ヤガプが最初にしたことは、ムーサが死んだ時に必要となる墓所を探すことだったが、ふと、息子が死んでしまうと自分が本当に独りぼっちになってしまうことに気づく。そして父親としての愛に目覚め、彼の残り少ない人生を最高のものになるようにしようと決める。ところが、医者の診断が誤診だとわかる……。
 *参考サイト:http://www.reelport.com/index.php?id=300&L=en%2522onfocus%253D%2522blurLink(this)&movie_id=42800

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 フィクションの短編が、学生作品にも米国アカデミー賞の目があるのは、短編アニメーションや短編ドキュメンタリーが、一応、ビジネスとして成立していて、そのジャンルで生計を立てているプロと闘わなければならないのに対して、フィクションだと、短編は、長編へのステップとして考えられている部分があって、若手が挑戦しやすいからだと思われます。

 だから、題材がユニークであり、時間をかけてていねいに作れば、低予算であっても、プロに伍して闘える作品になるのだろうと思われます。

 題材のユニークさで言えば、アメリカ限定のナラティヴ部門エントリー作品より、外国映画部門エントリー作品の方がはるかにバラエティーに富んでいるはずで、その分、米国アカデミー賞へのノミネートの可能性も高いと思われます。

 作品情報を読んだ限りでは、今回金賞を受賞した“For Elsie”よりも、“Of Dogs and Horses(Von Hunden und Pferden)”や“The Swing of the Coffin Maker(Die Schaukel des Sargmachers)”の方が米国アカデミー賞には有望のような気がしますが、どうでしょうか。

 ドキュメンタリー部門で金賞を受賞した“Hiro: A Story of Japanese Internment”は、戦時中の日系人を題材とした作品で、米国アカデミー賞短編ドキュメンタリーを受賞したスティーヴン・オカザキの『収容所の長い日々/日系人と結婚した白人女性』など、これまでいくつか似た題材を扱った作品がありますが、それでも金賞を受賞しているということはこの作品にそれだけのオリジナリティーと訴求力があるのだろうと考えられます。
 ただ、ざっと調べた限りでは、この作品の上映時間がどのくらいなのかわからず、ひょっとして短編ではないのかもしれなくて、短編ドキュメンタリー賞の対象にはならない可能性があります。
 まあ、米国アカデミー賞の対象になるかどうかはともかく、戦時中の日系人を題材とした作品として日本人は無視できないでしょうし、力のある作品ということであれば、今後、さらに注目度が増していくと思われます。ひょっとすると山形国際ドキュメンタリー映画祭あたりで上映されるかもしれませんね。ちょっと注目していきたいと思います。

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 *当ブログ記事
 ・米国アカデミー賞2012 短編映画賞候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_39.html
 ・米国アカデミー賞2011 短編映画賞候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_17.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月〜2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

 *参考サイト
 ・学生アカデミー賞に関するWikipedia:http://en.wikipedia.org/wiki/Student_Academy_Awards

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