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zoom RSS カンヌ国際映画祭2011 コンペティション部門ラインナップ!

<<   作成日時 : 2011/05/07 15:37   >>

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 昨年から日本語でも読めるようになったカンヌ国際映画祭の公式サイト。

 でも昨年のは、機械翻訳で訳しましたというのがあからさまで、ところどころ明らかにぎこちない感じがし、日本語で読めるといっても、しょせんこの程度のものかというか、一応、形式的に、「日本語でも読める」ようにしたというだけだったのかなあとも思ったんですが、今年の日本語版はすっきりしてかなり読みやすいものになりました。今年はちゃんと日本語がわかるスタッフが目を通したのでしょうか。といっても、「英語版」をわかりやすい日本語に直しただけのものなんですけどね。

 なので、カンヌのラインナップは、少なくともオフィシャル・セレクションに関しては、これまではいろんな言語で書かれた各国のサイトから、あるかなきかの情報を掬い上げてパッチワーク的にぼんやりとした作品像をでっちあげるしかなかったのが、ずいぶんと楽になりました。
 アジア映画賞の公式サイトだって、最初の1回しか「日本語版」は作らなかったのに、カンヌは凄いですね。国外に映画祭や映画賞は数多くありますが、今のところちゃんとした「日本語版」があるのはカンヌのオフィシャル・セレクションだけです。

 としたら、わざわざ当ブログでラインナップを書き出すこともないかもしれないんですが、一応、以下では、もろもろの手直しやデータ的な補足(およびフォーマットの調整)を行ないながら、基本的には、公式サイトの日本語版をベースにして、ラインナップを書き出してあります。(最終的にはかなり手を入れたものもあります。)


 【コンペティション部門ラインナップ】(5月11日〜22日)

 ・リン・ラムジー “We Need To Talk About Kevin”(英)
 ・ペドロ・アルモドバル “La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”(西)
 ・ベルトラン・ボネロ “L'apollonide - Souvenirs De La Maison Close (House Of Tolerance)”(仏)
 ・アラン・カヴァリエ “Pater”(仏)
 ・マイウェン(Maïwenn) “Polisse (Poliss)”(仏)
 ・ミシェル・アザナヴィシウス(Michel Hazanavicius) “The Artist”(仏)
 ・ラデュ・ミヘイレアニュ “La Source Des Femmes (The Source)”(仏・モロッコ・ベルギー・伊)
 ・ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ “Le Gamin Au Vélo (The Kid With A Bike)”(ベルギー・仏・伊)
 ・ナンニ・モレッティ “Habemus Papam”(伊・仏)
 ・パオロ・ソレンティーノ “This Must Be The Place”(伊・仏・アイルランド)
 ・Markus Schleinzer “Michael”(オーストリア)
 ・ラース・フォン・トリアー “Melancholia”(デンマーク・スウェーデン・仏・独)
 ・アキ・カウリスマキ “Le Havre”(フィンランド・仏・独)
 ・ヌリ・ビルゲ・ジェイラン “Bir Zamanlar Anadolu'da (Once Upon A Time In Anatolia)”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ
 ・ヨセフ・シダー(Joseph Cedar) “Hearat Shulayim (Footnote)”(イスラエル)
 ・河瀬直美 『朱花の月』“Hanezu No Tsuki (Hanezu)”(日)
 ・三池崇史 『一命』“Ichimei (Hara-Kiri: Death Of A Samurai)”(日)
 ・Julia Leigh “Sleeping Beauty”(オーストラリア)
 ・ニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn) “Drive”(米)
 ・テレンス・マリック “The Tree Of Life”(米)

 【審査員】
 ロバート・デニーロ(審査員長)、オリヴィエ・アサイヤス、Martina Gusman(アルゼンチンのプロデューサー)、マハマット=サレー・ハルーン、ジュード・ロウ、施南生(シー・ナンサン:ツイハークの妻で、プロデューサー)、ユマ・サーマン、ジョニー・トー、Linn Ullmann(ノルウェー出身の作家、ジャーナリスト)

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 第64回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門ラインナップ

 ・リン・ラムジー “We Need To Talk About Kevin”(英)
 出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー、Ashley Gerasimovich
 物語:エヴァは自らのキャリアと夢をあきらめ、ケヴィンを出産する。母と息子のコミュニケーションは早くからうまくいかず、16歳になったケヴィンは取り返しのつかない罪を犯してしまう。自分は息子を一度も愛していなかったのだろうか。ケヴィンが罪を犯すことになったのは自分のせいだったのだろうか。エヴァは、罪悪感と母性の間で悩み苦しむ。
 Lionel Shriverの小説の映画化。
 【3大映画祭との関わり】:初めて。



 ・ペドロ・アルモドバル “La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”(西)
 出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ(Elena Anaya)、マリサ・パレデス、Jan Cornet、Roberto Álamo、Blanca Suárez、エドゥアルド・フェルナンデス(Eduard Fernández)
 物語:有能な形成外科医であるロベルト・レガルドは、交通事故でやけどを負った妻を救うため、新しい皮膚の開発に没頭する。そして事故から12年後、どんな衝撃にも耐え得る皮膚の培養に成功する。研究と実験に費やした年月のほかに、ロベルトに必要だったのは、手助けしてくれる仲間と、自分自身のためらいを棄てること、および、実験台となってくれる人間をみつけることだった。幼なじみの女性マリリアはずっと彼に尽くしてくれたし、彼はためらいを感じて心苦しくなることもなかった。残る問題は、実験台となってくれる人間を見つけることだけだった……。
 ティエリー・ジョンケ(Thierry Jonquet)の小説の映画化。
 『華岡青洲の妻』を思わせる作品?
 【3大映画祭との関わり】
 1987年 『欲望の法則』ベルリン(非コンペ)〜テディ・ベア賞
 1988年 『神経衰弱ぎりぎりの女たち』ベネチア〜金のオゼッラ賞(脚本賞)
 1990年 『アタメ』ベルリン
 1999年 『アール・アバウト・マイ・マザー』カンヌ〜監督賞&エキュメニカル審査員賞
 2006年 『ボルベール[帰郷]』カンヌ〜脚本賞&女優賞受賞
 2009年 『抱擁のかけら』 カンヌ


 ・ベルトラン・ボネロ “L'apollonide - Souvenirs De La Maison Close (House Of Tolerance)”(仏)
 出演:ノエミ・ルヴォフスキー、アフシア・エルジ、Céline Sallette、ジャスミン・トリンカ、アデル・エネル(Adèle Haenel)、Alice Barnole、Iliana Zabeth
 物語:20世紀の幕が明けたばかりのパリ。とある売春宿に、顔の傷跡のせいでいつも不気味に笑っているかのように見えてしまう1人の売春婦がいた。閉ざされた空間の中で繰り広げられる出来事は、外の人間には決してうかがい知れないものだった。不安、喜び、苦しみ、そして売春婦どうしのライバル関係……。壁の内側ではあらゆることが可能だった。
 ベルトラン・ボネロは、日本での劇場公開作はありませんが、フランソワ・オゾンらと同世代のFEMIS出身の監督です。
 【3大映画祭との関わり】
 2001年 『ポルノグラフ』“Pornographe” カンヌ(批評家週間)〜国際批評家連盟賞
 2007年 “Tiresia” カンヌ


 ・アラン・カヴァリエ “Pater”(仏)
 出演:ヴァンサン・ランドン、アラン・カヴァリエ
 物語:ヴァンサン・ランドンとアラン・カヴァリエ。2人はまるで父子のように親しい友人同士。バーでポルトワインを飲みながら、一緒にどんな映画を作ろうかと語り合う。時にはスーツにネクタイ姿で権力者のふりをし、人がどれほど困惑するか試して大笑いしたり、個人的なちょっとしたホラを吹いたりする。そして、いつもある疑問が残る。それは、「映画というのは本当に作り事にすぎないのだろうか」という、決して答えの出ない疑問だった。
 【3大映画祭との関わり】
 1986年 『テレーズ』 カンヌ〜審査員賞&エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 1993年 “Libera Me” カンヌ〜エキュメニカル審査員賞
 2005年 “Le Filmeur” カンヌ(ある視点部門)〜Regard Intimity Award


 ・マイウェン(Maïwenn) “Polisse (Police)”(仏)
 出演:カリン・ヴィアール、Joeystarr、Marina Foïs、ニコラ・デュヴォシェル(Nicolas Duvauchelle)、マイウェン、カロル・シェール(Karole Rocher)、エマヌエル・ベルコ、フレデリック・ピエロ(Frédéric Pierrot)、Arnaud Henriet 、Naidra Ayadi、Jérémie Elkaïm、リッカルド・スカルマチョ、サンドリーヌ・キベルラン、ウラディミール・ヨルダノフ(Wladimir Yordanoff)、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン(Louis-Do De Lencquesaing)
 物語:カメラマンのメリッサは、内務省から、パリ警視庁の未成年保護分隊(BPM)のドキュメンタリーを撮影するために派遣される。BPMは、仲間とともに、小児性愛者を拘束したり、未成年スリを逮捕したりする一方、ランチタイムには互いの恋の悩みを打ち明け合ったりもする。虐待を犯した親への聴取や子供たちの証言、青少年に広がる乱れた性の実態、同僚との連帯、思いがけない場面でつい爆笑してしまう瞬間……。そんな中、メリッサは、パリの若者街で、1人の不良、フレッドと出会う。彼とその暴力的な世界は、ブルジョワ出身の夫と暮らすパリ16区での生活とはあまりにもかけ離れているのだった。
 マイウェンは、子役出身の女優で、妹は女優のイジルド・ル・ベスコ。12歳の彼女と出会ったリュック・ベッソンは、彼女にインスピレーションを得て、『レオン』のマチルダ像を作り上げたと言われ、のちに、2人の間に1女をもうける。長編監督作品は、これが3本目で、自作には出演もしているが、監督デビュー以後は、監督業に専念している。
 日本には、マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルで『女優たちの宴』“Le bal des actrices”(2009)が紹介されています。
 【3大映画祭との関わり】:初めて。


 ・ミシェル・アザナヴィシウス(Michel Hazanavicius) “The Artist”(仏)
 出演:ジャン・デュジャルダン(Jean Dujardin)、ベレニス・ベジョ(Bérénice Bejo)、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、ミッシー・パイル(Missi Pyle)
 物語:1927年、ハリウッド。ジョージ・バレンタインはサイレント映画の人気スター。しかし、トーキーの到来が彼の存在感を薄め、忘却の中へと彼を追いやる。一方、若い端役のペピー・ミラーはスターダムに押し上げられていく。
 フランス映画だけれど、英語の作品。
 【3大映画祭との関わり】:初めて。『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(2006)で東京国際映画祭サクラ・グランプリ受賞。


 ・ラデュ・ミヘイレアニュ “La Source Des Femmes (The Source)”(仏・モロッコ・ベルギー・伊)
 出演:レイラ・ベクティ(Leïla Bekhti)、アフシア・エルジ、Biyouna、ヒアム・アッバス、サーレフ・バクリ(Saleh Bakri)、サブリナ・ウアザニ、Mohamed Majd
 物語:舞台は、現代の、北アフリカから中東にかけての小さな村。女性たちは太古の昔から続けられてきた習慣から、照りつける太陽の下、高地にある泉へと毎日水を汲みに行く。そんな中、若き妻レイラは、村の女性たちにセックス・ストライキを提案する。それは男たちが村に水を運んでこない限り、抱擁もセックスもなし、というものだった。
 物語の設定が、ファイト・ヘルマーの“Absurdistan”(2008/独)にそっくりです。
 【3大映画祭との関わり】
 1998年 “Train de vie” ベネチア(非コンペ)〜Best First Work & 国際批評家連盟賞
 2005年 『約束の旅路』 ベルリン(パノラマ部門)〜Label Europa Cinemas & エキュメニカル審査員賞&監督賞


 ・ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ “Le Gamin Au Vélo (The Kid With A Bike)”(ベルギー・仏・伊)
 出演:セシル・ド・フランス、Thomas Doret、ジェレミー・レニエ、ファブリツィオ・ロンジョーネ(Fabrizio Rongione)、Egon Di Mateo
 物語:もうすぐ12歳を迎える少年シリル。彼の頭の中にあるのは、かつて一時的に自分を児童相談所へ預けた父を見つけることだった。ある日、シリルは美容院を経営するサマンサと出会い、週末を彼女の家で過ごすこととなる。だが、シリルはサマンサが向ける愛情に気付くことができずにいた。自分の怒りを静めるために彼が必死に求めていたはずのその愛情に……。
 【3大映画祭との関わり】
 1999年 『ロゼッタ』 カンヌ〜パルムドール&エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 2002年 『息子のまなざし』 カンヌ〜エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 2005年 『ある子供』カンヌ〜パルムドール
 2008年 『ロルナの祈り』 カンヌ〜脚本賞


 ・ナンニ・モレッティ “Habemus Papam”(伊・仏)
 出演:ミシェル・ピコリ、ナンニ・モレッティ、イエルジー・スチュエル(Jerzy Stuhr)、レナート・スカルパ(Renato Scarpa)、Franco Graziosi、マルゲリータ・ブイ、ダリオ・カンタレッリ(Dario Cantarelli)
 物語:ローマ教皇の死後、後継者選びの選挙が開かれ、複数回の投票を経てようやく1人の枢機卿が教皇に選出される。大勢の信者たちが、サンピエトロ広場のバルコニーに新教皇が現れるのを待つ中、選出された枢機卿はまだその責任の重圧に耐える準備ができていなかった。不安? うつ状態? それとも重責への恐れ? 世界全体が気を揉むなか、バチカンではこの危機を乗り越えるため、枢機卿たちが必死に解決策を模索する。
 【3大映画祭との関わり】
 1978年 『青春のくずや〜おはらい』 カンヌ
 1981年 『監督ミケーレの黄金の夢』 ベネチア(非コンペ)〜審査員特別賞
 1985年 『ジュリオの当惑』 ベルリン〜銀熊賞(審査員特別賞)&C.I.C.A.E. Award
 1989年 『赤いシュート』 ベネチア(非コンペ)〜Filmcritica "Bastone Bianco" Award
 1994年 『親愛なる日記』 カンヌ〜監督賞
 1998年 『ナンニ・モレッティのエイプリル』 カンヌ
 2001年 『息子の部屋』 カンヌ〜パルムドール&国際批評家連盟賞
 2004年 カンヌ〜黄金の馬車賞
 2006年 『カイマーノ』 カンヌ〜ローマ市賞


 ・パオロ・ソレンティーノ “This Must Be The Place”(伊・仏・アイルランド)
 出演:ショーン・ペン、ジャド・ハーシュ(Judd Hirsch)、イヴ・ヒューソン(Eve Hewson)、ケリー・コンドン、ハリー・ディーン・スタントン、フランシス・マクドーマンド
 物語:かつてロックスターだったシェイエン。50歳となった現在、いまだに「ゴス」調ファッションを守りつつ、ダブリンで印税生活を送っていた。絶縁していた父が死んで、ニューヨークへ渡った彼は、そこで父があることに固執していたことを知る。それはかつて受けた侮辱の恨みを晴らすというものだった。シェイエンはその真相を探ろうとして、アメリカ横断の旅へと出かける。
 【3大映画祭との関わり】
 2004年 『愛の果てへの旅』 カンヌ
 2006年 『家族の友人』 カンヌ
 2008年 『イル・ディーヴォ』 カンヌ〜審査員賞


 ・Markus Schleinzer “Michael”(オーストリア)
 出演:ミシェル・フイス(Michael Fuith)、David Rauchenberger、Christine Kain、Ursula Strauss、Viktor Tremmel、Gisela Salcher
 物語:10歳のヴォルフガングと35歳のミヒャエルが強いられた共同生活の最後の5ヶ月間を描く。
 監督のMarkus Schleinzerは、オーストリアで活躍するキャスティング・ディレクター&俳優で、監督を務めるのはこれが初めて。これまでキャスティング・ディレクターを務めた作品には、ミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』や『白いリボン』、ウルリッヒ・ザイドルの『ドッグ・デイズ』、ジェシカ・ハウスナーの『Lovely Rita』や“Lourdes”などがあります。
 【3大映画祭との関わり】:初めて(初監督)。


 ・ラース・フォン・トリアー “Melancholia”(デンマーク・スウェーデン・仏・独)
 出演:キルステン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール、キーファー・サザーランド、ステラン・スカルスガルド、アレクサンダー・スカルスガルド、ジョン・ハート、シャーロット・ランプリング、ウド・キアー
 物語:新郎のマイケルと新婦のジャスティン。2人の結婚パーティーがジャスティンの姉夫婦の家で盛大に行われていたその頃、メランコリアという惑星が地球に向かっていた……。
 【3大映画祭との関わり】
 1984年 『エレメント・オブ・クライム』 カンヌ〜技術賞
 1991年 『ヨーロッパ』 カンヌ〜審査員賞&技術賞
 1996年 『奇跡の海』 カンヌ〜グランプリ
 1998年 『イディオッツ』 カンヌ
 2000年 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 カンヌ〜パルムドール
 2003年 『ドッグヴィル』 カンヌ
 2005年 『マンダレイ』 カンヌ
 2009年 『アンチクライスト』 カンヌ〜女優賞(シャーロット・ゲンズブール)&エキュメニカル審査員賞 Anti-Prize


 ・アキ・カウリスマキ “Le Havre”(フィンランド・仏・独)
 出演:アンドレ・ウィルムス(André Wilms)、カティー・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン、Blondin Miguel、エリナ・サロ(Elina Salo)、イヴリーヌ・ディディ(Evelyne Didi)、Quoc Dung Nguyen、Laika
 物語:元人気作家だったボヘミアンのマルセル・マルクスは、港町ルアーブルで隠棲生活を送っていた。彼は、大切な仕事だけれど、ほとんど儲からない靴磨きという仕事をしながら、人と身近に接することのできる喜びを感じていた。作家として大成するという夢をあきらめ、馴染みのビストロと、靴磨きと、妻アレッティとの生活いうトライアングルの中で幸せに暮らしていた。そんなある日、アフリカ出身の黒人の移民の子供と出会う。同じ頃、妻が重病に冒されて寝たきりとなる。マルセルは、生来の楽観主義と近所の人々との堅い連帯感を味方に、人間の無関心という冷たい壁に立ち向かっていく。しかし、彼の前には、西側法治国家の無分別な仕組みが立ちはだかり、難民の少年は警察という万力によって次第に締め付けられていく。マルセルが自分の靴を磨いて立ち上がるときがやってきた。
 【3大映画祭との関わり】
 1990年 『マッチ工場の少女』 ベルリン(フォーラム部門)〜Interfilm Award、OCIC Award オナラブル・メンション受賞
 1990年 『コントラクト・キラー』:ベネチア
 1992年 『ラヴィ・ド・ボエーム』 ベルリン(フォーラム部門)〜国際批評家連盟賞
 1996年 『浮き雲』 カンヌ〜エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション
 1999年 『白い花びら』 ベルリン(フォーラム部門)〜C.I.C.A.E. Award オナラブル・メンション
 2002年 『過去のない男』 カンヌ〜グランプリ&エキュメニカル審査員賞
 2006年 『街のあかり』 カンヌ


 ・ヌリ・ビルゲ・ジェイラン “Bir Zamanlar Anadolu'da (Once Upon A Time In Anatolia)”(トルコ・ボスニア ヘルツェゴビナ)
 出演:Muhammet Uzuner、Yilmaz Erdogan、Taner Birsel、Ahmet Mümtaz Taylan、Firat Tanis、Ercan Kesal
 物語:小さな町での生活は、草原地帯の只中を旅することに似ている。丘を越えれば「今までにない斬新な」何かが現れるかもしれない。けれども、結局、先細りするか永遠に続くかわからない、単調で寸分たがわぬ道が続くだけなのだ……。
 【3大映画祭との関わり】
 1995年 “Koza”(短編) カンヌ(短編部門)
 1998年 “Kasaba” ベルリン(フォーラム部門)〜カリガリ賞
 2000年 『五月の雲』 ベルリン
 2003年 『冬の街』(“Uzak”) カンヌ〜グランプリ
 2006年 『うつろいの季節』 カンヌ〜国際批評家連盟賞
 2008年 『スリー・モンキーズ』 カンヌ〜監督賞


 ・ヨセフ・シダー(Joseph Cedar) “Hearat Shulayim (Footnote)”(イスラエル)
 出演:Shlomo Bar Aba、Lior Ashkenazi、Alisa Rosen、Alma Zak、Micah Lewensohn、Yuval Scharf、Nevo Kimchi
 物語:シュコルニク家は、父子共に研究者の一家。純粋主義者で社交嫌いの大学教授エリザー・シュコルニクはいつも不運に見舞われ、一方、息子のユリエルは同僚たちに一目置かれる存在となっていた。ところがある日、父子の立場は一転。エリザーにその分野で最も栄誉ある賞が贈られるという知らせが届き、認められたいという彼の想いが爆発する。
 【3大映画祭との関わり】
 2004年 “Medurat Hashevet” ベルリン(非コンペ)〜ドン・キホーテ賞スペシャル・メンション
 2007年 『ボーフォート−レバノンからの撤退−』 ベルリン〜銀熊賞(監督賞)


 ・河瀬直美 『朱花の月』“Hanezu No Tsuki (Hanezu)”(日)
 出演:こみずとうた、大島葉子、明川哲也、麿赤兒、小水たいが、樹木希林、西川のりお、山口美也子、田中茜乃介
 物語:奈良県、飛鳥地方。日本の発祥地と言われるこの場所には、昔から、待つ喜びを受け入れる人々が暮らしていた。待つことに対するこの感覚を失ってしまった現代人は、「今」に感謝することができず、すべてのことは各自の計画通りに進むという幻想に取り付かれているかのようにみえる。大昔、神々が宿ると信じられていた畝傍山、耳成山、香具山。これら大和三山は今も変わらずその姿をたたえている。当時権力を誇っていたある豪族は、これらの山々を心の中の葛藤になぞらえ、山は人間の業を映すものと考えてきた。そして現代、拓未と加夜子は祖父母たちの果たされなかった希望を受け継ぎ、日々を生きる。2人の物語は実に普遍的で、この地球上に積み重ねられた無数の魂を投影している。
 原作は滝口康彦著『異聞浪人記』。
 【3大映画祭との関わり】
 1997年 『萌の朱雀』 カンヌ(監督週間)〜カメラドール
 2003年 『沙羅双樹』 カンヌ
 2007年 『殯(もがり)の森』 カンヌ〜グランプリ
 (2010年 『玄牝』 サンセバスチャン国際映画祭〜国際批評家連盟賞)


 ・三池崇史 『一命』“Ichimei (Hara-Kiri: Death Of A Samurai)”(日)
 出演:市川海老蔵、役所広司、満島ひかり、瑛太
 物語:「威厳を持って死にたい。」貧しい侍、半四郎が井伊家を訪れ、家老である勘解由に切腹を申し出る。半四郎を思いとどまらせようと勘解由は、先日も求女という若い浪人が同じことを願い出て切腹を遂げたことを話す。求女の身に起きたそのおぞましい詳細に半四郎は激しく動揺するが、誇りを持って死にたいという彼の決意は変わらなかった。切腹の準備が進む中、彼は勘解由の3人の腹心に介錯をしてもらいたいと最後の請願を申し出る。ところが奇妙なことに3人全員が揃って姿を見せない。訝しがり激怒した勘解由は半四郎に説明を求める。半四郎は求女との関係を明らかにし、彼らの悲喜こもごもの生活について語る。勘解由はやがて、半四郎が復讐心から力による決着に身を投じようとしていると知る。
 3D。
 【3大映画祭との関わり】
 2007年 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』〜ベネチア
 2010年 『十三人の刺客』 ベネチア〜Future Film Festival Digital Award スペシャル・メンション


 ・Julia Leigh “Sleeping Beauty”(オーストラリア)
 出演:レイチェル・ブレイク、Ewen Leslie、Peter Carroll
 物語:ルーシーは、大学生で、学費を稼ぐために複数のアルバイトを掛け持ちしている。ある日、彼女は小さな求人広告から「眠れる森の美女」という一風変わったアルバイトを始める。眠りにつき、やがて目覚めてみると、一見何も起こっていないように見えるのだが……。
 どうみても川端康成の『眠れる美女』に似ていますが、川端康成の『眠れる美女』にインスピレーションを受けたとかそういうことは今のところは言及されていないようです。
 【3大映画祭との関わり】:初めて(初監督)。


 ・ニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn) “Drive”(米)
 出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ロン・パールマン、クリスティナ・ヘンドリックス、アルバート・ブルックス、オスカー・アイザック
 物語:映画のスタント・ドライバーをしていた主人公は、愛する者をすべて失って、今は、強盗の逃走車輛の運転手という裏の稼業に手を染める。その仕事にも慣れてきた頃、強盗グループ内で仲間割れが生じ、彼も命からがら逃げ出すことになる。彼は自分を裏切った者への復讐を企てる……。
 ジェームズ・サリスの小説『ドライブ』の映画化。
 【3大映画祭との関わり】:初めて。


 ・テレンス・マリック “The Tree Of Life”(米)
 出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャスティン、Hunter McCracken
 物語:1950年代のテキサス。ジャックは威圧的な父と寛容で優しい母の間ですくすくと育つ。やがて2人の弟が生まれるとその無条件の愛情は自分だけのものではなくなり、さらには息子たちの成功に固執する父の異常なまでの個人主義に反感を抱くようになる。そしてある日、その不安定な平静を壊す痛ましい事故が起こる。
 【3大映画祭との関わり】
 1979年 『天国の日々』 カンヌ〜監督賞
 1999年 『シン・レッド・ライン』 ベルリン〜金熊賞


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 今回のラインナップの特徴は、なんと言っても、過去に、監督賞以上の賞を獲ったことのある監督が8組もいることで、ここ数年の3大映画祭には見られなかった豪華な顔ぶれになっているということです。

 簡単にまとめてみると―

 パルムドール:ダルデンヌ兄弟×2、ナンニ・モレッティ、ラース・フォン・トリアー
 グランプリ:アキ・カウリスマキ、河瀬直美
 監督賞:ペドロ・アルモドバル、ナンニ・モレッティ、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、テレンス・マリック

 初監督・初カンヌ:2人〜Markus Schleinzer、Julia Leigh
 初監督ではないが、初3大映画祭(コンペ):4人〜リン・ラムジー、マイウェン、ミシェル・アザナヴィシウス、ニコラス・ウィンディング・レフン
 3大映画祭(コンペ)は初めてではないが、初カンヌ(コンペ):3人〜ラデュ・ミヘイレアニュ、ヨセフ・シダー、三池崇史

 カンヌのコンペは2回目:ベルトラン・ボネロ、テレンス・マリック
 3回目:アラン・カラヴィエ、河瀬直美
 4回目:ペドロ・アルモドバル、パオロ・ソレンティーノ、アキ・カウリスマキ、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 5回目:ダルデンヌ兄弟、ナンニ・モレッティ
 9回目:ラース・フォン・トリアー

 そのおかげで、新しい映画のムーブメントが起こっているような国からの新進気鋭の監督の作品が選ばれるということはありませんでした。国籍的に見ると、常連国ばかりです。

 アフリカ、南米、東南アジアからは1本も選ばれず、ポルトガル、ドイツ、ポーランド、ロシア、イラン、中国、韓国、カナダなどからも1本も選ばれませんでした。(“La Source Des Femmes (The Source)”はアフリカ映画と言ってもいいかもしれませんが。)

 珍しいのは、例年だと4〜5本は選ばれるはずのアメリカ映画がたった2本しかないことですが、今年は製作にアメリカが関わっていないのにも拘わらず、ほとんどアメリカ映画と言っても差し支えないような作品がいくつもあって(“The Artist”(英語のフランス映画)、“This Must Be The Place”(英語のイタリア映画)、“Melancholia”(英語のデンマーク映画))、アメリカ映画が少ないことを見えにくくしています。

 監督が出身国を離れて映画を作ったり、俳優が外国映画で主演したりすることは、ごく普通になってきていますが、今年のカンヌは特にそれが顕著で、イタリアの俳優であるジャスミン・トリンカやリッカルド・スカルマチョがフランス映画に出演していたり、ジョン・グッドマンがフランス映画に、ショーン・ペンがイタリア映画に、キルスティン・ダンストやキーファー・サザーランドがデンマーク映画に出演したりしています。

 フィンランドのアキ・カウリスマキも、母国を離れて、フランスを舞台に映画を撮影しています。

 作品のテーマやモチーフとしては、時代がかった大作や、戦争など過酷な時代背景をバックボーンとするような作品は1本もなく、映画のバックステージものとも思える作品が2本ある以外は、家族関係を描いた小さな作品が多いようです。

 特に多いのは、父子関係もしくはそれに擬した関係を描いた作品です(“Le Gamin Au Vélo (The Kid With A Bike)”、“This Must Be The Place”、“Michael”、“Le Havre”、“Hearat Shulayim (Footnote)”、“The Tree Of Life”)。とすると、今年のカンヌのテーマは、「父親像の見直し」ということになるでしょうか。

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 恒例により、受賞結果を予想しておきますが、今年は、特に、これが獲るんじゃないかというような際立った作品は見当たらないようなです。
 どうみてもパルムドールを競うための作品とは思えないような作品もありまし、監督陣が豪華なわりには、監督のネーム・バリューだけで作品を集めたという気もします。

 パルムドール:“This Must Be The Place”、『朱花の月』、“The Tree Of Life”

 グランプリ:“Le Gamin Au Vélo (The Kid With A Bike)”、“This Must Be The Place”、“Le Havre”、“Bir Zamanlar Anadolu'da (Once Upon A Time In Anatolia)”、『朱花の月』、“The Tree Of Life”

 監督賞:ラデュ・ミヘイレアニュ、ダルデンヌ兄弟、パオロ・ソレンティーノ、ヨセフ・シダー、河瀬直美、三池崇史

 脚本賞:“La Source Des Femmes (The Source)”、“Le Gamin Au Vélo (The Kid With A Bike)”、“Habemus Papam”、“This Must Be The Place”、“Le Havre”、“The Tree Of Life”

 男優賞:アントニオ・バンデラス(“La Piel Que Habito (The Skin I Live In)”)、ヴァンサン・ランドン(“Pater”)、ショーン・ペン(“This Must Be The Place”)、アンドレ・ウィルムス(“Le Havre”)、市川海老蔵(『一命』)

 女優賞:ティルダ・スウィントン(“We Need To Talk About Kevin”)、アフシア・エルジ(“L'apollonide - Souvenirs De La Maison Close (House Of Tolerance)”)、カリン・ヴィアール(“Polisse (Police)”)、キルステン・ダンスト(“Melancholia”)

 わりと大雑把でラフな予想です。

 審査員長がロバート・デニーロで、ジョニー・トーやツイ・ハークの奥さんが混じっていることが審査にどう働くかが気になりますが、硬派で、スコセッシの世界にも通じる作品が評価されるような気がします。

 監督賞を2度獲るというようなことはあまりないような気がしたので、一度監督賞を獲ったことのある監督は、監督賞候補から外してあります。(過去に2度受賞したのは、ルネ・クレマンとロベール・ブレッソンとコーエン兄弟の3組だけです)

 テレンス・マリックには、功労賞的に見ても、おそらく監督賞以上の何かの賞が贈られると思われます。

 ダルデンヌ兄弟はカンヌに来ると必ず何かの賞をさらっていきますが、今年はどうでしょうか。これまで誰も成し遂げたことのない三度目のパルムドール受賞もかかっています。

 もう1つの見どころは、世界中の同情が日本に集まっている今、日本映画に何か大きな賞がもたらされるのではないかということで(今年のベルリン映画祭でイラン映画が最高賞を受賞したように)、だとすれば、それは、三池作品より、河瀬作品にその可能性が高いように思われます。

 審査員の顔ぶれやバランスから言っても、少なくともアジア映画が無冠に終わることはないのではないでしょうか。

 ちなみに、ショーン・ペンとアフシア・エルジは2作品に出演しています。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年12月〜2011年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_48.html

 追記:
 カンヌ国際映画祭2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201105/article_21.html

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