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zoom RSS 2010年のヨーロッパ映画の収穫はこの中にあり! 第4回ラックス賞ノミネーション発表!

<<   作成日時 : 2010/07/28 06:39   >>

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 2010年のラックス賞(Lux Prize)のノミネート作品3作品が発表になりました。(7月27日)

 ラックス賞というのは、欧州議会(European Parliament)によって贈られる映画賞で、ヨーロッパの現状(拡大と交流)を示すような題材の映画を通して公衆に議論を呼び起こすことと、EU加盟国での映画の普及とを目的として、2007年からスタートしたものです。

 内容から言うと、ローカルで、ドメスティックな内容のものではなく、いろんな出自(出身国や民族)のバックグラウンドを持つ登場人物が出てくる現代劇で、しかもそのことが物語の根幹に関わってくるような作品、あるいは、物語が複数のヨーロッパ諸国にまたがっていて、物語の展開に従って、それぞれの国の実情(現状)が映画の中に映し出されていくような作品、を対象とした映画賞だということになります。

 イメージとしては、ヨーロッパ映画賞や難民映画祭が重なってきますが、汎ヨーロッパ的な作品ということで、より対象作品が限定されることになります。

 投票資格があるのは、欧州議会の議員約800名のみで、議員には、ノミネート発表後、作品の無料の上映会が行なわれることになっています。

 ノミネート作品は3本という規定になっていて、前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から、欧州議会の文化教育委員会のメンバーがセレクションを行ない、3本に絞り込むというシステムが取られています。

 過去のノミネート&受賞作品は以下の通りです。

 ◆2007年
 ◎『そして、私たちは愛に帰る』(独・トルコ) 監督:ファティ・アキン
 ・『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 ・『夜顔』(西・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ

 ◆2008年
 ・『デルタ』(ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
 ◎『ロルナの祈り』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 ・“Občan Havel”(チェコ) 監督:Miroslav Janek、Pavel Koutecký

 ◆2009年
 ・『ソフィアの夜明け』(映画祭上映題:『イースタン・プレイ』)(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ
 ・“Sturm”(独・デンマーク・オランダ) 監督:ハンス=クリスチャン・シュミット
 ◎『ウェルカム』(仏) 監督:フィリップ・リオレ

 政治が映画に口を出してくるというのは、あまりいい印象は持ちませんが、この映画賞の企図は悪くありませんし、ノミネーションも受賞結果もまあまあ納得がいくようなものだと思います。

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 2010年のノミネート作品は以下の3作品です。

 ・“Plato's Academy(Akadimia Platonos)”(ギリシャ・独)
 監督:Filippos Tsitos
 物語:スタヴロスは、タバコ屋を営んでいた。店の前をアルバニア人が通ることがあるが、彼は、外国人が大嫌いで、たとえ外国人が、ギリシャ人の嫌がる仕事をしてくれているにしても、自分のまわりを外国人がうろつくのが我慢ならなかった。しかし、ある日、母親が連れてきたアルバニア人男性が、彼を抱きしめて、息子呼ばわりすることに戸惑う。母親からは、父親は北部で死んで、それからアテネに移ってきたのだと聞かされていたが、それはウソだったのか? 友人たちは、そういえばスタヴロスはギリシャ人らしくないなどと口にする……。
 ロカルノ国際映画祭2009 男優賞&エキュメニカル審査員賞受賞。ヤング審査員賞3位。

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 ・“When We Leave (Die Fremde)”(独)
 監督:Feo Aladag
 出演:シベル・ケキリ、Settar Tanriögen
 物語:ドイツ生まれのトルコ人女性ウマイは、イスタンブールでの抑圧的な結婚生活を逃れるようにして、息子と2人でベルリンに戻ってくる。それは、ベルリンに戻れば、家族が助けてくれるだろうと期待しての帰国だったが、現実はそんなに甘くはなく、伝統としきたりを重んじる家族は、彼女の思いとは裏腹に、息子を父親の元に返そうとするのだった……。
 ベルリン国際映画祭2010 パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞。
 ドイツ映画賞2010 ブロンズ賞受賞。
 トライベッカ映画祭2010 グランプリ受賞。

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 ・“Illégal”(仏・ベルギー・ルクセンブルク)
 監督:Olivier Masset-Depasse
 出演:Anne Coesens、Alexandre Golntcharov
 物語:タニア(39歳)は、息子のイワンとともに、ベルギーに住んでいる。彼らはロシア系移民だが、身分証明書を持っていない不法滞在者で、滞在8年目にして、ついに移民警察に見つかってしまう。イワンは逃げおおせたものの、タニアはつかまって、「難民センター」という名の「収容所」に入れられる。彼女は、そこでも、一切名前を明かさず、指紋も焼いて、個人の特定を免れたので、誰も彼女を国外追放することができない。彼女が唯一気がかりだったイワンは親戚とともにいることがわかったが、そのイワンに反抗期がやって来ようとしていた……。
 カンヌ国際映画祭2010 監督週間出品。Prix SACD/SACD Prize(Société des auteurs et compositeurs dramatiques:最優秀長編フランス語映画賞)受賞。
 エルサレム映画祭2010 スピリット・オブ・フリーダム賞受賞。

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 いずれの作品も当ブログで一度ならず紹介していた作品だったので、ちょっとホッとしました(笑)。

 それはともかく――
 今年は、カンヌが不作と言われ、パルムドールもアジア映画だったこともあり、2010年のヨーロッパ映画を代表する作品が何なのかわかりにくくなっていましたが、この3タイトルがそれらの1つであることはまず間違いないだろうと思われます。

 たとえば、最終的にこれら3作品の中からヨーロッパ映画賞が出るかどうかはわかりませんが、少なくとも2010年作品である“When We Leave (Die Fremde)”と“Illégal”はヨーロッパ映画賞2010にノミネートされることになるでしょうし、“Illégal”は米国アカデミー賞外国映画賞2011ベルギー代表になる可能性も濃厚なのではないでしょうか。

 ラックス賞自体は、どれが受賞してもいいし、3作品の中に選ばれた段階で、作品としての価値は十分に認められたという気がしますが、個人的に今後知名度と評価をもっともっと高めて行くんじゃないかなと感じているのは、“Illégal”です。

 第4回ラックス賞の発表は、ず〜っと先の11月24日です。(投票資格のある議員が余裕をもって3作品全部観られるように期間にゆとりが持たれているのでしょう。)

 なお、上記3作品に絞り込まれる前の、候補作品10作品も公表されていて、残り7作品は以下のようになっています。
 ・“Bibliothèque Pascal”(ハンガリー・独・英・ルーマニア) 監督:Szabolcs Hajdu
 ベルリン国際映画祭2010 フォーラム部門出品。
 ブリュッセル映画祭2010 コンペティション部門出品。
 サラエボ映画祭2010 コンペティション部門出品。

 ・“Eastern Drift(Indigène d’Eurasie)”(リトアニア・仏・英) 監督:Sharunas Bartas
 ベルリン国際映画祭2010 フォーラム部門出品。

 ・“I Am Love (Io sono l'amore)”(伊) 監督:ルーカ・グアダニーノ(Luca Guadagnino)
 ベネチア国際映画祭2009 Orizzonti部門出品。
 ナストロ・ダルジェント賞2010: 2部門ノミネート。

 ・“The Mouth of the Wolf(La bocca del lupo)”(伊) 監督:Pietro Marcello
 ベルリン国際映画祭2010 フォーラム部門出品。テディ賞 最優秀ドキュメンタリー作品&カリガリ賞受賞。
 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭2010 国際批評家連盟賞受賞。
 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2010 ドキュメンタリー賞受賞。
 ナストロ・ダルジェント賞2010 ドキュメンタリー賞受賞。

 ・“Lourdes”(オーストリア・仏・独) 監督:ジェシカ・ハウスナー
 ベネチア国際映画祭2009 コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞、SIGNIS Prize、La Navicella - Venice Cinema Award、Brian Award受賞。
 ワルシャワ国際映画祭2009 グランプリ受賞。
 オーストリア映画賞2010 カール・マイヤー脚本賞 Thomas Pluch Script Prize受賞。
 ・“Medal of Honour”(独・ルーマニア) 監督:Calin Peter Netzer

 ・“R”(デンマーク) 監督:Tobias Lindholm、Michael Noer
 ロッテルダム国際映画祭2010 コンペティション部門出品。
 ヨーテボリ国際映画祭2010 ノルディック・コンペティション部門グランプリ受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2010 コンペティション部門出品。撮影賞受賞。
 台北電影節2010 ニュー・タレント・コンペティション部門出品。

 ※当ブログの各映画祭の記事に関連情報があります。

 上記10作品の中に、東京国際映画祭か東京フィルメックスで上映されることになる作品が何本か含まれているのではないでしょうか。少なくともそういうポジションにある作品が多いようです。

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 *当ブログ記事
 ・第3回ラックス賞発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_43.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月〜2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 追記:
 本年度のラックス賞受賞作品は、“When We Leave (Die Fremde)”でした。

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