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zoom RSS 意外? 快挙? 第63回カンヌ国際映画祭 各賞発表!

<<   作成日時 : 2010/05/24 04:18   >>

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 第63回カンヌ国際映画祭の各賞が発表になりました。

 いや〜、びっくり!

 今年は、ティム・バートンが審査員長でもあることから、変化球はなしで、下馬評の高い作品がほぼ順当に賞を与えていくんじゃないかと思っていたら、意外や意外、びっくりするほどの変化球だらけでした。

 もっとも下馬評が高かったマイク・リーの“Another Year”は、メインの賞の受賞はなく、それに次いで人気の高かったアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの“Biutiful”も男優賞のみの受賞にとどまりました。

 めぐり合わせとしては、今年はアジア映画がパルムドールを受賞してもいい年でしたが、まさかアピチャッポン・ウィーラセタクン作品がパルムドールを受賞するとは思ってもみませんでした。
 ティム・バートンとアピチャッポン・ウィーラセタクンという組み合わせもピンと来なかったし、審査員長が英語圏の映画人かアメリカでも活躍している映画人の場合は、英語の作品がパルムドールを受賞するという傾向性もあったので、全く予想外でしたね。


 “Another Year”の世界観は、『ビッグ・フィッシュ』の世界観(家族、特に父に対する愛憎半ばする感情とか)に通じることがなくもないから、パルムドールかグランプリか監督賞かの受賞は固いんじゃないかと思っていたのですが……。(ラインナップが発表された時点で、私は、アピチャッポン・ウィーラセタクンの監督賞くらいはあるかもしれないと予想し、ここにも書いていましたが。)

 コンペ部門のすべての上映が終わった時点での下馬評は―
 ・パルムドール:“Another Year”か“Biutiful”、大穴で“Loong Boonmee Raleuk Chaat”
 ・男優賞:ハビエル・バルデム
 ・女優賞:レスリー・マンヴィル(“Another Year”) ジュリエット・ビノシュも考えられないことはないが、ポスターに起用された女優に果たして女優賞を与えるだろうか。
 というものでした。

 まあ、今回の審査員の審査は、誰が見てもいいなと思える作品に順当に賞を与えるより、賞を与えることに意味のある作品(キャスト、スタッフ)に賞を与えるという方針で行われた、ということでしょうか。

 しかし、まあ、興行的に非常に難しい作品がパルムドールを獲っちゃいましたね。パルムドール以下の賞では注がれなかったであろう注目をこの作品に集めることが、審査員たちの狙いでもあったのでしょうけれども。

 最初に発表された時点でコンペ部門に入っていなかった作品には全く賞は与えられませんでしたが、ひょっとすると、これは、作品が揃わなければあとから作品を追加して帳尻を合わせればいいという映画祭事務局の態度に対する審査員たちの抗議という意味もあるのかもしれません。

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 ◆コンペティション部門

 ・マイク・リー “Another Year”(英) エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション

 ・ケン・ローチ “Route Irish”(英)

 ・マチュー・アマルリック “Tournée(On Tour)”(仏) 監督賞、国際批評家連盟賞


 ・グサヴィエ・ボーヴォワ “Des Hommes Et Des Dieux(Of Gods and Men)”(仏) グランプリ、エキュメニカル審査員賞

 ・ラシッド・ブシャール “Hors La Loi(Outside The Law)”(仏・アルジェリア・ベルギー)

 ・ベルトラン・タヴェルニエ “La Princesse De Montpensier”(仏・独)

 ・マハマット=サレーン・ハルーン “Un Homme Qui Crie(A Screaming Man)”(仏・ベルギー・チャド) 審査員賞


 ・アッバス・キアロスタミ “Copie Conforme(The Certified Copy)”(仏・伊・イラン) 女優賞(ジュリエット・ビノシュ)


 ・ダニエレ・ルケッティ “La Nostra Vita(Our Life)”(伊・仏) 男優賞(エリオ・ジェルマーノ)

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 ・コーネル・ムンドルッツォ “Tender Son -- the Frankenstein Project(A Frankenstein-terv)”(ハンガリー)

 ・Sergei Loznitsa “You. My Joy”(ウクライナ・独)

 ・ニキータ・ミハルコフ “Utomlyonnye Solntsem 2(Burnt By The Sun 2)”(独・仏・ロシア)

 ・アピチャッポン・ウィーラセタクン “Loong Boonmee Raleuk Chaat(Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives)”(西・タイ・独・英・仏) パルムドール!

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 ・ワン・シャオシュアイ “Rizhao Chongqing(Chongqing Blues)”(中)

 ・イム・サンス “Housemaid”(韓)

 ・イ・チャンドン “Poetry”(韓) 脚本賞、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション


 ・北野武 『アウトレイジ』(日)

 ・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ “Biutiful”(米) 男優賞(ハビエル・バルデム)


 ・ダグ・リーマン “Fair Game”(米)

 ※ ラインナップ発表時点では内容がわからなかった“Another Year”のストーリーを簡単に書き出しておきたいと思います。
 シノプシスをたどっただけでは、さほど面白そうにも思えませんが、これが『秘密と嘘』や『人生は、時々晴れ』のスタイルで描かれると想像すると、作品の雰囲気もなんとなくわかり、人生の機微を1年間に凝縮して描いた作品として悪くないんじゃないかと思えてきます。

 “Another Year”(英) 監督:マイク・リー
 出演:ジム・ブロードベント、Ruth Sheen、Oliver Maltman、Lレスリー・マンヴィル、Peter Wight、Karina Fernandez、David Bradley、Martin Savage、イメルダ・スタウントン
 物語:ロンドンで暮らす一家とその周辺の人々の、春から冬と続く1年を描く。
 医療コンサルタントのジェリー(Ruth Sheen)は、地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と幸せな結婚生活を送っている。彼らの息子のジョー(Oliver Maltman)は、30歳になり、友人たちがどんどん結婚していくというのに、いまだに独り身を通している。メアリー(レスリー・マンヴィル)は、ジェリーの仕事仲間で、男性に縁がなくて、長らく孤独で寂しい生活を送っている。ケン(Peter Wight)は、トムの幼なじみで、政府の雇用機関で働いているが、こちらも独り身で寂しい暮らしを送っている。ジェリー、トム、ジョー、ケン、メアリーの5人で、バーベキュー・パーティーを開くが、メアリーは、世代が近いケンではなく、かなり年の離れたジョーに関心を抱く。
 秋になり、ジョーは、つきあいはじめたガールフレンド、ケイティー(Karina Fernandez)を両親に紹介する。その場には、メアリーも居合わせるが、彼女は、ケイティーに敵意ある態度を取ってしまう。
 冬。トムの兄ロニー(David Bradley)の妻が亡くなり、一家で、トムの故郷でもあるダービーに向かう。ロニーには、疎遠になった息子カール(Martin Savage)がいたが、カールは遅れてやってきながら、そこで父に対する怒りをぶちまけ、葬儀の参列者を全員追い出してしまう。トムは、ロニーをロンドンの家に誘う。ロニーはトムたちとのディナーを楽しみ、ジョーとケイティーのカップルはパリ旅行の計画に夢中で、メアリーは空疎だった自分の人生を嘆いている……。


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 【データ】

 以下に、コンペティション部門の受賞データを書き出しておきます。

 ・タイ映画のパルムドール受賞は史上初。東南アジア圏としても初。

 ・アジアからのパルムドールは、1997年の『うなぎ』と『桜桃の味』以来、13年ぶり。

 ・アピチャッポン・ウィーラセタクンは、2004年に『トロピカル・マラディ』で果たした審査員賞というカンヌにおけるタイ映画の受賞記録を自ら更新。

 ・マイク・リーやケン・ローチがパルムドールを受賞しなかったので、7組目となる2度目のパルムドール受賞は今年も見送り。

 ・フランス映画のグランプリ受賞は、2年連続10回目(最多)。

 ・チャド映画の審査員賞受賞は、もちろん初めて。アフリカ映画としては、1987年のスレイマン・シセ『ひかり』以来、23年ぶり2度目。

 ・フランス人が監督賞を受賞するのは、2004年のトニー・ガトリフ以来、6年ぶり。

 ・俳優が本業もしくは、俳優と兼業の監督が監督賞を受賞するのは、1994年のナンニ・モレッティ、1995年のマチィー・カソヴィッツ以来3人目。(エミール・クストリッツァ等は例外とみなします。)

 ・スペイン人俳優が男優賞を受賞するのは、26年ぶり5人目。

 ・アメリカ映画から男優賞が出るのは、2005年のトミー・リー・ジョーンズ以来。

 ・この作品でハビエル・バルデムが米国アカデミー賞にもノミネートされれば、史上14人目(可能性は高い!)。受賞すれば、昨年のクリストフ・ヴァルツ以来2年連続の5人目。

 ・イタリア人が男優賞を受賞するのは、1987年のマルチェロ・マストロヤンニ(『黒い瞳』)以来、23年ぶり8人目(マストロヤンニは2度受賞)。

 ・フランス人女優が女優賞を受賞するのは、2年連続。

 ・ジュリエット・ビノシュは、これで、1993年の『トリコロール 青の愛』でのベネチア国際映画祭での女優賞、1997年の『イングリッシュ・ペイシェント』でのベルリン国際映画祭での女優賞と合わせて、3大映画祭の女優賞を制覇したことになります!
 これは、イザベル・ユペール(カンヌで2度、ベネチアで2度)も、ヘレン・ミレン(カンヌで2度、ベネチアで1度)も、イザベル・アジャーニ(ベルリンとカンヌで1度ずつ)も、バーバラ・スコーヴァ(カンヌとベネチアで1度ずつ)も、ハンナ・シグラ(ベルリンとカンヌで1度ずつ)も、キャサリン・ヘプバーン(カンヌとベネチアで1度ずつ)も、ジャンヌ・モロー(女優賞はカンヌのみ、ベルリンとベネチアではそれぞれ名誉賞受賞)も、ソフィア・ローレン(カンヌとベネチアで1度ずつ、ベルリンでは名誉賞を受賞)も、果たしていないことなので、たぶん史上初の快挙なのではないでしょうか。

 ・韓国映画が脚本賞を受賞するのは史上初。

 ・アジアから脚本賞が出るのは2年連続2度目。

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 ◆ある視点部門

 ・ある視点賞
 ◎“Ha Ha Ha”(韓) 監督:ホン・サンス
 出演:ムン・ソリ、キム・サンギョン、ユ・ジュンサン、、イェ・ジウォン、キム・ガンウ、キム・ミンソン、ユン・ヨジョン、キ・ジュボン、キム・ヨンホ
 物語:カナダへ移民する決心したムンギョンが、先輩チュンシクと清渓山のふもとのどぶろく屋で会って、酒を飲み、二人とも統営に旅行したことを知り、それぞれ旅行先での出来事を語っていく。


 ・審査員特別賞
 ◎“Octubre”(ペルー) 監督:Daniel Vega、Diego Vega
 物語:ソフィアは、独身で、「奇跡の主」の信者だった。隣人のクレメンテは、無口な質屋だったが、彼がいることで彼女は孤独から免れていた。ある日、クレメンテは、店の前に、娼婦が棄てていったと思われる赤ん坊を発見する。クレメンテは、母親捜しをし、ソフィアは赤ん坊の面倒を見ることになる。母親はなかなかみつからなかったが、やがて、ソフィアは母性に目覚め、クレメンテも自分にはないと思っていた愛情が内から沸いてくるのを感じるのだった……。

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 ・パフォーマンス賞
 ◎“Los Labios(The Lips)”(アルゼンチン) 監督:Ivan Fund、Santiago Loza
 3人の主演女優(Eva Bianco、Victoria Raposo、Adela Sanchez)に対して。
 出演:Eva Bianco、Victoria Raposo、Adela Sanchez
 物語:3人の女性が、今は誰も住んでいないサンタフェの寂れた地区にやってくる。彼らは、そこにあった廃墟の病院を拠点に、この地区を調べ、生かせるところは生かし、直せるところは直し、最初からなかった、あるいはもう使いものにならなくなったところは補うなどして、町としての機能を再生させていく……。
 原題の“Los Labios(The Lips)”は、ハンセン氏病患者でも、最初から拒絶したのでは何の解決にもならない。まず受け入れてキスするところから始めようといった意味合いがこめられているようです。
 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭2010 アルゼンチン・コンペティション監督賞受賞作品。

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 ・国際批評家連盟賞
 ◎“Pal Adreinn(Adrienn Pal)”(ハンガリー・オランダ・仏・オーストリア) 監督:Agnes Kocsis
 出演:エヴァ・ガボール、István Znamenák、Ákos Horváth
 物語:あまりにも多くの死と出会いすぎて、頭がおかしくなりそうになった看護婦が、長い間、音信不通になっている子供時代の友だちを捜す旅に出る。しかし、彼女の思うようには行かず、その旅は、意図したものとは全く違うものになってしまう。


 ◆短編コンペティション部門

 ・短編部門パルムドール(Palme d´Or for Best Short Film)
 ◎“Chienne d’histoire(Barking Island)”(仏) 監督:Serge Avédikian

 ・短編部門審査員賞(Jury Prize - Short Film)
 ◎“Micky Bader”(スウェーデン・デンマーク) 監督:Frida Kempff

 ◆シネフォンダシオン部門

 1位(First Prize)
 “Taulukauppiaat (The Painting Sellers)”(フィンランド) 監督:Juho Kuosmanen(Aalto University)

 2位(Second Prize)
 “Coucou-Les-Nuages (Anywhere Out Of The World)” (仏) 監督:Vincent Cardona(La Fémis)

 3位(Third Prize)
 “Hinkerort Zorasune (The Fifth Column)”(米) 監督:Vatche Boulghourjian(NYU)

 同3位
 “Ja Već Jesam Sve Ono Što Želim Da Imam(I Already Am Everything I Want To Have)”(セルビア) 監督:Dane Komljen(FDU)

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 ◆監督週間

 ・アート・シネマ賞(Art Cinema Award)
 ◎“Pieds nus sur les limaces”(仏) 監督:ファビアンヌ・ベルトー(Fabienne Berthaud)
 出演:ダイアン・クルーガー、リュディヴィーヌ・サニエ、Denis Menochet、Jean-Pierre Martins
 物語:クララは、将来を嘱望される弁護士と結婚して、幸せな結婚生活を送っていた。しかし、母が死んで、妹リリーの面倒を見なければならなくなる。リリーは、傷つきやすい性格で、誰かが見守ってやらねばならず、彼女のためにクララの生活は大いに負担を強いられることになる。
 監督ファビアンヌ・ベルトー自身の小説の映画化。
 ファビアンヌ・ベルトーは、短編『ファミリー・クリスマス』“Noel en Famille”(2000)がショートショート・フィルム・フェスティバル&アジア2008で上映されているほか、フランス映画祭2006で初長編『フランキー』“Frankie”が上映されています。



 ・Prix SACD/SACD Prize(Société des auteurs et compositeurs dramatiques:最優秀長編フランス語映画賞)
 ◎“Illégal”(ベルギー・ルクセンブルグ・仏) 監督:Olivier Masset-Depasse
 出演:Anne Coesens、Alexandre Golntcharov
 物語:タニア(39歳)は、息子のイワンとともに、ベルギーに住んでいる。彼らはロシア系移民だが、身分証明書を持っていない不法滞在者で、滞在8年目にして、ついに移民警察に見つかってしまう。イワンは逃げおおせたものの、タニアはつかまって拘置所に入れられる。彼女は、拘置所が地獄のような場所だと知って、さらなるショックを受けるのだった……。
 監督のOlivier Masset-Depasseは、短編“Chambre froide”(2000)が高く評価され、トロント、ドレスデン、ナミュール、メルボルン、ヴァレンシアなどの映画祭で賞を受賞しています。



 ・Label Europa Cinemas / The Europa Cinemas Label
 ◎“Le Quattro Volte”(伊) 監督:Michelangelo Frammartino
 物語:カラブリアを舞台にした4つのエピソードが、ドキュメンタリーとフィクションを併用した手法で語られる。年老いたシェパードの最後の日々、牧草地に誕生した新しい生命とその最初の数週間、モミの木の四季、トウヒが石炭に変わるまで。
 監督のMichelangelo Frammartinoは、“Il dono”(2003)で、チブロン、テッサロニキ、ワルシャワなどの映画祭で高い評価を受けた監督。



 ・短編部門グランプリ(PRIX SFR)
 ◎“Cautare”(ルーマニア・米) 監督:Ionut Piturescu、Mary Last Seen、Sean Durkin

 ・黄金の馬車賞(Carrosse d’Or prize)
 ◎アニエス・ヴァルダ


 ・国際批評家連盟賞
 ◎“Todos vós sodes capitáns(You Are All Masters)”(西) 監督:Oliver Laxe
 物語:ヨーロッパの映画監督がタンジールの社会センターで子供たちと映画を作ろうとする。しかし、途中から、子供たちとの関係もよくない方向に変わっていき、プロジェクト自体も変化していく……。

 ・カメラドール
 ◎“Año bisiesto(Leap Year)”(メキシコ) 監督:Michael Rowe
 出演:Monica del Carmen、Gustavo Sánchez Parra
 物語:ラウラは、過去にあったオアハカでの出来事がトラウマになって、いまも孤独な生活を続けている。しかし、アルトゥーロと出会って、彼女の引きこもりの生活にもピリオドが打たれる……。
 Michael Roweの監督デビュー作。本作は、ある種の暴力性を特徴とするメキシコ・ニューウェーブに新たな1ページを付け加える1作、というような紹介のされ方もしています。



 ◆批評家週間

 ・グランプリ(Grand Prize)
 ◎“Armadillo”(デンマーク) 監督:Janus Metz
 物語:ダニエルとマッツは、アフガニスタンのアルマジロ駐屯地にいる。ここは、最前線ヘルマンドに兵士を送り込むための基地で、彼らはタリバンと戦い、アフガニスタンを助けるためにここにいるが、彼らとアフガニスタン住民とのギャップは広がるばかりで、彼らはパラノイアに陥っていく。


 ・SACD Prize
 ◎“Bi, Don’t Be Afraid”(ベトナム・仏・独) 監督:Phang Dang Di
 物語:ビーは、6歳の少年で、ハノイに両親と叔母と一家の料理人とともに暮らしていた。彼には、祖父がいたが、重い病気にかかり、一緒にくらすことになる。その頃から、父は家を省みなくなり、酒を飲んでは、女マッサージ師の家に出入りするようになり、母はそれを知りつつ、見て見ぬフリをしていた。一方、叔母は、バスの中で、16歳の少年と出会い、彼のことが好きになってしまう。


 ・ACID/CCAS Support Award
 ◎“Bi, Don’t Be Afraid”(ベトナム・仏・独) 監督:Phang Dang Di

 ・OFAJ (Very) Young Critics’ Award
 ◎“Sound of Noise”(スウェーデン・仏) 監督:Ola Simonsson & Johannes Stjärne Nilsson
 物語:アマデウス・ワーネブリングは、音楽一家の生まれだが、彼自身は、音楽が大嫌いで、音楽とは無縁の刑事という仕事に就いていた。ところが、あるグループが、街全体を楽器に見立てた“音楽テロ”を行なうことがわかり、否応なく、彼も音楽の世界に深入りすることになる。


 ・Canal+短編グランプリ(Canal+ Grand Prize for Best Short Film)
 ◎“Berik”(デンマーク) 監督:Daniel Joseph Borgman

 ・コダック最優秀短編賞(Kodak Discovery Prize for Best Short Film)
 ◎“Deeper than Yesterday”(オーストラリア) 監督:Ariel Kleiman

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 ◆その他の賞

 ・パルム・ドッグ
 ◎Boss(ボクサー犬) “Tamara Drewe”(英) 監督:スティーヴン・フリアーズ/アウト・オブ・コンペティション

 ・パルム・ドッグ 審査員特別賞
 ◎Vuk(山羊飼いの犬) “Le Quattro Volte”(伊) 監督:Michelangelo Frammartino/監督週間上映作品


 ・クイア・パルム(Queer Palm)[新設]
 ◎“Kaboom”(米) 監督:グレッグ・アラキ/ミッドナイトスクリーニング部門上映作品
 出演:Juno Temple、Thomas Dekker、ケリー・リンチ、James Duval
 物語:セクシー・コメディー・スリラー。スミスは、大学の新入生で、幻覚剤の入ったクッキーを食べた後、恐ろしい殺人を目撃する。彼は、真相を探ろうとして、深い陰謀に巻き込まれてしまう。


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 さて、受賞結果はともかく、このカンヌ国際映画祭での上映を終えた段階で、はっきりと言えることの1つは、これらの作品の上映を通して2010年度の米国映画賞レースの主力作品のいくつかがくっきりと見えてきたことで、以下のような名前が、各部門の候補に挙がることになりました。

 [作品賞]
 ・“Another Year” 監督:マイク・リー
 ・“Biutiful” 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 ・“Blue Valentine” 監督:Derek Cianfrance

 [監督賞]
 ・マイク・リー “Another Year”
 ・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ “Biutiful”
 ・Derek Cianfrance “Blue Valentine”

 [主演男優賞]
 ・ハビエル・バルデム “Biutiful”
 ・ライアン・ゴズリング “Blue Valentine”

 [主演女優賞]
 ・レスリー・マンヴィル “Another Year”
 ・ミシェル・ウィリアムズ “Blue Valentine”

 [助演男優賞]
 ・ジム・ブロードベント “Another Year”

 [助演女優賞]
 ・Ruth Sheen “Another Year”

 [脚本賞]
 ・マイク・リー “Another Year”
 ・Derek Cianfrance、Joey Curtis、Cami Delavigne “Blue Valentine”

 [長編ドキュメンタリー賞]
 ・“Inside Job”(米) 監督:Charles Ferguson

 これに、各映画会社が明らかに映画賞狙いで年末に劇場公開する映画が加わって、賞レースの駒が出揃うわけですが(参照:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_25.html)、現時点での予想がどのくらい当たるかと言うと、昨年のこの時点での予想を検証してみると、ノミネートではほぼ当たり、受賞でも当たらずといえども遠からずといった結果を出しているということがわかります。

 *2009年5月時点での映画賞レース予想:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_19.html

 カンヌ(やベネチア)で無視された映画が(当てつけのように)米国アカデミー賞の本命になったりということも往々にしてあるので、上記の作品が今後どのような動きを見せるか、要注目です。

 米国映画賞レースを対象としたもの以外では、“Tournée”と“Des Hommes Et Des Dieux”と“Pieds nus sur les limaces”がフランスの映画賞に、“Le Quattro Volte”がイタリアの映画賞に、それぞれ顔を出してきそうです。ユン・ジョンヒ(“Poetry”)の韓国映画賞女優賞も当確です。

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 *当ブログ記事
 ・カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_15.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門以外のラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_16.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 批評家週間ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_19.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 監督週間ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_22.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 追加上映作品ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_25.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 パルムドール 予想オッズ発表(映画祭開幕時):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_16.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 パルムドール 最終予想オッズ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_21.html
 ・カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門 星取表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_22.html

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内 容 ニックネーム/日時
"Le Quattro Volte" に出てくる犬が良かったと聞いて、たまたまパルム・ドッグ(今年で10年目!)について調べていたので、気付いたのですが……

今年のパルム・ドッグは、コンペ外の "Tamara Drewe"(英/監督:Stephen Frears)に出ていたボクサーのBossが受賞。"Le Quattro Volte" に出ていたVukは審査員特別賞のようです。

http://www.palmdog.com/
http://www.lexpress.fr/culture/cinema/un-boxer-gagne-la-palm-dog-2010_894166.html
さひぐー
2010/05/26 15:58
さひぐーさま
納得いかないなあ。Vukがパルム・ドッグであると報じていたサイトは、indieWireをはじめ、1つや2つじゃなかったですから。
でも、公式サイトで発表されていたというんじゃ、仕方ありません。降参です。どこかが間違った情報を流し、それがそのまま流布してしまったということでしょうか。すみやかに訂正させていただきます。
umikarahajimaru
2010/05/26 21:20

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