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ダブリン映画批評家協会賞(The Dublin Film Critics Circle)が発表になりました。(12月22日発表) ダブリン映画批評家協会賞には、総合部門(非アイルランド映画)とアイルランド映画部門があり、今年はそれぞれの部門で過去10年間のベスト作品選びも行なわれています。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ◆2009年アイルランド映画ベスト3(Best Irish Film, 2009) 1.“Waveriders” 監督:Joel Conroy 2.“The Yellow Bittern: The Life and Times of Liam Clancy” 監督:Alan Gilsenan 3.“The Secret of Kells” 監督:Tomm Moore、Nora Twomey “Waveriders”は、近代サーフィンの父ジョージ・フリース(1883-1919)がアイリッシュ系でだったということからスタートして、サーフィンにおけるジョージ・フリースの影響とアイリッシュ系サーファーをドキュメントした作品。第6回アイルランド・アカデミー賞でドキュメンタリー賞を受賞しています。 “The Yellow Bittern: The Life and Times of Liam Clancy”は、クランシー・ブラザーズ唯一の生き残りリアム・クランシーについてのドキュメンタリー。 “The Secret of Kells”は、アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 観客賞、ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2009 スペシャル・メンション、エジンバラ国際映画祭2009観客賞、ヨーロッパ映画賞2009長編アニメーション賞ノミネート、米国アカデミー賞2010&アニー賞2010ノミネーション、の長編アニメーション。 ◆2009年ベスト20(Best Film, 2009) 1.“Let the Right One In” 監督:Tomas Alfredson 2.“The White Ribbon” 監督:ミヒャエル・ハネケ 3.『カールじいさんの空飛ぶ家』“Up” 監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン 4.『ハート・ロッカー』“The Hurt Locker” 監督:キャスリン・ビグロー 5.『レスラー』“The Wrestler” 監督: ダーレン・アロノフスキー 6.『イル・ディーヴォ』“Il Divo” 監督:パオロ・ソレンティーノ 7.“A Serious Man” 監督:ジョエル&イーサン・コーエン 8.『ジャック・メスリーヌ』“Mesrine, Parts 1 & 2” 監督:ジャン=フランソワ・リシェ 9.『スラムドッグ$ミリオネア』“Slumdog Millionaire” 監督:ダニー・ボイル 10.『第9地区』“District 9” 監督:ニール・ブロムカンプ “Moon” 監督:ダンカン・ジョーンズ 11.『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』“Anvil: The Story of Anvil” 監督:サーシャ・ガバシ 12.『パリ20区、僕たちのクラス』“The Class” 監督:ローラン・カンテ 13.『スター・トレック』“Star Trek” 監督:J・J・エイブラムス 14.『イングロリアス・バスターズ』“Inglourious Basterds” 監督:クエンティン・タランティーノ 15.“In the Loop” 監督:Armando Iannucci 16.『(500)日のサマー』“(500) Days of Summer” 監督:マーク・ウェブ 17.『脳内ニューヨーク』“Synecdoche, New York” 監督:チャーリー・カウフマン 18.『かいじゅうたちのいるところ』“Where the Wild Things Are” 監督:スパイク・ジョーンズ 19.『フロスト×ニクソン』“Frost/Nixon” 監督:ロン・ハワード 『ミルク』“Milk” 監督:ガス・ヴァン・サント 20.“Katalin Varga” 監督:ピーター・ストリックランド “Antichrist” 監督:ラース・フォン・トリアー “Let the Right One In”が1位なのか?ということはありますが、全体的に、インディーズ映画を中心に、アメリカ映画とヨーロッパ映画がバランスよく配されて、なかなかユニークなベスト20(正確にはベスト23)になっています。いろんな映画の枠組みをとっぱらって、一個の映画として向き合って鑑賞/評価し、その結果として出来上がったのが、このベストということでしょうか。 同様の感覚は、以下のベストにも感じられて、この人たちの選ぶベストなら(未見・未公開の作品を含めて)信じてもいいかな、という気にさせられます。 ◆最優秀監督2009(Best Director, 2009) 1.キャスリン・ビグロー 『ハート・ロッカー』“The Hurt Locker” 2.ミヒャエル・ハネケ “The White Ribbon” 3.パオロ・ソレンティーノ 『イル・ディーヴォ』“Il Divo” 4.ジャン=フランソワ・リシェ 『ジャック・メスリーヌ』“Mesrine, Parts 1 & 2” 5.ニール・ブロムカンプ 『第9地区』“District 9” ◆最優秀男優2009(Best Actor, 2009) 1.ミッキー・ローク 『レスラー』“The Wrestler” 3.トム・ハーディー “Bronson” 4.ヴァンサン・カッセル 『ジャック・メスリーヌ』“Mesrine, Parts 1 & 2” 5.トニ・セルヴィッロ 『イル・ディーヴォ』“Il Divo” ◆最優秀女優2009(Best Actress, 2009) 1.ヨランド・モロー 『セラフィーヌ』“Séraphine” 2.Lina Leanderson “Let the Right One In” 3.ケアリー・マリガン “An Education” 4.Isabelle Fuhrman “Orphan” 5.メリル・ストリープ 『ダウト〜あるカトリック学校で〜』“Doubt” ◆最優秀ドキュメンタリー2009(Best Documentary, 2009) 1.『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』“Anvil: The Story of Anvil” 監督:サーシャ・ガバシ 2.『ザ・コーヴ』“The Cove” 監督:ルイ・シホヨス 3.『世界の果ての出会い』“Encounters at the End of the World” 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 4.“The Yellow Bittern: The Life and Times of Liam Clancy” 監督:Alan Gilsenan 5.“Soul Power” 監督:ジェフリー・レヴィ・ヒント ◆ブレイクスルー賞(Breakthrough Award, 2009) ◎ニール・ブロムカンプ 『第9地区』 ◆貢献賞2009(Outstanding Achievement, 2009) ◎ダンカン・ジョーンズ “Moon” ◆10年間のアイルランド映画ベスト10(Best Irish Films of the Decade) 1.『ハンガー』“Hunger” 監督:スティーヴ・マックイーン 『アダムとポール』“Adam & Paul”(2004) 監督:レナド・エイブラハムソン 2.『ジョジーの修理工場』“Garage” 監督:レナド・エイブラハムソン 3.『ONCE ダブリンの街角で』“Once” 監督:ジョン・カーニー 4.『ブラディ・サンデー』“Bloody Sunday”(2002) 監督:ポール・グリーングラス 5.『ダブリン上等!』“Intermission” 監督:ジョン・クローリー 6.『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』“In America” 監督:ジム・シェリダン 7.“How Harry Became a Tree”(2001) 監督:ゴラン・パスカリェーヴィチ 8.『オマー』“Omagh”(2004) 監督:ピート・トラヴィス 9.“Kisses”(2008) 監督:Lance Daly 10.『エイリアン・パンデミック』“Isolation”(2005) 監督:ビリー・オブライエン アイルランドの映画監督といえば、以前だと、ニール・ジョーダンやパット・オコーナー、ジム・シェリダン、もっと遡るとジョン・フォードがいて、アイルランド人ではないアラン・パーカーが監督した『アンジェラの灰』や『スナッパー』、ジョン・セイルズの『フィオナの海』、マイケル・ウィンターボトムの『いつまでも二人で』などの作品が思い浮かんだりもしますが、この10年ではまた新たな才能が続々と登場して、意欲的な作品が発表されていることが、このベスト10からも覗うことができます。 アイルランド映画には、いわゆる「IRAもの」が多く、その中に傑作が多いことも確かですが、決してそれだけではないということもわかります。まあ、当然といえば当然ですが……。 2009年のアイルランド映画ベスト3がドキュメンタリーとアニメーションだったというのも、劇映画に他に見るべきものがなかったというより、アイルランド映画に新たな才能が登場し、アイルランド映画に新たな展開が得られた、と見た方がいいのかもしれません。 『ジョジーの修理工場』は、カンヌ国際映画祭2007監督週間に出品されて、Winner of the Prix Art et Essaiを受賞した作品(その後、さまざまな賞にノミネート&受賞)で、日本では大阪ヨーロッパ映画祭2008、EUフィルムデイズ2009で上映。 『アダムとポール』は同じレナド・エイブラハムソン監督の前作で、日本ではシネフィルイマジカで放映。 『ブラディ・サンデー』は、『ボーン・スプレマシー』『ユナイテッド93』『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーングラス監督の前作で、ベルリン国際映画祭2002金熊賞受賞作。日本ではDVDのみのリリース。 『オマー』は、ポール・グリーングラスが『ユナイテッド93』の次に脚本を手がけた作品で、サンセバスチャン国際映画祭2004脚本賞、アイルランド・アカデミー賞2004作品賞・主演男優賞受賞。日本ではN.アイルランドフィルムフェスティバル2008で上映。監督のピート・トラヴィスは、その後、日本でも『バンテージ・ポイント』が紹介されています。 個人的には、2008年度のベスト3の1本で、N.アイルランドフィルムフェスティバル2008では2回も観てしまいました! で、『バンテージ・ポイント』にも期待したのですが、『オマー』の素晴らしさは、ポール・グリーングラスの脚本の力によるものだったんだなあと改めて納得……。 “Kisses”は、アイルランド・アカデミー賞2009 監督賞、マイアミ国際映画祭200 9 観客賞受賞作品。 『エイリアン・パンデミック』は、日本ではDVDのみのリリース。 ◆10年間のベスト20(Best Films of the Decade) 1.『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』“There Will Be Blood” 監督:ポール・トーマス・アンダーソン 2.『ヒトラー〜最期の12日間〜』“Downfall” 監督:オリバー・ヒルシュビーゲル 3.『ブロークバック・マウンテン』“Brokeback Mountain” 監督:アン・リー 4.『潜水服は蝶の夢を見る』“The Diving Bell and the Butterfly” 監督:ジュリアン・シュナーベル 5.“The White Ribbon” 監督:ミヒャエル・ハネケ 6.『隠された記憶』“Hidden” 監督:ミヒャエル・ハネケ 7.『ユナイテッド93』“United 93” 監督:ポール・グリーングラス 8.『シティ・オブ・ゴッド』“City Of God” 監督:フェルナンド・メイレレス 9.『リトル・ミス・サンシャイン』“Little Miss Sunshine” 監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス 『花様年華』“In the Mood For Love” 監督:ウォン・カーウァイ 10.『千と千尋の神隠し』“Spirited Away” 監督:宮崎駿 “Let the Right One In” 監督:Tomas Alfredson 11.『エデンより彼方に』“Far From Heaven” 監督:トッド・ヘインズ 12.『パンズ・ラビリンス』“Pan's Labyrinth” 監督:ギレルモ・デル・トロ 13.『サイドウェイ』“Sideways” 監督:アレクサンダー・ペイン 『ロスト・イン・トランスレーション』“Lost In Translation” 監督:ソフィア・コッポラ 14.『善き人のためのソナタ』“The Lives of Others” 監督:フロリアン・ヘッケル・フォン・ドナースマルク 15.『アダプテーション』“Adaptation” 監督:スパイク・ジョーンズ 16.『ウォーリー』“Wall-E” 監督:アンドリュー・スタントン 『エターナル・サンシャイン』“Eternal Sunshine of the Spotless Mind” 監督: 『マルホランド・ドライブ』“Mulholland Drive” 監督:デイヴィッド・リンチ 17.『輝ける青春』“The Best of Youth” 監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーノ 18.『ダークナイト』“The Dark Knight” 監督:クリストファー・ノーラン 19.『ゾディアック』“Zodiac” 監督:デイヴィッド・フィンチャー 『ビフォア・サンセット』“Before Sunset” 監督:リチャード・リンクレイター 『硫黄島からの手紙』“Letters From Iwo Jima” 監督:クリント・イーストウッド 『戦場でワルツを』“Waltz with Bashir” 監督:アリ・フォルマン 『アレックス』“Irreversible” 監督:ギャスパー・ノエ 20.『エヴァとステファンと素敵な家族』“Together” 監督:ルーカス・ムーディソン 『インファナル・アフェア』“Infernal Affairs” 監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック 公式サイト、および、この結果を報じたニュース・サイトでもタイトルだけしか挙げられていないので、作品の特定は私の判断によるものですが、実は、英題が“Together”である作品はいくつかあります。チェン・カイコーの『北京バイオリン』も英題が“Together”で、ひょっとするとこのベストに入れられているのはこっちかもと思わないでもありませんが、他の作品の並びと考えあわせて、上ではルーカス・ムーディソン作品を挙げてあります。 2009年のベスト10からは、1位の“Let the Right One In”と2位の“The White Ribbon”がランクインしています。(ここでは順番が逆になっていますが) ミヒャエル・ハネケ作品が、ベスト6に2本もランクインしていることも注目されます。 やはりここでもこの1位はちょっとどうなのかと思ったり、イーストウッドのベストは『硫黄島からの手紙』じゃないだろ?と思ったりもしますが、全体的には決して悪くない、というか、かなり興味深いベスト20になっています。 この10年間に活躍した世界の監督がまんべんなく選ばれているし(過去10年間の監督ベスト30と見ることもできる!)、ヨーロッパ各国からのセレクションもなかなかのセンスが感じられます。 こういうランキングをすると必ず入ってくる『隠された記憶』『善き人のためのソナタ』『千と千尋の神隠し』はやっぱり強いですね。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ ↓ ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ クリックしてね! *当ブログ記事 ・ロンドン映画批評家協会が選ぶ30年間のベスト10:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_38.html ・トロント国際映画祭シネマテークが発表した「10年間で最も重要な映画 ベスト54」:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_41.html ・「ロンドン・タイムズ」が選ぶ過去10年のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_14.html ・「デイリー・テレグラム」が選ぶ過去10年のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_19.html ・“Paste Magazine”が選ぶ過去10年のベスト・ドキュメンタリー25:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_22.html ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月〜2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html |
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