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zoom RSS リュミエール賞2010ノミネーション、または、映画『スカートの日』

<<   作成日時 : 2009/12/20 09:24   >>

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 第15回フランス・リュミエール賞のノミネーションが発表になりました。(12月18日)

 リュミエール賞は、元々、在米外国人記者が選ぶゴールデン・グローブ賞にならって1995年に設立された映画賞で、発案者は、アメリカ人ジャーナリストのエドワード・ベア(Edward Behr(『ラスト・エンペラー』や『裕仁天皇−神話に包まれて』の著者でもある))とフランスのダニエル・トスカン・デュ・プランティエで、在フランス外国人記者のフランス映画への関心の喚起(と、それによりそれぞれの記者の母国に新しいフランス映画の情報と魅力が伝えられること)を目的としたもの、です。

 したがって、リュミエール賞は、フランス映画アカデミー会員が選ぶセザール賞とは、審査員も賞としての性格も異なったものですが、一般的には「セザール賞の前哨戦」ととらえられています。

 過去の受賞作を振り返ってみると、2008年度の作品賞はローラン・カンテの『パリ20区、僕たちのクラス』、2007年度の作品賞は『潜水服は蝶の夢を見る』、2006年度はギヨーム・カネの“Tell No One”、2005年度は『真夜中のピアニスト』、2004年度は『コーラス』、2003年度は『ベルヴィル・ランデブー』、2002年度はコスタ・ガブラスの『アーメン』、が選ばれています。

 ルイ・デリュック賞やセザール賞がその時々のフランス映画の新しい流れを如実に反映させているのに比べると、リュミエール賞は、選ばれている作品もバラバラで、シネフィルなセレクションという感じでもありませんが、概して国際映画祭で注目を浴びた作品や比較的わかりやすい作品が主に選ばれているようです。(以上、当ブログの昨年の記事より加筆・修正)


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 ◆作品賞(Meilleur film)
 ・“In the Beginning/A l'origine” 監督:グザヴィエ・ジャノリ
 ・『ココ・アヴァン・シャネル』“Coco Before Chanel/Coco avant Chanel” 監督:アンヌ・フォンテーヌ
 ・“In the Electric Mist/Dans la brume électrique” 監督:ベルトラン・タヴェルニエ
 ・“A Prophet/Un prophète” 監督:ジャック・オーディアール
 ・『ウェルカム』“Welcome” 監督:フィリップ・リオレ

 “In the Beginning/A l'origine”は、カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品作。
 “In the Electric Mist/Dans la brume électrique”は、ベルリン国際映画祭2009コンペティション部門出品作。
 “A Prophet/Un prophète”は、カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品作。グランプリ受賞。
 『ウェルカム』は、ベルリン国際映画祭2009 パノラマ部門出品。観客賞2位、エキュメニカル賞、Label Europa Cinemas受賞。日本では第4回UNHCR難民映画祭-東京で上映。

 ◆監督賞(Meilleur réalisateur)
 ・ジャック・オーディアール “A Prophet/Un prophète”
 ・アンヌ・フォンテーヌ 『ココ・アヴァン・シャネル』“Coco Before Chanel/Coco avant Chanel”
 ・グザヴィエ・ジャノリ “In the Beginning/A l'origine”
 ・フィリップ・リオレ 『ウェルカム』“Welcome”
 ・ベルトラン・タヴェルニエ “In the Electric Mist/Dans la brume électrique”

 ◆脚本賞(Meilleur scénario)
 ・ジャック・オーディアール、アブデル・ラウフ・ダブリ(Abdel Raouf Dafri)、トーマス・ビドゲイン(Thomas Bidegain)、ニコラ・プフェイイ(Nicolas Peufaillit) “A Prophet/Un prophète”
 ・フィリップ・リオレ、エマニュエル・クールコル(Emmanuel Courcol)、オリヴィエ・アダム(Olivier Adam) 『ウェルカム』“Welcome”
 ・ラデュ・ミヘイレアニュ(Radu Mihaileanu)、アラン=ミシェル・ブラン(Alain-Michel Blanc)、マシュー・ロビンス(Matthew Robbins)、Hector Cabello Reyes、Thierry Degrandi “The Concert/Le Concert”(監督:ラデュ・ミヘイレアニュ)
 ・Mathias Gokalp、Nadine Lamari “The Ordinary People/Rien de personnel”(監督:Mathias Gokalp)
 ・ミア・ハンセン=ラヴ “The Father of My Children/Le Père de mes enfants”(監督:ミア・ハンセン=ラヴ)

 アブデル・ラウフ・ダフリは『ジャック・メスリーヌ』の脚本家。
 トーマス・ビドゲインは『REM(レム)』のプロデューサー。
 ニコラ・プフェイイは『インストーラー』(2007/ジュリアン・ルクレール)の脚本家。
 エマニュエル・クールコルは『灯台守の恋』の脚本家。
 オリヴィエ・アダムは『マイ・ファミリー 遠い絆』(2006/フィリップ・リオレ)の脚本家。
 ラデュ・ミヘイレアニュは『約束の旅路』の監督。
 アラン=ミシェル・ブランは『約束の旅路』の脚本家。
 マシュー・ロビンスは『ビンゴ!』(1991)『ニューヨーク東8番街の奇跡』(1987)『コルベット・サマー』(1978)の監督で、『ミミック』(1997)『バイオ・インフェルノ』(1986)『マッカーサー』(1977)『続・激突!カージャック』(1973)の脚本家。
 “The Ordinary People/Rien de personnel”は、ルイ・デリュック賞2009新人監督賞ノミネーション作品。
 “The Father of My Children/Le Père de mes enfants”は、カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門審査員特別賞受賞。

 ◆男優賞(Meilleur acteur)
 ・イヴァン・アタル “Rapt”(監督:ルーカス・デルヴォー(Lucas Belvaux))
 ・フランソワ・クリュゼ “In the Beginning/A l'origine”
 ・ロマン・デュリス “Persecution/Persécution”(監督:パトリス・シェロー)
 ・ヴァンサン・ランドン 『ウェルカム』“Welcome”
 ・Tahar Rahim “A Prophet/Un prophète”

 ルーカス・デルヴォーは『男と女と男』の監督で、『戦場のアリア』(2005)『ボヴァリー夫人』(1991)『嵐が丘』(1985)には俳優として出演している。
 “Persecution/Persécution”は、ベネチア国際映画祭2009 コンペティション出品作。
 Tahar Rahimは『屋敷女』にも出演している俳優。

 ◆女優賞(Meilleure actrice)
 ・イザベル・アジャーニ “Skirt Day/La Journée de la jupe”(監督:Jean-Paul Lilienfeld)
 ・ドミニク・ブラン “The Other One/L'Autre”(監督:Patrick-Mario Bernard 、ピエール・トリヴィディク)
 ・ヴァリア・ブルーニ・テデスキ “Regrets/Les Regrets”(監督:セドリック・カーン)
 ・サンドリーヌ・キベルラン “Mademoiselle Chambon”(監督:ステファヌ・ブリゼ(Stéphane Brizé))
 ・オドレイ・トトゥ 『ココ・アヴァン・シャネル』“Coco Before Chanel/Coco avant Chanel”

 “Skirt Day/La Journée de la jupe”はベルリン国際映画祭2009 パノラマ部門出品作。バリャドリッド国際映画祭2009 グランプリ受賞。
 “The Other One/ L'Autre”はベネチア国際映画祭2008 コンペティション部門出品作。
 “Regrets/Les Regrets”はローマ国際映画祭2009、ロンドン映画祭2009出品作。
 ステファヌ・ブリゼは『愛されるために、ここにいる』(2005)の監督。“Mademoiselle Chambon”は釜山国際映画祭2009出品作。

 ◆新人男優賞(Best Male Newcomer/Meilleur espoir masculin)
 ・Firat Ayverdi 『ウェルカム』“Welcome”
 ・Maxime Godart  “Little Nicolas/Le Petit Nicolas”(監督:ローラン・ティラール(Laurent Tirard))
 ・Vincent Lacoste “The French Kissers/Les Beaux Gosses”(監督:Riad Sattouf)
 ・Anthony Sonigo “The French Kissers/Les Beaux Gosse”
 ・Samy Seghir “Neuilly, Yo Mama!/Neuilly sa mere!”(監督:ガブリエル・ジュリアン=ラファリエール(Gabriel Julien-Laferrière))

 ローラン・ティラールは、フランス映画祭2007で上映された『モリエール』(2006)の監督。
 “Little Nicolas/Le Petit Nicolas”はローマ国際映画祭2009、ドバイ国際映画祭2009上映作品。
 “The French Kissers/Les Beaux Gosses”はBD作家として知られるRiad Sattoufの初監督作品。カンヌ国際映画祭2009 監督週間出品。ルイ・デリュック賞2009新人監督賞ノミネート。
 ガブリエル・ジュリアン=ラファリエールは『ストーン・カウンシル』の第一助監督を務めた監督。

 ◆新人女優賞(Best Female Newcomer)
 ・Mati Diop “35 Shots of Rum/35 Rhums”(監督:クレール・ドゥニ)
 ・Pauline Etienne “Silent Voices/Qu'un seul tienne et les autres suivront”(監督:Léa Fehner)
 ・Garance Le Guillermic “The Hedgehog/Le Hérisson”(監督:Mona Achache)
 ・Julie Sokolowski “Hadewijch”(監督:ブリュノ・デュモン)
 ・Christa Theret  “LOL(Laughing Out Loud)”(監督:Lisa Azuelos)

 “35 Shots of Rum/35 Rhums”はベネチア国際映画祭2008 アウト・オブ・コンペティション部門出品作。
 “Silent Voices/Qu'un seul tienne et les autres suivront”は、ルイ・デリュック賞2009 新人監督賞ノミネート。
 “The Hedgehog/Le Hérisson”はバリャドリッド国際映画祭2009ヤング審査員賞受賞、カイロ国際映画祭2009 監督賞、国際批評家連盟賞、銀賞(Silver Pyramid)、特別賞受賞。
 “Hadewijch”はトロント国際映画祭2009、サンセバスチャン国際映画祭2009上映作品。
 “LOL(Laughing Out Loud)”はローマ国際映画祭2008上映作品。

 ◆フランス語外国映画賞(Best French-Language Film (from outside France)/ Meilleur film étranger francophone)
 ・“That Day/1 journée”(スイス・仏) 監督:Jacob Berger
 ・“Birds of Heaven/Après l'océan”(仏・英・コートジボアール) 監督:Eliane de Latour
 ・“Private Lessons/Elève libre”(ベルギー・仏) 監督:Joachim Lafosse
 ・“I Killed My Mother/J'ai tué ma mère”(ケベック) 監督:Xavier Dolan
 ・“Hand of the Headless Man/Où est la main de l'homme sans tête”(ベルギー・オランダ・仏) 監督:Stéphane & Guillaume Malandrin
 ・“The Bloodiest/Les Saignantes”(カメルーン・仏) 監督:Jean-Pierre Bekolo

 “That Day/1 journée”(2007)は、“Aime ton père”(2002年/出演:ジェラール・ドパルデュー、ギヨーム・ドパルデュー、シルヴィー・テステュー、ロカルノ国際映画祭コンペティション部門出品作)のJacob Berger監督の5年ぶりの新作。モントリオール世界映画祭2007 監督賞受賞。
 “Birds of Heaven/Après l'océan”(2006)は、ベルリン国際映画祭2006出品作。
 “Private Lessons/Elève libre”(2008)は、カンヌ国際映画祭2008監督週間出品作。
 “I Killed My Mother/J'ai tué ma mère”(2009)は、カンヌ国際映画祭2009 監督週間 アートシネマ賞、若者の視点賞、SACD賞受賞。
 “Hand of the Headless Man/Où est la main de l'homme sans tête”は、短編“Raconte”(2000)で高い評価を受けた監督の第2長編で、セシル・ド・フランス、ウルリヒ・トゥクール出演作。
 “The Bloodiest/Les Saignantes”(2005)は、Torino International Festival of Young Cinema 2005 脚本賞スペシャル・メンション受賞、Ouagadougou Panafrican Film and Television Festival2007 最優秀女優賞&Silver Etalon de Yennega受賞。

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 ノミネーションは、作品賞にノミネートされている5作品以外は、ほとんど1部門のみのノミネートになっています。

 ・『ウェルカム』(5):作品・監督・脚本・男優・新人男優
 ・“A Prophet/Un prophète”(4):作品・監督・脚本・男優
 ・“In the Beginning/A l'origine”(3):作品・監督・新人男優
 ・『ココ・アヴァン・シャネル』(3):作品・監督・女優
 ・“In the Electric Mist/Dans la brume électrique”(2):作品・監督

 現在、毎日にように受賞結果が発表されている2009年度映画賞レースで、外国(語)映画賞部門に顔を出しているのは、“A Prophet/Un prophète”と『ウェルカム』、『夏時間の庭』、そして『ココ・アヴァン・シャネル』ですが、『夏時間の庭』はフランス国内での評価はさほど高くないらしく、ルイ・デリュック賞2008でこそ作品賞にノミネートされたものの、リュミエール賞でのノミネーションはなく、セザール賞2009でも助演女優賞ノミネートどまりでした。

 ノミネーションでは『ウェルカム』が最多ノミネートですが、日本にいて感じる評価としては“A Prophet/Un prophète”の方が高いので、順当に行けば、“A Prophet/Un prophète”がノミネートされている4部門すべてで受賞を果たすのではないか、というのが私の予想です。

 ノミネート作品は、全部で27作品ありますが、主な作品について、以下にまとめておきます。

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 ・『ウェルカム』“Welcome” 監督:フィリップ・リオレ

 物語:フランス北部の海辺の町。17歳のクルド人の青年が水泳教室に通っている。実は彼にはイギリスに恋人がいて、彼女に会うためにドーバー海峡を泳いで渡ろうとしていたのだ……。
 出演:ヴァンサン・ランドン、Firat Ayverdi
 ベルリン国際映画祭2009 パノラマ部門出品。観客賞2位、エキュメニカル賞、Label Europa Cinemas受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009 ホライズンズ部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2009 出品。観客賞受賞。
 ヨーロッパ映画賞2009 ノミネーション48作品に入選。
 ルイ・デリュック賞2009ノミネート。

 ・“Un Prophète”(預言者) 監督:ジャック・オーディアール

 物語:アラブ系の青年がフランスの刑務所に入れられ、そこを牛耳っているコルシカ系マフィアのボスと出会い、次々に出されるミッションをクリアして、彼の信頼を勝ち得ていく。一方で、秘密の計画も着々と準備を整えていく。
 出演:ニエル・アレストラップ、Alaa Oumouzoune、アデル・ベンチェリフ、Tahar Rahim
 カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 米国アカデミー賞2010外国語映画賞フランス代表。
 ロンドン映画祭2009 グランプリ受賞。
 ヨーロッパ映画賞2009 最多6部門ノミネート(作品賞・男優賞・脚本賞・撮影賞・技術部門)。男優賞候補はTahar Rahim。技術部門の対象はサウンドデザインで、対象者はブリジット・テイランディエ(Brigitte Taillandier)、Francis Wargnier、ジャン=ポール・ユリエ(Jean-Paul Hurier)、マルク・ドワーヌ(Marc Doisne)。
 ルイ・デリュック賞2009受賞。
 ヨーロッパ映画賞2009 最多6部門ノミネート(作品・監督・男優・脚本・撮影・技術)、男優賞受賞。

 ・“A l'origine/In the Biginning”(はじめに) 監督:グサヴィエ・ジャノリ

 物語:現在のフランス。詐欺師フィリップ・ミレルは、反対運動に遭い、建設途中のままほったらかしにされている高速道路を見つける。彼は、建設会社の責任者になりすまし、人も雇ったりして、工事を再開するフリをし、人々の歓心も集めて、しばし、自分のついた嘘に酔う。しかし、彼に会いに女性市長がやってきた時から、彼は自分のついた嘘にがんじがらめになり、抜き差しならない状況に追い込まれる……。
 出演:ジェラール・ドパルデュー、フランソワ・クリュゼ、エマニュエル・ドゥヴォス、ステファニー・ソコリンスキー カンヌ国際映画祭2009 コンペティション部門出品。
 ルイ・デリュック賞2009ノミネート。

 ・“In the Electric Mist/Dans la brume électrique” 監督:ベルトラン・タヴェルニエ

 物語:ジェームズ・リー・バーグ『エレクトリック・ミスト』(連続レイプ殺人犯を追う刑事ロビショーが捜査の過程で、彼は、学生時代に目にした殺人現場のことを思い出す。南北戦争の南軍の将軍が亡霊となって彼の前に現れ、「戦争に終わりなどない」と語りかける。神秘的な要素も盛り込んだ、刑事ロビショー・シリーズの第5作)の映画化。
 出演:トミー・リー・ジョーンズ、ジョン・グッドマン、ピーター・サースガルド、ケリー・マクドナルド、メアリー・スティーンバーゲン
 ベルリン国際映画祭2009 コンペティション部門出品。


 ・“Rien de personnel/The Ordinary People”(普通の人々) 監督:Mathias Gokalp

 物語:製薬会社の極秘の新製品のためのパーティーが開かれて、重役陣やマネージャー、従業員たちが集められる。パーティーが盛り上がってきたところで、ロール・プレイング・ゲームが行なわれるが、招待客たちは、何かがおかしいと気づき始め、これが会社の身売りのためのシミュレーションだと察し、パニックが広がっていく……。
 出演:ジャン=ピエール・ダルッサン、ドゥニ・ポダリデス、パスカル・グレゴリー、Mélanie Doutey、Zabou Breitman、Bouli Lanners
 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間オープニング作品。
 ルイ・デリュック賞2009 新人監督賞ノミネート。


 ・“The Father of My Children/Le Père de mes enfants” 監督:ミア・ハンセン=ラヴ

 物語:グレゴワールは、すべてを手に入れていた。愛する妻がいて、3人の子どもたちがいて、仕事も成功していた。彼の仕事は、映画製作で、週末以外はすべての時間を仕事に捧げていた。多くの企画が進行中で、多くのリスクがあったが、その責任をすべて彼が負っていた。そんな彼の仕事に暗雲がたれ込め始める……。
 出演:ルイ=ドー・ド・ランクザン、キアラ・カゼッリ、ドミニク・フロ
 カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門 審査員特別賞受賞。


 ・“Persecution/Persécution”(迫害) 監督:パトリス・シェロー

 物語:ダニエルは35歳。仕事で忙しいが、孤独で、恋人のソニアともあまりうまくいっていない。ある日、見知らぬ男性が彼のアパートに現れ、彼の生活に入り込んでくる。それは1回限りのものではなく、だんだんひどくなってくる。ソニアからも別れを切り出される。しかし、依然として“彼”が何者で、目的が何なのか、ダニエルにはさっぱりわからない……。
 出演:ロマン・デュリス、シャルロット・ゲンズブール、ジャン=ユーグ・アングラード、アレックス・デカス、ヒアム・アッバス
 ベネチア国際映画祭2009 コンペティション部門出品。


 ・“Skirt Day/La Journée de la jupe” 監督:Jean-Paul Lilienfeld

 物語:移民3世の子供たちが通う郊外のリセ。フランス語教師ソニアは、荒れているクラスで教えることに疲れ切っていたが、ある時、生徒の1人が持っていた銃を取り上げ、それによって、自分の意図に反して、クラスを支配できるようになる。しかし、事態はエスカレートし、彼女が生徒を人質にとって、クラスに立てこもる形になり、彼女はジャーナリストを話をすることと、女性がスカートをはいて学校に通える「スカートの日」を設けてほしい、という要求を出す……。
 出演:イザベル・アジャーニ、ドゥニ・ボタリデス、ヤン・コレット、ナタリー・ブザンソン
 ベルリン国際映画祭2009 パノラマ部門出品作。バリャドリッド国際映画祭2009 グランプリ受賞。


 ・“The Other One/L'Autre” 監督:Patrick-Mario Bernard 、ピエール・トリヴィディク
 出演:ドミニク・ブラン、Cyril Gueï、Peter Bonke、Christèle Tual
 物語:アン=マリーは互いの自由を尊重して、アレックスと円満に別れる。別れはしたもののお互いの生活を見守っていた。ところが、アレックスに新しい恋人ができると、アン=マリーは激しい嫉妬に駆られるのだった……。
 ベネチア国際映画祭2008 コンペティション部門出品。女優賞受賞(ドミニク・ブラン)。


 ・“Regrets/Les Regrets” 監督:セドリック・カーン

 物語:母の死の後、マチューは高校時代のガールフレンド、マヤに心の慰めを求めようとする……。
 出演:イヴァン・アタル、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、フランソワ・ネグレ
 ローマ国際映画祭2009、ロンドン映画祭2009出品。


 ・“35 Shots of Rum/35 Rhums”(35杯のラム) 監督:クレール・ドゥニ

 物語:妻に自殺された主人公は、男手ひとつで娘自分の力で生きていくことを教えるが、娘は逆に父のことを心配する……。
 出演:アレックス・デカス、グレゴワール・コラン、Nicole Dogue、Mati Diop
 ベネチア国際映画祭2008 コンペティション部門出品。


 ・“Qu'un seul tienne et les autres suivront/Silent Voice” 監督:Léa Fehner

 物語:刑務所の面会室にやってきた人々の物語が交錯する。
 ルイ・デリュック賞2009 新人監督賞受賞。


 ・“The Hedgehog/Le Hérisson” 監督:Mona Achache

 物語:パリにあるあるアパートの7号室での物語。11歳のパロマにはある計画があり、お留守番役のミシェルは愚鈍そうな外見の下に知性を隠していた。そこに日本人のムッシュ・オズ・カクローが訪ねてくる……。
 ムッシュ・オズ・カクロー役は伊川東吾。
 ミリュエル・バルバリ原作の『優雅なハリネズミ』の映画化。
 出演:ジョジアーヌ・バラスコ、Garance Le Guillermic、伊川東吾、アンヌ・ブロシェ
 バリャドリッド国際映画祭2009ヤング審査員賞受賞、カイロ国際映画祭2009 監督賞、国際批評家連盟賞、銀賞(Silver Pyramid)、特別賞受賞。


 ・“Hadewijch” 監督:ブリュノ・デュモン

 物語:Hadewijchは、あまりにも純粋で激しい信仰心のために修道院を追い出されてしまう。元の世界に戻って、外交官の娘セリーヌらと知り合ったりするが、彼女の神への激しい情熱は彼女を誤った方向へと向かわせることになる……。
 出演:Julie Sokolowski、Yassine Salihine、David Dewaele、Karl Sarafidis
 トロント国際映画祭2009出品(ワールド・プレミア)。
 サンセバスチャン国際映画祭2009 オフィシャル・セレクション出品。
 ルイ・デリュック賞2009ノミネート。


 ・“Les Beaux Gosses (The French Kisses)”(美しい子どもたち) 監督:Riad Sattouf

 物語:エルヴェは、母親と2人暮らしの14歳。この頃、頭の中を占めるのは、女の子のことばかり。しかし、実際に女の子とつきあったことはなく、アタックしても失敗してばかり。ところが、クラスで一番かわいい女の子、オーロールがエルヴェのことが好きらしいと知る……。
 出演:エマニュエル・ドゥヴォス、ノエミ・ルヴォフスキー、イレーヌ・ジャコブ、ヴァレリア・ゴリーノ
 BD作家として知られるRiad Sattoufの初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間出品。
 釜山国際映画祭2009 ワールド・シネマ部門出品。
 ルイ・デリュック賞2009 新人監督賞ノミネート。


 ・“I Killed My Mother/J'ai tué ma mère” 監督:Xavier Dolan

 物語:16歳のユベールは、クールで、静かな少年だが、母親のことが大嫌いで、いつもケンカばかりしていた。彼は、母のプラスチックの家具を選ぶセンスも気に入らなかったし、日焼けサロンに通うようなライフスタイルも嫌いだった。ある日、ユベールは、学校で、母親について作文を書けと言われ、何も書くことを思いつけず、作文の中で母親が死んでいることにしてしまう。母子の諍いはエスカレートし、母は彼を寄宿学校に送ることに決める。ユベールは抵抗するが、母とは離婚していたユベールの実父も生活環境が変わるのもいいだろうと賛成する。しかし、母子の諍いはほぐれず、むしろ膠着状態に陥る……。
 若きXavier Dolanの自伝的作品で、監督自身が監督・脚本・主演の3役を務める。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間上映作品。アートシネマ賞&若者の視点賞(Regards Jeunes Prize&SACD Prize受賞。
 パリ映画祭2009 Les avant-premières部門で上映。
 トロント国際映画祭2009 SPECIAL PRESENTATIONS部門で上映。
 バンコク国際映画祭2009 スペシャル・メンション。
 バンクーバー国際映画祭2009 最優秀カナダ映画。
 サテライト・アワード2009 外国語映画賞ノミネート。
 アカデミー賞2010外国語映画賞カナダ代表。


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 コメディーや思春期の性や恋愛を描いたような軽めの作品もありますが、今回ノミネートされている作品には、移民や移民をめぐる社会問題をモチーフやテーマにした作品がたくさんありました。
 現在の社会が抱えている事柄をヴィヴィッドに映し出すのが映画だとすれば、これが、今、フランスが直面している大きな問題の1つ、ということなのでしょう。

 今回、調べていて、特に衝撃を受けたのはイザベル・アジャーニが女優賞にノミネートされている“Skirt Day/La Journée de la jupe”(スカートの日)で、タイトルだけなら、『スカートの翼ひろげて』を連想させたりもして、思春期の女性の恋と生き方を描いたロマンチックな作品なのかなと思ったりもしましたが、調べてみたら、全く思ってもみない内容の作品でした。

 この1年、いろいろフランス映画のことを調べていても、この映画のタイトルを目にしたのは、わずかに数回しかないので、テーマやモチーフはともかくも、映画としての完成度はそんなに高くないのかなと思ったりもしますが、なかなかどうして、個人ではどうしようもない、社会的な背景を持つ問題を扱った重い作品でした。

 IMDbにもプロットの紹介がないので、どなたかが書かれた記事を参考にするしかありませんが、下記、竹下節子さんのブログが、背景も含めて、詳しく書かれていて、とても参考になります。
 L’art de croire:http://spinou.exblog.jp/11153853/

 イザベル・アジャーニの日本での劇場公開作は、『ボン・ヴォヤージュ』(2003)と『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』(2003)にちらっと顔を見せているくらいで、それ以降、この6年間、1本もありません。実際、それ以降、彼女は、ダニエル・デイ=ルイスとの間にできた子供を育てることに専念していたらしく、この“Skirt Day/La Journée de la jupe”が久々の出演映画であり、再起第1作にふさわしい作品として彼女自身が選んだ作品でもあります。

 イザベル・アジャーニが、移民としての自身の出自をも問われる可能性がありながら(実際にそうなった)、自分がこの作品に出ることで、こうした問題/現実が社会の注目を喚起するとわかった上で出演しているわけで、そういう意味での、彼女の意気込みも感じられます。

 にもかかわらず、この作品が「フランス映画」としてさほど話題になってこなかった(ように見える)のは、「テレビ映画」という扱いだからなのかもしれませんが、映画として上映している国もあるようなので、日本でも何かの形で上映されることを期待したいと思います。

 ちなみに、監督のJean-Paul Lilienfeldは、俳優出身の監督で、これまでは主にテレビ・ドラマの演出を手がけてきた人物、であるようです。

 第15回リュミエール賞発表は、2010年1月15日です。

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 *当ブログ記事
 ・リュミエール賞(2008年度)ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_33.html
 ・リュミエール賞(2008年度)受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_25.html
 ・ルイ・デリュック賞2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_39.html
 ・ルイ・デリュック賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_18.html
 ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月〜2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

 *追記:
 ・リュミエール賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_28.html

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