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トロント国際映画祭のシネマテーク(というのがあるんですね)が、20周年を記念して、過去10年間で最も重要な作品というアンケートを行ない、その結果が発表されました。(11月23日) アンケート対象者は、おそらくシネマテークの活動に際して、つきあいができたであろうと思われるような学芸員やキュレーター、研究者、および、映画の上映活動や保存・修復・研究活動などを行なっている機関や団体などらしく、MoMAやBFI、UCLAフィルム&テレビジョン・アーカイブ、オーストリア映画博物館、ニューヨーク世界映画財団(World Cinema Foundation)、フランス国立映画センター、カナダ映画協会(Canadian Film Institute)、スウェーデン映画協会(Swedish Film Institute)、ベルリン国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、東京フィルメックス、など、そうそうたる名前が並んでいます。 ということは、映画監督というよりは映像作家の作品が選ばれやすいということであり、一般の商業映画館というよりはシネマテークや美術館講堂で上映されるような作品が選ばれる、ということを意味するということですが、結果としては、なかなか新鮮で面白いラインナップになっています。 過去10年を振り返る試みは多いですが(当ブログでもすでに3つも記事にしています)、なかなかこういうタイトルは挙がってきませんから。 実験精神あふれる作品ももちろんありますが、そういう作品ばかりでもありませんし、けっこう広がりのあるセレクションになっています。 2010年1月21日から2月23日まで、選出作品の中から38作品を選んで上映会も催されるようです。実際に日本から現地に飛んで上映会に参加するという人は稀でしょうが、日本でもDVDなりビデオなりを入手することで大半の作品は家庭で観ることができます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− トロント国際映画祭シネマテーク 10年間のベスト作品:オルタナティヴ・ビュー TIFF The Best of the Decade: An Alternative View 1.『世紀の光』“Syndromes and a Century”(タイ) アピチャッポン・ウィーラセタクン - 53票* 2.『プラットホーム』“Platform”(香港・中・日・仏) ジャ・ジャンクー - 49票* 3.『長江哀歌』“Still Life”(中) ジャ・ジャンクー - 48票 4.“Beau travail”『美しき仕事』(仏) クレール・ドゥニ - 46票* 5.『花様年華』“In the Mood for Love”(香港・中) ウォン・カーウァイ - 43票* 6.『トロピカル・マラディ』“Tropical Malady”(仏・タイ・独・伊) アピチャッポン・ウィーラセタクン- 38票* 7.“The Death of Mr. Lazarescu”(ルーマニア) Cristi Puiu - 35票* 『ヴェルクマイスター・ハーモニー』“Werckmeister Harmonies”(ハンガリー) タル・ベーラ - 35票* 8.『愛の世紀』“Éloge de l'amour”(スイス・仏) ジャン=リュック・ゴダール - 34票* 9.『4ヶ月、3週と2日』“4 Months, 3 Weeks, 2 Days”(ルーマニア) クリスティアン・ムンジウ - 33票* 10.『静かな光』“Silent Light”(メキシコ・仏・オランダ) カルロス・レイガダス - 32票* 11.『エルミタージュ幻想』“Russian Ark”(ロシア・独) アレクサンドル・ソクーロフ - 31票* 12.『ニュー・ワールド』“The New World”(米) テレンス・マリック - 30票* 13.『ブリスフリー・ユアーズ』“Blissfully Yours”(タイ) アピチャッポン・ウィーラセタクン - 29票 14.『息子のまなざし』“Le Fils”(ベルギー・仏) ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ - 27票* 15.『コロッサル・ユース』“Colossal Youth”(ポルトガル・仏・スイス) ペドロ・コスタ - 25票* 16.『落穂拾い』“Les Glaneurs et la glaneuse”(仏) アニエス・ヴァルダ - 24票* 『ヴァンダの部屋』“In Vanda's Room”(ポルトガル・独・伊・スイス) ペドロ・コスタ - 24票* 『散歩する惑星』“Songs from the Second Floor”(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー) ロイ・アンダーソン - 24票 17.『隠された記憶』“Caché”(仏・オーストリア・独・伊) ミヒャエル・ハネケ - 23票* 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』“A History of Violence”(米) デイヴィッド・クローネンバーグ - 23票* 『マルホランド・ドライブ』“Mulholland Drive”(仏・米) デイヴィッド・リンチ - 23票* 『百年恋歌』“Three Times”(台湾) ホウ・シャオシェン - 23票* 18.『キングス&クイーン』“Rois et reine”(仏) アルノー・デプレシャン - 21票* 19.『エレファント』“Elephant”(米) ガス・ヴァン・サント - 20票* 20.『トーク・トゥ・ハー』“Talk to Her”(西) ペドロ・アルモドバル - 19票* 21.『風が吹くまま』“The Wind Will Carry Us”(イラン・仏) アッバス・キアロスタミ- 18票* 『ヤンヤン 夏の想い出』“YI YI (A One and a Two)”(台湾・日) エドワード・ヤン - 18票 22.『パンズ・ラビリンス』“Pan's Labyrinth”(西) ギレルモ・デル・トロ - 17票 23.『ある子供』“L'Enfant”(ベルギー・仏) ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ - 16票* “The Heart of the World”(カナダ) ガイ・マディン - 16票* 『黒い眼のオペラ』“I Don't Want to Sleep Alone”(台湾・仏・オーストリア) ツァイ・ミンリャン - 16票* “Star Spangled to Death”(米) Ken Jacobs - 16票 24.『世界』“The World”(中・日・仏) ジャ・ジャンクー - 14票* 25.『珈琲時光』“Café Lumière”(日) ホウ・シャオシェン - 13票* 『頭のない女』“The Headless Woman”(アルゼンチン・西・仏・伊) ルクレシア・マルテル - 13票 “L'Intrus”『侵入者』(仏) クレール・ドゥニ - 13票* 『ミレニアム・マンボ』“Millennium Mambo”(台湾・仏) ホウ・シャオシェン - 13票* “My Winnipeg”(カナダ) ガイ・マディン - 13票* 『サラバンド』“Saraband”(スウェーデン) イングマール・ベルイマン - 13票* 『千と千尋の神隠し』“Spirited Away”(日) 宮崎駿 - 13票 『アイム・ノット・ゼア』“I'm Not There”(米) トッド・ヘインズ - 13票 26.『ジェリー』“Gerry”(米) ガス・ヴァン・サント - 12票 27.『Climate/うつろいの季節』“Distant”(トルコ) ヌリ・ビルゲ・ジェイラン - 11票* 『ドッグヴィル』“Dogville”(デンマーク・スウェーデン・英・仏・独) ラース・フォン・トリアー - 11票 『ロイヤル・テネンバウムズ』“The Royal Tenenbaums”(米) ウェス・アンダーソン - 11票 28.『チェチェンへ アレクサンドラの旅』“Alexandra”(ロシア・仏) アレクサンドル・ソクーロフ - 9票 『DEMONLOVER デーモンラヴァー』“demonlover”(仏) オリヴィエ・アサイヤス - 9票 29.『氷海の伝説』“Atanarjuat, The Fast Runner”(カナダ) ザカリアス・クヌク - 8票 『楽日』“Goodbye, Dragon Inn”(台湾) ツァイ・ミンリャン - 8票 30.“Longing”(独) Valeska Grisebach - 7票* 『シークレット・サンシャイン』“Secret Sunshine”(韓) イ・チャンドン - 7票 “Vai e Vem”(ポルトガル) ジョアン・セーザル・モンテイロ(João César Monteiro) - 7票 『エデンより彼方に』“Far From Heaven”(米・仏) トッド・ヘインズ - 7票 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 全部で54本あります。 同じ監督の作品をいくつも入れるなら、ケン・ローチやマイケル・ウィンターボトム、ダニー・ボイル、ポール・グリーングラス、グリーナウェイ、サリー・ポッター、ブラザーズ・クエイ、フランソワ・オゾン、ジャン=ピエール・ジュネ、パトリス・ルコント、コスタ=ガブラス、ニコラ・フィリベール、イオセリアーニ、アブデラティフ・ケシシュ、エルマンノ・オルミ、トルナトーレ、ベルトルッチ、タヴィアーニ兄弟、ロベルト・ベニーニ、マッテオ・ガローネ、ヘルツォーク、オリバー・ヒルシュビーゲル、トム・ティクヴァ、ファティ・アキン、ダニエル・シュミット、アンゲロプロス、クストリッツァ、タランティーノ、イーストウッド、ソダーバーグ、コーエン兄弟、ティム・バートン、スパイク・ジョーンズ、フェルナンド・メイレレス、アトム・エゴヤン、ミラ・ナイール、モフセン・マフマルバフ、トラン・アン・ユン、アン・リー、チャン・イーモウ、ジョニー・トー、パク・チャヌク、キム・ギドク……なんかが1本も入っていないのはおかしいと思ったりもしますが、そうしてしまうと普通のベスト・セレクションと変わらなくなってしまうでしょうか。 具体的にどういうアンケートの仕方をしたのか(ベストテンを選んでくださいという風にお願いしたのか、1本だけの投票だったのか)はわかりませんが、印象としては10年間で「最も重要な映画」というより「選者が個人的に思い入れの深い作品」が選ばれているように思います。 国籍別だと、フランスが21、アメリカが9、ドイツが7、台湾が6、日本と中国とイタリアがそれぞれ4、ということになります(数え方によって変わります)。 監督別では、アピチャッポン・ウィーラセタクンとジャ・ジャンクーが3本ずつでトップ、そのほか、クレール・ドゥニ、ソクーロフ、ダルデンヌ兄弟、ペドロ・コスタ、ホウ・シャオシェン、ガイ・マディン、ツァイ・ミンリャン、ガス・ヴァン・サントが2本ずつ選ばれています。(作品が選ばれている監督の中にも、代表作はこれ以前の時期にあったんじゃないかというような監督が何人もいます。) 日本で劇場公開された作品は40本、映画祭などで上映された作品は8本、未紹介の作品は6本です。 配給会社別では、ビターズエンドが圧倒的で8本(『プラットホーム』『ヴェルクマイスター・ハーモニー』『ミレニアム・マンボ』『長江哀歌』『息子のまなざし』『散歩する惑星』『ある子供』『世界』)、次がプレノンアッシュの4本(『愛の世紀』『百年恋歌』『黒い眼のオペラ』『楽日』)となります。これらの配給会社が、重要な作品の日本への紹介に大きく貢献している、ということになります。 公開劇場としては、ユーロスペース、シアター・イメージフォーラム、シネマライズ、が多いでしょうか。 劇場未公開の監督としては、アピチャッポン・ウィーラセタクン、カルロス・レイガダス、ヌリ・ビルゲ・ジェイランらがいますが、今後の日本での展開に期待!というところでしょうか。 *印は、2010年の上映会で上映される作品です。 公式サイト:http://www.cinemathequeontario.ca/newsrelease_detail.aspx?Id=678 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ ↓ ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ みなさんの応援が当ブログ更新の支えです! よろしくねっ! *当ブログ記事 ・「ロンドン・タイムズ」が選ぶ過去10年のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_14.html ・「デイリー・テレグラム」が選ぶ過去10年のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_19.html ・“Paste Magazine”が選ぶ過去10年のベスト・ドキュメンタリー25:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_22.html |
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こんばんは−。 |
かえる URL 2009/11/27 00:15 |
かえるさま |
umikarahajimaru 2009/11/27 06:41 |
こんにちは。トロントの映画関係で働いています。アンケートを受けたのですが、ベスト10に入ってよいと思う映画と映画監督という聞き方で、複数、自由に書き込むことができましたよ。映画関係者と映画批評家を含めたマスコミ(トロント映画祭のメディアパスをもらった人のEメールアドレスのリストから送ったのでしょうか?)を対象にしていたようですよ。ところで、映画へのコメント、いつも興味深く拝見してます :) |
トロントの人。 2010/08/24 01:05 |
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