|
米国アカデミー賞2010短編アニメーション賞セミファイナリスト10作品が発表になりました。(11月20日) •“The Cat Piano” (オーストラリア) 監督:Eddie White、Ari Gibson •“French Roast” (仏) 監督:Fabrice O. Joubert •“Granny O’Grimm’s Sleeping Beauty” (アイルランド) 監督:Nicky Phelan •“The Kinematograph” (ポーランド) 監督:Tomek Baginski •“The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)” (西) 監督:Javier Recio Gracia •“Logorama” (仏) 監督:Hervé de Crécy、François Alaux、Ludovic Houplain •『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』“A Matter of Loaf and Death” (英) 監督:ニック・パーク •『晴れ ときどき くもり』“Partly Cloudy” (米) 監督:ピーター・ソーン(Peter Sohn) •『大暴走列車』“Runaway” (カナダ) 監督:コーデル・バーカー(Cordell Barker) •“Variete” (オランダ) 監督:ルロフ・ヴァン・デル・ベル(Roelof van den Bergh) 短編アニメーション賞のセミファイナリストは、これまでは発表されていなかったように思うのですが、今年は、どういう風の吹き回しか、セミファイナリスト10作品のタイトルが発表されました。昨年はノミネーション作品5本並んだ時点で、クオリティーからして『つみきのいえ』がダントツでしたから、セミファイナリストを出すまでもなかったのかもしれませんが、だとすると、今年は作品のクオリティーが拮抗しているということでしょうか。 ノミネーションが5作品なので、ここからノミネーションされる確率は50%、受賞する確率は10%になったことになります。 このセミファイナリストを見て、まず、すぐに気づくことは、今年は日本からのエントリーが1本もないことです。日本アニメーション2連覇ならず! 日本からの応募は1本くらいはあったのでしょうか。 それから、映画賞によっては、2009年(2008年度)の短編映画賞候補になっていた『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』がここにエントリーされていることで、この作品は、アメリカでは確か昨年末にテレビ放映されていたはずですが、その結果2010年(2009年度)の選考対象になったようです。 以下、各作品について、簡単に見ていきたいと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− •“The Cat Piano” (オーストラリア) 監督:Eddie White、Ari Gibson 製作:The People’s Republic of Animation 物語:ネコの町で謎の連続誘拐事件が起こる。犯行現場には、怪しい靴跡と1冊の“The Cat Piano”という本が残されている。その本の内容は、ピアノの弦代わりに1音ごとにネコを1匹ずつ配置し、ピアノの鍵盤をたたくごとに、針が指定のネコを指し、その悲鳴で音楽を奏でるというものであった……。 ナレーション:ニック・ケイヴ アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 短編アニメーション コンペティション部門出品。 オーストラリア Kodak Inside Film Awards 2009 アニメーション賞(The Autodesk IF Award for Best Animation)受賞。 *当ブログ記事 オーストラリア Kodak Inside Film Awards 2009受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_32.html •“French Roast” (仏) 監督:Fabrice O. Joubert 製作:Pumpkin Factory/Bibo Films 物語:60年代のパリのカフェ。ビジネスマンが会計をしようとして、財布を持っていないことに気づく。彼は時間を稼ごうとして、もう1杯コーヒーを頼む……。 SIGGRAPH 2009 Big in Show部門 最優秀賞受賞。 SIGGRAPH 2009の審査員の言葉:「ナラティブ・アニメーション。台詞はなく、物語はアニメーションと音楽と効果音だけで説明される。正面からのマスターショットだけで構成されているが、背景にある大きな鏡が、切返しの代用になっている。」 SIGGRAPH 2009の記事を書いた時に、米国アカデミー賞にノミネートされるとしたらこの作品ではないかと私は書いていたのですが、まさにその通りになりました。 *当ブログ記事 SIGGRAPH 2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_12.html •“Granny O’Grimm’s Sleeping Beauty” (アイルランド) 監督: Nicky Phelan 製作:Brown Bag Films 物語:グリムばあさんは、孫娘に『眠れる森の美女』の物語を語って聞かせようとするが、すっかり筋を忘れてしまっている。 アイルランド・アカデミー賞(IFTA:Irish Film & Television Academy Awards)2009 アニメーション賞受賞。 *当ブログ記事 アイルランド・アカデミー賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_22.html •“The Kinematograph” (ポーランド) 監督:Tomek Baginski 製作:Platige Image 物語:フランシスは発明家で、世界を変えるような発明をしようとしていた。しかし、発明に夢中になりすぎて、重力のことを忘れていた……。 というような筋が、公式プレス・キットには書いてありますが、断片映像を観ると、フィルムに残された、今は亡き妻の姿を見て、妻のことを愛おしく思う、というような作品のようです。 ベネチア国際映画祭2009 短編コンペティション部門(Corto Cortissimo)出品。 Tomek Baginski は、“Katedra”で、米国アカデミー賞2003 短編アカデミー賞ノミネート(受賞作は『チャブチャブズ』)。 •“The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)” (西) 監督:Javier Recio Gracia 製作:Kandor Graphics and Green Moon 物語:おばあさんが農場で独り静かに暮らしている。おばあさんの夢は、早くあの世に召されて、愛するおじいさんと再会すること、であった。ある夜、おばあさんがベッドに入ると、意識が薄れていき、目の前に天国の入口が現れる……。と思ったところで、目覚め、病院のベッドに寝かされていることに気づく。病院の医者が、必死に彼女を死の淵から連れ戻そうとしているのだった……。 •“Logorama” (仏) 監督:Hervé de Crécy、François Alaux、Ludovic Houplain 製作:Autour de Minuit 物語:派手なカーチェイスがあり、人質事件が起こり、街中には猛獣が暴れまわる。しかもその街は、ロゴラマであった……。 物語の設定が、企業のロゴばかりでできている街ロゴラマという設定で、登場するキャラクターも、マクドナルドのドナルドやミシュランのビバンダム、ラコステのワニなどの、有名企業の人気キャラクターばかり。しかも無認可で使用! 監督の3人は、フランスで、CMやミュージック・ビデオなどを手がけるCG会社H5のクリエーターで、これが彼らが作った初めての短編映画。 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間出品。コダック短編賞(Kodak Discovery Award for Best Short Film)受賞。 *当ブログ記事 カンヌ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_12.html •『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』“A Matter of Loaf and Death” (英) 監督:ニック・パーク 製作:アードマン・アニメーション(Aardman Animations Ltd.) アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 短編アニメーション コンペティション部門出品。 オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 短編アニメーション Narrative部門コンペティション出品。 •『晴れ ときどき くもり』“Partly Cloudy” (米) 監督:ピーター・ソーン(Peter Sohn) 製作:ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios) 物語:コウノトリが赤ん坊を運んでくることは誰でも知っているが、ではコウノトリは赤ん坊をどこから運んでくるのか? 実は、成層圏の雲たちが、せっせと赤ん坊を作り、それをパートナーのコウノトリに運ばせているのだ。そんな雲の1つガスは、変わり者の灰色雲で、「作品」はどんどん凶暴になり、パートナーのコウノトリ、ペックの仕事はどんどん大変なものになっていくのだった……。 監督のPeter Sohnは、『アイアン・ジャイアント』や『ファインディング・ニモ』、『Mr.インクレディブル』、『レミーのおいしいレストラン』、『ウォーリー』などで、アニメーターやストーリーボード・アーティストとして活躍してきたスタッフで(声の出演をしたりもしている)、監督作品はこれが初めて。 『カールじいさんの空飛ぶ家』の併映作品。 •『大暴走列車』“Runaway” (カナダ) 監督:コーデル・バーカー(Cordell Barker) 製作:NFB(National Film Board of Canada) 物語:もし世界が運転手のいない列車でガタガタの線路の上を走る列車のようなものだったら…という物語。ドローイング・オン・ペーパー+2D-CG。 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 短編アニメーション コンペティション部門出品。審査員特別賞受賞。 オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 短編アニメーション Narrative部門コンペティション出品。 コーデル・バーカーは、『ストレンジ・インヴェーダーズ』“Strange Invaders”で米国アカデミー賞2002短編アニメーション賞にノミネート(受賞作は『フォー・ザ・バーズ』)。 『大暴走列車』は、第10回カナダ・アニメーション・フェスティバルCプログラムで上映。 •“Variete” (オランダ) 監督:ルロフ・ヴァン・デル・ベル(Roelof van den Bergh) 製作:il Luster Productions 物語:皿まわしの少年の物語。少年は、まず最初は両親に手伝ってもらって、皿をまわしていたが、成長するとともに、皿まわしのポールの数も増え、手伝ってもらう人の数も増えていく。そうしてどんどん技は難しくなっていき、いよいよ皿が落ち始める……。 監督のルロフ・ヴァン・デル・ベルは、1956年アムステルダム生まれというベテランで、現在はユトレヒト芸術大学で教壇に立ちつつ、作品の制作も行なっている。前作の“Notice”(2004)は広島国際アニメーションフェスティバルで上映されて、国際審査員特別賞を受賞(この時のグランプリは『頭山』)。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 以前は、この部門はピクサーの独壇場でしたが、2002年の『フォー・ザ・バーズ』を最後に、ピクサー作品は受賞からは遠ざかっています(さすがにノミネートはされますが)。 それまでは、CGアニメーションの躍進が著しく、その成果がピクサーの短編アニメーションに結実していたので、それが驚きとともに評価されたということでしょうが、『フォー・ザ・バーズ』あたりでCGアニメーションがある一定の水準に達したのだろうと思われます。 現在は、3D-CG全盛ですが、逆に、温かみのある、手描きのアニメーション(『つみきのいえ』や『崖の上のポニョ』のような)を見直そう、回帰しようという動きも見られます。 また、以前は『フォー・ザ・バーズ』や『チャブチャブズ』のような騒々しい作品も評価されましたが、近年は、短編アニメーションに「詩情」を求める傾向も感じられます。 今回エントリーされた10作品の監督で、米国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞経験者はニック・パークだけですが、Tomek Baginskiとコーデル・バーカーもノミネートされたことがあります。 というわけで、私のノミネーション5作品の予想は以下の通りです。 ・『晴れ ときどき くもり』 ・『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』 ・“French Roast” ・『大暴走列車』“Runaway” ・“The Kinematograph” さすがにピクサーとアードマンの作品は外せません。“The Kinematograph”は、“The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)”と入れ替えてもいいかもしれません。 “Logorama”も面白そうですが、アカデミー賞向きではないかな、という感じがします。 いくつかの作品は、動画サイトで全部または一部を観ることができます(今のうちなら)。 物語とビジュアルからすると、今年の本命は、“French Roast”で、対抗が『晴れ ときどき くもり』です。 ノミネーションの発表は、2010年2月2日です。 *アカデミー賞ノミネーション発表がますます楽しみになってきた!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ ↓ ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ クリックしてね! *当ブログ記事 ・米国アカデミー賞 短編アニメーション賞リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200701/article_11.html ・米国アカデミー賞2010 長編ドキュメンタリー賞 セミファイナリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_31.html ・米国アカデミー賞2010 長編アニメーション賞セミファイナリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_21.html ・米国アカデミー賞2010 外国語映画賞各国代表65作品発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_11.html ・米国アカデミー賞2010 短編ドキュメンタリー賞セミファイナリスト発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_11.html ・オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_5.html ・オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200910/article_9.html ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_3.html ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_9.html ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_11.html ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_12.html ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_15.html ・クラクフ映画祭2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_17.html ・クラクフ映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_6.html ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月〜2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html |
| << 前記事(2009/11/20) | ブログのトップへ | 後記事(2009/11/22) >> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2009/11/20) | ブログのトップへ | 後記事(2009/11/22) >> |