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zoom RSS エルサレム映画祭2009 結果発表!

<<   作成日時 : 2009/07/20 06:55   >>

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 エルサレム映画祭(7月9日〜18日)が閉幕し、各賞の結果が発表になりました。

 エルサレム映画祭は、シネマテークを主催していたLia van Leerが、カンヌ国際映画祭の審査員を務めたのをきっかけに、イスラエルにもこういう映画祭が欲しいと考えて、1984年からスタートさせた映画祭で、今年で第26回を迎えています。

 1989年からは慈善家Jack Wolginの支援を得て、コンペティション部門を設立し、その結果誕生したThe Wolgin Awardは、イスラエルで最も権威のある映画賞になっています。

 現在は、中短編を対象とするThe Award in Memory of Anat Pirchi コンペティションや、人権をテーマとした作品を対象とするスピリット・オブ・フリーダム コンペティション、イスラエル人のアイデンティティーや歴史、ホロコーストの記憶などをモチーフとする作品を対象としたJewish Experience Competitionなど、多くの部門を有する映画祭になっています。

 今年の受賞結果は、以下の通りです。

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 ◎The Wolgin Award 長編部門 作品賞(Best Full-Length Feature Film):“Ajami”(独)
 監督:Scandar Copti、Yaron Shani
 物語:ヤッファのAjamiは、人種のるつぼで、ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒が入り乱れて暮らしていた。13歳のナスリとその兄オマールは、叔父が名門の一員を痛めつけたのを見た後、びくびくして暮らしていた。パレスティナ難民であるマレクは母の手術代を稼ぐために違法労働をしていた。パレスティナ人のビンジはユダヤ人のガールフレンドと明るい未来を夢見ていた。ユダヤ人の警察官ダンドは、兵士になった後、行方不明になった弟を捜していた……。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間出品、カメラドール スペシャル・メンション受賞。

 審査員の言葉:「この映画の独創性は、2人の監督が、イスラエルにおけるアラブ社会の複雑さとユダヤ社会との関係性を、しっかり見すえているところから生まれている。この映画は、設定のリアルさに加え、こうした状況でどのように悲劇が起こるかを示唆するものともなっている。プロではない俳優を起用したことは、作品の質と信憑性を高め、エネルギッシュな編集は次に何が起こるかわからない現実を表現するのに役立っている。」

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 ◎The Wolgin Award 長編部門 名誉賞(Honorable Mention):“Eyes Wide Open”(イスラエル・独・仏)
 監督:Haim Tabakman
 物語:アーロンは、家業を継いで肉屋になり、妻と4人の子供と父とともに暮らしている。しかし、その父が死に、肉屋に手が足らなくなったので、彼は1人の学生を雇うことに決める。彼は、その学生に仕事を教え、住まいも提供し、何くれとなく世話をしていくうち、彼に夢中になって、すっかり家族を省みなくなってしまう……。
 カンヌ国際映画祭2009ある視点部門出品作品。トロント国際映画祭2009 CONTEMPORARY WORLD CINEMA出品。

 審査員の言葉:「演出、撮影、編集によって、路地裏に封じ込められた沈黙が緊張感あふれるものとして描き出されている。」

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 ◎The Wolgin Award 長編部門 最優秀男優賞:Zohar Strauss “Eyes Wide Open”、“Lebanon”

 ◎The Wolgin Award 長編部門 最優秀女優賞:Hana Rita Zohar “Mrs. Moskowicz and the Cats”

 ◎The Wolgin Award 長編部門 演技賞Honorable mention:Rotem Zisman-Cohen “The Loners”、“Lost Paradise”

 ◎The Wolgin Award 長編部門 演技賞Honorable mention:Sasha Agrounov、Anton (klin) Ostrovsky “The Loners”

 ◎The Wolgin Award ドキュメンタリー部門 作品賞:"Diplomat"
 監督:Dana Goren
 旧ソ連からやってきた移民であふれかえっているというエルサレムのディプロマット・ホテルの現状を描いた作品。

 審査員の言葉:「この映画は、映画的で、芸術的で、人間的で、エモーショナルな作品である。これまで表立って示されることのなかった、イスラエル社会の約20年を暴き出している。」

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 ◎The Wolgin Award ドキュメンタリー部門 スペシャル・メンション:“Yes, Miss Commander!”
 監督:Dan Setton、Itzik Lerner

 ◎The Wolgin Award ドキュメンタリー部門 スペシャル・メンション:“As Lilith”
 監督:Eytan Harris

 ◎The Wolgin Award ドキュメンタリー部門 スペシャル・メンション:“Closure”
 監督:Anat Even.

 ◎The Wolgin Award 短編部門 作品賞:"Guided Tour"
 監督:Benjamin Friedenberg
 物語:夜中に路上に線を引く仕事をしている孤独な男の物語。

 審査員の言葉:「この映画はとてもユニークな語り口を持っていて、孤独な青年がユーモアと皮肉と痛みを伴いつつ、そこから抜け出す姿を描いている。」

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 ◎The Wolgin Award 短編部門 スペシャル・メンション:“Lost Paradise”
 監督:Michal Brezis、Oded Binnun

 ◎The Wolgin Award 短編部門 スペシャル・メンション:“Diploma”
 監督:Yaelle Kayam

 【審査員】
 ・Michal Govrin(審査員長): イスラエルの作家・詩人・舞台演出家
 ・Frederic Boyer:カンヌ国際映画祭 監督週間のディレクター
 ・Judith Guetta:イスラエルの写真家
 ・Goren Markovic:セルビアの監督・舞台演出家・脚本家・戯曲作家
 ・Chaim Sharir:イスラエルのプロデューサー.

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 ◎The Anat Pirchi Award シングル・ドラマ賞:“Freeland”
 監督:Gur Bentwich
 物語:引退しかけのロッカーが、別れたはずのガールフレンドから有機農場に引っ張り込まれる。農場ではほとんどすることもなく、彼はそこに理想的な避難所を見つけるのだった……。

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 ◎The Anat Pirchi Award ドキュメンタリー賞:“Baderech Ha'baita”
 監督:Tomer Heymann
 監督自身の過去15年のプライベート・ビデオを使って、エモーショナルな世界を描き出す。

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 ◎The Anat Pirchi Award アニメーション賞:“Wings”
 監督:Sasha Bushuev
 物語:空を飛ぶことを夢見ている男性が、実行に移し、失敗するが、やがて蝶に変身する。

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 ◎The Anat Pirchi Award 短編ドキュメンタリー賞:“Tales of the Defeated”
 監督:Yael Reuveny

 ◎The Anat Pirchi Award スペシャル・メンション:“The Forty Second Winter”

 【審査員】
 ・Chaim Elbaum:イスラエルの監督・脚本家
 ・Maya Halevy :イスラエルのブルームフィールド科学博物館のディレクター
 ・Gili Shanit:イスラエルのZira Performance Center前ディレクター

 この賞は、Avraham Pirchiによって贈られるもので、彼の亡き妻Anatにちなんで名づけられています。

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 ◎スピリット・オブ・フリーダム賞Nathan Cummings Foundation賞:“Yodok Stories”(ポーランド・ノルウェー)
 監督:Andrzej Fidyk
 北朝鮮の強制収容所の実態を描いた作品。ただし、北朝鮮の強制収容所の撮影は許可されないので、脱北者が母国での生活をミュージカル化したものをフィルムに収めている。Yodokというのは、第15再教育収容所のこと。

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 ◎スピリット・オブ・フリーダム賞Vivian Ostrovsky賞:“Burma VJ – Reporting from a Closed Country”
 監督:Andreas Østergaard
 物語:2007年9月。ビルマ人ジャーナリストたちが逮捕も恐れずに発信した、ポケットカメラのよるサフラン革命の写真が全世界をかけめぐり、彼らは一躍世界の表舞台に引っ張り出されることになる。
 サンダンス映画祭2009編集賞受賞、デンマーク映画批評家協会賞2009最優秀ドキュメンタリー賞受賞。

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 ◎スピリット・オブ・フリーダム賞 スペシャル・メンション:“Paraiso Travel”(米・コロンビア)
 監督:Simón Brand
 マーロンは、愛するレイナとともにコロンビアからクイーンズにやってくる。しかし、実は、お金もなく、書類もなく、待っている人も誰もいなくて、レイナを不安に陥れるだけであった……。
 Simón Brandは、コロンビアでミュージック・ビデオの世界で活躍している監督。

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 【審査員】
 ・Dina Zvi Riklis:イスラエルの監督・脚本家
 ・Shlomi Eldar: (Israel), Channel 10アラブ方面通信員
 ・Judy Ironside:UK Jewish Film Festival.創立者・ディレクター

 ◎国際批評家連盟賞:“Burma VJ – Reporting from a Closed Country”
 監督:Andreas Østergaard

 ◎Jewish Experience Competition The Lia Award:“The Last Krasucky”(イスラエル)
 監督:Y.A. Krasucky
 監督の父アーロン・クラスキーは、ある日、94歳の祖母に呼ばれて、実の息子ではなかったということを教えられる。60年前にお腹を空かせていた赤ん坊を引き取って、養子にしたのがお前なのだと。父は、自分がクラスキー家の後継者を残せなかったことを悩んでいたが、自分が本当はクラスキー家の人間ですらなかったことを知って激しいショックを受ける。監督と父は、本当の家族を探すためにテルアビブから旅に出発する……。

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 ◎Jewish Experience Competition The Avner Shalev Yad Vashem Chairman’s Award:“Human Failure”(独)
 監督:Michael Verhoeven
 ドイツにおけるユダヤ人の財産がナチによって、どのようにして押収され、登録され、目録化され、見積もられていったのか、犠牲となった当事者およびその家族にインタビューしていくことで探っていく……。

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 ◎Jewish Experience Competition ヴィジュアル・メモリー・アワード(Forum for the Preservation of Audio-Visual Memory Award):“HARLAN – In the Shadow of the Jew Süss”(独)
 監督:Felix Moeller
 1940年代にユダヤ人排斥のために作られたナチスのプロパガンダ映画Jud Süssと、その監督Veit Harlanに関するドキュメンタリー。Veit Harlanは、Lion Feuchtwangerの小説を映画化して、その中でユダヤをずる賢く、傲慢に描き、2000万人のドイツ人の観客を集めた。戦後、彼は2度裁判にかけられたが、2度とも無罪になった、という。

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 ◎The Israeli Video Art and Experimental Cinema Awards 第1位:“In Between”
 監督:Tamar Shippony

 ◎The Israeli Video Art and Experimental Cinema Awards 第2位:“Beton”
 監督:Yuval Yefet

 ◎The Israeli Video Art and Experimental Cinema Awards スペシャル・メンション:“Frog Test”
 監督:Shahar Marcus

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 エントリーされていた大半の作品は、イスラエル映画だったので、知らない監督の知らない作品ばかりだったのですが、メイン・プログラムであるThe Wolgin Awardで賞を受賞した“Ajami”と“Eyes Wide Open”は既にカンヌで賞を獲ったりして、注目されつつある2作品でした。

 イスラエルはこのところ、アモス・ギタイの国際的な活躍が目立ちますが、そのほかにも、『ボーフォート―レバノンからの撤退』『戦場でワルツを』と2年連続で米国アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品を出し、2007年には『迷子の警察音楽隊』がカンヌ国際映画祭2007ある視点部門審査員長賞や、東京国際映画祭2007グランプリなどを受賞し(本当は米国アカデミー賞外国語映画賞イスラエル代表はこちらだったのですが、規定により失格しています)、2008年にはエラン・リクリスの“Lemon Tree”がベルリン国際映画祭パノラマ部門観客賞をはじめ数々の賞を受賞していることもあって、今年もその成果が期待されています。

 現状から考えると、今年の米国アカデミー賞外国語映画賞イスラエル代表は、“Ajami”か“Eyes Wide Open”か、あるいはカンヌ国際映画祭2009のコンペティションに出品されたエリア・スレイマンの“The Time That Remains”の、いずれかになるのではないでしょうか。

 スピリット・オブ・フリーダム賞を受賞した“Burma VJ – Reporting from a Closed Country”も既に高い評価を受けていて、2009年を代表するドキュメンタリー映画の1本になりそうです。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月〜2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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